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YAMAHA CDX-640 |
1990年 定価39,800円 |
YAMAHAのCDX-640は1990年10月に発売されたCDプレーヤーで、この後4年近くカタログに掲載され販売され続けました。海外仕様はCDX-550/CDX-550Eです。 ライバル機はPanasonic SL-PS700、SONY CDP-991、DENON DCD-850、TEAC CD-P4000、Pioneer PD-335など。 CDX-640は、CDX-100(1989年・49,800円)の後継機で、価格は1万円の値下がりとなりましたが、中味はオーディオ回路を一新するなど、逆に強化されています。 D/Aコンバーターは上級機のCDX-1050と同じ、YAMAHAオリジナルの1bitDAC、I-PDM(Independent Pulse Density Modulation)を搭載しています。 このI-PDMはPDM変調(Pulse-density modulation)のDACです。 出力パルスを独立化して、パルスの密度(頻度)によって、正確にアナログ波形へ変換するという仕組みで、原理的にはゼロクロス歪みが発生しないようになっています。 またローパスフィルターやラインアンプは、CDX-100よりパーツを増やし、より精度の高いものへと変更されています。 サーボ回路はディスクの状態を読取り、サーボ量を自動調整して最適な状態でトレースを行うインテリジェント・デジタルサーボも搭載しています。 エントリーモデルにも関わらず二重底のシャーシや、偏芯インシュレーターのジャイアントレッグを装備しており、現在のエントリーモデルと違って防振対策もキチンと考えられています。 (音質について) 高音に特徴があるヤマハサウンド(ヤマハビューティ)というより、中音域がメインになっています。 高音が少し弱くなったせいか低音は普通に出ており、小型スピーカーでは過不足は感じないかと思います。音の広がりや奥行き・余韻などは足りませんが、全体としてはうまくまとめられています。 「398」というエントリーモデルですが、ジャズやクラッシックでチューニングしたようなサウンドです。 当時は洋楽(ロック)やJPOPが全盛時代で、CDがバンバン売れていました。 そのため「398」のようなエントリーモデルは、洋楽・JPOP向けに、ドンシャリやハデめのサウンドの機種が多かった中で、少し異例の音作りといえるかもしれません。もちろん洋楽やJPOPが聞けないという訳ではありません。 長岡鉄男のFMファンのダイナミックテストの評価は、 「ヤング向きというか、明るくキレのよい、透明感のある音で、ボーカルがくっきりと浮かび上がってくる。 直接音を強調、間接音を抑え込むような傾向があり、教会でのワンポイント録音といったソースでは音場感がもうひとつだが、ポップス系のソースでは定位、音場感ともいい。低音は筋金入りではなく、ちょっと軽い。」「ルックスも含めてCPは高い。」となっています。 ※「398」モデルということで電源部は貧弱です。しかし電源タップやケーブルなどの環境が良くなると、音の広がりや余韻も改善され、見違えるような良い音で鳴りはじめます。 |
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(フロントパネル) | |||||||||||||||
フロントパネルのデザインは前モデルのCDX-100を踏襲したもので、ほとんど同じなのですが、トレイの開閉ボタンの隣にあった「FILE」ボタンが廃止となっています。 カラーはチタンとブラックの2色がありました。 |
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(シャーシと内部について) | |||||||||||||||
シャーシは鋼板製。底板はもう一枚鋼板を張り付けて二重底とし、強度を高めています。天板には大きなゴム製のダンパーが取り付けられています。 インシュレーターは「ジャイアントレッグ」と呼ばれる大型のもので、接地点をずらし扁芯効果を狙ったような形状となっています。接地面は1cm角ぐらいのゴムです。 なお基板は輸出専用モデルのCDX-550やCDX-750と共通となっています。 |
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(電源回路) | |||||||||||||||
電源回路のトランスは小さいですがケース入り。回路を構成するパーツの数は少なく、ピックアップ・サーボ・ディスプレイ部とオーディオ部、ディスプレイのバックライトに分けた「独立給電」となっています。茶色のコンデンサはELNA製です。 |
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(デジタル回路 サーボ・信号処理) | |||||||||||||||
