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デジタルケーブルの比較




1980年代後半になるとCDプレーヤーの「物量競争」が始まり、普及機にもデジタル出力が搭載されます。

最初のうちはデジタルで「0」か「1」の信号しか送らないので、ケーブルは何を使っても同じという人もいましたが、デジタルケーブルの数が増えてくると、同軸と光のどちらのケーブルが、音が良いかという「デジタルケーブル論争」が巻き起こりました。

理屈から言えば光(TOSリンク)ケーブルのほうが有利ですが、音は必ずしもそうならないところが、オーディオの面白いところです。結局、個々のケーブルの性能や機器との相性しだいということで、結論はあまりハッキリしたものにはならなかったと思います。

難しいことを言うと音質が変わる要素はたくさんあります。例えば実際に使われている同軸ケーブルの信号伝送特性の計算式はとても複雑です。



(デジタルケーブルで音が変わる原因)
デジタルケーブルを使う上で理解しなくてはいけないのが、方形波(矩形波)とジッターとノイズの問題です。デジタルケーブルを流れる信号は確かに「0」か「1」の信号ですが、それは方形波という形で送られます。
この方形波が正しい形と間隔で送られられないと、D/A変換の際に正しい音楽波形に変換されず、音質が変わってしまいます。

ジッターといってもたくさんの種類があり、ここで問題となるのは「伝送ジッター」です。ところが、ほとんどのオーデイオ評論家は「伝送ジッター」と、クロック回路が起因となる時間軸のゆれ「クロックジッター」を理解せずに混同しているため、間違った解説がたくさんあります。

伝送ジッターはケーブル自体の振動や変形で発生するもので、方形波(矩形波)の間隔が伸び縮みすることで、本来は「0」の信号のところが「1」だったり、「1」のところが「0」と判定されてしまい、再現されたアナログ信号が元の波形と違うものとなってしまいます。

また高域特性のよくない長いケーブルをを使うと、方形波が変形が起こりやすくなり、「0」か「1」の信号を読み間違えることも起きます。

また伝送ジッターに近い現象を起こすものとして、「リンギング」が発生することもあります。


※最近のUSB-DACはアシンクロナス伝送の採用により、クロックジッターの問題は解決されていますが、伝送ジッターはケーブル固有の問題のため、アシンクロナス伝送では解決できません。USBケーブルもデジタルケーブルであり、伝送ジッターやノイズの影響を受けます。


機器で発生するノイズの問題もやっかいです。CDプレーヤーとアンプをつなぐアナログRCAケーブルでは、CDプレーヤーの中でデジタルフィルターとローパスフィルターという2つのフィルターで、ノイズが取り除かれた後の信号が流れます。

デジタルケーブルを流れるデジタル信号は、フィルターを通す前の信号ですので、ノイズがたっぷりと含まれた信号となっています。またケーブルはパソコンやアダプターから、発生した空中を漂うノイズを拾ってしまうため、ノイズはさらに増えてしまいます。

特に高周波ノイズは、デジタル信号の方形波と重なってしまい、DACで「0」か「1」の信号を読み間違える原因となります。また、これらのノイズは単体のD/AコンバータやDAC搭載アンプに入った後、「アナログノイズ」として音質に影響を与えてしまいます。

ちなみにインターネットなどで使われるデジタル通信では、データ転送時にエラー(ビットエラー)が起きた場合は、誤り訂正が行われ、それでもダメな場合はデータの再送が行われます。

オーディオ機器で使われるデジタル伝送規格「S/DPIF」では、エラーが起きた場合にデータ(音楽信号)の誤り訂正は行われますが、再送は行われません。



(同軸ケーブルの特徴)
同軸ケーブルは光ケーブルより伝送ジッターの影響を受けにくいですが、それでもジッターによる影響はゼロではありません。最大の問題はCDプレーヤーやトランスポーターで発生したデジタルノイズを、信号(音楽データ)といっしょにD/Aコンバータに送り込んでしまうことです。

また同軸ケーブルはノイズに強い構造ですが、ノイズを100%遮断できる訳ではありません。このためケーブルがアンテナ効果で外部のノイズを拾ったり、逆にケーブルからノイズが漏れて、近くのアナログケーブルなどに影響を及ぼすこともあります。

