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SONY CDP-333ESD

     1986年 定価89,800円


SONYのCDP-333ESDは1986年に発売されたCDプレイヤーです。同価格帯のライバル機はYAMAHA CDX-900、KENWOOD DP-1100D、ONKYO Integra C-500X、Pioneer PD-8030など。海外にも輸出され北米向けの仕様はCDP-605ESDとして販売されました。

1986年はSONYの販売戦略が大幅に見直された年です。価格面ではTEAC PD-200とともに最安値となるCDP-M30(39,800円)を発売。また新しいカテゴリとなるマガジン式10連奏プレーヤーCDP-C10(110.000円)も発売しました。
そして力を入れたのがESシリーズの強化です。ラインナップは名機と呼ばれるCDP-555ESDと、このCDP-333ESD、新たにシリーズ化されたCDP-222ESDです。

CDP-333ESDは前モデルのCDP-303ESの発展形ではなく、まさにCDP-555ESDの弟分です。CDP-555ESDからジブラルタルシャーシーを外し、電源回路やオーディオ回路を価格相応にしたのがCDP-333ESDといっても過言ではありません。

当時のカタログでは売り物は4倍オーバーサンプリングのデジタルフィルターでしたが、現在ではフィリップスのDAC「TDA1541」を搭載していることです。TDA1541は開発されたばかりで、フィリップスの子会社だったマランツでも、この年の新モデルから搭載を始めたばかりの最新鋭のDACでした。
1チップに2つのDACが搭載されているので左右独立DACとして使用が可能で、素子のバラツキによる変換誤差やグリッチノイズを抑える機能を搭載しており、デジタルフィルター合わせることでDACの後ろのオーディオ回路をシンプル化し、音質の劣化を減らすことが可能でした。

DAC、デジタルフィルター、EFMディモジュレーターを一つのマスタークロックに同期させるユニリニア・コンバーターシステムによりクロックの干渉によるビートを防いでいます。

カタログを読むと新開発のものがたくさんあるように見えますが、DACとデジタルフィルター以外はブラック・セラデッド・ベースユニットのメカ、9系統の独立電源回路、オーディオ用コンデンサなど、音質向上のためにベーシックな技術の積み重ねで出来たCDプレーヤーであり、CDP-555ESDとともに1982年以来のSONYのCDプレーヤーの集大成と言うことができると思います。



(フロントパネル)
上級機のCDP-555ESDのデザインとほとんど同じですが、ヘッドフォン用のボリュームの位置が違います。以前の薄型のESシリーズに比べると背が高くなり高級感が出ました。
このデザインは以後のSONYのCDプレーヤーの雛形となり、またライバルメーカーのデザインにも大きな影響を与えます。




(内部について)
シャーシーはフレームとビームを使用した構造です。メカや基板などはこのフレームやビームに取り付けられています。
底板は薄い鋼板でアクセスバネルとしての役割も持っています。天板も鋼板で細長い防振材が3つ取り付けられています。インシュレーターは樹脂製です。

内部は左側にピックアップ・ドライブメカと電源トランス。右側のメイン基板の手前側がサーボ制御と信号処理などのデジタル回路。奥の左側が電源回路、右側がオーディオ回路です。電解コンデンサはELNAのDUOREXやニチコンのMUSEなどほとんどがオーディオ用です。


底板をはずしたところ 天板

底板 インシュレーター


(電源回路)
電源トランスは別巻線で容量は20VAとCDP-303ESよりも強化されています。電源回路は9系統の独立電源として、デジタル回路からのアナログ回路への干渉や電圧変動による影響を防いでいます。

電解コンデンサはELNAのDUOREXやニチコンのMUSEなど。大きいのはDUOREXの35V・6800μFが2本。電源コードは極性表示付きのOFC並行コードです。



(デジタル回路 サーボ・信号処理)
デジタル回路がCDP-303ESと大きく違うところは、オーディオ用の電解コンデンサ「MUSE」を大量に投入したことです。

サーボ回路は「Sサーボ」と呼ばれるサーボ制御を行う「CXA1082A」です。サーボ調整用のボリュームはトラフィックゲイン(TE)とフォーカスゲイン(FE)の2つ。近くの青いボリュームはRF PLL用。

