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スピーカーケーブルの比較




スピーカーケーブルは、オーディオケーブルの中でも音の違いが顕著に出ます。

オーディオ初心者や全くの素人さんでも、音の違いを聞き分けられるので、オーディオ・アクセサリーの入門パーツとしても人気があります。

「音の違いが出る」というのは、言い方を変えれば機器との相性が出やすいとも言えますし、ケーブルによって自分の好みの音(良い音)も出れば、全く合わない音(悪い音)も出てきます。

ですから人によって、アメリカの単線のビンテージケーブルが良いとか、屋内配線用の太いケーブルが良かったという話になっても不思議はありません。

いろいろと聴いていると厳重なシールド構造のケーブルよりも、シールドの無い単純な2芯ケーブルの方が音が良いとか、スピーカーがバイワイヤリング対応なので、ケーブルもバイワイヤリング対応の4芯ケーブルを買ったら、元のシールド2芯ケーブルの方が良かったなどということが普通に起こります。

また人によっては、バイワイヤリングをするにしても4芯ケーブルを使うよりも、2芯ケーブルX2本の方が良いという人もいます。

構造だけでなく、導体の純度やケーブルの太さで音が良いとも断言はできません。従って価格というのもケーブル選びの決定的な要因にはならないと思います。


そういった原因のひとつとして考えられるのが「インピーダンス」。
アンプ側から見ると、スピーカーもつながっている回路です。ふつうであればインピーダンスは固定が望ましい。ところがこの2つの間のインピーダンスは、周波数によって大きく変動します。

またスピーカーケーブルにも「インピーダンス」がありますが、数値はアンプやスピーカーとも違います。

インピーダンスが合わないと、信号波形の乱れたり信号の伝達ロスが起こるので、音質に影響を与えることになります。つまりケーブルによって音が違くなるということです。
(学問的に言うと音質というのは別の観点であり、ちゃんとケーブルに一定量の電流が流れて、スピーカーから音も出るので、無視できる範囲となるそうです。)



でも、要は自分の好みの音になるかが最大のポイントです。
周波数特性やダイナミックレンジがどうのこうのと、このサイトを含めて、他人がいろいろな理屈をこねていようが、自分の家で良い音で鳴らなければ、まったく意味がありません。

結局、自分のシステムに合うスピーカーケーブルを選ぶためには、ある程度のトライ&エラーは必要かと思います。

またケーブルだけ取り替えて、スピーカーのセッティングをやり直さない人も多いですが、セッティングをもう一度確認してみたほうが、良い結果になると思います。

特にフラット志向のケーブルは、値段が高くなるほど音が神経質になっていくので、エージングとともに、セッティングの微調整が必要となります。


スピーカーケーブルを選ぶ時に、一番やってはいけないのは「まとめサイト」の内容を信じることでしょう。
あれを作っている人たちは、ケーブルに関する記事と写真を他のサイトからコピペしてきて、「ケーブルの選び方」とか「おすすめのケーブル」など、それらしく編集して書いているだけで、自分の試聴した体験にもとずいて書いている訳ではありません。

あくまでもAmzonなどのリンク先や広告をクリックして、商品を買ってもらって、収入を得ることが目当てなので、彼らにとって音質などはどうでも良い訳です。

その証拠に材質がどうの、構造がどうのと説明しておきながら、オススメのケーブルを見ると、Amazonベーシック 30m巻や、モンスターXP 30m巻が入っていたりと、内容はメチャクチャです。またAmazonや楽天市場の売れ筋上位を、ただ並べているところも多いです。



※1 1990年代後半ぐらいからスピーカーのバイワイヤリング対応が始まり、現在売られているスピーカーのほとんどは、バイワイヤリング用の端子となっています。
ところが現在、スピーカーケーブルの売れ筋は4芯ケーブルがどんどん減って、ほとんどが2芯ケーブルとなっています。


※2 スピーカーケーブルは長いので、どうしてもアンテナ効果でノイズを拾いやすくなります。しかしケーブルを流れる電流が大きいために、電流の弱いRCAケーブルなどより、かなり影響は少なくなります。

ただし全くないという訳ではなく、ノイズ対策が弱い「ナノテック・システムズ SP#79」にスマホを近づけると、高域が少し伸びなくなるなど、音質への影響は皆無という訳ではありません。



inakustik LS-1002


ドイツのinakustik(インアクースティック・旧モニターPC)の、REFERENZシリーズ(ブラック&ホワイトシリーズ)の4芯ケーブルで、生産はドイツで行われています。2004年の発売。

導体は無酸素高電導銅 OFHC(Oxygen-Free High-Conductivity Copper)で、中心から4層の同心円状に導体を重ねる構造になっています(0.320mm×37本)。

絶縁体は発泡PEとPEを組み合わせた「Duo PE II」。ジャケットはPE細線24×4本で編みこまれたもので、微細振動を抑制しています。

硬めのケーブルで取り回しは少し悪いです。

音はワイドレンジで解像度や透明感は必要にして十分。高音も低音も良くでます。

ただ傾向としてはモニター志向の部分があり、クラシックには良いですが、艶などが足りないのでジャズやロックでは面白みに欠けます。
同社の「Cobra」よりはスピーカーとの相性は広いです。


導体:OFHC
構造:Quatro CC-297デザイン
ケーブル外径:10.2mm

価格 3,780円(1m)※現在は4,800円(1m)





MONITOR モニターPC (inakustik)
Cobra4S・Cobra2.5S(コブラ)


モニターPC(現インアクースティック)のコブラシリーズは、同社の「顔」とも言うべき有名なスピーカーケーブルで、日本でも多くのユーザーがいました。1993年に発売され、2009年に製造を終了したという超ロングセラーケーブルです。