メーカー側から見ると導体やシールド(外部導体)などの材質、絶縁体やシースを変えることで、音のチューニングを行えるため、他社のケーブルと音の差別化がはかれます。

デジタル同軸ケーブルはその名のとおり、75Ωの同軸構造が基本です。チューニングをするといってもその範囲の中で行うため、構造的にはそんなに差はありません。でも価格は数百円〜数十万円まであり、中には1本(1m)で100万円近いものもあります。

アナログRCAケーブルと同じで、原材料費はそれほどかかりません。高級ケーブルになればなるほどその原価の比率は下がり、十数万円のケーブルでも、いいとこ1割〜2割ぐらいではないかと思います。


(光ケーブルの特徴)
光ファイバーを使用したケーブルで、同軸ケーブルよりも伝送損失が低いのが特徴ですが、ただこれは直線で使用した場合の話。光はまっすぐに進む性質なのに、オーディオ機器を接続するケーブルは、どうしても曲げて使わなければなりません。このため光はケーブルの中で何度も反射や屈折を繰り返します。

これによって伝搬信号の歪みや、伝送ジッター、伝送損失が大きくなると言われています。このためメーカー側では1990年代から高額製品に、ジッター対策を取り入れた設計も行っています。

メリットは信号を光に置き換えるため、そこでノイズやアースラインを遮断できるのが最大のポイント。ケーブル自体も金属の導体が無いので、アンテナ効果で外来ノイズを拾いませんし発振もしません。またノイズを外に出すこともありません。そのためSONYやKENWOODのCDプレーヤーは一時期、光端子しか装備しなかったこともあります。

導体となる光ファイバーは、安いケーブルはプラスチック製が使われており直径は約1mm、「曲げ」には強いですが伝送損失が多いのが弱点です。また熱に弱いため直射日光を長時間あてると、くもってしまいます。

高いケーブルに使われている石英ガラスのファイバーです。直径はマルチモード用が約50μm、シングルモード用は9μmしかありません。細いため「曲げ」や「ねじれ」に弱いので取扱いに注意が必要です。

ケーブルの説明書には曲げ半径が記載されており、それ以上に曲げてしまうと、ファイバーが割れたりヒビが入り、音が出なくなったり悪くなったりします。中古品などで変なクセがついているものは要注意です。

このファイバーを保護するために、テンションメンバ、保護層(クッション)、シース(外皮)などを巻くため、製品としてのケーブルは他のケーブルと同じくらいの太さになります。



ACROTEC 6N-D5010


アクロテックは銅の原子配列のゆがみや欠陥を10億分の1に低減する技術「ストレスフリー」で、1989年にのケーブルで業界に参入。2003年にアクロジャパンとして独立しました。

導体はストレスフリーの6N銅で0.18mmX40本。絶縁体には発泡ポリエチレン。メッシュシールドも6N銅を使用しています。
プラグはロック式構造で、接点部には6N銅が使用されています。

発売から年数はたっていますが、ワイドレンジでハイスピード。そして解像度もあり、バランスの良いケーブルです。
15,000円といっても1本の価格であり、アナログRCAであればペアで3万円クラス。今でも十分に通用する能力を持っています。方向性有り。

外径は9mmと太いですが、やわらかく取り回しは良いです。


インピーダンス:75Ω
外径:9mm

価格 15,000円.(1.0m)





オーディオテクニカ AT-SD2000


2005年に発売されたアートリンクS・シリーズのデジタルケーブル。

3重シールド構造を採用した同軸ケーブルで、導体は純銀コートされた0.5mmのOFC。絶縁体は発泡ポリエチレン。シールドはアルミシールドにOFCのメッシュシールドを2層設けています。シースはPVC。
プラグは真鍮削り出しでニッケルメッキ。接点部分は24kの金メッキとなっています。