信号処理回路はEFM復調やエラー訂正を行う「CXD1125」。メカの下にあるRF基板にはRFアンプ「CXA1081」などがあります。このRF基板にも3つの調整用ボリュームがありますが、サービスマニュアルにも何のボリュームかは書かれていません。
サーボ・信号処理回路 RF基板

SONY CXA1082A SONY CXD1125


(オーディオ回路)
オーディオ回路はCDP-303ESより、だいぶシンプルになりましたが、これは積分DACをやめたのと左右独立DACとなったため、積分回路やサンプルホールド回路が不要となったためです。

デジタルフィルターは4倍オーバーサンプリングの「CXD1088」を搭載しています。このデジタルフィルターなかなか優秀で、SUNSUI、KENWOOD、TEACなどSONY以外のメーカーでも採用されています。

D/Aコンバーターはフィリップス製の「TDA1541」。TDA1541は内部に2つのDACを内蔵しており、1チップでL・R独立DACとして使用することができます。DEM(ダイナミック・エレメント・マッチング)を搭載していおり、出力信号をシフトすることで素子のバラツキなどによるD/A変換の誤差を平均化し、高い変換精度を可能としています。

DACから後ろの回路もL/Rツインモノ構成としチャンネル間の干渉を防いでいます。ローパスフィルターはオペアンプ「NE5523P」を使用した3次のアクティブフィルターとしています。
オーディオ回路 デジタルフィルター CXD1088

D/Aコンバーター TDA1541 S1 オペアンプ NE5523P


(ピックアップ・ドライブメカ)
メカはCDP-303ESとほとんど変わっていませんが、ピックアップは改良型の「BU-1E」となりました。

メカベースにはセラミックパウダー入の特殊樹脂とメタルを複合成型した「ブラック・セラデッドベースユニット」です。これは内部損失が大きく剛性も高いというもので、オーディオ的な特性としては理にかなったものです。さらに樹脂とメタル、セラミックという振動係数の異なった素材を合わせることで、共振も抑えています。
チャッキングアームは金属製ですが、樹脂のパーツを取り付けて振動係数を変えることで、振動を抑えています。

ピックアップはダイキャスト製のベースに固定されています。スライド機構はリニアモーターで高速アクセスが可能です。スピンドルモーターにはブラシレスモーターが使われています。

トレイの開閉機構は金属製のワイヤーと、ゴムベルトを組み合わせた仕組みになっています。

(メカのメンテナンス・修理)
トレイが開閉しなくなる原因はゴムベルトの伸びか、チャッキングアームのギヤの固着、トレーの開閉用のマイクロスイッチの接触不良などです。

トレイ開閉用のゴムベルトは2本あります。交換は底板を外して、メカの後部にあるローディングギヤのカバーを外します。モーターはネジ1本で固定されているので、これを外せば交換出来ます。ベルトの大きさは1本が直径4.5cmぐらいで太さは2mmの角ベルト。もう1本は直径6cmぐらいで、太さは1.5mmぐらいです。

チャッキングアームのギヤに使われているグリスは、経年のため変質して粘度が高くなっているため、チャッキングアームがキチンと動作しなくなります。クリーニングしてグリスアップすれば、元どおりに作動するようになります。
このチャッキングアームの動作と連動して、CDP-333ESDではトレーの開閉用のマイクロスイッチが、ON/OFFする仕組みになっています。

ピックアップ・ドライブメカ メカの裏側

スピンドルとピックアップ BU-1E ブラシレスモーター

トレイ開閉用のワイヤー トレイ開閉用のゴムベルト


(出力端子・リモコン)
出力端子はアナログは固定が1系統。デジタルは同軸の1系統で、端子の上には出力のON/OFFスイッチがあります。リモコンの型番はRM-D550。
出力端子


SONY CDP-333ESDのスペック

周波数特性 2Hz〜20kHz ±0.3dB
高調波歪率 0.0025%以下
ダイナミックレンジ 97dB以上
S/N比 106dB以上
チャンネルセパレーション 100dB以上
サイズ 幅430×高さ110×奥行340mm
消費電力 15W
重量 8.2kg














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