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1970〜1980年代のカートリッジ


MMカートリッジ  →ヘッドシェル

Ortofon MC-20

Ortfon MC-20は1976年に発売されたMC型のカートリッジです。発売とともに音の良さが話題になり、オーディオ雑誌で新商品やレコードの試聴に使われました。

従来のSL15シリーズに比べ、ラインコンタクト針の採用によりトレーシンク能力を向上。振動系質量の軽減をはかり、ハイコンプライアンス化を行っています。
バーチカル・トラッキングアングルはRIAAの推奨値の変更にともない、15度から20度へと変更されています。

価格は33,000円でSPU-GE(34,000円)と価格差は1,000円でした。とはいうものの当時は大卒の初任給が9万円〜9万5000円という時代で、33,000円というのは高級カートリッジの価格帯で、簡単には手が出る値段ではありませんでした。

そのせいか1978年にMC-10(25,000円)が発売になった時には、かなりのヒットになったように記憶しています。

MC-20は後継機となるMC-20 MK2が1979年に発売された後も、けっこう長い間販売されており、1985年にMC-20 Superが出た後の1986年ごろまでカタログに載っていました。

これはMC-20 MK2の価格が53,000円、MC-20 Superの価格は58,000円と、かなり強気の価格設定をしたため、MC-20は37,000円でも割安感が出てしまって、売れ行きが落ちなかったというような話を聴いた覚えがあります。


Ortfon MC-20の仕様

発電方式:MC型
出力電圧:0.07mV
再生周波数帯域:5〜60,000Hz
チャンネルセパレーション:25dB
チャンネルバランス:2dB
インピーダンス:2.5Ω
負荷抵抗:47kΩ

針先:ファインライン・8μm
針圧:1.5 〜2.0g(最適1.7g)
コンプライアンス
(垂直):25×10-6/dyne
(水平):15×10-6/dyne
自重:7.0g

価格 33,000円(後に37,000円に値上げ)
針交換(ユニット交換)は23,000円。(値上げ後25,800円)
 





DENON DL-103

DL-103は1964年の誕生以来、50年以上たった現在も販売されている、日本のカートリッジの「スタンダード」、「プロトタイプ・原器」ともいえるカートリッジです。

もともとはNHK技研とDENONが共同開発した放送局用のカートリッジで、1970年から市販されました。当時は放送局の厳しい要求に合わせて開発したという宣伝文句でしたが、NHKの意向でオルトフォンの「SPU」を参考にして開発したようです。

1970年代のカートリッジは、すごい勢いで技術革新と低価格が進みました。
DL-103のスペックや丸針の使用など、新機種と比較すると見劣りする部分もありましたが、当時は「放送局」のご用達というブランドは、絶大な力があり人気は衰えることはありませんでした。

確かにかっての「放送局やスタジオ信仰」の人たちの音質の評価は、プラシーボ的な部分もあり、一辺倒でやや誇張されすぎたていた感じはあります。

高音の伸びや解像度などは、1980年代に登場した1万円クラスのローコスト・高性能MCに負けるところもあります。また音楽を聴いていて面白みに欠ける部分も出ます。

ただDL-103の持ち味はそこではありません。低域〜高域までのフラットな特性です。その証拠にDENONは1970年代から90年代にかけて、針先や振動系を改良したDL-103の新製品をたくさん出しましたが、結局生き残ったのは「オリジナル」と「最新型」のDL-103Rだけです。

オーディオという趣味をやるにあたっては基準となる「音」が必要です。その音があるからこそ比較ができます。1970年代の名機ともいえるSHURE V-15 Type IIIも、Ortfon MC-20もDL-103の音と比べられ評価されました。そういう意味ではまさに原器だった訳です。


またあまり語られてこなかったことですが、DL-103には「業務用カートリッジ」として作られたため、堅牢さと動作の安定性という魅力もあります。

1970年代後半から各社は、カートリッジの振動系のローマス化を図ったため、設計や製造上の問題で針が細くなって折れやすくなったり、チップの脱落やコイルの断線といった問題も起きました。

古いレコードはスクラッチノイズが出てもおかしくない訳ですが、こういうデリケートなカートリッジを使っていると、パチパチ音はレコードのせいなのか、カートリッジのトラブルなのかとか、レコードのキズで針を傷めないかと、落ち着いて音楽を楽しめない雰囲気がありました。

その点DL-103は信頼性が高いので、安心感を持って使うことができたと思います。


DENON DL-103の仕様

発電方式:MC型
出力電圧:0.3mV
再生周波数帯域:20Hz〜45kHz
チャンネルセパレーション:25dB以上
チャンネルバランス:1dB以内
負荷抵抗:100Ω以上
インピーダンス:40Ω

針先:丸針・0.65mil
針圧:2.2g〜2.8g(最適2.5g)
コンプライアンス:5×10-6/dyne
垂直トラッキング:16度
自重:8.5g

価格 16,000円(現在は35,000円)
針交換価格(本体交換): 6,300円。現在は22,800円。
 




YAMAHA MC-3

MC-3は1981年に発売されたMCカートリッジです。価格は37,000円。

振動系のローマス化(軽量化)を追求したカートリッジで、カンチレバーにベリリウムのテーパードパイプを使用するなどして、0.145mgという質量を実現しています。

ベリリウムは高い硬度を持ちながら質量が軽いのが特徴で、オーディオに使う場合は軽量かつ高剛性という理想的な素材です。ただし高価で酸化による毒性が強く、また加工が難しいという問題がありました。
YAMAHAはスピーカー NS-1000Mの振動版に使用する際に、ベリリウムの独自の加工技術を開発しており、これらの問題をクリアしていました。

