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YAMAHA CDX-497

     2006年 定価35,000円



YAMAHAのCDX-497は、2006年9月に発売されたエントリークラスのCDプレイヤーです。兄弟機のCDX-397は海外専用モデルだったので日本では発売されず、この時期ではヤマハの唯一のCDプレーヤーでした。

ライバル機はDENONのDCD-755AEやmarantz CD5001、ONKYO C-773、SONY SCD-XE600などです。


デザインはというとCDR-S1000やCDR-HD1000などCDレコーダーでは、既に採用されていましたが、YAMAHAのCDプレーヤーとしては初めてセンタートレイ方式を採用しています。

ボディは薄型ですがインシュレーターは不つり合いなほど大きいのも特徴。ディスプレィの文字はYAMAHA伝統のオレンジ色です。

D/Aコンバーターはシーラスロジックの24bitDACを採用。サーボ回路は読みとりエラーを低減させたインテリジェント・デジタルサーボとなっています。

音楽CDやCDレコーダーで録音されたCD-R/RWディスクに加え、CD-R/RWに収録されたMP3、WMAファイルも再生することができます。

ヘッドフォンのボリュームやアナログの可変出力は、リモコンからしか調整できません(YAMAHAの古いリモコンでもOK)。

またモーターの回転音やアクセス時のギヤ音など、メカニカルノイズは少し大きめです。



(音質について)

音はというとハッキリ言って1990年代初めのエントリーモデル、Panasonic SL-PS700やYAMAHA CDX-640に負けます。高音はシャリ気味、DACのおかげでしょうか解像度だけはあります。ただ中音~低音は締まりが無くドローンとしています。音の広がり、奥行き、余韻もあまり良くありません。

最初はCDX-497が壊れているのかとも思いましたが、下の写真を見ればわかるとおり、内部は壊れるところが無いくらい?メカも回路もシンプル(チープ)です。

DACだけは標準的なものを使用していますが、他に音質を左右する要素であるシャーシー、メカ、オーディオ回路の手を抜いてしまっては当然の結果なのかもしれません。

といっても現在のDENONやMarantzのラインアップも見てもわかるとおり、1990年代の89,800円のモデル→現在の15~18万円。59,800円のモデル→:現在の9~10万円と、生産量の減少などにより価格が大幅に値上がりしている訳ですから、35,000円のモデルとしては、いたしかたないところだと思います。




(シャーシと内部について)
シャーシは薄い鋼板でできており、どこを叩いても良く鳴ります。天板を外した状態で、軽く力を加えただけで底板がグニャグニャと変形します。ビックリするほど強度はありませんが、それでも天板をビスでとめるとしっかりします。インシュレーターは中空のプラスチック製。

内部は電源ブロックとピックアップ・ドライブメカに小さなメイン基板という構成で、見事なスカスカ。

その小さな基板にノイズがたくさんでるデジタル回路と、ノイズに弱いオーディオ回路が、いっしょにあるのですから、音が悪くなるのは当然です。

DENONやONKYOなどが、エントリークラスでも回路を充実させてきているのと比べると、ちょっと見劣りします。

ただ、この時期は同じような手抜き設計は、ライバル機のSONY SCD-XE600でも行われています。
もっとひどいのは、上のクラスでも行われていることで、SONY SCD-XA1200ES(90,000円)や、Pioneer PD-D6(76,190円)でも同様の手法が見られます。


「Made in China」となっているので、製造は中国のヤマハ電子蘇州だと思います。



電源回路のトランスは別巻線で、回路も独立電源のような形式となっているようです。ここだけは以前のYAMAHAのエントリークラスのCDプレーヤーより、パーツも多くなりキチンとした回路になっています。

ただ問題なのは電解コンデンサ。数はそこそこありますが日本製ではないので、充放電の特性がどの程度の能力があるかはわかりません。電気の容量的には足りていたとしても、DACやラインアンプへの給電スピードが遅いと、結果として音質の悪化を招きます。

