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SONY CDP-555ESJ 1992年 定価90,000円



SONYのCDP-555ESJは1992年11月に発売されたESシリーズのCDプレイヤーです。
バブルの崩壊後で各メーカーのCDプレーヤーの発売が減り、モデルチェンジの間隔が長くなっていった頃で、それまで1983年から毎年、モデルチェンジを行っていたSONYのESシリーズも、CDP-555ESJ/333ESJから2年サイクルにと変わりました。

CDP-555ESJはFBシャーシやGベースなどのESシリーズ伝統の技術と、アドバンスト・パルスD/Aコンバーターやスコア・デジタルフィルターなどの最新の技術を融合したCDプレーヤーです。海外にもCDP-X505ESの名前で輸出されました。

DACは8つの1bitDACを持つ「アドバンスト・パルスD/Aコンバーター」で、高い分解能を持っており、グリッチやゼロクロス歪が発生しないメリットとともに、1bitDACの弱点である可聴帯域の再量子化ノイズを低減しています。また45bitオーバーサンプリングのデジタルフィルターもディザ(擬似ランダム信号)により再量子化ノイズを無相関化し音質を改善しています。

フレームとビームにより高い剛性を誇るFBシャーシは銅メッキが施されており、磁気歪みの影響を抑えています。メカニズムのベースは「Gベース」をインシュレーターには「ファインセラミック」を採用。これらにより振動を抑え、ピックアップのトレース精度を向上させ音質に有害なサーボ電流によるノイズの発生を防いでいます。


発売はバブル崩壊後とはいえ現在よりはるかにCDプレーヤーが売れていた時代で、ふんだんにコストをかけていたため、内部は国産高級オーディオメーカーA社の30万円クラスのDP-400よりも、はるかにお金がかかっています。

シャーシやメカの性能はDENONのDCD-1650SEやマランツのSA-15より上といっても良いと思います。またDACも優秀でWolfsonの24bitDACのフラグシップだった「WM8740」を搭載したONKYO C-777(2005年)や、32bitDAC搭載のDENON DCD-1500SE(2010年)と比べても、解像度や音場などCDP-555ESJのほうが優れた部分がいくつもあります。状態さえ良ければ十分に現役として使えるモデルです。

よく「技術はどんどん進歩しているので、最新モデルのほうが音が良いに決まっている」と言う人がいますが、現在の最新モデルと1990年代初期の9万円クラスのモデルを比べても、スペックはさほど変わっていません。逆にCDP-555ESJのほうが上回っている項目もあります。


※1990年代初期にはまだSACDがないのでCD再生時の特性比較です。
DENON
DCD-1650RE
Maratz
SA-14S-1
YAMAHA
CD-S2000
SONY
CDP-555ESJ
発売 2012年 2013年 2014年 1992年
価格 18万9,000円 24万円 25万円 9万円
周波数特性 2Hz〜20kHz
(±0.5dB)
2Hz〜20kHz
(-0.3dB)
2Hz〜20kHz 2Hz〜20kHz
(±0.3dB)
S/N比 120dB 110dB 116dB 117dB
ダイナミックレンジ 101dB 100dB 100dB 100dB
高調波歪率 0.0015% 0.0015% 0.002% 0.0017%



(音質について)

音は少しソフトよりでバランスは中音域を軸に高域と低域をうまくまとめているという感じです。良い意味での中級機的なフラットで、聴きやすさも兼ね備えていると思います。 クセが無く変な色づけもありませんし、解像度は良く音場も素晴らしいです。

ジャンルでいうとロックもこなせなくはないですが、やっぱりクラシックやジャズ向き。分解能が高いのでクラシックの少人数の楽団やジャズの演奏では、楽器の音がリアルでライブ感もとても良いです。もちろんオーケストラも大丈夫です。
ボーカル物ではエコーが強めにかかっている曲などでは、音の広がりが良いために逆に違和感を感じることもあります。


(フロントパネル)
CDP-555ESJのデザインは高級感が漂うものです。CDP-555ESAから発展したというより、センターメカのCDP-777ESAにカスタムファイル関連などのボタンを追加したような感じです。



(シャーシ・内部について)
シャーシーはESモデルということで、銅メッキがされたFB(フレーム・ビーム)シャーシ。頑丈なフレームとフロントとリア、底板を結合する2本のビームにより、高い剛性を実現しています。

真ん中はピックアップ・ドライブメカと電源回路。左側にオーディオとデジタルの独立のトランス。右側はほとんどをオーディオ回路が占めています。サーボ制御と信号処理の回路はメカの下にあります。
弟分のCDP-333ESJとの違いはサイドウッドの追加、シャーシの銅メッキ化、ドライブメカではステイブルロックやブリッジなどが強化され、オーディオ回路は部品数が増え全く別物となっています。他にはトレイやインシュレーターの材質も違います。

天板は制振鋼板のようで叩いてもほとんど鳴りません。これを2枚を張り合わせたうえに、黒とクリーム色のフェルトのような素材が貼られています。クリーム色の方が厚みがあり、オーディオ回路の後ろ半分ぐらいの位置に取り付けられています。

側板はサイドウッドとの間に薄い鉄板1枚が入るので、3重ということになります。この鉄板はよく鳴る板で、制振目的というより音のチューニングの目的で入れたのかもしれません。
底板はスリットの開いた鋼板で、13個のビスでしっかりと取り付けられています。インシュレーターにはファインセラミック製です。

天板 底板

底板をはずした状態 ファインセラミック・インシュレーター


(電源回路)
電源回路のトランスはデジタルとオーディオ用を独立して搭載。サイズも大きなものでシャーシからフローティングされ、振動が伝わりにくくしています。
コンデンサーはELNAのDUOREXなどが使われています。電源コードは直径7mmのキャブタイヤです。