モニターPCは「MONITOR」が正式社名でしたが、1980年代の末に「PC-082」という、銀コートOFCのRCAケーブルで日本に上陸したことから、モニターPCと呼ばれるようになったようです。

「Cobra」は並行する2本のケーブルの間に、メタルバンド(帯状金属箔)を挟み込むんだ「MSRシステム」を採用しています。
このメタルバンドはケーブル間をシールドし、誘導や干渉を低減します。また高域の表層ロスの抑制し、低域の深いパワーの獲得に優れるというものでした。

導体はシルバーコーティングされたOFC、シースは柔軟性に優れた「フルフレックス」という透明なシースを採用。酸化を防ぐ連続表層シーリングで長期間の初期性能を維持しています。

ただし端子との接続用にシースを剥いた部分は、銀コートが酸化しますので、定期的にカットしてやる必要があります。
4Sと2.5Sともに柔らかいケーブルなので、取り回しはラクです。


音はワイドレンジでフラットなケーブルです。解像度や透明感もあります。ジャンルで言えば一番良いのはクラシックですが、ちゃんとジャズやボーカルもこなします。

4Sと2.5Sは導体の本数の違いだけですが、4Sはフロアスピーカー向けで、見た目以上に導体が太いため、小型スピーカーでは端子に入らない物もあります。アンプのパワーも必要で、少音量では低音が不足します。

小型スピーカーやスリムなトールボーイならば、2.5Sの方がバランスが良いです。

価格の割には高性能なケーブルですが、スピーカーとの相性は出るタイプです。意外とJBLやinfinityなどアメリカ勢との相性は良いです。

導体:OFC(銀メッキ)
構造:2芯並行・MSRシステム
ケーブル外径
Cobra4S:13.0mm×5.2mm
Cobra2.5S:11.5mm×4.8mm


価格
Cobra4S 0.07mmΦ×1050本 2,310円(1m)
Cobra2.5S 0.07mmΦ×656本 1,470円(1m)

後継モデルは、2009年に発売されたEXCELLENZシリーズの、EX-4S(3,600円/1m)とEX-2.5S(2,400円/1m)で、導体などのスペックはほとんど変わっていません。ドイツ本国での正式な商品名は「Silver」となります。

上:Cobra2.5S
下:Cobra4S




Ortfon 7NX SPK-550


6Nと7Nを使用したSPK-500の後継モデル。
2芯シールド構造のケーブルで、導体は6Nと7N、PCOCCの3種類の素材によるハイブリットで2.5SQ。絶縁体はポリエチレン、銅線の網組シールドに、綿糸の介在で振動を抑えています。

外径は12mmと太いケーブルですが、取り回しはし易いです。

自然な音の出方が持ち味で、ツヤなどの着色感はそれほどないので、好き嫌いが出そうです。
フラット方向に振っているので、クラシックやジャズには良いですが、ロック、J-POPなどにはSPK-3100SILVERのほうが良いと思います。

1mで4,000円とSPK-3100SILVERの4倍近い価格ですが、確かにレンジが広く、情報量が増えたり、繊細なところが出たりはしているものの、それでもTOTAL的には1.2~1.5倍ぐらい良くなったかなというところ。

お金にちょっと余裕があって、オーディオケーブルはある一定のところを越えると、ほんの少し良くなるだけでも、余分に数千円、数万円かかるということに、理解ができている人には良いと思います。

また神経質な部分もあるケーブルなので、スピーカーのセッティングを、キチンと出来る人向けのケーブルです。


導体:6N、7N、PCOCCのハイブリッド
導体サイズ:2.5SQ/13AWG
構造:2芯シールド
ケーブル外径:12mm

価格 4,000円(1m)





Ortfon SPK-3100SILVER

SPK-3100SILVERは2002年の年末に発売され、すぐに売上げNo.1になり、10年近くNo.1の座を争っていたロングセラーケーブルです。

2芯シールド構造のケーブルで、導体は銀メッキされたOFC(0.24X24本)。絶縁体にはポリエチレンとPVCを使い、さらに錫メッキシールドと見た目も内容も1m・1,000円のケーブルとは思えません。

音が自然に出てくるところも魅力で、高音や低音、ボーカルがスッと出てきますし、音場も自然な広がりです。
尖った部分が無いかわりに、全体的なバランスがとても良く、音を聴くというより「音楽」を聴かせるケーブルだと思います。


1,000円クラスのケーブルというと激戦区で、コストパフォーマンスの高いものが多いですが、20年前のケーブルとはいえ解像度や透明感、レンジなどは、最近発売された同クラスのケーブルと何ら遜色ありません。

それどころか価格が倍以上の「KIMBER 4VS」よりも良い音が出ますし、神経質でスピーカーとの相性が出やすい「Cobra」を、一部上回るなど上級モデルを上回る実力を持っています。


このクラスでは別格ともいえるゾノトーン 6NSP-2200S Meisterと比べると、解像度やレンジなどは、NSP-2200S Meisterの方が優れていますが、SPK-3100SILVERはゾノトーンよりも軟らかい音なので、スピーカーの音を軟らかい方向に振りたいのであれば、こちらのほうが良い場合もあると思います。

ウチにあるスピーカーでもQUAD 11Lなどは、SPK-3100SILVERのほうが相性が良いです。


注意するポイントとしては、銀メッキ導体は銀の部分の腐食が早いので、状態を確認しながらカット・皮ムキをして新しい線を出してやる必要があります。


導体:OFC(銀メッキ)
導体抵抗:14.5Ω/km以下
構造:2芯シールド
ケーブル外径:8mm

価格:1,000円(1m)


後継モデルは2016年発売のREFERENCE SPK-BLUEです。構造は基本的に同じですが、導体はHiFCと銀メッキ銅線のハイブリッドに変更されて、SPK-3100SILVERよりもスペックダウン。でも価格は1,540円(税抜き)と大幅に値上げされています。





