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SONY CDP-302ES

     1984年 定価118,000円


SONY CDP-303ESは1984年10月に発売されたESシリーズのCDプレイヤーで、後のCDP-333ESDやCDP-337ESD、CDP-X333ESなど、ESの「3」シリーズの最初のモデルとなります。

当時のカタログには「上級機502ESの設計思想を継承。音質、機能、そしてコストパフォーマンスのウェルバランスを高次元で追求した"ES"シリーズの新しい中核モデル」と宣伝文に書かれています。
実際にはCDP-502ESが発売されたのは、CDP-302ESの発売の約1ヶ月後となる11月21日でした。

ライバル機はKENWOOD DP-900、Lo-D DAD-600、marantz CD-54、TEAC PD-500、Technics SL-P3、Victor XL-V500、YAMAHA CD-2など。


1984年10月というと世界最初のCDプレーヤー、CDP-101が発売されて、ちょうど2年が経過した訳ですが、CDP-302ESの内容は大幅に進化しています。

D/AコンバーターはSONY製の積分DAC「CX20152」を搭載しています。デジタルフィルターも自社製のオーバーサンプリング(2倍)のものです。

積分DACの変換精度は、クロックと充電用のコンデンサに依存する部分が大きいため、DAC用のクロックをマスターとして、デジタルフィルターと信号処理用のEFMディ・モジュレーターを、ひとつのクロックに完全に同期する仕組みを採用しています。
これは現在、DENONのSACDプレーヤーが搭載している「DACマスター・クロック・デザイン」と全く同じ思想のものです。


メカは新開発の「ハイスピード・リニアモータートラッキングメカニズム」です。
リニアモーターはトラッキング速度(ピックアップの移動速度)が速く、ディスクの1曲目から最終曲までの選曲時間が1秒(実際は1秒以下)という、高速アクセスが可能です。
またギヤを使用していないため、摩耗などの心配がなく、信頼性と耐久性が高いメカです。

現在のCDプレーヤーはリニアモーターのメカが無いため、エントリーモデルからハイエンドモデルに至まで、ほとんどがギヤ式です。CDP-302ESとDCD-1650REのアクセカスピードを比べると、体感的にはCDP-302ESが1/2から1/3で頭出しできます。

また現在のメカはピックアップとスピンドルだけを、フローティングする構造ですが、CDP-302ESではメカ全体をフローティングして、外部からの振動の影響を抑えています。

オーディオ回路のアンプ部はLRツインモノ構成。信号系の線材にはLC-OFC(線形結晶無酸素銅線)を使用しています。

機能としては、聴きたい曲の頭出しが素早くできるAMS(オートマチックミュージックセンサー)や、リピートプレイ、ミュージックサーチ(マニュアルサーチ)などを搭載しています。

また、CDに記録されたインデックスNoを指定して、聞きたい楽節や歌のパートをに呼び出せるインデックスサーチ機能も搭載していましたが、レコード会社がCDの中にインデックス情報を書き込まなかったために、利用されることのない機能となりました。



(音質について)
音はウォームトーンですが、解像度やレンジはあまり良くありません。高音の伸びもあまりないですが、低音は締まっています。いわゆる積分DACの音です。

これでも「ES」がついている通り、発売当時としては良い音でした。ところがCD-302ESの発売から4か月後の1985年2月に、戦略モデルのmaranz CD-34が発売されます。

音質はCD-34のほうが「2ランク」ぐらい上で、価格はCD-302ESの半分でしたから、セールス的にはかなり苦戦したのではないかと思います。

このCD-34の登場により、CDプレーヤーの物量の投入と高音質化が一気に進んだおかげで、音質的には1986年発売の59,800円モデルにも負けてしまいます。



(フロントパネル)
全高80mmの薄型のボディです。当時はコンポも薄型の商品が多く、チューナーはシンセサイザーチューナーが主流となりました。カセットデッキも1970年代の終わり頃から薄型が多くなり、リニアスケイティング方式を採用したTC-FX606Rは高さが80mmしかありませんでした。

オーディオラックにはアンプ、チューナー、カセットデッキなどが収まり、一番上にはレコードプレーヤーが鎮座しているため、CDプーヤーの置き場所で悩むということもありました。高さ80mmであれば薄型のチューナーなどと重ねて一段に収めることができるサイズでした。

この時期のSONYのCDプレーヤーのデザインて特徴的なのは、トレイの上のミラー。Technicsなどは内部のディスクが見られるように窓が付いてたりしましたが、SONYは高級感を演出する方法として使っているようです。

操作ボタンは使い勝手を考えて、ボタンの大きさや配置がされています。本体には10キーが無いのでダイレクト選曲はできませんが、リモコンには「20キー」が装備がされており、ダイレクト選曲ができます。

