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Pioneer PD-2000LTD

      1990年 定価95,000円


パイオニアのPD-2000LTDは1990年に発売されたCDプレーヤーで、名前の通りPD-2000のリミテッド・バージョンとして、3000台限定で生産・販売されたモデルです。

パイオニアは以前にも、PD-7030のリミテッド・バージョン(PD-7030LTD 69,800円)を発売しましたが、こちらは生産台数が1万台もあり、ちょっと限定モデルとはいえないものでした。

ベースとなったPD-2000はPD-8070の後継機として1988年に発売。カタログでは「CDダイレクト・コンストラクション」や「リアル18bitD/Aコンバーター」(搭載されているのはバーブラウン PCM58P)などと、さも新開発やオリジナルの機構が満載のように宣伝文句が書かれていますが、実際には自社や他社で開発された技術を十分に煮詰め、集大成した堅実な作りとなっていました。

「CDダイレクトコンストラクション」はシンプル&ストレートを言い換えた言葉で、CDプレーヤーでもごく初期のモデルから採用されている技術です。
本当に特徴的だったのは今では何も珍しくない「センタートレイ・センターメカ」のデザインです。当時センターメカを採用していたのは、SONY CDP-R1やREBOX B226などの高級機で数もわずかでした。
これをパイオニアはほとんどアピールしませんでしたが、翌年の1989年になると多くの機種が採用します。特に宣伝のうまいパナソニックはSL-PS70のセンターメカのデザインを積極的にPRし、MASHの搭載とあわせて大ヒットとなりました。


そのPD-2000に20bitDACやセラミックシャフトスピンドルモーターを搭載し、銅箔巻きコンデンサーや配線のアルミシールドなど、手間がかかるグレードアップを施した物がPD-2000LTDです。

パイオニアならではのハニカムシャーシにアルミトップやサイドウッドを取り付けた高剛性のボディを採用。8倍オーバーサンプリングのデジタルフィルターとゼロクロス歪対策をした20bitDACを搭載しています。
またシャーシの銅メッキ、銅箔巻きコンデンサ、アルミシールドの配線など、徹底したノイズ・歪み対策も行われています。ディスク・スタビライザーやマルチレゾナンス・アブソーバーなどメカニズムまわりの振動対策も充実していました。

PD-2000LTDが登場したのはバブルが弾ける直前。95,000円という価格ながら下の写真を見ればわかるように内部は全く手抜きがありません。マランツやDENON、アキュフェーズなどの現在のCDプレーヤーでいえば25〜30万円以上の内容。現在ではどのメーカーも銅箔巻きやアルミのシールドなど手間のかかることはやっていないので、それ以上の価格になるかもしれません。

ちなみにPD-2000LTDは限定3000台といいながらも、ちゃんとPD-73という輸出仕様もあります。こちらのカラーはブラックで、コンデンサに銅箔は巻かれていますが、配線のアルミシールドはありません。



(音質について)
音質は太くて重心が低いのが特徴。広がりや奥行きも素晴らしく、さらにボーカルはグッと前に出てきます。けっしてジャズ向きのキャラではないのですが、それを忘れさせるくらいライブ感があります。解像度は現在の24bitや32bitDACの搭載機と比べると物足りないという感じです。

中低音重視の明るいサウンドですが、ロック、ジャズ、クラシックのジャンルに関係なしに楽しめると思います。高い次元にまとめられたオールラウンダーです。


(フロントパネル)
リミテッドモデルということで、フロントパネルはPD-2000のブラックから淡いゴールドに変更。
10キーが省略されサイドウッドが取り付けられました。どちらかというとPD-5000に似た外観となっています。
パネルにあるのは必要最低限の操作ボタンで、プログラム機能などはリモコンを使用して行います。



(シャーシ・内部について)
シャーシは磁気歪を低減するために銅メッキがされています。フロントパネルは4mm厚。天板はアルミトップ。底板はPD-5000などに採用されたハイブリッド・ハニカムシャーシで、銅メッキの上に極細パイルを静電植毛して微細振動も抑えています。またインシュレーターもハニカムとなっています。

