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TEAC CD-P4500

     1991年 定価45,000円



TEAC CD-P4500は1991年10月に発売されたCDプレーヤーで、CD-P4000(1990年)の後継機です。

ライバル機はTechnics SL-PS700、SONY CDP-991、DENON DCD-970、Nakamichi CD Player4、SANSUI CD-α317R、YAMAHA CDX-640など。


CD-P4500のD/AコンバーターはPhilips製の1bit・DACの「SAA7350GP」(通称 ニュー・ビットストリームDAC)です。
SAA7350はTDA1547との組み合わせによる「DAC7」が有名ですが、単体でも優れたDACで、Pioneer PD-T07などにも採用されています。

SAA7350GPはPDM(Pulse density modulation・パルス密度変調)方式の1bit・DACです。内部には4つのDACがあり、片chに2つのDACを使用して差動出力します。デジタルデータの入力は20bitまで対応しています。

1bit・DACではCDの16bitデータを1bitにする際に再量子化ノイズが発生します。これを可聴帯域よりも高い周波数に移動させるのがノイズ・シェイパー(ノイス・シェイピング)という回路です。

ノイズシェイパーは次数とオーバーサンプリング周波数の組み合わせて、その効果が変わってきます。単純に次数を上げると可聴帯域内のノイズは減りますが、いわゆる高周波ノイズが増えてしまい、DACの後ろにあるローパスフィルターの次数を上げる、つまり強力にする必要があります。
高次のローパスフィルターは、パーツが増えるため音質の劣化や高域の位相ズレの原因となります。

そこでSAA7350GPでは16.9MHzのクロックを採用し、ノイズ・シェイパーを3次シングルステージノイズシェーピングに、オーバーサンプリング周波数は384倍とすることで、可聴帯域内のノイズを減らしています。
ちなみにTDA1547との組み合わせで、「DAC7」として使用する場合は、このノイズシェイパーを通した1bitデータをTDA1547に送りD/A変換しています。

デジタルフィルターはNPC製で、20bit・8倍オーバーサンプリングを採用しています。

サーボや信号処理回路はSONY製のチップで構成されています。ピックアップやメカもSONY製のアッセンブリーですので、CD-P4500の主要パーツの半分はSONYということになります。


機能としてはピッチコントロール機能を搭載しており、±12%のピッチの設定が可能です。

タイム・エディット機能はカセットテープの長さを入力すると、その長さに合わせて、自動的にA面、B面に入る曲をプログラミングします。

その他にはランダムメモリープログラム、ミュージックスキップ、キューロック、4モードリピート演奏、3モードタイムカウンター、オートスペース、インデックスサーチ、ミュージックサーチ、タイマープレイ、ディスプレイON/OFF機能などがあります。




(音質について)
上記のとおり、DACの「SAA7350GP」はけっして悪い音のDACではないのですが、TEAC CD-P4500の音はレンジが狭く、解像度や透明感も悪いという、いたって普通のエントリーモデルの音です。

中音がメインで低音は弱く、高音は細かい音がつぶれています。音は本来のSAA7350GPとはちょっと違くて、エントリーモデルで需要の多い、ロックやJ-POPを再生するために、無理をして元気の良いサウンドに仕立てたという感じです。



(フロントパネル)
前モデルのCDP-4000の高級感さえ感じられるデザインから一転して、凡庸なデザインになりました。トレイの右側にある操作系のボタンは大きくなったので、使いやすくはなっています。







(シャーシと内部について)
シャーシは鋼板製。底板は1mm厚の鋼板が1枚ですが、天板には2mm厚の鋼板を張り付けて二重にしています。

メカの両側には2本のビーム(梁)があり、シャーシの強度を高めています。このような構造は、1990年代にはエントリーモデルでも取り入れられていた訳ですが、現在では中級機以上の一部の機種しか採用していません。

インシュレーターは樹脂製で、チープな物です。


内部はこの頃の流行である「センターメカ」。重量バランスの適正化ができるのと、メカを挟んでデジタル回路とオーディオ回路(アナログ)を配置することで、デジタル回路からオーディオ回路への干渉を減らすことができます。特にCD-P4500ではビームがシールド板の役目も果たしています。

レイアウトは左側がオーディオ回路。中央がメカと電源トランス。右側がシステムコントロール、サーボ回路、信号処理、電源回路となっています。


天板 インシュレーター



(電源回路)
電源トランスの前にはノイズフィルターが装着され、家庭用電源からのノイズの侵入を低減しています。

電源トランスは別巻線で、デジタル回路とメカ、オーディオ回路に分かれた独立電源になっています。オーディオ用のコンデンサは日本ケミコン製の「SME」。

エントリーモデルとしては普通のレベルという感じですが、どうやらデジタル回路用電源でのノイズ対策が甘いようで、ノイズがトランスまで戻り、そこからオーディオ用の巻き線に入り、オーディオ回路の音を悪くしているようです。

