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SONY CDP-337ESD

    1987年 定価89,800円


SONYのCDP-337ESDは、1987年10月に発売された「ES」シリーズのCDプレイヤーです。


1986年の15万円クラスのCDプレーヤーは、現在から見ても「名機」のオンパレードというぐらいの、音質・内容が充実したモデルが登場しました。

その15万円クラスの技術や物量を、惜しみもなく投入したのが、1997年の89,800円クラスのCDプレーヤーです。
その結果として、2年前(1985年)の15万円クラス(各社のフラグシップ)の内容を、上回るモデルが続出するという「下剋上」が発生しました。


SONYのCDP-337ESDは、CDP-333ESDの後継機ですが、その内容はジブラルタルシャシーを、はずしたCDP-555ESDとも言えるものです。

強力なシャーシは現在の50万円クラスを超えていますし、リニアモーターを使用したメカは、現在のハイエンドのメカでは足元にも及びません。そして誰もが実力を認めるフィリップスのDAC「TDA1541」と、ある意味「無敵」とも言える内容です。

しかし、それはライバルメーカーも予想しており、強力なニューモデルを投入しました。KENWOODは長岡鉄男の愛機となったDP-1100SG、YAMAHAは18bit・DAC搭載のCDX-1000。

Technicsにいたっては、春に発売した自社のSL-P1000(125,000円)では勝てないと悟ったのか、それよりも物量を強化した4DACモデルのSL-P990を発売しました。
1987年の「898」CDプレーヤーの比較



CDP-337ESDのD/Aコンバータのフィリップス「TDA1541」は、1つのICの中に2つのDACが内蔵されています。CDP-337ESDはL/R独立で搭載しているので、合計4個のDACがあります。

TDA1541は16bit・176.4kHz(4倍オーバーサンプリング)までの、信号にしか対応できませんが、CDP-337ESDでは片側2つのDACを、スタガード動作(信号を分けて並列に処理)することで、352.8kHz(8倍速)という高速な処理が可能となります。

TDA1541を高速駆動させることで、あたかも18bitDACのような、解像度や精度の高いD/A変換を行っています。

デジタルフィルターは新しく開発されたCXD1144です。8倍オーバーサンプリングによって、デジタルノイズを可聴帯域から離れた352.8kHzという、周波数に移動できるため、D/A変換の後のローパスフィルターでは、ノイズの遮断特性を緩やかにでき、音質の改善ができます。


デジタル回路からアナログ回路への信号の伝送は、「モスゲート・トランスファー方式」を採用し、デジタルアイソレーションのように、デジタルノイズのアナログ系への侵入を防いでいます。

電源部は11系統の独立電源で回路間の相互干渉を防止しています。

防振性能を高めるために、シャーシを大幅に強化し重量は12.5kgに増加しました。フレーム構造と2重底のシャーシは、現在の下手なハイエンド機よりも強固です。

メカはリニアモーターを使用し、メカベースはジブラルタル・ベース、メカシャーシはアルミダイキャストを使用したもので、高粘弾性ゲル入りダブルサスペンションにより、フローティングされています。ピックアップユニットのベースもアルミダイキャストです。

ディスクトレイにも鉄・アルミ・樹脂と3つの素材を使うことで共振を抑えています。


機能はメッセージや演奏情報を最大226タイトル分まで記憶して、演奏時に表示できる「カスタムファイル」や、6モードのリピート、デリートシャッフル、ミュージックサーチなどを搭載しています。

また録音に便利なプログラムエディットやオートスペース/オートポーズも装備しています。



CDP-337ESDは「33」ナンバーということで、中級機として扱われてしまいますが、内容的にはCDP-555ESDに近く、もし1年前の1996年に発売されていたら、間違いなく12〜13万円という価格になり、CDプレーヤーのカテゴリ的には上級機になったハズです。

CDP-337ESDのシャーシやメカの防振性能は、現在の50万円のハイエンド機に匹敵するか、それを超えています。

DACの比較は難しい部分がありますが、50万円のハイエンドで使われているDAC「PCM1795」の出荷価格は1個300円ぐらいです。メーカーのTIのDACの中でも「セカンドライン」で、けっして良いグレードではありません。ちなみにTIのDACの最高級品は「PCM1794A-Q1」で、1個の価格は1300円以上もします。

ともあれシャーシにメカ、そしてDACと、現在のSACDプレーヤーと比べても、まったく遜色ないポテンシャルを持っています。



(音質について)
音は重心が低く、ウォームトーン寄りでプレーンな音。プレーンなんですが、いろいろと聴き込んでいくと、懐の深さも見せてくれます。

解像度や透明感などは現在の32bit、24bit搭載の中級機にはかないません。ここを重視する人には物足りないと思います。定位はカチっと決まるほうではありませんが、音場は広いです。

今のCDプレーヤーに足りない表現力があります。クラシッックやジャズの演奏の細かいニュアンスや空気感がわかります。
またフュージョンやロックのスタジオ録音では、プロデューサーやディレクターによる、サウンド造りの意図(サウンドの厚み、楽器の遠近感、広がりを作るための左右のバランスなど)なども読み取れます。