ZONOTONE 6NSP-2200S Meister


6NSP-2200S Meisterは2008年の発売。メーカーのサイトでは、シアター用に大人気などと書いてありましたが、売れ筋ランキングでもずっと1位を続けていたとおり、ピュアオーディオ用としても十分な実力を持ったケーブルです。

6N、PCOCC、純銀コートOFC、OFCの4種類の素材をマルチストランド・スパイラル構造にした2芯ケーブル。
シールドはアルミペットテープで介在は綿糸。シースは青に着色された透明なポリ塩化ビニールです。


一言でいえば「よく音が出る」ケーブルです。解像度は良く、レンジは広く高音はキチンと伸びますし、低音はちゃんと締まっています。少し硬めのトーンですが厚みがあり、まだまだ音が出るような余裕さえ感じます。音場も十分に広いです。

特に解像度は素晴らしく、3000円~4000円クラスのケーブルでも、聴こえなかった細かい音が、この6NSP-2200Sでは聴こえてきたりします。

全体的なバランスもとても良く、ジャンルもクラシック、ジャズ、ロックのどれを聴いても破綻がありません。


1,000円クラスのケーブルは、とてもハイレベルですが、このケーブルの実力はその上。それどころか解像度やレンジなどは、インアクースティックのLS-1002やオルトフォンの7NX SPK-550を上回っています。

場合によっては中音域のメリハリや、高音・低音のパワーバランスがなどと、気になるところが出てくるかもしれません。でも、それもこのケーブルの持ち味。

「フラット」系のケーブルのように、変に抑えているところは無いので、全体的に伸びやかでハッキリした音になります。しいて言えばスピーカーのユニットや、エンクロージャーの能力がそのまま出るタイプ。

そのためスピーカーのセッティングが少々、乱雑でも音が出てきます。キチンとセッティングをする場合でも、出ているものを削っていく感じなので、出ていないものを出すよりは簡単です。
またニアフィールドや夜中に、小音量で聴く時などにも良いケーブルです。


導体:6N、PCOCC、純銀コートOFC、OFCのハイブリッド
導体サイズ:2.0sq×2
導体抵抗:8.9mΩ/m
構造:2芯シールド、マルチストランド・スパイラル構造
ケーブル外径:8mm

価格 1,450円(1m)


PCOCCの生産が終了したため、2016年に後継モデルの6NSP-Granster 2200α(1,700円税抜き)が発売されました。





ZONOTONE SP-3100Hi


ZONOTONE SP-3100Hiは、音楽出版社の「スピーカーブック2014」(4,352円)の付録のオリジナル・スピーカーケーブルです。

雑誌部分が2,000円とするとケーブルは1mあたり600円相当。本文ではZONOTONEの前園氏が「限られたコストの中で、新素材のパフォーマンスを十分に引き出した」と述べています。

SP-3100Hiは2芯構造のケーブルで、導体は同社の「Neo」シリーズでも使用されている、日立金属の「HiFC」と「OFC」のハイブリッドになっています。

HiFCは汎用銅材に極微量のチタンを添加することで、銅中の不純物を制御し、6Nに近い特性を低コストで得た銅線です。そのため銅の純度自体は4Nです。詳しくは日立金属

絶縁体はポリエチレン、シールドはアルミペットテープ、介在は綿糸です。シースは青に着色された透明なポリ塩化ビニール。外径も8mmなので見た目は6NSP-2200S Meisterにそっくりです。ただし導体の撚り線の太さは半分ぐらいしかありません。


音は雑誌のケーブルの解説で、評論家のI氏があたかも1m数万円のケーブルのごとく、褒めちぎっていますが、もちろんそんなことはありません。

ZONOTONEらしい透明感とキレのあるサウンドですが、レンジは狭いです。高音は伸びが弱いですし、キャラクタがあるので好き嫌いがでそう。低音は出ないですが、中低音がしっかりしているので、小型スピーカーでは締まった音として聞こえると思います。

ジャンルはロック、JPOP、ボーカル向き。クラシックやジャズにも使えるといったところ。


600円のケーブルとしては、たいへんに良く出来たケーブルだと思います。では1,000円クラスのケーブルと比べてどうかというと、やはり物足りない。

特に細部の再生で差がつきます。現在、発売されている1,000円クラスのケーブルは、かなりハイレベルなものが多いので、これと比べると1ランク下のケーブルという感じです。

雑誌込みの価格は4,352円。雑誌の文章は商品の簡単な解説と、基本的に「褒め言葉」しか書いてありません。雑誌がいらなければ、1,000円クラスのケーブルを4m買っても、おつりがきます。


導体:HiFCとOFCのハイブリッド
構造:2芯シールド
ケーブル外径:8mm





ナノテック・システムズ SP#79 Special


もともとは音楽出版社の「スピーカーブック2011」の付録として作られたオリジナル・スピーカーケーブルで、2011年11月から市販されました。

金と銀の超微粒子のコロイド液を、導体に塗布・含浸させるオリジナル技術「ゴールデンストラーダ」を使用したケーブルです。構造は2芯の平行ケーブルで、導体はOFCでφ0.5mm×7本。絶縁にPE、シースにPVCが使われています。

ともかく細いケーブルでCDプレーヤーの内部配線ぐらいの太さしかありません。でも、鳴りっぷりは見違えるほど良いです。しかも低音は締まっておりモニターPCの「Cobra2.5S」より出ます。

レンジは少し狭く、広がりなど音場はあまり良いとはいえません。ただボーカルの定位はなかなか良いです。

エージングの間は機器やソースとの相性は出ますが、エージングが進みしばらくたつと、音がなじんできます。


導体:OFC(ゴールデンストラーダを含浸)
構造:2芯平行
ケーブル外径:7.5mm×3.5mm

価格 950円(1m)





