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SONY TC−FX6 |
1980年 定価59,800円 |
SONYのTC-FX6は1980年9月に発売された、2ヘッド・2モーターのカセットデッキです。 当時の59,800円クラスは「中級機」で、カセットデッキの売れ筋の激戦地帯でした。 ライバル機はAKAI GX-F25、Aurex PC-X45AD、DENON DR-F1、DIATONE DT-6、Lo-D D-E70M、NEC K-525、ONKYO TA-650、Pioneer CT-580、SANSUI D-55、TEAC V-9(カメレオン)、Technics RS-M250、TRIO KX-70、Victor DD-5、YAMAHA K-8などがありました。 1980年はメタル対応カセットデッキへの買い替え需要などもあり、SONYは春モデルとしてTC-K61(59,800円)を発売。ボーナス商戦に合わせて6月にTC-K61 Limitedを発売。そして秋モデルとして発売されたのがTC-FX6です。 型番はそれまでの「TC-K」をやめて「TC-FX」となり、「デジタル」&「フルロジック」を略した「デジックデッキ」というニックネームも与えられました。 当時のTC-FXシリーズのラインアップはTC-FX7(79,800円)、TC-FX6、TC-FX5(49,800円)、TC-FX4(43,800円)となっています。 TC-FX6は録音と再生ヘッドにS&F(センダスト&フェライト)ヘッドを搭載。このヘッドはセンダストの高い飽和磁束密度と、フェライトの優れた高域特性を合わせ持っています。消去ヘッドは4ギャップのF&Fヘッドです。 メカは2モーター、シングルデュアルキャプスタンで、キャプスタン用にはBSLグリーンモーター、リール用にはハイトルクDCモーターを採用しています。 ノイズリダクションシステムはドルビー Bタイプを搭載しており、MPXフィルターも装備しています。 テープポジションはノーマル、クローム、フェリクローム、メタルの4段で、オートセレクターではなく、手動による切替となります。 カウンターは従来の回転式ではなく、テープの走行時間を分秒で表示するリニア電子カウンターが搭載されました。これに録音中のテープの残り時間を簡単に把握できるようになりました。 AMS(オートマチック・ミュージック・センサー)は、曲間の無音部分を数えることで、目的の曲の頭出しが出きるという機能で、指定した順番の曲を聴いたり、再生したばかりの曲をもう一度聴くことができました。 その他の機能としてはオートプレイとメモリープレイ、オートスペース付きREC MUTE、タイマースタンバイなどがあります。 その後、ドルビーノイズリダクションシステムの「Cタイプ」、いわゆるDolby-Cの発表が行われ、1981年1月にはTC-FX6にDolby-Cを搭載したTC-FX6Cが発売されました。 TC-FX6Cの価格は、1万円値上げされて69,800円となったこともあり、TC-FX6も販売が続けられて、併売という形になっています。 (音質について) 少し硬めのSONYサウンドで、1980年代前半の中級カセットデッキとしては共通の傾向の音です。 S&F(センダスト&フェライト)ヘッドを搭載し、同じ年に発売されたTC-K71(79,800円)と比べると、レンジが狭く細かい音なども出てきません。 いかにもTC-K71の音をダウングレードしたのが、TC-FX6の音という感じです。 翌1981年発売の、アモルファスヘッドを搭載したTC-FX77と比べると、レンジ、解像度、高音のキレなどで差がつき、TC-FX77のほうが1ランク以上、良い音という感じです。 |
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(フロントパネル) | |||||||||||||||||||||
前モデルのTC-K61に比べて、高さが25mm低くなり、スリムな印象のデザインとなりました。 録音や再生などの操作ボタンは、「ファイン・フェザータッチ・オペーレーション」と名付けられた、従来よりも軽いタッチで操作できるようになっています。 その他のスイッチ類もプッシュボタン化され、ボリュームにはロングスライドボリュームが採用されるなど、フロントバネルのフラット化が進められています。 レベルメーターの表示部分大きくなっています。LEDのピークレベルメーターは16セグメントと変わりません。1つのセグメントの幅が広くなったので、見やすくなっています。 レイアウトは一番左には電源ボタン、タイマースタンバイ、イジェクトボタン、ヘッドホン端子(標準プラグ)とボリューム。 カセットホルダーは窓が大きく、中のテープが見やすいです。 電子カウンターの横にはリピートとAMSのプログラム表示。その下にはカウンターリセット、メモリー、リピート、AMSの各ボタンがあります。 その下が操作ボタンで再生・録音・早送り・巻き戻し、PAUSE、REC MUTEがあります。この部分は押しやすいようにパネルに角度が付けられています。 スライドボリュームの下には、テープポジションの切り替え、TypeT(ノーマル)、TypeU(ハイ・クローム)、TypeV(デュアド・フェリクローム)、TypeW(メタル)の4つ。 ドルビーノイズリダクションMPXフィルターのON/OFFスイッチ。マイク入力端子(標準プラグ)があります。 |
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(シャーシと内部について) | |||||||||||||||||||||