ジャンルで一番良いのはクラシック。オーケストラは重厚で壮大。重心が低いこともあり小型スピーカーでも十分に味わえます。室内楽はソースによって、もう少し解像度が欲しいと思うこともありますが、楽器間のバランスが良いです。

ジャズもなかなか良いです。ここでも重心の低さと音場の広さが効いています。ライブ感もあります。ベースのゴリゴリ音は良くでますが、ギターの「泣き」はやや弱いです。

ボーカル物は定位や色気などで、物足りなさが出ますが、それでも現在の10万円クラスと同等か良いぐらいのレベルです。

ロックは良いところもあるのですが、音にケレン味が無いので、ちょっと向きません。


使用する上での問題はプレーンな音ゆえに、アンプやスピーカーの実力がはっきり出てしまうこと。

言い換えるとアンプもスピーカーも実力のある物が必要で、なおかつスピーカーのセッティングがキチンと出来る人じゃないと、本来の音は出ないかもしれません。

オークションでは1万円程度で購入できますが、内容は上記のように現在のハイエンドを一部上回っており、現在でも十分に通用するポテンシャルを持っています。それだけに、使う側のレベルが求められるCDプレーヤーです。

30年以上前のCDプレーヤーですので、内部のメンテは必須です。(ピックアップや基板のクリーニングだけでも、かなり違います)



(フロントパネル)
前モデルのCDP-333ESDのデザインを踏襲しています。CDP-337ESDでは、プログラムやシャッフルなどのプレイモードのボタンと、ヘッドフォンとボリュームが、右端に移動しています。

ディスクトレイは、スピーカーから放射される音圧(空気振動)が内部に入らないように、開口部に特殊ゴム材によるダンパーを設けています。





(シヤーシと内部について)
CDP-337ESDはCDP-333ESDに比べて、シャーシなどの防振性能を大幅に強化したため、重量は12.5kgと4.3kgも増加しています。

シャーシーはフレーム構造で、2つのボックスを横に並べたような形になっています。さらにこれらはビーム(梁)で補強されています。
またフレーム部分に底板を固定することで、剛性を高めています。この方法は後に「FBシャーシ」と名付けられます。

底板は2重の鋼板(1.7mmX2)で、厚めフェルトによる防振材が取り付けられています。天板の厚さは1.2mmで厚めフェルトと防振ゴムが取り付けられています、フレーム部分の鋼板は2mmの厚さがあります。

CDプレーヤーで一番重要なのは、ピックアップをいかにして振動から守るかということですが、CDP-337ESDでは外部の振動は以下のように7か所で減衰されます。

外部の振動→インシュレーター(ゴムで吸収・樹脂で振動係数を変更)→底板(2重化と重量で振動を減衰)→フレーム(振動の方向を変更)→ジブラルタルベース(振動の吸収・係数の変更)→高粘弾性ゲル入りダブルサスペンション(振動を吸収)→アルミダイキャスト・ベースユニット(振動の吸収・係数の変更)→ピックアップ・ベース(振動の吸収)

メカや基板などはこのフレームやビームに取り付けられています。
現在のCDプレーヤーは、コストを抑えるために、ビームが無い物が多く、メカや基板は支柱を介して、底板に取り付けられている物がほとんどです。フレームやビームは構造上、タテの振動にもヨコの振動にも強いので、とても合理的な設計です。

基板は製造ロットにより、クリーム色(たぶん紙エポキシ)の基板と、グリーン(ガラスエポキシ)の基板が使われています。


内部は左側にピックアップ・ドライブメカと電源トランス。右側のメイン基板の手前側がサーボ制御と信号処理などのデジタル回路。奥の左側が電源回路、右側がオーディオ回路です。

電解コンデンサはELNAのDUOREXや、ニチコンのMUSEなどほとんどがオーディオ用です。



底板をはずしたところ 天板

底板 底板

インシュレーター



(電源回路)
電源トランスは別巻線で、容量は16V・45VAとCDP-333ESDの2倍に強化されています。

電源回路は11系統の独立電源です。これらによりデジタル回路からのアナログ回路へのノイズの干渉や、モーターにサーボがかかった場合の、急激な電圧変動による影響を防いでいます。

電解コンデンサは大きいのはELNAのDUOREXの35V・6800μFが2本。アンプと同じように2つのコンデンサを、防振パーツで結合することで、共振を抑えています。黄色のコンデンサは日本ケミコンの「SB」。

電源コードは並行コードですが、芯線はOFCで極性表示付きです。




(デジタル回路 サーボ・信号処理)
サーボ回路は「Sサーボ」を改良して、サーボ量の予測時間精度を高めた「SサーボU」です。ただしサーボ制御用のICはCDP-333ESDと同じ「CXA1082A」が使われています。RFアンプは「CXA1081」。