BELDEN・ベルデン STUDIO 718EX


STUDIO 718EXは2009年12月の発売。Senka21の売れ筋ランキングでは、現在までずっと上位をキープしている人気のスピーカーケーブルです。

細い線を撚った1つのグループをさらに数本束ねて1 本の線に仕上げた「Rope lay」デザインを採用したケーブルです。(0.191mm×24本×7束)

導体はOFHC(無酸素高熱伝導率銅)でOFCの一種です。片側の線は錫メッキがされています。
メーカーからは錫メッキ側を+で使えとか、-で使えという指定はありません。

ただ+にした場合と-にした場合で音は変わりますので、スピーカーに接続する際に試して、合うほうを選択すればよいと思います。

透明のシース(絶縁体でもあり材質はPVC)は柔軟で、取り回しもラクです。


音は宣伝どおりフラットな音で中高低のバランスが、うまくまとめられていると思います。レンジはやや狭く、解像度や透明感も少し物足りなさがあります。

ただフラットな音を求めているのであれば、1,000円クラスとしては秀逸。2,000円クラスのKIMBER 4VSよりも良いです。

基本的にはスピーカーとの相性がでるタイプ。ですがフラットな特性の割に、高額なケーブルと違い神経質なところが少ないので、スピーカーのセッティングはやりやすいと思います。


導体:OFHC
導体サイズ:12AWG
構造:2芯平行
ケーブル外径:9.2mm×4.8mm

価格:1,000円(1m)・現在は1100円





BELDEN・ベルデン 8470


BELDEN 8470は昔からあるスピーカーケーブルで、昔から「定番」と呼ばれていました。

ただ現在のBELDENのスピーカーケーブルの定番は、音質やオーディオファンの人気から言うとSTUDIO 718EXですし、現在の進歩したスピーカーケーブルのレベルから言うと、8470の音は時代遅れで力不足でもあります。


BELDEN 8470と8460については「偽物」の噂がありますが、オヤイデのブログでも指摘しているとおり、出所はとあるショップが流した話です。

内容は読めばわかりますが、実物のケーブルをキチンと検証した訳ではなく、店宛てメールを引用して勝手に決めつけているだけです。
ここはBELDENだけでなく、他のメーカーのケーブルでも同じようなことをやっています。

他の販売店も迷惑しているようで、この件についてブログなどで見解を出しています。

オヤイデのブログ
音光堂のブログ1 音光堂のブログ2

ちなみに偽物ケーブルが多く取引されている中国の「alibaba」(B to Bサイト)には、BELDEN 8470も8460もありませんでした。やはり価格が安いので、作っても「うまみ」が無いのかもしれません。


8470は錫メッキ軟銅線を使った2芯ケーブルです。白と黒のケーブルをツイストペア(撚り対線)にすることで、放射ノイズ(電磁波)の影響を低減しています。ツイストのピッチの間隔は約4.5cm。絶縁体はPVCです。


スピーカーケーブルを流れる電流は出力が高いため、電界と磁界による作用でノイスが発生します。ノイズはケーブル内にとどまりますが、一部は電磁波となって空中にも放出されます。

またアンテナ効果により、逆に外部からノイズをひろって音質の悪化を招きます。

ツイストペアではケーブルを撚ることで、電磁界の向きが交互に逆になるように作っています。これによりお互いの磁界が打ち消しあうためノイズの低減ができます。



1m 200~300円で買えるので安い。300円でこの音はすごいです。カナレ 4S6Gよりも1ランクは上の音。

以前は500~600円のスピーカーケーブルは、種類も多かったのですが、数が減ってしまったのは、この8470の影響が大きいと思います。価格が2倍でも音がさほど変わらなければ、売れなくなるのは当たり前かもしれません。


ただ、1000円~2000円クラスのケーブルと聴き比べると、アラが出てきます。

音質はレンジが狭く、解像度や透明感も良くありません。細かい音は潰れてしまいますし、音色も少ないです。音数が多くなると混濁も起きます。定位は少し甘め。音場は狭いです。


安いケーブルの中では、フラットぽい音にも聴こえますが、ちょっと良いケーブルと比べると「音が出ない・軽い」「音が伸びない」「音が広がらない」「表現力が弱い」というような部分を感じます。

ジャンルとして良いのはジャズ。フュージョンもけっこういけます。ロックは少し苦手。クラシックはレンジや音の輪郭、表現力を気にする人には無理。JPOPやアニソンも苦手。特に打ち込み系やノリの良いアップテンポの曲には向かないです。


確かにコスパ高く良いケーブルですが、趣味としての「オーディオ」からすれば初級クラスのケーブル。
5~6万円クラスのスピーカーの実力を、100%出させることはできません。逆に足を引っ張るほうが多いと思います。


バナナプラグで使う場合は導体の直径が1.5mmしかないので、しっかりとネジ止めする必要があります。キチンとネジ止めできないと音質が悪化したり、途中でケーブルが外れたりするので注意が必要です。


BELDEN 8470と8460の違いは、構造は同じ2芯ツイストペアですが、8470のほうが導体が太くなります。


導体:錫メッキ銅撚線
導体サイズ:16AWG(1.22sq・19本/0.28mmTA)
構造:2芯ツイストペア
導体抵抗:4.8Ω
導体間インダクタンス:0.58μH/m
ケーブル外径:約5.3mm

価格:200円~310円(1m)





BELDEN・ベルデン STUDIO 497MK2


BELDEN STUDIO 497MK2は、2000年に発売されたのスピーカーケーブルです。赤黒の線が交互に編まれた構造のケーブルで、見た目は9497(通称・ウミヘビ)とよく似たケーブルです。

2芯ツイストペア(撚り対線)と呼ばれる構造で、ケーブルをツイストすることで、ノイズの発生源となるケーブル間の磁場を打ち消します。これがノイズに強いと言われる特徴です。