スタイラスは0.06mm角のソリッドダイアモンドの特殊楕円針です。

発電系はコイルに空芯タイプの十字型コアを使用したクロス発電方式を採用。クロス発電方式では針先のトレースが、45度のカッティング角度よりも大きな角度になっても、正確な出力を保てます。

コアの素材を高強度プラスチックにして、金属コアで問題となる磁気歪を低減しています。磁気回路にはサマリウムコバルトマグネットを使用しています。

ダンパーはブチルゴムによる段付きダンパー、ハウジングは高強度プラスチックによる端子一体成型として、不要な共振を抑えています。


YAMAHA MC-3の仕様

発電方式:MC型
出力電圧:0.2mV
再生周波数帯域:10Hz〜20kHz
チャンネルセパレーション:28dB以上
チャンネルバランス:0.8dB以内
インピーダンス:30Ω

針先:0.06mm角ソリッドダイアモンド特殊楕円針
針圧:1.0g〜1.4g(最適1.2g)
コンプライアンス:
(水平)17×10-6/dyne
(垂直)16×10-6/dyne
自重:5.9g

価格 37,000円
針交換価格(本体交換): 25,900円。
 





GLANZ GMC-10EX

GLANZはミタチ音響製作所のブランド名です。ミタチ音響製作所は昭和26年の創業で自社製のカートリッジを製造・販売するだけでなく、たくさんの国内や海外のオーディオメーカーのカートリッジをOEMで手掛けています。

ミタチ音響は平成15年に解散しましたが、現在はミタチ音響でカートリッジの開発を行っていた濱田氏(ハマダ電気)が、ブランドを引き継いで、主にトーンアームの製造・販売を行っています。


GMC-10EXは1985年に発売された針交換式のMCカートリッジで、価格は14,000円。交換針は8,400円でした。1982年に発売されて好評だったGMC-10の改良型で、出力が0.3mVから0.5mVに向上しています。

ライバルモデルはオーデイオテクニカ AT-F5(1985年・15000円)、DENON DL-H5LC(1986年・14000円)、SONY XL-MC3(1983年・14800円)、YAMAHA MC-10(1985年・15000円)など。

同社のMF型のGシリーズとともにDAM(第一家庭電器)の「マニアを追い越せ大作戦」で、格安のバンドル売りをするなど、実売はかなり安く売られており、たぶん販売上の直接のライバルと見ていたのは、大ヒットとなったオーデイオテクニカ AT-F3(1985年・10000円)のほうだと思います。

音は明るめのサウンドで、ロック向けの音でした。

現在、入手できる交換針はありません。


GMC-10EXの仕様

発電方式:MC型
出力電圧:0.5mV
再生周波数帯域:20〜25,000Hz
チャンネルセパレーション:25dB
チャンネルバランス:1dB
インピーダンス:15Ω

針先:楕円
針圧:1.7〜2.3g(最適 2.0g)
コンプライアンス:8×10-6/dyne
自重:4.8g

価格:14,000円
交換針は8,400円
 




ENTRE EC-10

ENTRE(アントレー)はカートリッジ専門のブランドで、しかもほとんどがMCカートリッジというメーカーでした。カートリッジを販売していたころの、実際の社名はソルティア・アコースティックで、「アントレー」というのはこの会社の昔の社名です。
カートリッジの他には昇圧トランスや、ヘッドシェルやリード線などのアクセサリーを販売していました。


ENTREの最初のカートリッジは、1977年に発売されたEC-1(30,000円)で、第2弾として同じ年の11月に発売されたのがEC-10です。EC-10はEC-1の弟分といえるカートリッジです。

振動系はローマス化を追求し、チタンパイプの基部にアルミパイプをインサートしたステップド・テーパード形状を採用。Qダンプを行い高域共振を抑えています。ダンパーは音質重視のものを採用、サスペンションはポイントコンタクト化しています。

マグネットは軽量で磁力の高いサマリウムコバルトマグネットを使用。コイルの断線を抑えるシルバードハイテンションワイヤーを採用しています。ボディはカーボンファイバーで強化したプラスチック製ボディです。

ヘッドシェル付きのEC-10S(25,000円)もありました。


EC-10の仕様

発電方式:MC型
出力電圧:0.24mV
再生周波数帯域:10〜50,000Hz
チャンネルセパレーション:25dB
チャンネルバランス:1dB
インピーダンス:3.5Ω

針先:楕円・0.3×0.8mil
針圧:1.2〜1.8g(最適 1.5g)
コンプライアンス:15×10-6/dyne
自重:5.8g

価格:23,000円
針交換は15,000円
 





オーディオ テクニカ AT-F3U

値段が安く音も良いということで、ベストセラーとなったMC型カートリッジ・AT-F3(1985年)の改良モデルで1988年の発売。

発売直後から非常に評価の高かったカートリッジで、2010年に後継モデルのAT-F3Vが発売されるまで、販売されていたロングセラーモデル。
スペック的には現行モデルのAT-F2の上位モデルといえます。

AT-F3との違いはコイルの巻線をLC-OFCにかえて、当時テクニカが押していた、PCOCC-6Nにしたことです。針先は無垢ダイヤの精密楕円研磨針を使用。

音はMCカートリッジの繊細さと、MMカートリッジのパワフルさを両立したようなサウンドでした。


AT-F3Uの仕様

発電方式:MC型
出力電圧:0.35mV
再生周波数帯域:15Hz〜50kHz
チャンネルセパレーション:27dB
チャンネルバランス:1.5dB
インピーダンス:12Ω

針先:特殊楕円針
針圧:1.5g(標準)
コンプライアンス:9×10-6/dyne
自重:5g

価格 10,500円(その後15,000円に値上)
針交換価格: (本体交換) 6,300円
 

MMカートリッジ  →ヘッドシェル










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