サーボ調整用のボリュームはトラフィックゲイン(TE)とフォーカスゲイン(FE)、EFバランス。

信号処理回路はEFM復調やエラー訂正は「CXD1125」。スタティックRAMはSANYO製の「LC9600P」。

システムコントロール用のマイコンは沖電気の「M6408-27」です。ディフェクトコントロールはSONYの「LC6528H」です。

サーボ・信号処理回路 SONY CXA1081

SONY CXA1082A SONY CXD1125



(DAC・オーディオ回路)
オーディオ回路はシンプルになっています。

当時はローパスフィルターは軽ければ、軽いほど良いみたいな部分があったためです。CDX-337ESDではデジタルフィルターが強力な、8倍オーバーサンプリングになったこともあり、シンプルなアクティブフィルターになっています。


D/Aコンバーターは現在でも人気があるフィリップス製の「TDA1541」です。TDA1541は内部に2つのDACを内蔵しており、1チップでL・R独立DACとして使用することができます。

DEM(ダイナミック・エレメント・マッチング)を搭載していおり、出力信号をシフトすることで素子のバラツキなどによるD/A変換の誤差を平均化し、高い変換精度を可能としています。

シフトレジスタからのデータは、下位10bitをパッシブ型デバイタへ、上位6bitのデータを2bit X 3のアクティブ型デバイダに振り分けて、D/A変換を行っています。


TDA1541のクロック周波数は、176.4kHz(4倍オーバーサンプリング)ですが、CDP-337ESDでは2つのDACを、スタガード動作(信号を分けて並列に処理)することで、352.8kHz(8倍速)という高速な処理が可能にしています。

動作は片側のDACをMONOとして駆動するのではなく、左側のDACでLチャンネルとRチャンネルを変換、右側のDACでもLチャンネルとRチャンネルを変換して合成しています。

DACの上にはデジタル回路のマイコンなどで、発生する電磁波の干渉を防ぐためにセラミック・プレートが貼られています。


デジタルフィルターは、FIR型で8倍オーバーサンプリングの「CXD1144」です。

内部はMPY(乗算器)、ACC(アキュムレータ・累算器)、データRAM、オーバーフローリミッターなどで構成されています。

ICはいわゆるDSP(Digital Signal Processor)ですが、当時はDSPという呼び名は一般的ではなく、マイコン(マイクロコントローラ)とも呼ばれていました。
※SONYはは誤り訂正やデコード、サーボ制御などの回路が入った信号処理用のICを、「DSP」と呼んでいましたが、これは別物です。

CXD1144は3段のFIRフィルタを持ち、293次の演算により、リップル特性±0.00001dB以内、阻止帯域の減衰量120dB以上という能力を持っています。


DACの後ろのにあるI/V変換、ローパスフィルター、ミューティング回路は、L/Rツインモノ構成として、チャンネル間の干渉を防いでいます。

ローパスフィルターはオペアンプJRC「5532D」を使用した3次のアクティブフィルターとなっています。ヘッドホン用にはオペアンプJRC「4556D」を使用しています。

電解コンデンサはELNAのオーディオ用コンデンサ、DUOREXです。

また、デジタル同軸出力には、時間軸補正用のラッチ回路があり、ジッターを低減しています。

オーディオ回路 デジタルフィルター
CXD1144

D/Aコンバーター
TDA1541
オーディオ回路



(ピックアップ・ドライブメカ)
メカベースは高い強度と適度な内部損失を持つ「Gベース(ジブラルタルベース)」です。

これはプリメインアンプのTA-F333ESXなどで、使用されて有名になった素材で、大理石と同じ組成の炭酸カルシウムを特殊樹脂に加えてグラスファイバーで強化したものです。


ピックアップは「KSS-190A」です。ピックアップはダイキャスト製のベースに固定されており、スライド機構はリニアモーターで高速アクセスが可能です。スピンドルモーターにはブラシレスモーターが使われています。

スピンドルモーターやリニアモーターを固定するメカシャーシも、ダイキャスト製で、高粘弾性ゲル入りダブルサスペンションで、Gベース(メカベース)からフローティングされています。


トレイはバブル期でも樹脂製が多いのですが、CD-337ESDは鋼板とアルミ、樹脂の3つの素材を組み合わせたハイブリッドです。適度な質量と振動係数の異なる3つの素材を組み合わせて、スピンドルモーターや外部からの振動を吸収し共振も抑えています。

トレイの開閉機構は金属製のワイヤーと、ゴムベルトを組み合わせた仕組みになっています。

ピックアップ・ドライブメカ メカの裏側

スピンドルと
ピックアップ KSS-190A
ディスクトレイ


(出力端子・リモコン)
出力端子はアナログは固定と可変の2系統。デジタルは同軸と光の2系統です。端子の横にはデジタル出力のON/OFFスイッチがあります。

リモコンの型番はRM-D650。

リアパネル

SONY CDP-337ESDのスペック

周波数特性 2Hz〜20kHz ±0.3dB
高調波歪率 0.0025%以下
ダイナミックレンジ 97dB以上
S/N比 110dB以上
チャンネル
セパレーション
100dB
サイズ 幅430×高さ125×奥行375mm
消費電力 22W
重量 12.5kg




SONYのCDプレーヤー

CDP-X55ES CDP-XA3ES
CDP-552ESD CDP-555ESJ
CDP-303ES CDP-302ES
CDP-101 CDP-750
SCD-XB9 CDP-301V










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