(デジタル回路 サーボ・信号処理・システムコントロール)
サーボや信号処理回路はピックアップ・ドライブメカの下にあります。サーボ回路から生じる空中へのノイズをブロックするためで、このやり方は現行のDENONやマランツのCDプレーヤーでも行われています。

サーボ回路は新開発の「ハイプレシジョン・デジタルサーボ」で、チップは「CXD2501Q」です。このサーボは精度の高い技術でSONYの現行モデルでも、これを改良したデジタルサーボが使われています。
ピックアップのアクチュエータやモーターの駆動を制御するBTLドライバは、ローム製の「BA6297AFP」が使われています。

信号処理用のチップは誤り訂正などの機能を備えた、SONY製のシグナル・プロセッサー「CXD2500AQ」です。
システムコントロール用のマイコンは、SONYの刻印がありますが、三菱製の「M37451M8-282FP」です。もしかするとSONY用のカスタム仕様かもしれません。
サーボ・信号処理回路 マイコン M37451M8-282FP


(オーディオ回路)
オーディオ回路は前モデルのCDP-555ESAと比べて、電源関係が強化されパーツ数もかなり増えています。
デジタルフィルターは45bitの演算能力を持ち、ディザ技術により1bitDACの弱点である量子化ノイズをオーディオ信号と無相関化できるスコアデジタルフィルター「CXD2567M」を搭載しています。

D/Aコンバーターは1bitのアドバンスト・パルスDACの「CXD2562Q」で、高い解像度と131dBというダイナミックレンジを持っています。
当時の1bitDACはテクニクスの「MASH」がPWM(パルス幅変調)方式、フィリップス、YAMAHA、ビクターなどがPDM(パルス密度変調)方式としていたのに対し、SONYはPLM(パルス長変調・Pulse Length Modulate)方式を採用していました。

PLMはPWMの改良型ともいうべき方式で、PWMではパルス幅がマスタークロック2個ずつしか増えないのに対し、PLMではマスタークロック1個ごとにパルス幅が増えるため、理論的にはPWMの2倍の分解能を持っていました。

以前のCDP-X555ESなどでは1チップに、4個のDACが入った「CXD2552Q」を2個使って差動出力していましたが、CXD2562Qは1チップに8つのDACを持っています。
実際のD/A出力は高調波歪の低減を行うため、補数関係にある2つの出力をコンプリメンタリーPLMで差動合成しているため、CXD2552Qと同じく片チャンネルあたり4D/A出力となっています。それをさらにDACの後ろで合成して2chとしています。

SONYのDACはこの後、カレントパルスDACが主力となりますが、その本体も「CXD2562Q」であり、これに直流化電子スイッチの「CXA8042S」を組み合わせたものです。

ジッター対策ではマスタークロック信号の純度を高めてD/Aコンバーターに直結させ、ジッターを少なくするダイレクトデジタルシンクを搭載しています。
ローパスフィルターはGIC形を搭載。ラインアンプではDCサーボアンプとしFETをAクラス動作させています。
オペアンプはTI製のNE5532Pがメイン、終段にはアナログデバイセズのOP27も使われています。

スコアデジタルフィルター CXD2567 D/Aコンバータ CXD2562Q

デジタルフィルター・DAC周辺の回路 L・R独立のツインモノ構成


(ピックアップ・ドライブメカ)
ピックアップ・ドライブメカのベースには強度と内部損失が優れたソニー伝統のGベースを使用。トレイも同じ素材の「Gトレイ」です。このトレイの振動を抑えるステイブルロックも付いています。

ピックアップは自社製のKSS-272Aで、SONYのESシリーズとアキュフェーズのCDプレーヤーでしか、使用されなかったという高級タイプ。スライド機構は高速アクセスのリニアモーター。スピンドルモーターにはサファイア軸受けを使用したBSLモーターを使用しています。

クランパーが装着されている「ブリッジ」もしっかりした強度のものです。ブリッジはメカベースと結合されているため、事実上メカベースを補強する役目があります。従ってここの強度が高いとメカベースも強固となり音質の向上に役立ちます。

最近の機種ではお目にかかれなくなったリニアモーターですが、普通のモーターに比べてCDプレーヤー向けのメリットがあります。

1.高速アクセスが可能
2.高精度の送り(スレッド)が可能。
3.ギヤなどの摩耗部品が無いため精度的な劣化が無い。
4.回転振動が無いためピックアップに振動が伝わらず読みとり精度が向上=不要なサーボ電流が減るためノイズが減少し音質が向上。

デメリットはモーター自体のコストが高いことと、制御が難しいためサーボ回路にコストがかかるといったところで、結局オーディオメーカーが経営的に苦境に陥った1990年代中ごろから、しだいに姿を消していきました。

リニアドライブメカ

スピンドルとピックアップ ステイブルロック


(出力端子・リモコン)
出力端子はアナログは固定と可変が各1系統。デジタルは光のみとなっています。1980年代から90年代にかけてデジタル出力は同軸と光で、どちらが音が良いのかという論争がありましたが、SONYとしては光という結論を出したようです。
リモコンの型番はRM-D981(ゴールド)とRM-D991(ブラック)。
出力端子 リモコン RM-D981


スペック

周波数特性 2Hz〜20kHz ±0.3dB
高調波歪率 0.0017%以下
ダイナミックレンジ 100dB以上
S/N比 117dB以上
チャンネルセパレーション 110dB以上
サイズ 幅470×高さ125×奥行375mm
消費電力 26W
重量 13.0kg
















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