上記の8470よりもツイストのピッチが細かい(ツイストの回数が多い)です。ツイストが多ければ、それだけノイズを打ち消す回数も多くなり、ノイズの除去率も高くなります。

導体はOFHC(無酸素高熱伝導率銅)で、16AWG (0.287mm×19本)。ちなみに9497は同じ16AWGですがTC(錫メッキ軟銅線)です。


音はツイストペアの効果か、そこそこ透明感があり、余韻もキレイに出ます。そのためカラオケのエコーと同じで、ソースによっては良い音に聞こえちゃったりします。

音はBELDEN 8470よりも上ですが、STUDIO 718EXと比べると、解像度が低くレンジも狭いです。特に低音は弱いです。総合的に見てもSTUDIO 718EXにはかないません。

価格が安く透明感が良いなどの長所もありますが、短所もあるケーブルです。

バナナプラグを取り付ける場合は導体が細いので、しっかりとネジ止めしないと、音質が悪化したりケーブルが外れたりするので注意が必要です。


導体:OFHC
導体サイズ:16AWG(1.25sq)
構造:2芯ツイストペア

価格:700円(1m)





AudioQuest Q2


AudioQuest(オーディオクエスト)の「Q2」は、2015年5月に発売されたスピーカーケーブルです。

完成品のバナナプラグ付3mが24,000円と、切り売りケーブル(1m 実売1,100円)が発売されました。切り売りの価格に比べて、完成品がメチャクチャ高いです。※アメリカでも229ドルと高いです。

カラーはディープブラックですが、アメリカではホワイトも発売されています。


Q2は四角い形状の外装を持つスピーカーケーブルです。

導体には長い結晶構造を持つLGC(ロング・グレイン・カッパー)を採用しています。
これは無酸素高伝導銅(OFHC)で純度は99.95%。特殊な素材ではなく、オーディオ以外の用途でも、たくさん使われています。

導体の構造は「ソリッド・コンセントリック」と呼ばれています。これは単芯線を中心に置いて、周りを11本の撚線が螺旋状に覆う構造(単線+同心導体)になっています。

これにより通常の撚線で問題となる、磁界の相互作用や撚り線間の接触圧による変調、信号の乱れなどに起因する音の歪を解消しているそうです。

さらに+側と-側の線をツイスト構造にすることで、インダクタンスも低減しています。

Q2は価格が安いため、オーディオクエストのスピーカーケーブルの特徴であるDBS(ダイエレクトリック・バイアス・システム)や、ノイズ・ディシペーション(消散)システムは搭載していません。


四角いジャケットは幅が8mmもありますが、介在の綿糸の量が多く導体はかなり細いです。中味は広告で使われていたイメージ図とだいぶ違います。
※オーディオクエストは中国製の偽物が多いですが、これは本物です。


音は現代的なハイスピードサウンドですし、細い部分の音も良く出るなど、1,000円のケーブルとは思えないような長所があります。

高音は透明感があり解像度も良いです。低音も解像度と量感があり、よく締まっています。定位は少し甘く、散乱系です。

問題は中音域です。なぜか、ここだけ解像度が少し悪く、エネルギーも凹なので、バランスが悪いです。

ジャズなどの演奏物(インストゥルメンタル)などでは、誤魔化せる部分もありますが、ジャンルを問わずボーカルが入っている曲では、この問題が現れます。


導体:LGC(OFHC)
導体サイズ:15AWG(1.65sq)
構造:2芯ツイスト
   導体部分はソリッド・コンセントリック
ケーブル外径:8mm

価格 1,100円(1m)





SAEC・サエク SPC-650


SPC-650は導体に「PC-Triple C」(ピーシートリプルシー)を採用したスピーカーケーブルです。2014年5月の発売。

PC-Triple Cは「PCOCC」の生産中止にともない、それに代わる素材として開発されたもので「Pure Copper-Continuous Crystal Construction」(連続結晶高純度無酸素銅)の略になります。

製造しているのは古河電工のグループ企業「FMC」で、通常のOFCから数ミクロン単位の極微の異物を除去した、古河製のOFC(高純度無酸素銅・4N 製品名でいうとPCUHDだと思います)を、FCM独自の鍛造方法によって製造しているそうです。

それはOFCを50%(Sq比)まで、小圧力で数万回連続鍛造(定角連続移送鍛造法)する事で、縦方向に存在した結晶及び粒界を、長手方向に連結された結晶構造へと変化させているそうです。
また鍛造により導体内部の空礎を消滅するため、導通特性や音響特性を向上するそうです。

鍛造の後に所定の太さまで伸線加工を行い、焼鈍(アニール処理)で結晶同士が癒着し、連続した結晶構造になります。


ケーブルは2芯ツイスト構造。導体は1.4Sqで絶縁体はポリプロピレン。それを綿糸と紙で巻いて振動を抑えています。シースは軟質PVCです。シールドはありません。
外径は7.5mmですが取り回しは良いです。導体は意外と細くて固いです。


音は硬めのサウンド。まずこれで好き嫌いがでそうです。

中音がメインでボーカルは前に出てきます。高音はキレがありますが、低音は弱くて少しブーミー気味です。定位は良いものの音場は散乱系です。

問題は音の解像度です。粒立ちは良いのでジャズのトリオなどでは、解像度があるように聴こえます。でもオーケストラのように、たくさんの音が出てくると、音が混ざるような感じになります。

