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SONY TC-K600

     1988年 定価59,800円



SONYのTC-K600は、1988年10月に発売された3ヘッド・2モーターのカセットデッキです。

海外仕様はTC-K600ESで、「ES」モデルとして販売されました。日本でもTC-K600の後継機は、TC-K222ESGという型番になり、「ES」モデルとなっています。

ライバル機はA&D GX-Z5000、DENON DR-M15HX、EXCELIA XK-005、KENWOOD KX-5010、Pioneer T-616、TEAC V-670、Technics RS-B65、Victor TD-R621などです。


59,800円という価格は、オーディオ製品としては売れ筋の価格で、ビギナーがエントリークラスから、ステップアップする、いわば中級機の入口の価格帯です。

SONYは1970年代~1980年代初めにかけて、59,800円に多くのカセットデッキを投入しましたが、1984年のTC-FX510R以降はWカセットのTC-WR730やTC-WR750が投入され、シングルウェイやオートリバース機は不在となります。

1987年になるとDAT(Digital Audio Tape)が発売され、カセットテープにとって代わる物になると、みんなが思っていました。

そこに数年ぶりにシングルウェイ機として、投入されたのがTC-K600です。


TC-K600のヘッドは、OFC巻線のレーザーアモルファスヘッドによる3ヘッドです。

録音時に高域特性を改善するドルビーHXプロを搭載しています。これは録音信号の高域成分を検出して、録音バイアス量を1/1000秒単位で制御する回路で、バイアス量を常に適正な値となり、高域周波数のリニアリティが改善されます。

「スーパーバイアス」は、いわゆる「ハイバイアス」システムです。バイアスの周波数を210kHzと高くすることで、音楽信号との周波数間隔を広げて、ビートノイズや混変調歪を低減して高域分解能を向上させています。

それとは別に、録音バイアスの値を±約20%の範囲で微調整が可能な、バイアスファインチューニング機能を装備しています。


ノイズリダクションシステムはドルビーBとCタイプ。オートテープセレクターは、TypeI(ノーマル)、TypeII(ハイ)、TypeIV(メタル)の3ポジションです。


その他の機能は、前後の曲の頭出し可能なAMS、10秒以上の無録音部があると次の曲の頭まで早送りするブランクスキップ、曲の頭を数秒ずつ再生するミュージックスキャン、オートプレイ/メモリーストップ&プレイ、オートスペース付きREC MUTE、別売りタイマーによる連続留守録音/目覚まし再生などの機能を搭載しています。



鳴り物入りで登場したDATですが、デジタルコピーの問題で、レコード会社やアメリカなどから横槍が入り、暗雲が立ち込めます。
そのためメーカーでは、カセットデッキの開発・販売の見直しが行われ、ラインアップの縮小をやめて、拡充が行われます。

SONYもTC-K600の後継機の内容を大幅に強化し、59,800円で3ヘッド、クローズドループ・デュアルキャプスタン、ダイレクトドライブ、パワーローディングなどを搭載した戦略モデル「TC-K222ESG」を発売することになります。



(フロントパネル)
カラーやレイアウトはSONYのCDプレーヤーなどと、マッチングするようにデザインされています。

カセットホルダー内のテープ残量の確認は照明が無く、反射板だけです。

またボタンのレイアウトも操作頻度により配置場所や大きさが考慮されているので、機能が多い割には使いやすいデッキです。







(シャーシと内部について)
シャーシ(キャビネット)は普通の鋼板製。この頃の中級機としては一般的なものです。

内部のパーツの数は少ないです。1980年代初期の59,800円クラスと比べると、かなり寂しいです。

カセットデッキの録音と再生回路は、ある意味増幅回路(アンプ)の集合体となります。確かに一部はIC化されていますが、肝心のアンプの簡略化も行われています。




(電源回路)
電源回路は、このクラスとしては強力です。トランス以外はシステムコントロール回路・メカと録音・再生回路を、完全にセパレートした独立電源です。

電源トランスは大きめで、かなり細かく分かれた別巻線になっています。使われている電解コンデンサはニチコンの「VX」や「SME」など。

電源コードは細い並行コードです。

電源トランス システム回路・メカ用の
電源回路

録音・再生回路の
電源回路



(システムコントロール回路)
再生や録音、早送りなどの操作を制御する、システムコントロール用のマイコンは、SONYのロゴが入っているSANYO製の4bitマイコン「LC6520C」と、三菱製の4bitマイコン「M50761-417P」。AMS用のICはSONY製の「CX10034」です。

その他にはゲートICの三菱「M4019BP」、東芝「TC4071BP」などがあります。

システムコントロール回路 マイコン LC6520C



(録音・再生回路)
回路間の干渉を少なくするために、ブロック化されて配置されています。基板も枠で囲って回路名が書いてあるので、修理をする際にも便利です。

ドルビーHX用のICはNEC「PC1397CA」。ノイズリダクション回路は、録音用と再生用が分かれており、ドルビーB・C用のICはSONY製の「CX20187」です。

録音用イコライザのICのSONY「CXA1198A」。オペアンプは再生用に三菱「M5220」、メーターアンプに三菱製「M5218」が使われています。他には三菱製のアナログスイッチ「M4066BP」など。

電解コンデンサはニチコンの「MUSE」や「VX」「SME」などが使われています。

BIAS・録音アンプ 録音用のドルビー回路

ドルビーHX用のIC
NEC「PC1397CA」
録音用イコライザのIC
SONY「CXA1198A」

再生回路 ドルビーB・C用のIC
SONY「CX20187」

  フロントパネルとメイン基板との接続は、フレキシブルケーブルではなく、プリント基板です。

何の配線か印字されているのは、ありがたいのですが、ハンダ割れを起こしやすい場所です。 



(ヘッド・メカ)
3ヘッドで録音と再生のコンビネーションヘッドは、OFC巻線のレーザーアモルファスヘッド。消去には「F&Fヘッド」が使われています。

レーザー・アモルファスヘッドは、高い磁束密度と磁気リニアリティを持つという非結晶合金のヘッドです。

磁束密度はフェライトの倍以上も高く、センダストよりも高いです。薄い帯状に製造できるため、渦電流損失を少なくできるなど、ヘッド材料として積層ラミネートコアを作るのに適していました。

メカは2モーターのコンパクトなメカです。キャプスタンはDCサーボモーター。リール用はDCモーターです。

メカ メカ

ヘッド・キャプスタン
ピンチローラ


(入出力端子)
入出力端子はライン入力とライン出力が各1系統です。

専用のリモコンはRM-J600です。

リアパネル

SONY TC-K600のスペック

周波数特性 20Hz~21kHz ±3dB
S/N比 56dB(Dolby オフ・メタル)
72dB(Dolby C・メタル)
高調波ひずみ率 0.5%
ワウ・フラッター 0.05%(WRMS)
±0.07%(Wpeak)
消費電力 14W
サイズ 幅430×高さ120×奥行345mm
重量 5.2kg




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