そこでトランス部分からオーディオ用電源部に伸びる電源ラインにEMIフィルタ(フェライト)を取り付けたところ、音が少しクリアになりました。

電源コードは細い並行コードです。

電源トランス ノイズフィルター

デジタル用回路の電源部 オーディオ回路用の電源部



(デジタル回路)
 サーボ・信号処理・システムコントロール
サーボや信号処理回路はSONY製のチップで構成されています。サーボ制御は「CXA1372S」(アナログサーボ)、RFアンプは「CXA1081S」。EFM復調、エラー訂正などの信号処理回路、ピッチコントロールは「CXD2500AQ」です。

他に信号処理時に使用するPLL回路用のVCO(電圧制御発振器)に、TI製の「SN74LS628N」が使われています。

システムコントロール用のマイコンは「NEC D75212AC」です。

デジタル回路 シグナルプロセッサ
SONY CXD2500AQ

SONY CXA1081S SONY CXA1372S

 サーボ調整用のボリューム マイコン NEC D75212AC



(DAC・オーディオ回路)
CD-P4500のD/AコンバーターはPhilips製の1bit・DACの「SAA7350GP」(通称 ニュー・ビットストリームDAC)です。
SAA7350はTDA1547との組み合わせによる「DAC7」が有名ですが、単体でも優れたDACで、Pioneer PD-T07などにも採用されています。

SAA7350GPはPDM(Pulse density modulation・パルス密度変調)方式の1bit・DACです。内部には4つのDACがあり、片chに2つのDACを使用して差動出力します。デジタルデータの入力は20bitまで対応しています。

1bit・DACではCDの16bitデータを1bitにする際に再量子化ノイズが発生します。これを可聴帯域よりも高い周波数に移動させるのがノイズ・シェイパー(ノイス・シェイピング)という回路です。

ノイズシェイパーは次数とオーバーサンプリング周波数の組み合わせて、その効果が変わってきます。単純に次数を上げると可聴帯域内のノイズは減りますが、いわゆる高周波ノイズが増えてしまい、DACの後ろにあるローパスフィルターの次数を上げる、つまり強力にする必要があります。
高次のローパスフィルターは、パーツが増えるため音質の劣化や高域の位相ズレの原因となります。

そこでSAA7350GPでは16.9MHzのクロックを採用し、ノイズ・シェイパーを3次シングルステージノイズシェーピングに、オーバーサンプリング周波数は384倍とすることで、可聴帯域内のノイズを減らしています。
ちなみにTDA1547との組み合わせで、「DAC7」として使用する場合は、このノイズシェイパーを通した1bitデータをTDA1547に送りD/A変換しています。

デジタルフィルターはNPC製の20bit・8倍オーバーサンプリング「SM5840AP」を採用しています。

カタログによるとDACの後ろはDCバランス伝送アンプになってるそうなのですが、バランス回路にしてはパーツが少なく簡素な回路です。

水色の電解コンデンサはルビコン製です。

オーディオ回路 デジタルフィルター
NPC SM5840AP

Philipsのニュー・ビットストリームDAC(1bit・DAC)
SAA7350GP



(ピックアップ・ドライブメカ)
ピックアップとドライブメカは、SONY製のアッセンブリパーツで「KSL-210AFM」というモデルです。YAMAHA CDX-640、 AIWAのEXCELIA XC-003NEC CD-720など、たくさんのCDプレーヤーで使われています。

クランパーがついている「ブリッジ」やベースの部分は鋼板製。ピックアップとスピンドルなどのユニットはスプリングを使ってフローティングされ、外部からの振動が受けにくくなっています。ピックアップは3ビームのKSS-210Aを搭載。スライド機構はギヤ式です。

メカ メカ

ピックアップ
KSS-210A



(出力端子・リモコン)
出力端子はアナログが固定と可変の2系統。デジタルは光の1系統となっています。
その他にはCDプレーヤーとカセットデッキのシンクロダビング用の端子があります。

リアパネル


TEAC CD-P4500のスペック

周波数特性 20Hz~20kHz +-1.0dB
高調波歪率 0.002%以下
ダイナミックレンジ 98dB以上
S/N比 105dB
チャンネル
セパレーション
104dB以上
消費電力 14W
サイズ 幅435×高さ119×奥行284mm
重量 5.8kg




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