そういう性格のためか、小音量の時も解像度の不足を感じます。ニアフィールドや夜中に小音量で聴くのには、ちょっと不向だと思います。

総合的な音質ではZONOTONE 6NSP-2200S Meisterや、Ortfon SPK-3100SILVERより下のレベルです。

導体:PC-Triple C
導体サイズ:1.4Sq
構造:2芯ツイスト
ケーブル外径:7.5mm

価格:1,800円(1m)。





SAEC・サエク SPC-700


1988年ごろに発売され、けっこう長く販売されていたスピーカーケーブルです。

外径は8×19mmと太くて幅のあるケーブルです。ただ柔らかいので、それほど取り回しには苦労しないと思います。

導体は5NのOFCをスーパーアニール処理したもので、7/0.18φ×19の撚り線です。

音はパワフル。これが特徴。他のケーブルから交換すると少しボリュームを絞りたくなります。

レンジも広く解像度もあるのですが、中音~低音にかけてのメリハリが強いです。
「おとなしめ」のスピーカーには良いかもしれませんが、スピーカーによっては、本来のバランスがくずれることもあります。


導体:5NのOFCをスーパーアニール処理
構造:2芯平行(VFF)
ケーブル外径:19mm×8mm

価格:2,000円(1m)





SUPRA CLASSIC 6.0


SUPRA CLASSICシリーズは、1976年創業のスウェーデン・JENVING社の代表的なスピーカーケーブルです。日本はSAECが代理店となり2004年から販売が始まりました。

「CLASSIC」という名前のとおり、昔からよくあるシンプルな平行ケーブルです。導体は0.1mm X 756本の錫メッキ高純度銅線(5N・OFC)で9AWG相当。シースはPVCとなっています。シールドはありません。


太めのケーブルですが柔らかいので取り回しは良いです。注意しなくてはいけないのは、導体の直径が3mmもあるので、スピーカー端子に入らないこともあります。

この場合はバナナプラグやYラグを使うことで対応できるのですが、当然ながらバナナプラグやYラグも、3mm以上の物をチョイスする必要があります。


音はというと、ちょっとがっかり。導体が太いこともあって少しパワー感はありますが、レンジが狭く解像度や透明感もよくありません。

たぶんタンノイなどの大型フロアスピーカー向けとして、作られたケーブルだと思います。そうなるとパワーと本物の駆動力(最近多いダンピングファクターの水増しアンプはダメかも)のあるアンプで、ボリュームをかけてやらないと、音は出てこないかもしれません。

設計としては古いケーブルです。一般家庭で出せる音量のレペルでは、そういうのが得意な設計のZONOTONE 6NSP-2200S Meisterや、Ortfon SPK-3100SILVERにも負けてしまいます。

価格は発売時が1,890円/1mでしたが現在は2,200円。ところがヨーロッパでの販売価格は9ユーロ(1,200円)ぐらいなので、日本では「値段が高い=音が良い」という心理に、付け込んだ値付けなのかもしれません。


導体:5N・OFC
導体サイズ:9AWG(6.0mmφ)
交流導体抵抗:2.9 Ω/km
インダクタンス:0.59 mh/m
構造:2芯平行(VFF)
ケーブル外径:11.2×5.5mm

価格:2,200円(1m)







KANARE・カナレ 4S6G


カナレ 4S6Gは価格が安いということで、人気があるロングセラーのスピーカーケーブルです。

価格は4S6が1m 100円。4S6Gが1m 140円ぐらい。4S6と4S6Gの違いは4S6Gは導体に無酸素銅(OFC)を使用していることだけで、構造や電気特性に違いはありません。


4S6Gは4芯(ツイスト)構造によりノイズを低減しています。
スピーカーケーブルを流れる電流は出力が高いため、電界と磁界による作用でノイズが発生して空中にも放出されます。

このノイズ(電磁波)をラインケーブルやUSBケーブルが取り込むと、信号の波形に影響したり、アンプやDACの中で干渉を起こして音質を悪化させます。

4芯ツイストにすることで、磁界を互いに打ち消し合うため、ノイズを減らすことができます。

絶縁体はポリエチレンで、介在には綿糸を使用して振動を抑えています。押さえ巻テープは紙です。シースはPVCを採用しています。


OFC導体に4芯ツイストとスペックは良いのですが、音質は解像度や透明感が良くありません。レンジ、音場ともに狭いです。

中音域がメインで、高音や低音は「出る」というほどではありません。細かい音は出ない物もあります。

刺激的な音は出ないので、長い時間聴いていても疲れません。BGMなどに向いています。


安くてコスパが高いケーブルというなら、BELDEN 8470のほうが良いと思います。

「価格が安いのに音が良い」と呼ばれていたのは、だいぶ前のことです。これだけレベルが上がってしまったスピーカーケーブルの中では、音が良いとはちょっと言えません。

あくまでも入門用またはスピーカーの付属ケーブルの、買い替え用のスピーカーケーブルです。
3万円以上のスピーカーで使っても、スピーカーの能力を出しきれないと思います。


導体:無酸素銅(OFC)
導体サイズ:0.51㎡/20AWG
構造:4芯
導体抵抗:3.7Ω
線間容量:125pF
ケーブル外径:6.4mm

価格:140円





OYAIDE・オヤイデ EXPLORER V2 0.75sq


OYAIDE(オヤイデ)の「EXPLORER V2」は、「102 SSC」を使用したスピーカーケーブルで2014年10月の発売。

「102 SSC」はPCOCCの終売に伴い開発された「新導体」のひとつで、オヤイデと三洲電線により共同開発されました。

材料は国内で精錬・伸銅したバージン銅(純度は不明)を、ピーリング加工で不純物を取り除き、アニーリング加工(アニール処理)を行った物で、三洲電線で伸縮工程と撚り加工を行っています。

ケーブルの構造としては普通の2芯平行ケーブルですが、導体の102 SSCは三洲電線が特許を持つ「3E撚り」にしています。これは3種類の異なる太さの素線を使うことで、導体部分の隙間は少なくし導体部分の密度を上げて、線間歪などを低減しています。

絶縁体(シース)はフレックスポリエチレンで、導体間にエアーダンパー(中空層)を設置して、振動の減衰と誘電率上昇の抑制を図っています。

商品ラインアップは線径の違う3種類があり、 0.75SQ(19本/3E撚り)が600円、1.25SQ(37本/3E撚り) が1,000円、2.0SQ(37本/3E撚り)が1,500円となっています。


