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Technics SL-P150

     1988年 定価34,800円



テクニクスのSL-P150は、1988年3月に発売されたエントリーモデルのCDプレーヤーです。

カタログ通りに特徴を書き出すと

1.新開発の2DAC・17bit変換システムを採用。
2.リニアモーターを使ったハイスピード・リニアアクセスシステム。
3.光学デッキ部にTNRCメカニズムベースを使用。
4.CDシングルに対応。

となりますが、実はSL-P150は世界初の1bitDAC・MASHの搭載機です。SL-P777より7ヶ月早く、よく間違われるSANSUI CD-α717EXTRAよりも9ヶ月早く発売されています。

MASHは松下電器とNTTが共同開発したD/Aコンバーターです。
まず多段ノイズシェーピング回路(multi-stage noise shaping・・・MASHの語源)が、CDのデジタル信号を高い周波数にオーバーサンプリングし、16bitから1bitにビット圧縮します。
次にPWM(Pulse Width Modulation・パルス幅変調)回路で、波形に対応した幅を持つパルスに置き換え、最後にD/A変換を行いアナログ出力されます。


当時としては画期的なDACだったのですが、テクニクスは「2DAC・17bit変換システム」という名前をつけて、1bitDACであることをカムフラージュします。
また10月に発売されたSL-P777なども「リニア18bit・4DACシステム」と宣伝し、1bitDACであることを隠しました。


メカは新しいピックアップを搭載しリニアモーターを使った新型のメカで、後にSL-P999やSL-P777、SL-PS70などで使われるメカのベースとなったものです。

このようなことから、SL-P150は単なるエントリーモデルというよりも、テクニクスの次世代のCDプレーヤーに使う技術の、プロトタイプを積んだ実験機という側面もあったように思えます。



(音質について)
音はレンジが狭く音場も平面的で良くありません。同じ3万円台のエントリーモデル、TDA1541を搭載したSONY CDP-750やPCM56P搭載のEXCELIA XC-003と比べても音は悪いです。

シャーシやインシュレーター、回路なども貧弱なので、一概にDAC(MASH)の問題とは言い切れないのですが、同じMASHを搭載したSL-P777やSL-PS70と比べても透明感や解像度はかなり落ちます。
SL-P150のMASHは第1世代の「MN6623」です。

音からするとDACとしての完成度はまだまだで、それを松下もわかっていたので、エントリーモデルにしか搭載しなかったのかもしれません。そしてMASHであることを隠すために「2DAC・17bit変換システム」などという、名前をつけたのではないかと思います。

1bitDACのメリットはゼロクロス歪や非直線歪がないことですが、ノイズシェーパーの性能によって、S/N比やダイナミックレンジが悪くなるという欠点もありました。そのため松下電器はMASHの改良を行い、10月に発売されたSL-P777には第2世代のMASHを投入、翌年のSL-PS70には第3世代のMASHを搭載するなど改良を続けていきます。



(フロントパネル)
フロントパネルのデザインはSL-P120と共通ですが、ディスプレィはミュージックカレンダーが無くなり、トラックナンバーと経過時間だけになるなど、大幅に簡略化されています。







(シャーシ・内部について)
シャーシは3.1kgという重量からもわかるとおり、薄っぺらい鋼板(厚さは天板も底板も0.8mmありますが、材質的に強度が無い)で出来ています。

指で少し強く押すとたわんでしまうぐらいで、もちろん剛性とか強度とかいうレベルのものではありません。ホコリが入らないための箱と考えたほうが良いです。インシュレーターは小型の樹脂製です。

内部のレイアウトは、左側にピックアップ・ドライブメカと電源トランス。このメカの下にサーボ回路の基板があります。
隣のメイン基板には電源、信号処理、システムコントロール、オーディオなどの回路があります。


底板 インシュレーター



(電源回路)
電源トランスは別巻線で型番は違いますが、SL-P999やSL-P777に搭載されているものとサイズや形状は同じ。ただ電源回路自体は簡易な作りです。

コンデンサは松下製の「SU」を使用。電源コードはメガネ型コネクタです。

電源トランス 電源回路



(サーボ回路・信号処理回路)
信号処理回路はメイン基板の下、サーボ回路はメカの下にあります。

サーボ回路はフォーカスやトラッキングなどピックアップ用のアクチュエーター制御は、自社製のチップ「AN8370S」。スレッド制御は「BA10324FTI」。アクチュエーターのドライバーは「BA4558FTI」です。調整用のボリュームはメカの横にあります。

信号処理用のチップは復調や誤り訂正などとスピンドルのサーボ回路が、1パッケージに収まった自社製の「MM6617」を使用。16bitRAMはSONY製の「CXK5816M-15L」を使っています。システムコントロール用のマイコンは「MN1554PEW」。

メカの裏側にある
サーボ回路
メイン基板の裏側

サーボ制御 AN8370S 信号処理 MN6617


(オーディオ回路)
D/Aコンバーター第1世代のMASH「MN6623」です。

MN6623には「A」と「B」がありますが、SL-P150が搭載しているのはMN6623Aです。

MN6623Aは3次・768倍のノイズシェーパーを採用しており、4倍オーバーサンプリングのデジタルフィルターも内蔵しています。ちなみにカタログに書かれている2つのD/Aコンバーターを、高精度にコントロールするプロセッサーLSIなどというものはありません。

ローパスフィルターは小型のモジュールタイプ「DN2175」。オペアンプはコンパレータにTI製「LM833」、ラインアンプにはJRC「4560」。コンデンサは松下製の「BP」です。

オーディオ回路 DAC
MN6623A(MASH)

ローパスフィルター
DN2175
オペアンプ



(ピックアップ・ドライブメカ)
ピックアップ・ドライブメカはエントリーモデルとはいえ、リニアモーターを採用したメカで高速アクセスが可能です。

ピックアップは自社製で光効率が良い独自の1ビーム方式の「SOAD70A」。フローティングにより、外部からの不要振動を抑えています。

メカベースはTNRC(テクニクス・ノンレゾナンス・コンパウンド)と呼ばれるもので、樹脂と鉄のブレートを複合したものを使い、異なった振動係数の素材によりメカ本体への振動を減衰しています。

実はこの鉄のブレートを取り外すとSL-P999やSL-P777で使われたメカとほぼ同じになります。つまり驚くことにSL-P999やSL-P777のメカは、SL-P150のメカを、簡略化したバージョンとなっているのでした。

ピックアップ・ドライブメカ ピックアップ・ドライブメカ

ピックアップ


(出力端子とリモコン)
出力端子はアナログ出力(固定)が1系統だけです。

出力端子


Technics SL-P150スペック

周波数特性 2Hz~20kHz ±0.3dB
全高調波歪率 0.006%以下
ダイナミックレンジ 94dB以上
S/N比 96dB以上
チャンネル
セパレーション
96dB以上
消費電力 8W
サイズ 幅430×高さ80×奥行241mm
重量 3.1kg





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