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SONY TC-K333ESR

     1988年 定価85,000円



SONYのTC-K333ESRは1988年11月に発売された3ヘッドカセットデッキです。その内容や音質が評価され、FM fanのダイナミック大賞の優秀推薦機に選ばれています。

ライバル機はA&D GX-Z7100、EXCELIA XK-007、KENWOOD KX-1100HX、Pioneer T-818、YAMAHA KX-1000など。


TC-K333ESRは、バイアス周波数を従来の倍の210kHz(TC-K333/555ESXは105kHz)に、シフトアップした「スーパーバイアス」を新たに搭載しています。

「スーパーバイアス」は他社でいうところの「ハイバイアス」(ハイポジション用のカセットテープではありません)システムで、バイアス周波数を210kHzと高くすることで、音楽信号との周波数間隔を広げて、ビートノイズや混変調歪を低減して高域分解能を向上させるというものです。


メカデッキを中央部に配置するミッドシップドライブ・システム(センターメカ)で、内部を3等分するようにセパレーターを配置し、シャーシーの剛性アップと各ブロック間の相互干渉を防ぐ「インナーシャーシ」となっています。

ヘツドは正確なアジマス精度が得られるSONY独自の独立懸架3ヘッドのレーザー・アモルファスヘッド(LC-OFC巻線)を搭載。クォーツロックサーボにより制御されたBSLモーターによるダイレクトドライブと、クローズドループ・デュアルキャプスタンによって、安定したテープ走行が可能です。

兄弟機のTC-K555ESR(105,000円)とは外見だけでなく、内容やスペックもほとんど同じになっています。音質まで同じだと当然まずいので、コンデンサなどのパーツを変更して音に差を付けています。
機能面で違うのは録音イコライザーの高域特性を3段階に切替えとキャリブレーションのON/OFFスイッチが無いのと、リモコンによる操作ができなくなっています。

リモコンに対応しているTC-K555ESシリーズは、リモコンの受光回路のパーツの劣化による原因の誤動作がよく発生していますが、TC-K333ESRにはこの回路が無いため、その部分については心配がいりません。※後継機のTC-K333ESGからリモコン対応となります。



(音質について)
さすがにTCK-555ESGにはかないませんが、6~7万円クラスの中級機とはレンジや解像度、音場などが違います。ロックやJPOPなどを聴くと価格ほど差はない部分も感じられますが、クラシックやジャズなどでは繊細な部分の音がまるで違うという感じです。

TC-K333ESRの定価は85,000円と中級機の上のほうという感じですが、TC-K555ESRの位置づけは高級機。その違いは一部の機能だけですし音質も素晴らしい。十分に高級機としての資格を持ったカセットデッキです。


1980年代のデッキですのでメンテナンスは必須です。メカはベルトの伸びや断裂、グリスの固着などの問題が出ますし、良い音質で聴くためにはヘッドやピンチローラーのクリーニング、アジマスの調整、内部基板や入出力端子のクリーニングなども必要です。



(フロントパネル)
フロントパネルのデザインは前モデルのTC-K333/555ESXを踏襲。最大の違いはウッドパネル(1枚430g)が付いたことです。TC-K555ESXでもサイドウッドが付いていなかったのですが、やはりこれがあるのと無いのでは高級感が違います。

センターメカをはさんで左側はカウンターと再生・録音・早送り・巻き戻しの操作ボタン。右側にはレベルメーターと録音レベルの調節ツマミ、ノイズリダクション切替スイッチ、バイアスを微調整できるバイアスキャリブレーション、ヘッドフォンボリュームなどがあります。

カウンターは減算機能を持つリニア電子カウンター。レベルメーターはピークホールド機能が付いています。







(シャーシと内部について)
ウェイトバランスやシャーシの剛性アップ、ブロック間の干渉の低減するために、カデッキと電源部を中央に、コントロール系とオーディオ回路を左右に配置したミッドシップドライブ・システム(センターメカ)が採用されています。

シャーシの底板、サイドパネル、中の2枚のシールドパネルには防振鋼板が使われています。このTC-K333ESR/555ESRから、リーケージフラックスや微振動対策として、内部も塗装が行われるようになりました。ただこの部分の塗装はレベルが悪く、ウチのようにまだら状になっている個体もあります。