トレイにはプッシュローディングという機構が付いているので、トレイが開いている時は開閉ボタンを押さなくても、トレイを軽く押せば閉まります。





(シャーシと内部について)
シャーシーの真ん中にはビーム(梁)があり、シャーシの剛性を高めるとともに、磁気ノイズの原因となる、電源トランスからの磁束漏れを遮断するシールド板の役目を持っています。

天板も底板も1枚板の鋼板で、防振材はありません。脚はインシュレーターでは無くゴム脚です。

内部は左側にピックアップ・ドライブメカと電源トランス。右側の基板は手前がサーボやシステムコントロールなどのデジタル系回路。奥の左側が電源回路、右側がオーディオ回路となっています。


天板 輸送用の保護レバー


(電源回路)
電源トランスはZ材コアを使用したトランスで、容量は28V・20.6VA。電源回路はデジタルとアナログの干渉を防ぐため独立電源、±安定化電源となっています。

青いコンデンサは日本ケミコンの「NXD」で、 25V・3300μFが3本、16V・4700μF x1など。
電源コードは細い並行コードです。


電源トランス 電源回路


(デジタル回路 信号処理・サーボ・システムコントロール)
CDから信号を読み取りした後に、誤り訂正など信号処理を行うのはSONY製の「CX23035」。RAMは沖電気製の「M5180-20」を使用しています。

サーボ制御用のチップはSONY製の「CX20108」とRFアンプの「CX20109」。サーボの調整用ボリュームは、「TE」トラッキングゲインと「FE」フォーカスゲイン。

再生や停止、選曲などのシステムコントロールや、ディスプレィ表示などに使われるマイコンは沖電気製の「M6404A-44」と「「M6404A-41」」です。

デジタル回路 信号処理用 CX23035

サーボコントロール用 CX20108 マイコン 沖電気 M6404A-41


(オーディオ回路)
D/AコンバータはSONY製の16bitの積分DAC「CX20152」です。

積分型DACは、コンデンサの充放電を使った積分回路と組み合わせて使うもので、「コンデンサの電圧はコンデンサに入力される電流の積分値に比例する」という特徴を使ったDACです。

動作は、まずCDからのデジタル信号をクロックを使ったデジタルカウンターにセットし、カウントダウンをします。カウントダウンと同時に積分回路のコンデンサが充電を開始し、デジタルカウンターが「0」になった時点で充電をやめます。このようにして入力したデジタル値に対応したコンデンサの出力電圧(アナログ出力)を得ています。
この方式のメリットはゼロクロス歪が発生せず、ノイズにも強いことですが、変換精度には難がありました。

またCX20152はモノラルDACなので、左右のチャンネル別に出力ができません。そのためDACの後ろには電子スイッチを使って、信号を左右のチャンネル別に振り分けるスイッチング回路が必要となります。

デジタルフィルターはオーバーサンプリング(2倍)の「CX23034」を搭載しています。

DACの後ろのには積分回路、D/A変換した信号を左右のチャンネルに振り分けるスイッチング回路、サンプルホールド回路、ローパスフィルター、エンファシス回路などがあります。

オペアンプは積分とサンプル・ホールド回路に「LF353」、ローパスフィルターとエンファシス回路にはSONY製の「CX20197」が使われています。スイッチング回路の電子スイッチはNEC「μPD4053BC」。

コンデンサはELNAのオーディオ用電解コンデンサや、スチロールコンデンサーが使われています。

オーディオ回路 D/Aコンバータ CX20152(上)
デジタルフィルター CX23034(下)

積分回路とスイッチング回路 ローパスフィルター
エンファシス回路

オペアンプ CX20197 スチロールコンデンサ


(ピックアップ・ドライブメカ)
この頃はディスクのホールド機構は、ブリッジ式ではなくチャッキングアーム式が一般的でした。このメカブロック全体がフローティングされており、外部からの振動の影響を抑えています。

ピックアップのスライドはリニアモーターで、高速なアクセスが可能です。ピックアップはSONY製の「BU-1」で、ダイキャスト製のベースに固定されています。

ピックアップ・ドライブメカ ピックアップ・ドライブメカ

ピックアップ BU-1C メカの裏側

(出力端子・リモコン)
出力端子はアナログは固定が1系統だけでデジタル出力はありません。

純正リモコンのRM-D302が付属していますが、これとは別にSONYのミニコンポ「ザ・セッション」のシステムリモコンに対応するリモコン端子を装備しています。


リモコン RM-D302


SONY CDP-302ESのスペック

周波数特性 2Hz〜20kHz±0.3dB
高調波歪率 0.003%以下
ダイナミックレンジ 96dB以上
チャンネルセパレーション
消費電力 12W
サイズ 幅430×高さ80×奥行335mm
重量 6.7kg




















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