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FOSI AUDIO BT20A

2018年 オープン価格




FOSI AUDIO BT-20Aは、2018年12月に発売されたBluetooth搭載のデジタルアンプです。価格はamazonで7999円。セール時は6799円となり、さらにクーポンで400円安くなります。

カラーはシルバーとブラックの2色です。

ライバルとなるデジタルアンプはS.M.S.L SA100SABAJ A2などです。


FOSI AUDIOは中国の「深圳远虑科技有限公司」のブランドです。設立されたのは2017年と、まだ若い会社ですが、低価格帯を中心に次々に商品を発売しています。

従業員は数人しかいないようなので、日本のNFJと同じように、商品の企画と開発がメインで、製造はEMSに委託するファブレスメーカーだと思います。


中国では2015年以降、人件費やパーツ価格の上昇で、TOPPINGやS.M.S.Lが値上げや内容のダウングレードをやっている間に、FOSI AUDIやAIYIMA、SABAJ、NobsoundとDouk Audio(同じ会社が運営)などが台頭してきて、低価格帯の市場の勢力図を塗り替えてしまいました。

そのため現在のTOPPINGやS.M.S.Lは低価格帯の商品を減らして、高額商品にシフトして競合をさける感じになっています。



BT-20AはBluetoothを利用してワイヤレスでパソコンやタブレット、スマホ、DAPなどと接続できます。ただしUSBケーブルによる接続はできません。

小型のデジタルアンプには音量の調整しかできない物も多いですが、BT-20Aはトーン回路を内蔵しており、高音や低音の調整も出来ます。


デジタルアンプICはTI製のTPA3116D2を左右独立で搭載しており、出力は100W+100Wです。ただ8,000円という価格ですが、デジタルアンプの回路は貧弱で、2,000~3,000円クラスのアンプのレベルです。

ローパスフィルターのインダクタには日本のスミダ製が使われています。またオムロン製のパワーリレーを使用したスピーカー保護回路が搭載されています。

デジタルアンプの前段には、TI製のオペアンプ NE5532を使用したボリュームとトーン回路があります。


BluetoothのインターフェイスはQualcommの「QCC3003」を使っています。Bluetoothで受信したオーディオ信号は、このチップのステレオコーデック(DAC)で、アナログ信号に変換されます。

現在のBluetooth搭載アンプでは、このように専用のDACを搭載せずに、インターフェイスIC内のDACを使用するのが主流です。
音質は専用のDACに比べて格段に悪いのですが、メーカーにとってはDACなどのパーツのコストを省ける、回路を簡略化できるので、実装コストが下がるなどのメリットがあります。

Bluetoothは5.0です。オーディオコーディックはSBCとAACですが、何故かSBCはつながりませんでした。AACなのでBluetooth経由でハイレゾ音源は再生できません。ハイレゾを再生したい場合は、ハイレゾ対応のUSB-DACなどからRCAケーブルで接続します。


OMRONのサーフェス・マウントリレー G6K-2Pを使用したスピーカー保護回路が搭載されています。

付属品は24V・4.5AのACアダプタとBluetooth用のアンテナとなります。

取扱説明書が付いていますが英語です。

Amazonで購入すると18か月の保証が付いています。



(Bluetoothの接続と入力の切り替え)
Bluetoothで接続する場合はBT-20Aではなく、パソコンやスマホ側でペアリングを行います。BT-20Aは電源を入れるだけで、パソコンやスマホのBluetooth接続の画面に「FOSI AUDIO」と表示されますまずので、ペアリングをします。


BluetoothとAUX(アナログ外部入力)の切り替えは、通常はAUXになっていますが、Bluetoothでペアリングすると自動的に切り替わります。ペアリングを解除すれは自動的にAUXになります。



(発熱について)
発熱は多めで夏場などはケースが少し熱くなります。TPA3116を2つ搭載していますが、同じTPA3116を搭載しているFX-502Jは全く発熱がありません。