シャーシは幅430×高さ105×奥行275mmというサイズで、以降の中級機 TC-FX66、TC-FX600、TC-FX705と、このサイズを踏襲しています。 シャーシ、コの字型の天板ともに鋼板製で、真ん中にシールド板を兼ねたビーム(梁)を取り付けて、剛性を高めています。 内部は左側にメカと電源トランス、電源回路やロジックメカやAMSなどのデジタル回路(システムコントロール回路)。右側の基板は録音と再生回路で、専用の電源回路もあります。 デジタル回路の基板が下向き、録音・再生回路は基板が上向きになっているのは、相互の干渉を減らすためで、1970年代から取り入れられています。 |
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底板をはずした写真 | |||||||||||||||||||||
(電源部) | |||||||||||||||||||||
電源トランスは、リーケージフラックス(磁束漏れ)対策として、四方を金属製のケースで囲っています。 トランスは別巻線で、デジタル回路とメカ、録音・再生回路はそれぞれ独立した電源となっています。 電解コンデンサは日本ケミコンのSLなどが使われています。 電源ケーブルは並行コードです。 |
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(システムコントロール回路) | |||||||||||||||||||||
ロジックメカのキー操作などを制御するシステムコントロール用のマイコンは、富士通の「MB8843-316」です。 他にチップはゲートICの富士通「MB84001B」、コンパレーターのNEC「μPC339C」などがあります。 |
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(ヘッド) | |||||||||||||||||||||
録音・再生ヘッドはセンダスト合金(Si-Al-Fe)と、フェライトを組み合わせたS&F(センダスト&フェライト)ヘッドです。 S&Fヘッドはガード部分にセンダストを、コアにはHigh μタイプのフェライトを使用し、これにセンダスト合金のチップを、組み合わせた3段構造となっています。 簡単にいうと、S&Fヘッドはテープとの接触面にセンダストを使用しているだけで、中味はフェライトヘッドです。 センダストヘッドは、センダストを薄くしたラミネートコアが音質的には最良でしたが、当時はセンダストの加工が難しく各社ともに苦労していました。また耐蝕性や耐摩耗性を高めるために使う、添加物により磁気特性の低下を招くという問題も抱えていました。 TechnicsとYAMAHAは、ブロック状のセンダストをコアに使ったヘッドを開発しますが、過電流の発生という問題が残ります。結局、薄いコアを開発できたのは、Pioneerのリボン・センダストヘッドだけでした。 SONYはすでに1970年代後半から、アモルファスヘッドの開発に取り掛かっており、翌1981年のTC-FX77からレーザーアモルファスヘッド搭載が始まります。 消去ヘッドはフェライトヘッドです。 |
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(メカ) | |||||||||||||||||||||
メカは2モーター、シングルデュアルキャプスタンです。 キャプスタン用のBSLグリーンモーターは、カセットデッキ用に設計されたもので、トルクむらやコッキング(トルクの脈動)の原因となるスロットやブラシが無いため、滑らかな回転が可能となっています。 リール用はハイトルクDCモーターを使用。メカの駆動はソレノイド(アクチュエイター)です。 フライホイールはキャビネットの高さが低くなったため、直径を小さくしたかわりに、厚みを大きくして慣性質量を確保しています。 |
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(録音・再生回路) | |||||||||||||||||||||
録音・再生の基板は左側に録音回路、右側に再生回路というレイウウトで、左右独立のMONO構成になっています。 ノイズリダクションシステムはドルビー Bタイプで、ドルビー用ICはSONY製の「CX174-1」です。 イコライザー用のオペアンプはJRC 4562Dなど。 電解コンデンサは日本ケミコンの「SL」など。 |
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(入出力端子) | |||||||||||||||||||||
リアパネルの入出力端子はラインインが1系統。ラインアウト(固定出力)が1系統です。 ワイアードリモコン端子に接続できるオプション(別売)は、ワイヤレスリモコンユニット RM-80(18,000円)、ワイヤードリモコン RM-50(6,000円)。シンクロリモコンユニット RM-65(3,000円)がありました。 |
周波数特性 | 20Hz〜19kHz(メタルテープ) |
S/N比 | 59dB (Dolby オフ・メタルテープ) |
高調波歪率 | 1.0%(メタルテープ) |
ワウ・フラッター | 0.04%(WRMS) |
消費電力 | 21W |
外形寸法 | 幅430×高さ105×奥行275mm |
重量 | 5.5kg |
TC-K555ESG | TC-K555ESX | TC-K5555ES | TC-K555 |
TC-K333ESR | TC-K71 | TC-FX77 | TC-FX705 |
TC-FX600 | TC-FX6 | TC-K5 | TC-4300SD |
TC-4250SD | TC-2850SD |
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