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S.M.S.L SA100

2019年 オープン価格




S.M.S.L SA100は、2019年3月に発売されたBluetooth搭載のデジタルアンプです。

SA-36Aなどのヒット商品を持つ、中国のオーディオメーカー「S.M.S.L」の、デスクトップオーディオの新世代の商品です。USB-DACのM100と組み合わせて使うために開発されたアンプで、統一されたデザインが採用されています。

オープン価格ですが、実売価格は7,800円~10,000円。


S.M.S.L SA100の特徴は55mm x 55mm x 116mm(幅x高さx奥行・突起物を含まず)というコンパクトなサイズと、スクエアな新しいデザインの採用。
それとBluetooth5.0によりワイヤレスでパソコンやタブレット、スマホ、DAPなどと接続できることです。
※USBケーブルによる接続はできません。


販売サイトの説明には書かれていませんが、SA100の中にはDACが内蔵されているので、別にUSB-DACを購入しなくても、スピーカーに音を出すことができます。

SA100には外部入力用のRCA端子があるので、USB-DACのM-100やM100MK2と接続することもできます。
ただM-100、M100MK2ともに音質は良くないので、音楽ファイルやストリーミングを良い音で聴きたいという人には不向きです。というよりも、このSA100自体も音は良くないです。

S.M.S.L SA100はあくまでもコンパクトで使いやすさがメインのエントリーモデルです。
音質に対してに過度な期待をしても無理があります。



SA100はデジタルアンプICにTI製のTPA3116を搭載しており、出力は50W+50Wです。
小型のデジタルアンプには音量の調整しかできない物も多いですが、SA100は高音や低音の調整も出来ます。

ただ8,000円という価格ですが、デジタルアンプの回路は貧弱で、2,000~3,000円クラスのアンプのレベルです。

製品の箱にはハイレゾ対応のマークが付いていますが、アンプの周波数特性は20Hz~20kHzなので、本来ならばハイレゾの認定はされません。
M100MK2などは本体にもハイレゾ対応のマークが付けられていますが、SA100の本体にはハイレゾ対応のマークがありません。どうしてこうなったのかは不明。


Bluetooth用のチップは安価な中国製ですが、アンテナを装備しているので、ワイヤレスイヤホンなどのように、ペアリングができないとか接続が切れるということはありません。

Bluetoothで接続する場合は、SA100ではなくパソコンやスマホ側でペアリングを行います。SA100の電源を入れて入力をBluetoothにすると、パソコンやスマホののBluetooth接続の画面に「SMSL BT5.0C」と表示されますまずので、ペアリングをします。

Bluetoothのコーデックについては何も説明がされていません。スマホ(アンドロイド)でペアリングするとSBCで接続されました。AACとapt-Xの切り替えを試してみましたが、サポートしていないようです。

低遅延モードは搭載されていないので、動画やテレビを見る際に映像に対して音声が遅延する場合もあるかと思います。

もしパソコンにBluetooth が搭載されていない場合は、USBポートに Bluetoothアダプターを接続すれば使用できるようになります。BluetoothアダプターはAmazonなどで1000円ぐらいで販売されています。


電源は19V・6.3AのACアダプタが付属しています。その他にはBluetooth用のアンテナが付属しています。


新しいモデルですが、リモコンには対応していません。
操作はフロントパネルの電源ボタンとボリュームから行います。→取扱説明書(中国語/英語)

入力の切り替えは電源を入れた後に、電源ボタンを短く押すとAUX(外部入力)、BT(Bluetooth)の切り替えが出来ます。

ここで問題なのは、外部入力とBluetoothを同時に使用している時に、入力をBluetoothに切り替えると、外部入力とBluetoothの音が混ざって聴こえてます。
原因はICの中の電子スイッチの不調だと思いますが、ウチの個体だけの問題かもしれません。


高音と低音の調整はボリュームを押すと「b」という表示が出ますので、ここでボリュームを回すと低音の調整ができます。もう一度ボリュームを押すと「t」(Eの上の横棒が無い)という表示が出ますので、ここでボリュームを回すと高音の調整ができます。


ボディはアルミ製です。カラーはブラックとブルーの2色があります。ブルーは正確にはブルーメタリックになっています。
フロントパネルはアクリル製で、キズ防止用のフィルムが貼られています。




SA100(左)とM100MK2(右)

SA100にはハイレゾのマークが無い


(音質について)
音は良くないです。デジタルアンプの部分にお金をかけていないのが、音質にも見事に反映されています。

USB-DACと接続した時の音は、デジタルアンプの強みであるハズの解像度や透明感が悪いです。細かい音は潰れています。レンジが狭く全体的に音が平面的で痩せています。