内部は左側に電源トランス。中央にメカと電源回路、右側は1階部分がデジタル回路、2階部分がオーディオの回路となっています。

アルミトップ ハイブリットハニカムシャーシと
ハニカムインシュレーター


(電源回路)
電源トランスはバンドー製。ラミネートコアの大きなトランスで、シャーシからフローティングされています。トランスは1つですが4独立巻線になっており、電圧の平衡度やノイズ対策のためにバイファイラ・ツイスト巻きを採用しています。電源コードは直径8ミリのOFC4芯コード。

電解コンデンサはオーディオ・グレードを使用。ひとつひとつにノイズ対策の銅箔が巻かており、配線にもアルミ材によるシールドが巻かれています。
電源トランス 電源回路


(デジタル回路 サーボ・信号処理・システムコントロール)
サーボや信号処理回路はSONY製のチップで構成されています。サーボ制御は「CXA1082」(アナログサーボ)、RFアンプは「CXA1081S」、EFM復調、エラー訂正などの信号処理回路は「CXD1135」です。
システムコントロール用のマイコンはPioneer 「PD3166」です。
デジタル回路 SONY CXA1081S
マイコン PD3166

(オーディオ回路)
当時、MASHなど1bitDACの搭載機のカタログでは、マルチビットDACのゼロクロス歪みが問題点として、よく取り上げられていました。この対策として開発されたのが、2つの20bitDACを1チップ化した「1チップ・リアル20ビット・デュアルバランスドDAC」です。

といっても、シールドの中に入っているのは実はバーブラウンの20bitDAC「PCM63P」です。このDACは内部に2つのDACを持っており、 信号をシフトレジスタで波形の+と−領域に分けた後に、それぞれを専用のDACでD/A変換してゼロクロス歪みを発生させないというもで、TechnicsのSL-P990やSL-P999に搭載された4DACシステムと同じ動作をしています。
また出力は電圧変動などによる影響の少なく、音質的にも優れた電流出力となっています。

PCM63PはこのPD-2000LTDやROTEL RCD971(98,000円)、RCD991(148,000円)を除くと、国内ではROTEL RHCD-10(380,000円)やESOTERIC D-30(350,000円)、ACCUPHASE DC-91(800,000円)など、当時の高級機にしか採用されていません。音は良いもののコストが高かったり、使い方が難しかったのかもしれません。

パイオニアはこの後、PD-T07/PD-T05にはフィリップス製の1bitDACを採用。翌年のPD-T09やPD-T07Aには、自社開発の1bitDACを搭載と1bitDAC化を進めます。
このためPD-2000LTDは、エントリーモデルを除けば、バブル期最後のマルチビットDAC搭載機となりました。

デジタルフィルターは8倍オーバーサンプリングのNPC製の「SM5803AP」です。リニアフェーズFIR型のフィルターで、ノイズシェイパーも搭載しています。

オペアンプはI/V変換にJRC 5532、ローパスフィルターにはJRC 2068を使用。
コンデンサは銅箔スチロールコンデンサや、日本ケミコンのオーディオ用電解コンデンサが使われています。
オーディオ回路 オーディオ回路

D/Aコンバーター オペアンプ


(ピックアップ・ドライブメカ)
ピックアップ・ドライブメカはサイドのチャッキング方式。クランプにはディスクスタビライザーを装着して、ディスクの振動を抑えて安定した読み取りを実現しています。

メカベースは剛性が高く内部損失があるFRPと鋼板を組み合わせたハイブリットタイプ。2種類の素材を使うことで振動係数を変え、外部からの振動を減衰しています。

ピックアップは自社開発の「クリーンレーザーピックアップ」のPWY-1006を搭載。スライド機構はリニアモーターで高速アクセスが可能です。スピンドルモーターには、高剛性かつ高精度のセラミックシャフトが採用されています。

ピックアップとディスクスタビライザー トレイ開閉用のプーリーとゴムベルト


(出力端子とリモコン)
出力端子はアナログが固定の1系統。デジタルは光と同軸の2系統です。リモコンの型番はCU-P0023。
出力端子 リモコン CU-P0023

上:PD-2000LTD(2000年) 下:PD-8070(1987年)


Pioneer PD-2000LTDのスペック

周波数特性 2Hz〜20kHz ±0.3dB
全高調波歪率 0.0018%以下
ダイナミックレンジ 99dB以上
S/N比 113dB以上
サイズ 幅459×高さ127×奥行324mm
重量 9.5kg















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