同じデジタルアンプICを搭載していても、機種によって発熱が違うことは、よくあります。



(音質について)
価格は約8000円ですがFX-AUDIO- FX202A/FX-36A PRO(3,750円)よりも音が悪いです。TPA3116D2を左右独立していますが、音質に対する効果はないです。

価格でいうと2000円クラスのデジタルアンプの音です。

ボーカルなどの中音域がメインで、高音も低音も出ません。解像度や透明感は悪く、全体的に平面的な音で、定位も悪く音場も狭いです。

その代わり刺激的な音は出ないので、長い時間聴いていても聴き疲れしません。

Bluetooth接続にすると、音がノイジーになります。透明感が悪くなり、ただでさえ出ない低音がさらに出なくなります。



FOSI AUDIO BT-20A、S.M.S.L SA100SABAJ A2の3台の中では、SABAJ A2が一番良い音です。

BT-20AとSA100は総合的には互角ぐらいの音ですが、音の方向性は違います。
SA100は高音を持ち上げて、良い音に聞えるようなチューニングがされています。これは昔からエントリークラスでよく行われている手法です。その代わり中音と低音が出ないのでアンバランスな音になっています。


言えることは、3台ともに音質については力が入っていなくて、あくまでもBluetoothで接続できるということが、メリットになっています。

デジタルアンプの初心者や、スマホから使いたい、面倒な配線は嫌だという人にはいいと思います。

また使い方としてはストリーミングやBGMだという人にも良いかと思います。ただ良い音のアンプが欲しいという人には向きません。








(内部について)
内部は小さな基板が1枚あるだけで、ここにデジタルアンプとトーン回路、Bluetoothのインターフェイス回路などがあります。

デジタルアンプの部分にはTI製のTPA3116とローパスフィルターなどがありますが、インダクタ以外は表面実装タイプのパーツです。

プリ部にはオペアンプが2個あります。デジタルアンプICによっては、前段でバッファアンプを通したほうが、音が良くなるものがありますが、BT-20Aでは1個がボリューム用、もう1個がトーン回路用に使われています。


Qualcomm QCC3003は、エントリークラスのBluetooth機器用のチップで、オーディオ処理SoCと呼ばれるものです。BT-20Aではwinbondの16M-BIT シリアルフラッシュメモリー W25Q16DWと組み合わせて、モジュール化されています。

このチップはBluetoothトランシーバーの他に、80MHzのMCU、DSPやステレオコーデック(DAC)、リニアレギュレータ、LEDドライバなどを内蔵した多機能チップです。

多機能ですがモージュールボードが400円ぐらいで、売られているように安価なチップです。したがってステレオコーデック(DAC)の音が悪いのも仕方ありません。


電源回路は簡素で、24Vの電源をICごとに降圧して給電していますが、レギュレーターが少なく、ノイズ対策は不十分です。これだと Qualcomm QCC3003などで発生したノイズが、デジタルアンプにも入って、音質を悪化させる可能性があります。

TPA3116は電圧変動やノイズなどに弱いようで、電源回路を強力にしないと良い音が出ないようです。

BT-20AではTPA3116を2台搭載しているので、平滑コンデンサはルビコンのYXJ
25V・1000uFが4本と強力ですが、TPA3116用のバルクコンデンサはありません。


デジタルアンプIC
TPA3116のヒートシンク
ローパスフィルター
インダクタ

プリ部 Bluetooth
トランシーバ、DAC
Qualcomm
QCC3003

電源部

平滑コンデンサはルビコンのYXJ
25V・1000uFが4本

(付属品)

ACアダプタ

Bluetooth用のアンテナ


FOSI AUDIO BT-20Aのスペック

最大出力 100W+100W(4Ω)
周波数特性 20Hz~20kHz(±1 dB)
高調波歪率 0.04%以下
S/N比 90dB
スピーカー
インピーダンス
2~8Ω
電源 24V・4.5A
サイズ 幅55×高さ55×奥行116mm
(突起物を含まず)
重量 350g






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