テスト用に購入したのは0.75SQ(定価600円)です。音は1000円クラスのスピーカーケーブルと比べると、レンジが狭く音場も平面的です。音数は少なく、細部も再生しきれずに潰れたりしています。

高音はそこそこクリアですが伸びが不足しています。中音は「キレ」を作ろうとしているのか、キャラクタを感じます。低音は締まりはありますが量感は弱いです。

もっともピュアオーディオの初級用のCDプレーヤーや、PCオーディオの5000円以下のデジタルアンプやUSB-DACに、2000円クラスのスピーカーケーブルをつなげると、ケーブルの方が「能力」が高すぎる場合があります。

将来的にステップアップをしない場合やBGMの利用なら、EXPLORER V2 0.75でも十分かと思います。

あくまでも入門用またはスピーカーの付属ケーブルの、買い替え用のスピーカーケーブルです。


導体:102 SSC
導体サイズ:0.75SQ
構造:2芯平行(VFF)
ケーブル外径:7.3mmx3.3mm

価格:600円





van den Hul ヴァン・デン・ハル VDH-T7
「The Clearwater」


VDH-T7はヴァン・デン・ハルのロングセラーケーブルです。以前はVDH-T8が無かったので、ラインアップの一番下のモデルで価格も1m・1000円と安かったケーブルです。(現在は1m・1800円)


平行多重撚り線という構造のスピーカーケーブルです。サイトの商品紹介はイラストだけで、写真が無いので誤魔化されてしまいますが、実物は昔テレビのアンテナ線に、よく使われていたフィーダー線のデカイやつです。

導体はSCMC。普通のOFC(無酸素銅)に比べて、結晶体が大きく相互に密に接している高純度MC(マッチド・クリスタルMC)OFCで、SC(シルバーコーティング・銀メッキ)したものです。これを98本の撚り線にしています。(AWG14相当)

シースはフレキシブルで機械的、音響的特性に優れた独自のHULLIFLEXR。ケーブルの構成要素はこれだけで、絶縁体やシールドは無く防振対策もされていません。


「ザ・クリアウォーター」というサブネームが付いていますが、音はまったくクリアではありません。解像度が悪く音にキレがありません。
高音にはカラーレーションがあります。中低音は良く出るので、小型スピーカーでは低音が出ているように聴くこえますが、フロアスピーカーでは低音が出ていないことがわかります。

スピーカーとの相性も出るほうで、ラインケーブルにもヴァン・デン・ハルを使って、タンノイ EYRIS3を鳴らしてみたものの、これがまったく合わない。GX100やSB-M20など高解像度系のスピーカーで、なんとか聴けるようになりますが、高音のダメさ加減はかわりません。

音色、レンジ、バランス、音場など、どれをとっても、6NSP-2200S MeisterやSPK-3100SILVERにはかないません。ちょっと期待ハズレのケーブルでした。


導体:SCMC
構造:平行多重撚り線
導体サイズ:AWG14
抵抗値:0.9Ω/100m
キャパシタンス:17.5pF/m
ケーブル外径:15.0mm×4.2mm

価格 1,800円(1m)





KIMBER KABLE 4VS


KIMBER(キンバー) は、アメリカを代表するケーブルメーカーのひとつで、DENON(現在はD&M Import Audio)が代理店をしています。

オークションに出てくるKIMBERのケーブルは、偽物が多いことで有名ですが、4VSのような低価格のケーブルは、家電量販店でも売られているので、正規品を購入できます。

KIMBERはケーブルによって、アメリカよりも日本の価格がかなり高いものがありますが、4VSはアメリカで10フィートで75ドルぐらいなので、あまり価格差はありません。

4VSは日本では2000年から発売されたスピーカーケーブルです。特徴は信号線側4本+アース側4本の「ブレイド構造」を採用していることです。

導体はKIMBERが1980年代に開発し、多くのモデルで採用する「VariStrand構造」です。
線径の異なる高純度銅線を使用し、片チャンネルあたり8本の細いケーブルが、編み構造になり芯線内部の共振を抑えています。トータルとしては13AWG相当。


片チャンネルあたり8本なのでL・R合計で16本。その両端ですから32回の「皮ムキ」作業が必要です。またケーブルが細いのでちょっと神経も使います。

ちなみにアメリカでは本数が倍の「8VS」も販売されています。また
12本+12本の24ワイヤーの「12TC」も登場しましたが、これはさすがに端末を処理した物が販売されています。


皮ムキに苦労した割に音は良くありません。フラット系の音ですがレンジは狭いです。細かい音は出ていますが、解像度が低いため輪郭がボヤけてしまいます。

高音、中音はまずまず(価格を考慮すると物足りない)としても、低音は量感がなく、かつブミーなところにはガッカリです。

価格はそこそこしますし、見かけもちょっと良いのですが、肝心の音は価格が安い、ZONOTONE 6NSP-2200S Meisterや、Ortfon SPK-3100SILVERに負けます。


導体サイズ:13AWG
構造:ブレイド構造、導体はVariStrand構造
ケーブル外径:約9mm

価格 2,300円(1m)





アイレックス EXIMA Speaker Cable


音楽出版社の「スピーカーブック2013」(3,990円)の、付録となったスピーカーケーブルで、アイレックスから発売されている「EXIMA Speaker Cable Limited Edition」のプロトタイプでもあります。

構造はアナログRCAケーブルで、良く使われるシールド2芯構造。導体は0.3mX17のOFC。絶縁体は硬質のPVCで、綿糸と共に振動を抑える役目もしています。シールドにはアルミテープを使用。シースはPVCで高級感とがある茶色となっています。

