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FX-AUDIO- FX-98E

価格 5,537円(税抜)





FX-AUDIO- FX-98Eは2017年6月25日に発売されたデジタルアンプです。

FX-98Eは、このクラスのベストセラーであるS.M.S.L. SA-98Eのライバル機として開発され、商品の宣伝の際に両者の内部写真をを並べる比較広告を行ったり、型番も似せるなど強く意識したモデルとなっています。


開発元となったNFJは、もともとS.M.S.Lの製品を販売しており、その数量は日本でトップクラスだったのではないかと思います。そんな中、S.M.S.Lから販売価格を上げるように指示があり、それをNFJが断ったことから関係がギクシャクしたそうです。

その後S.M.S.L商品の販売を中止し、その代替となる商品として登場したのが、FX202A/FX-36A PRO(SA-36A PROの対抗商品)とFX-98Eです。また2018年5月にはSA-50の対抗商品として、FX-50が発売されました。


FX-98Eは心臓部となるデジタルアンプICもSA-98Eと同じ、STマイクロ製の「TDA7498E」を搭載しています。最大出力は160W×160W(4Ω)でSA-98Eと同じですが、ACアダプタは付属していないものの、価格は5,537円(税抜)とSA-98Eの実売価格の半分となっています。

20VぐらいのACアダプタなら、1500~2000円ぐらいで購入できますし、中古ならば1000円ぐらいで入手できます。



FX-98Eは SA-98EとデジタルアンプICが同じだけではなく、回路構成やパーツの配置まで、よく似ています。

まあ「パクリ」と言われても、しょうがないくらい似ているのですが、中国ではこのくらいのことは当たり前。何しろS.M.S.L. 自体もTOPING TP-20MARK2を真似たSA-36Aがヒットしたおかげで、会社が大きくなった訳ですし。


FX-98EはSTマイクロ製のデジタルアンプIC「TDA7498E」を搭載しています。
TDA7498Eはホームオーディオやアクティブスピーカー用に設計されたデュアルBTL・クラスDアンプです。

85%という高いエネルギー効率で増幅が可能で、最大出力は160W + 160W。ゲインを切り替え機能やスタンバイ、ミュート機能。熱過負荷保護、広範囲の電源動作(14~36 V)などの機能を持っています。

FX-98Eの底部には出力ゲインの設定スイッチがあり、23.6dB/29.6dB/
33.1db/35.6dBの4パターンのベースゲインを切り替えられます。デフォルトは23.6dB。



入力カップリングと出力カップリングコンデンサに、BCコンポーネンツ(ベルギー製)の特注仕様の太銅リード 高耐圧・フィルムコンデンサを使用。

ローパスフィルターには高出力対応のトロイダルコア・インダクターを使用。インダクターの中心部は充填剤で固定して音質対策をしています。フィルムコンデンサはTDK-EPCOS製が使われています。


電源部の平滑コンデンサは、販売サイトではエルナー製電解コンデンサーとなっていますが、現在は日本ケミコン製の大容量タイプを搭載しており、リプルノイズの低減や音質の向上に重要な電源の安定化を図っています。

また電源部にはMOS-FETを使用したアクティブフィルターを搭載しており、ノイズの原因となる高調波を減衰して、回路のノイズフロアを低減しています。

ACアダプタは別売で、電源はDC 12V~32V、電源容量2.5A以上が推奨となっています。


FX-98Eは価格は安いものの、SA-98Eで問題となっていたノイズ(ホワイトノイズを含む)の対策を取っています。



(音質について)
FX-98Eは内部の回路をS.M.S.L SA-98Eと同じ構成にしていますが、音もSA-98Eに似ています。チューニングの際に意識的にSA-98Eに近づけたのかもしれません。

細部の再生などFX-98Eのほうが優れている部分もありますが、レンジや低音などはSA-98Eのほうが上で、総合的にはほぼ互角だと思います。


FX-98Eの音は柔らかめで、 同じFX-AUDIO-の FX-1002JFX-502Jの硬めの音とは方向性が違う音です。

FX-1002JやFX-502Jに比べると、フラットでバランスを取った音になっています。FX-502Jのほうが価格が少し安いですが、解像度やレンジの広さなどはFX-502Jのほうが上になります。

音楽のジャンルはオールラウンドに使えますが、クラシックやジャズ、女性ボーカルなどに向いています。

ロックやアニソンは得意ではありませんが、それでもSA-98Eよりは対応力があります。ただ、メインでロックやアニソンを聴くならばFX-1002JやFX-502Jのほうが良いです。



(フロントパネルとリアパネル・ケース)
フロントパネルは6mm厚のアルミ合金で、カラーはシルバーとブラックがありヘアライン仕上げです。

キヤビネットもアルミ合金製でヘアライン仕上げとし、更にアルマイト硬化処理より傷が付きにくくしています。

幅や高さはFX202A/FX-36A PROとほぼ同じですが、奥行は45mmも長いです。S.M.S.L. SA-98Eと比べると奥行は26mmほど長いです。


パネルには電源スイッチとボリュームのツマミがある一般的なデザイン。電源を入れると、スイッチの下の赤いパイロットランプとボリュームの周りが青く光ります。

リアパネルのRCA端子は金メッキがされています。スピーカー端子はこのクラスのデジタルアンプとしては、標準的なものですが端子としては安物の部類になります。

スピーカーケーブルを通す穴が小さいので、細いケーブルしか使えません。また端子の間隔が狭いので取り付け作業がやりにくいです。実質的にはバナナプラグ専用と考えたほうがよいです。

DCインは12V~32Vでセンタープラス (外径5.5mm 内径2.5mm)です。

フロントパネル リアパネル

出力ゲインの設定スイッチ





上:FX202A/FX-36A PRO  下:FX-98E


内部の基板

電解コンデンサの上などに貼られている黒いパーツは防振用のシートです。
ケースの天板に当たることでコンデンサの振動や基板の振動を抑えて「音鳴き」の
発生を防止します。

トロイダルコア・インダクターも振動により、コイル鳴き(音鳴き)が発生するため、充填剤で固定されています。

※音鳴きとは回路基板やパーツが、微細に振動することで、人間に聞こえる不要な可聴音が発生する現象のことです。


デジタルアンプIC
STマイクロ TDA7498E
のヒートシンク
BCコンポーネンツ製
フィルムコンデンサ

トロイダルコア
インダクター
EPCOS
フィルムコンデンサ

日本ケミコン製
電解コンデンサ
35V・8100μF
IR製 MOS-FET
F9530N


FX-AUDIO- FX-98Eのスペック

最大出力 160W+160W(4Ω)
S/N比 92dB
スピーカー
インピーダンス
4Ω~16Ω
電源(ACアダプタ) 12V~32V センタープラス
(外径5.5mm 内径2.5mm)
電源容量2.5A以上が推奨
サイズ 幅96mm×高さ33mm×奥行168mm
重量 495g





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