サーボ回路はデジタルサーボですが、まだ現在のような完成されたものではなく、回路にも調整用のボリュームがあります。 わが家のCDX-640もディスクを読み込めなくなりましたが、このボリュームを調整して直りました。アナログサーボであれば「トラッキング・ゲイン」の調整だけで済むこともありますが、デジタルサーボ(本機はまだアナログサーボと、デジタルサーボの中間ぐらいのレベル)の調整は、ともかくたいへんでした。 サーボ回路にある調整用ボリュームは、「FOCUS VAL」(フォーカスバランス)と「EF VAL」(EFバランス)です。これらはフォーカス・サーボ用のボリュームで、トラッキング・サーボ用のボリュームがありません。 近くにある「1/2VCC ADJ」は電源系。「VCO ADJ」と「VCO FREERUN」は、信号処理のPLL回路用の調整ボリュームなので、サーボ回路とは関係ありません。 使用されているICは、YAMAHA製のシグナルプロセッサ「YM3417D」で、1つのチップに信号処理用の回路とサーボ回路、それにPLLや8倍オーバーサンプリングの、デジタルフィルターなども内蔵しています。 調整用のボリュームだけを見ると、トラッキングサーボだけをデジタルサーボ化して、フォーカスサーボはアナログサーボのまま(デジタルサーボへの過渡期にはSONYでも同様の事例あり)かと思ったのですが、サービスマニュアルを見ると、両方ともデジタルサーボになっています。 信号処理用のスタティックRAMは、SANYO製の「LC35178-15」が使われています。 |
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(DAC・オーディオ回路) | |||||||||||||||
オーディオ回路には大きなシールドケースがあります。ケースの中にDACなどの回路を収めることによって、ノイズなどの混入を低減しています。 このシールドケースは、アルミ製で基板にしっかりと固定されています。内部は2階建てとなっており、中にもシールドカバー付きの回路があるなど、凝った作りになっています。 1bitのI-PDM DACなど、けっこうパーツが詰まっています。電源部にあまりお金をかけず、コストをうかした分をオーディオ回路にまわしたのかもしれません。 DACのYAC501はPDM(パルス密度変調)方式のDACです。PDMは現在のSACDやハイレゾのDSDに使われている方式です。 密度というのはパルス(ビット列)の密度のことで、この密度によって音楽信号の波形を記録しています。PWM(パルス幅変調)とは違い1つのパルスの幅は同じです。 ノイズシェイピングは2次・384倍です。テクニクスのMASHの3次・384倍と比べると、非力のように思えてしまいますが、単純にオーバーサンプリングの倍率や次数を増やすと、可聴帯域内のS/N比は改善されるものの、そのノイズは単純に高周波の帯域に追いやられているだけなので、アナログフィルタ(ローパスフィルタ)の強化が必要となり、位相や音質悪化の問題が発生します。 そのためYAC501では次数を2倍と低く抑えて、オーバーサンプリング倍率を稼ぐことにより、可聴帯域内の再量子化ノイズを減らしてローパスフィルタ簡素なものにしています。 デジタルフィルターは8倍オーバーサンプリングで、シグナルプロセッサ「YM3417D」に内蔵されています。 その他、オーディオ回路ではMUSEコンデンサなどの、オーディオパーツが使われています。オペアンプはNECの「C4570C」です。 |
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(ピックアップ・ドライブメカ) | |||||||||||||||
ピックアップ・ドライブメカは、AIWAのEXCELIA XC-003やNEC CD-720にも使われてるメカと同じ系列の物です。 これはSONY製のアッセンブリパーツで、「KSL-210AFM」というモデル。クランパーがついている「ブリッジ」や、ベースの部分は鋼板製で、後継機のCDX-580以降に使われる物よりは、しっかりとしています。 ピックアップとスピンドルなどのユニットは、スプリングを使ってフローティングされ、外部からの振動が受けにくくなっています。 ピックアップは3ビームのKSS-210Aを搭載。スライド機構はギヤ式です。 |
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(出力端子・リモコン) | |||||||||||||||
出力端子はアナログが固定と可変の2系統。デジタルは同軸の1系統となっています。 |
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上:CDX-640(1990年) 下:CDX-1050(1990年) |
周波数特性 | 2Hz~20kHz +0.5dB-1.05dB |
ディエンファシス偏差 | ±0.5dB |
高調波歪率 | 0.0028%以下 |
ダイナミックレンジ | 100dB |
S/N比 | 106dB |
消費電力 | 10W |
サイズ | 幅435×高さ92.5×奥行271mm |
重量 | 4.7kg |
CDX-2200 | CDX-1000 | CDX-1020 | CDX-1030 |
CDX-1050 | CDX-930 | CDX-900 | CDX-993 |
CDX-640 | CDX-600 | CDX-580 | CDX-497 |
CD-2000 | CD-1000 | CD-3 | CD-S1000 |
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