高音を持ち上げて、良い音に聞えるようなチューニングがされています。これは昔からエントリークラスのオーディオ機器でよく行われている手法です。その代わり中低音は物足りないです。

高音が少し強い部分があるので、長い時間聴いていると、聴き疲れなどが起こるかもしれません。

Bluetooth接続にすると、もう1ランク音が悪くなります。これはBluetooth接続で使われるSA100のDACが、安価な中国製の統合型チップのDACだからです。


音を比較すると3,750円のFX-AUDIO- FX202A/FX-36A PROにも負けます。これはSA-100だけではなく、現在発売されているBluetooth搭載アンプは、同じ価格帯のデジタルアンプの専用機に比べて、アンプの回路のレベルが2~3ランクは落ちるので、音質的にも差がでます。


Bluetooth搭載型アンプとしては、ライバルとなるSABAJ A2に負けます。FOSI BT-20Aと比べると高音が良く出て、全体的に華やかな印象ですが、中低音や全体のバランスはBT-20Aのほうが勝っています。総合的には互角といってもよいかもしれません。



音はともかく、ワイヤレスイヤホン感覚で使えるので、使い勝手は良いです。

デジタルアンプの初心者や、小さなアンプが欲しい、スマホから使いたい、面倒な配線は嫌だという人にはいいと思います。ただ良い音のアンプが欲しいという人には向きません。





(内部について)
内部は小さな基板が1枚あるだけで、ここにデジタルアンプとBluetoothのインターフェイス回路などのデジタル回路があります。


デジタルアンプの部分にはTI製のTPA3116とローパスフィルターなどがありますが、パーツが少なく1万円クラスのアンプの半分ぐらいしかありません。コストをかけていない簡易な回路です。

ローパスフィルターのインダクタは、S.M.S.Lのロゴ入りですが、たぶん中国製のOEMだと思います。入力カップリングコンデンサは、BCコンポーネンツ製のフィルムコンデンサを使用。

電子ボリュームなのでクリック付のロータリーエンコーダーが使用されています。

レベルで言うとamazonで1500円ぐらいで、売られているデジタルアンプキットの基板と同じいぐらいです。さすがデジタルアンプキットよりは良いパーツを使っていますが。


デジタル回路には、Bluetooth5.0のトランシーバーは、中国のZuhaiJie Li(珠海杰理)製の JL AS19APです。これは多機能の統合型チップで、Bluetooth以外にUSBのインターフェイス、ステレオコーデック(DAC)、ADC、FMチューナー、電子スイッチなどの機能を持っています。

チップの仕様としては、ダイナミックレンジが91dB、全高調波歪みが-70dB、クロストークが-86dB。S/N比が90dBで、単体DACのチップと比べると、かなり物足りない数値です。

再生ファイルはMP3、 WMA、WAV、FLACをサポート。Bluetoothのオーディオコーデックはスマホ(アンドロイド)で確認したところSBCだけでした。

AS19APの価格は調べてもわかりませんでしたが、amazonで980円で売られているデジタルアンプ基板にも使われているので、相当に安いと思います。


電子ボリュームや高音や低音の調整を行うオーディオ処理ICのTITAN MICRO ELECTRONICSのTM2313。

スイッチやディスプレィの制御を行うマイクロコントローラは、STC製の2K16S2Dです。


電源回路は簡素で、19Vの電源をICごとに降圧して給電していますが、ノイズ対策は不十分です。このためマイクロコントローラなどで発生したノイズが、デジタルアンプにも入って、音質を悪化させています。

またデジタルアンプICは安定した電源が必要ですが、SA100はバルクコンデンサが2本あるだけです。TPA3116はけっこう電源に左右されるICなので、良い音を出すには、もっと強力な電源が必要です。

基板

デジタルアンプ回路 デジタルアンプIC
TPA3116

デジタル回路 Bluetooth
トランシーバ、DAC
JL AS19AP

オーディオ処理IC
TITAN TM2313
マイクロコントローラ
STC 2K16S2D

(付属品)

ACアダプタ

Bluetooth用のアンテナ


S.M.S.L SA100のスペック

最大出力 50W+50W(4Ω)
周波数特性 20HZ~20kHz
高調波歪率 0.05%
S/N比 90dB
チャンネル
セパレーション
90dB(1kHz)
電源 19V
消費電力 36W
サイズ 幅55×高さ55×奥行116mm
(突起物を含まず)
重量 350g





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S.M.S.L SA100の音質とレビュー  B級オーディオ・ファン