トランスの手前と電源回路とメイン基板の間には、デジタルノイズ対策のために、フェライトコアによるノイズ・フィルターが設置されています。電源コードは直付けです。

電源トランス 電源回路

ノイズフィルター メインスイッチと
リモコンの受光基板



(デジタル回路 サーボ・信号処理・システムコントロール)
メイン基板は小さいですが、ここにシステム・コントロール、デジタルサーボ、信号処理、オーディオ回路の全てがあります。
いろいろなチップを組み合わせて、多機能化に対応しつつ回路もシンプルになっています。

この基板にあるチップは、デジタルサーボの制御と信号処理に使われる東芝製の「TC94A54MFG」。MP3とWMAの再生処理も行います。
このLSIの呼び名はDSP(デジタルシグナルプロセッサ)ですが、演算処理用ではなく、CDの信号処理用のプロセッサです。

他にはCDプレーヤー用5chモータードライバの東芝「TA2125AFG」。

システム・コントロール用のマイクロコントローラ(マイコン)は、ST製「92F150CR1T」があります。

ラジオを使って調べてみましたが、マイコンやDSPからは大量のノイズが出ており、音質に影響を与えています。

メイン基板 放熱フィン付きの東芝 TA2125AFG

東芝 TC94A54MFG ST製のマイコン
ST92F150CR1T



(DAC・オーディオ回路)
オーディオ回路は必要最小限のパーツで作ったという感じです。

D/Aコンバーターはシーラスロジックの24bit/192 kHz DAC「CS4392」を使用しています。

CS4392はデジタルフィルターと16bitのCD信号を24bitに拡張する補間回路を内蔵し、5次のデルタ・シグマモジュレーターとD/A変換用のローパスフィルターを備えています。

その他にはデジタル・デエンファシスやボリュームコントローラーがあり、CDX-497では使われていませんが、SACD用のDirect Stream Digitalモードを搭載しています。

出力は電圧で差動出力となっています。


DACの後ろには差動合成回路とアクティブ型のローパスフィルター、ラインアンプがあります。
使われているオペアンプはJRC 2068Dです。

DACの駆動には電源の安定性が重要なため、エントリーモデルにも関わらず、DACまわりの電解コンデンサは数が多いです。コンデンサはKOSHIN(中国製)の標準品のようです。

昔はエントリーモデルでも、ここだけは日本製のオーディオグレードのコンデンサを使用していたのですが、とうとうそれも無くなったようです。


DACレベルでは、S/N比とダイナミック・レンジは114dBありますが、製品トータルとしてはS/N比が105dB、ダイナミック・レンジは95dBまで低下しています。数値的にもノイズや歪みなどの影響が見受けられます。

DAC シーラスロジック
 CS4392
オーディオ回路


(ピックアップ・ドライブメカ)
ピックアップ・ドライブメカはというと相変わらず貧弱で、CDX-580以来ずっとこんな感じです。

音質にも大きな影響を及ぼすところなので、他のメーカーのエントリークラスでも、もう少しキチンとしているのですがYAMAHAは無頓着のようです。

ピックアップやスピンドルモーターは、薄い鋼板製のプレート(メカシャーシ)に取り付けられ、ベース部からフローティングされています。

ベース部(メカベース)は金属製ですが、プラスチックの細い足で底板を取り付けられています。

以前のものと少し変わっている部分もありますが、安価なアッセンブリーパーツです。

ピックアップはSONY製のKSS-213Cで、スライド機構はギヤ式です。


ピックアップ KSS-213C


(出力端子)
出力端子はアナログが可変1系統とデジタルは光と同軸の2系統となっています。



YAMAHA CDX-497のスペック

周波数特性 2Hz~20kHz±0.5dB
高調波歪率 0.003%
ダイナミック
レンジ
95dB
S/N比 105dB
消費電力 13W
サイズ 幅435×高さ87×奥行287mm
重量 3.5kg





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