アナログRCAケーブルのAT-SA2000は、がっかりするほどの出来の悪さでしたが、こちらはちゃんと価格どおりの音が出てきます。

音の出方はなめらかでナチュラル。少し柔らかめのサウンドと純銀コートの良さが出ていると思います。弱点は少し低音が弱いところ。

インピーダンス:75Ω
静電容量:56pF/m
インダクタンス 0.64μH/m

価格 11,550円(1.3m)







ortofon・オルトフォン 7N-SDL001

オルトフォンと同和鉱業との共同開発した7N銅を使用した同軸デジタルケーブルです。7NCuは導体とシールド編組に使用されています。

導体はACROTEC 6N-D5010よりも、純度の高い7Nの導体を使っていますが、レンジの広さや解像度、透明感、細部の再生度、そして音楽の表現力と、6N-D5010に全く歯が立ちません。2ランクぐらいの差があります。それでもOYAIDE AS-808Rよりは全然よいですが。

サウンド的にはオルトフォンらしくない、かなり明るめの音です。ジャンルとしてはロックやJPOP向けで、ジャズにも使えないことはないですが、フュージョンぐらいまでという感じです。


インピーダンス:75Ω
導体抵抗:20mΩ/m
静電容量:56pF/m(1MHz)
外径:8mm

価格 10,000円(1m)





OYAIDE・オヤイデ AS-808R

AS-808Rは2011年に発売された、オヤイデのプロ用ブランド「NEO」のデジタルケーブルです。

プロ用といってもレコーディングスタジオ向けなどの音質優先に作られたものと、店舗やイベントなどの業務向けに、耐久性や使い勝手、リーズナブルな価格といったことに重点が置かれものがあります。
このAS-808Rは「業務」用のケーブルで、オヤイデのピュアオーディオ用ケーブル「DR-510」に比べても、価格は4分の1という安さです。

AS-808のウリは低価格にも関わらず、空気を使った絶縁をしていること。
導体は直径1.0ΦのPCOCC-Aの単線。絶縁部はポリエチレン紐を介して空気層を設けたコルデル構造を採用し、誘電損失を抑えています。
シールドは遮蔽率の高いカッパーフォイルシールドとPCOCC-Aのメッシュシールドによる2重。
プラグは真鍮製で接点は24kの金メッキとなっています。

音はフラットではなく、どちらかといえばドンシャリに近く、やはり業務用の音。ジャズやクラシックは全くダメですが、元気のあるサウンドはロックやJPOPには使えます。

インピーダンス:75Ω
外径:6.6mm

価格 3,400円(1m)





YAMAHA・ヤマハ YDX-2075

1990年ごろに発売されたYAMAHAのデジタルケーブルです。導体にはESC-OCC(高純度単結晶状・高密度銅)を使用しています。価格は5,500円

当時はオーディオテクニカの「アートリンク」や、アクロテックが登場する前で、まだ高級オーディオケーブル自体が少ないです。

同軸の0.75mで5,500円のケーブルというのは高価格品で、これと同等以上なのは、オーディオテクニカのATV-162やATV-165(ともにPC-OCC)。フルカワ FV-1005(PC-OCC)、日立 QDX-103L(OFCカンタム)、サエク SV-1770(PCOCC)、ベルデン T-701V、バンデルハウ VDH-T108などです。

これらは型番に「V」が入っていることからもわかるように、基本はビデオケーブルと販売されており、デジタルでも使えますという「兼用」ケーブルでした。

YDX-2075のように「デジタル専用」(説明書きには注釈としてビデオケーブルとしても使用できると書かれています。)というケーブルは、カタログブックを見ても日立 QDX-103Lぐらいしかありません。


普通の銅線は銅材を溶かして冷やした鋳型で凝固させて生産しますが、ESC-OCCは銅の融点(1083度)以上に熱した鋳型を使用することで、結晶粒界や酸素などの不純物を取り除いたものです。純度は99.997%以上で無酸素銅です。

絶縁体はポリエチレンによる二重構造。シールドもESC-OCCを使った二重構造。透明のビニールシースとなっています。プラグは黄銅ムク材からの削り出しで24k金メッキです。


今聴くと音はたいしたことはありませんが、発売当時は新素材による最先端の音ということになります。当時のYAMAHAのサウンドで、高音が少し強調されています。高音のせいで中音はやや引っ込み気味。低音は締まりが悪く少しブーミーです。