中央のメカや電源トランスがある部分は2重底となっており、トランスや外部からの振動を押さえて、メカのヘッドや走行系への影響を防いでいます。
天板は普通の鋼板で、防振材は貼られていないため指で叩くとよく鳴ります。

内部のレイアウトは中央にメカと電源トランス。左側にはシステムコントロール回路と、メカとデイスプレィ用の電源ブロック。右側のオーディオ回路は、録音系と再生系の干渉を防ぐため2階建てとし、全段L/RツインモノのDCアンプ構成となっています。

インシュレーター サイドウッド



(ヘッド・メカ)
録音・再生ヘッドにはLC-OFC巻線のレーザー・アモルファスのコンビネーションヘッドを搭載。消去ヘッドはS&F(センダスト&フェライト)ヘッドとなっています。

駆動系はテープ走行を安定させるクローズドループ・デュアルキャプスタンを採用。キャプスタンはクォーツロックの3層リニアトルクBSLモーターによるダイレクトドライブで、これによりワウ・フラッターの向上やテープのヘッドタッチの安定化をはかっています。リールモーターはDCモーターを使用しています。

カセットテープのローディング時に、自動的にテープのたるみをチェックして巻き戻す機能が搭載されています。

ヘッド・キャプスタン
ピンチローラー
メカの裏側



(電源部)
電源トランスは「ES」の文字が入ったもので四方を金属製のケースで囲われています。実際にはリーケージフラックス(磁束漏れ)は上方にも漏れるので、対策としてはまだ十分とは言えません。

トランスは別巻線。電源回路もメカとディスプレィ、録音、再生の独立電源となっています。整流回路にはELNA DUOREXやニチコン VXなどのコンデンサが使われています。

電源ケーブルは川崎電線のOFC丸形キャブタイヤコード(1.25m㎡・外径7.5mm)です。

電源トランス ELNA DUOREX 35V・6800μF X 2



(システムコントロール・サーボ回路)
キー操作とディスプレィ表示などの制御するシステムコントロール用のマイコンは、富士通製の「MB88517B」で、他にはサーボ用のロジックICの東芝「TC4069UBP」やクォーツPLL・モーターコントローラー「TC9142P」、水晶振動子などがあります。
マイコン MB88517B サーボ回路



(録音回路)
ノイズリダクションはドルビーBとCを搭載。専用チップは自社製の「CX20188」を搭載しています。
新たに搭載された「スーパーバイアス」は、バイアスの周波数を従来の2倍とすることで、音楽信号との周波数の間隔を広げて、干渉を減らしてビートノイズや混変調歪を低減して高域の分解度を向上させる働きがありました。
他社では「ハイバイアス」と呼ばれており、後に中級機や初級機にも搭載されていきます。
録音用回路 ドルビーやMPXフィルターの
スイッチ基板

バイアス OSC
(オシレーター)ユニット
ドルビーB・C用
SONY CX20188



(再生回路)
再生回路のドルビーICも「CX20188」が使用されています。 オペアンプはイコライザー用に三菱「M5520P」、ヘッドフォン用のアンプにはJRC「4560D」が使われています。

電源用のコンデンサは、オーディオ用コンデンサの代名詞ともいえるニチコンのMUSEです。
再生回路 ニチコン MUSEコンデンサ



(入出力端子)
入出力端子はラインイン、ラインアウトが各1系統です。

リアパネル



(1988年 SONYメタルテープ METAL-S)
1988年、SONYはカセットテープの主力モデルを一新します。メタルテープの「METAL-S」と「METAL-ES」もリニューアルしました。

新しいMETAL-Sはメタルテープの「スタンダード」をコンセプトに開発されたもので、磁性体は超微粒子化をすすめ、高い出力を得た新開発の「ダイナ磁性体」に変更。これを高密度充填しています。カセットハーフは高精度のISハーフを採用しています。

最大残留磁束密度は3300ガウスとなり、MOLは全帯域で0.5dB向上。バイアスノイズレベルは1.0%低減しています。


SONY TC-K333ESRのスペック

周波数特性 20Hz~20kHz ±3dB
(メタルテープ)
周波数範囲 15Hz~22kHz(メタルテープ)
S/N比 56dB(Dolby オフ・メタルテープ)
73dB(Dolby C・メタルテープ)
歪率 0.5%
ワウ・フラッター 0.025%(WRMS)
消費電力 27W
外形寸法 幅470×高さ125×奥行350mm
重量 9.5kg





SONYのカセットデッキ

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