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TEAC ZD−6000

     1986年 定価165,000円



TEACのZD-6000は1986年に発売されたCDプレイヤーです。

TEACはCDプレーヤー市場への参入が遅れましたが、1985年発売のZD-5000と「ZDサーキット」の評価は高いものでした。それに気を良くしたのか1986年には、最初で最後?ともいえる販売攻勢をかけます。

まず3月に業界初の39,800円のCDプレイヤー PD-200を発売。半年後には同じ価格のままリモコンを付けたPD-250を発売します。この低価格攻勢に他のメーカーは、ほとんど追従できませんでした。

10月にはカセットデッキと一体型のAD-5(99,800円)とAD-7(119,000円)を発売。さらに「ZDサーキット」を改良した「NEW・ZDサーキット」搭載の低価格モデルZD-1000(89,800円)とZD-800(69,800円)を発売します。

そして11月に新しいフラグシップとなるZD-6000と、その姉妹機のZD-4000(129,000円)が発売され、ラインナップが拡充されました。ZD-4000はZD-6000から10キーなどのボタンを外しただけの製品ですが、36,000円も安いというお買い得モデルでした。


ZD-6000はZD-5000の改良モデルです。フロントデザインはZD-5000とほとんど同じで、トレイや電源ボタン周辺と文字の色が変更になっただけです。

ZD-5000の弱点だったシャーシは大幅に改良され、底板は2重化され、焼結合金のインシュレーターを5個装備するなど、強度・剛性を高めて振動に強くしています。これによりピックアップのトレース能力の向上と、サーボの安定化をはかっています。

TEACのCDプレーヤーの売り物だった「ZDサーキット」も強化されて、「NEW・ZDサーキット」となりました。
「ZDサーキット」はCDからのデジタル信号に、ディザ信号を加算・減算してD/Aコンバーターの誤差を平均化して精度を高め、量子化歪みを低減するというものです。

NEW・ZDサーキットでは、D/A変換後に行うディザ信号の減算時に、D/Aコンバーターのオフセット電圧をキャンセルすることにより、DC〜20kHzという広帯域再生が可能でした。
またラインアウト回路にカップリングコンデンサやDCサーボ回路が必要ないため、歪みの増加や位相差を抑えることができました。

その他には高速アクセスが可能なリニアモータードライブや、L・R独立のツインD/Aコンバーターなどを搭載しています。



(音質について)
音はZD-5000から格段に向上しています。ZD-5000の弱点だった低音が豊かになり、高音の伸びや艶が良くでるようになりました。全体的にもバランスは良くなっています。
ジャンルとしてはむクラシックやジャズ向きで、あまりメリハリはないのでロックには不向きだと思います。

現在のCDプレーヤーの音と比べるとレンジや解像度など、物足りないと感じる部分も多くありますが、逆に現在のCDプレーヤーでは、薄くなってしまった、音楽を楽しむための「表現力」があり、何かホッとした気分になります。







(シャーシと内部について)
シャーシは鋼板製です。底板が2重底になり天板も厚みが増えています。また天板には防振材も装着されています。
インシュレーターは焼結合金製のHDリジッドベースが5コ取り付けられています。HDリジッドベースは特殊合金を650度で焼結処理、70トンの加圧により成型されたもので1個の重さは220g。TEACはこれを4コ1組にして「TZ-6000」という型番で、6,000円で販売もしていました。

内部のレイアウトはZD-5000と変わりません。基板の色は茶色から緑に変わりましたが、回路はオーディオ回路の一部とデジタル出力以外はほとんど変わっていません。

天板 底板とインシュレーター

焼結合金製のHDリジッドベース
(インシュレーター)



(電源回路)
電源トランスは金属のケースに入った大きなもの。電源回路はZD-5000から大きな変更はありません。
電源コードは古河の極太のOFCケーブルで、このあたりもZD-5000と同じです。
電源トランス 電源回路

ノイズフィルター サーボ回路



(DAC・オーディオ回路)
オーディオ回路はZDサーキットやローパスフィルターが改良され、ZD-5000よりパーツ数が増えたため、サブ基板を増設しています。

D/Aコンバータは、バーブラウンの16bit・DAC「PCM-53JP-V」が左右独立で搭載されています。
PCM53JP-Vはラダー抵抗型のDACで、全高調波歪率0.0025%、ダイナミックレンジ96dBというスペックを持ち、高速でありながら温度変化にも安定性が高く、歪みも少ないDACでした。

デジタルフイルターはSONY製の、オーバーサンプリング(2倍)の「CX23034」で、これはZD-5000と変わりません。

ローパスフィルターは8次のベッセル・アクティブ・フィルターに変更されています。

オーディオ回路 ZDサーキットのIC(手前)と
DAC PCM-53JP-V
デジタルフイルター
CX23034
オーディオ回路



(ピックアップ・ドライブメカ)
ピックアップ・ドライブメカはチャッキングアーム方式。
ピックアップやスピンドルモーターの取付けベースが、亜鉛ダイキャストへと変更になっています。この部分は外部からの振動を防ぐために、フローティングされています。

ピックアップは3ビームレーザー「MLP-3C」で、これもZD-5000と同じ。ピックアップのスライド機構はリニアモーターで、高速アクセスが可能です。


ピックアップ MLP-3C トレイ


(出力端子・リモコン)
リアパネルの出力端子はアナログ固定と可変が各1系統と、25ピンのマルチコネクター端子(デジタル出力+サブコード出力)があります。

マルチコネクター端子に別売のアダプター(ZD-D1 15,000円)を取り付けることで、光と同軸のデジタル出力ができるようになっています。
専用リモコンはRC-305。

出力端子 リモコン RC-305

上:ZD-4000  下:ZD-6000
ZD-4000はZD-6000から10キー、イントロスキャンキー、インデックスキーが削除され、リモコンからの可変出力の調整ができなくなっています。


TEAC ZD-6000のスペック

周波数特性 DC・0Hz〜20kHz±0.3dB
(海外向け資料では5Hz〜20kHz)
高調波歪率 0.0025%
ダイナミックレンジ 96dB以上
S/N比 96dB
消費電力 20W
サイズ 幅445×高さ99×奥行342mm
重量 10.2kg




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