ESC-OCCはPC-OCCのライバル的な素材でしたが、PC-OCCのほうが人気が高かったため、市販ケーブルにはそれほど使われていないと思います。そういう意味では珍品のコレクターズアイテムといえるかもしれません。

※YAMAHAからはESC-OCCを使ったアナログRCAケーブルとしてYAX-2075(9,500円)、YAX-2150(12,000円)が発売されていました。ケーブルの他にはSONYのカセットデッキ TC-K333ESA(1991年)などの、内部線材などにも使われています。


インピーダンス:75Ω
導体抵抗:38.5mΩ/m
静電容量:70pF/m

価格 YDX-2075(0.75m)5,500円。
   YDX-2150(1.5m)6,500円。





オーディオテクニカ AT-6D55


AT-6D55は1993年に発売された旧アートリンク・シリーズの光デジタルケーブルです。

信号が通るコアは純石英ガラス、クラッド(光の反射層)部分はフッ素系樹脂を採用した、プラスチッククラッドファイバー(PCF)で、信号漏れをふせぐ光フィルターシースに、防振プロテクターシースやチタン配合シースを採用した、低ジッター設計が取り入れられています。

設計年代は違いますが、同じメーカーということで音の傾向はAT-SD2000と良く似ています。
AT-SD2000の方がワイドレンジで高解像度ですが、AT-6D55は少しおとなしめのサウンドで、細部の表現はこちらのほうが良いです。

総合伝送損失:0.4dB/m以下

価格 15,000円(1m)





オーディオクエスト シナモン

Audioquest Cinnamon

オーディオクエストはアメリカ本国では、6種類の光ケーブルを発売していますが、日本のD&Mホールディングスが輸入しているのは、このうち4種類で「Forest」はアメリカ版と仕様が違います。

シナモン「Cinnamon」は中級モデルで、日本では2012年から販売されています。

導体となる光ファイバーは信号が通るコア、クラッド(光の反射層)ともに、プラスチック材料を使ったプラスチックファイバー(POF)で、使っている本数は1本。低ジッタ(デジタルタイミングエラー)設計がされています。


プラスチックのファイバーは、石英のファイバーに比べると伝送損失が100倍以上ありますが、最近では素材の改良や屈折率分布の調整など、低損失化や伝送速度の向上が図られています。

ただコア部、クラッド部ともにいろいろな素材があり透過率や反射率、損失率が違います。それ以外に屈折率分布の調整、ファイバーの本数などが合わさり、入射と出射のデジタル波形(方形波・矩形波)に誤差が出るため、結局のところ光ファイバーでデジタル信号を送っても、ケーブルによって音の違いが発生することになります。


音は透明感が高く、解像度もあります。予想外だったのは低音がかなり弱いこと。そのため音が少し平面的に聴こえます。

低音は上記のAT-6D55よりも弱いのですが、逸品館さんのブログではAT-6D55より「シナモン」の方が低音が出ているそうなので、このあたりは使用したDAC(逸品館・・・audio-technica.AT-HA26D、ウチ・・・DENON DA-300USB)との相性によるものかもしれません。

価格 8,500円(税込み・0.75m)
   10,000円(税込み・1.5m)





ortfon・オルトフォン OPT-100


ortfonのOPT-100は、プラスチックファイバーを使用した光ケーブルです。ortfonにはかってOPT-1000(1m 11,000円)という、純石英シングルコアの光ケーブルがありましたが、現在はOPT-100しか光ケーブルはありません。

三菱樹脂製のプラスチックファイバーで導体面積は3.8mu。絶縁材はPVC、ケーブル径は5oです。コネクタはプラスチック製ですが、価格が安いせいか精度が甘いです。

オーディオ雑誌には最近のプラスチックファイバーは、性能が向上しているなどと書かれていますが、あてにならないのは毎度のことなので、購入してみました。

音は解像度が悪く、細かい音は潰れてしまっています。高音の伸びやキレも悪いです。音場は平面的です。
20年以上前に登場したAT-6D55の方が、音がフレッシュで、ほとんどの部分で上回っています。

価格 3,300円(税込み・1m)
   3,520円(税込み・1.5m)





RCAケーブル スピーカーケーブル バナナプラグ・Yラグ
デジタルケーブル USBケーブル 電源ケーブル


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