音はエージングが進むとかなり変わります。エージング前より中音域の張り出しが強くなり、パワフル感が強くなります。

その一方で、この中音はエージング前には出ていた高域や低域をマスキングしてしまいます。特に高音の繊細な部分や透明感が、かき消されてしまう感じで、やや大味的な部分も出てしまいます。

全体のバランスとしてはエージング前の方が良かった感じです。

結局、製品版はこのプロトタイプを使ったユーザーの声を反映させるために発売を延期。導体の量やシールドの変更などの改良を行い、2013年10月から市販が始まりました。価格は3,150円(1m)。

導体:OFC
構造:2芯シールド
ケーブル外径:8.5mm





JBL JSC500


JBL JSC500は2001年に発売されたケーブルで、一時期はオルトフォンのSPK-3100SILVERと、売上げを競っていた人気ケーブルです。

シンプルな平行2芯ケーブルで、導体は銅と錫メッキの撚り線です。写真では細く見えるかもしれませんが、BELDEN STUDIO 718EXよりも太いケーブルです。

ケーブルには「JBL MONITOR SOUND」と書かれていますが、もちろんモニター的な音ではありません。

音はグッと前に出てきてパワフル。透明感が高く音の広がりも良いです。レンジ、解像度はそこそこですが、艶はキッチリと出てきます。

ジャンルはジャズ、ロック、ボーカル向きですがクラシックにも使えてしまいます。いろいろなスピーカーとの相性が良いのも便利。

価格は安いですが、なかなか良いケーブルです。ダテに「JBL」の名前がついている訳ではありませんでした。


構造:2芯平行(VFF)
ケーブル外径:10.7mm×5.3mm

価格 600円(1m)





オーディオテクニカ AT6S33


AT6S33は1994年に発売された旧ART LINK(アートリンク)シリーズのスピーカーケーブルです。

1990年代は今のようにケーブルの種類は多くありませんし、高額なケーブルも少なかった時代です。その中でもオーディオテクニカの「ART LINK」シリーズは人気のケーブルでした


外見はふつうの並行ケーブルですが、「トリプル・ペア」と呼ばれるとおり、内部は3芯の撚り対線(よりついせん)構造になっています。

導体はPCOCCとHi-OFCのハイブリッド。チタン配合シースにレオストマーの内部シース。それに綿糸の介在で振動を抑え、銅箔によるシールドと重装備です。

ケーブルは太いですが柔らかくて取り回しは楽です。

音はレンジが狭く解像度・透明感も今ひとつ。低音は締まっていますが、全体的には少し甘めな音です。

ART LINKの名前がつけられ、太いしシールドがしっかりしている割には、価格は安いしと思って買ったのですが、ちょっと期待ハズレのケーブルでした。


導体:PCOCC、Hi-OFCのハイブリッド
静電容量:50pF/m
直流抵抗:7mΩ/m
構造:3芯シールド・ツイスト

価格 1,400円(1m)






Western Electric 18GA


ウェスタンエレクトリックは1881年創業のメーカーです。1876年に技術者のイライシャ・グレイが発明した電話の特許を出願したところ、同じ日に数時間早くグラハム・ベルも電話の特許を申請しており、これが電話の特許として認められたという話は有名です。

ウェスタンエレクトリックは、この特許を不服として裁判を起こしましたが敗訴。1881年にはベルによって、ウェスタンエレクトリックは買収されます。以後はベル電話会社(後のAT&T)の、機材製造部門という位置付けになります。

その後、ウェスタンエレクトリックは、1995年のAT&Tの組織改変により、その歴史に終わりを告げますが、ケーブルの製造自体は1980年代の初めに終了していたようです。

当時のケーブルの製造工場は以下のとおり。

ボルチモア工場(同軸ケーブル・電話ケーブルの製造)
オマハ工場(電話ケーブルの製造・1950年代から稼働)
フェニックス工場(ケーブルやワイアーの製造・1960年代から稼働)

14GA、16GA、18GAなどの製品は、AIW(American Insulated Wire Corporation)に生産委託していたという話ですが、いつからいつまで生産されたのはわかりません。


ウェスタンエレクトリックのケーブルは、ヴィンテージスピーカーや真空管アンプを使う人には知られていましてが、有名になったのは1990年代の終わりから始まった、オーディオケーブルの「プチ・ブーム」によってです。

当時は、もう生産が終了しているハズなのに、オークションには「ヴィンテージケーブル」として、たくさんの出品がありました。同時に2チャンネルなどの掲示板には、アメリカ国内には在庫がたくさんあるなどの、書き込みもされていました。(その話の元ネタ・出どころは明かされていません)

ただ、オークションの中には、有名ブランドの偽物ケーブルを扱う業者によって販売された物も多かったので、中国製の偽物もある程度、出回ったのでないかと思います。また同じ頃には軍用ケーブル(MILスペック)を謳う、怪しげなケーブルもたくさんありました。

2010年代になるとAIW(American Insulated Wire Corporation)が生産したという、18GAなどの復刻品が輸入されるようになり、取扱店が増えていきます。
ただし、販売店によっては「オリジナル」などと記載し、古い金属製のリールの写真を載せて販売し、実際に送ってくるのは新品(復刻品)という、店もあるので注意が必要です。

復刻品には「A.I.W. CORP」と刻印されているだけで、Western Electricの印字はありません。

ちなみにAIW(American Insulated Wire Corporation)を、ネットで探してもホームページはありません。AIWは2010年にケーブル大手のSouthwire Companyに買収されており、現在は同社の商標として使用されているようです。ですから正式には、Southwire Company製ということになるかと思います。

導体の太さ
14GA(約1.6mm)
16GA (約1.3mm)
18GA (約1.0mm)






RCAケーブル 電源ケーブル
スピーカーケーブル バナナプラグ・Yラグ
デジタルケーブル USBケーブル


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