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stereo付録 USB-DAC LUXMAN LXU-OT2


LUXMAN LXU-OT2は、オーディオ雑誌「stereo」の、2013年1月号(2012年12月発売)の付録となるヘッドホンアンプ付きUSB-DACです。雑誌とあわせて価格は2,800円。

前回「stereo 2012年1月号」(2011年12月発売)の、LXA-OT1と同様に、ラックスマンが設計しています。


LXU-OT2に搭載されているDACは、TI製のバーブラウン「PCM2704」です。
このDACは16bitDACで、サンプリング周波数は32/44.1/48kHzに対応しており、初級向けのUSB-DACではよく使われているものです。

同じバーブラウンでも、CDプレーヤーなどに使われているものとはかなり違い、USB用のインターフェースが内蔵され、電源もUSBのバスパワーに対応しており、正確にいうとDACとUSB関連の回路を、組合わせた統合チップとなっています。

DAC自体は128fsのノイズシェイピングに加えて、アナログ・ローパスフィルタも内蔵しているます。オーディオ特性は全高調波歪率が0.025%、S/N比が98dB、ダイナミックレンジも98dBですので、エントリークラスのCDプレーヤーに搭載されているDACよりも、ちょっとスペックの低いDACであることがわかります。

2個のオペアンプはソケットに取り付けられており、ユーザー側で交換が可能となっています。


付録のパッケージにはUSB-DACの基板、金属製の脚、透明カバーそれにUSBケーブルが入ってます。透明カバーを取り付け、基板に脚をネジ止めすれば完成というのもLXA-OT1と同じです。
USB用のデバイスドライバーのインストールは必要ありません。


ネットではノイズが出るとか音が悪いという評判が立ちましたが、パソコンとUSB-DACの距離は短いほうが良いなどと、間違った情報が氾濫している状況ですので、ある意味しかたありません。
特にLXU-OT2は基板だけの「裸」の状態ですので、パソコンからの放射ノイズの影響を受けやすく、ノイズが入ったり音質が悪化することもあるので注意が必要です。



(音質について)
デジタルアンプのLXA-OT1の音が良かったため、期待をしていたのですが、少しがっかりな音でした。
レンジは狭く解像度も良くありません。高音はまずまずとしても低音は弱いです。また奥行などの音場の表現も弱いです。

PCM2704は音が良いDACではないので、覚悟していた部分もあったのですが、ラックスマンがLXA-OT1と同様に、「マジック」を発揮するかと思っていましたが、簡単ではなかったようです。

DACや電源部などに差があるので、ピュアオーディオ用のCDデッキと比べて音が悪いのはしょうがないとして、同じUSB-DACの、RATOC RAL-24192UT1Audinst HUD-mx1と比べても差があります。

ただ、音が悪いといっても、エントリークラスのUSB-DACとしては、回路をしっかりと作っているせいか、コンパクトサイズのハイレゾUSB-DAC「JAVS nano/V」などよりは音は良いです。

LXU-OT2は、入門用のUSB-DACとしては安くて良く出来た製品ですが、これから本格的にPCオーディオを始めたり、本当に良い音を聞きたいのなら、ちゃんとしたUSB-DACを買ったほうが良いと思います。

※よく誤解している人がいますが、24Bit/96kHzや24Bit/192kHzなどのハイレゾ対応とか、Bit-Perfectに対応しているから、音が良いという訳ではありません。あくまでもそういった規格に対応しているだけでです。音の良い悪いはあくまでも、個々の製品の設計やパーツの品質、音のチューニングしだいです。




(基板・入出力端子について)
小さい基板にはパーツがびっしりと取り付けられています。

オペアンプは今回もソケットに取り付けられており、交換が可能となっています。取り付けられているのはJRC「4558D」が、RCA出力用のラインアンプに、JRC「4556AD」がヘッドホンアンプに使われています。

雑誌の記事には回路図も入っており、オペアンプだけでなくコンデンサや抵抗の交換、デジタルアウトの増設、外部電源の導入というところまで記事で紹介しています。ちなみに基板に取り付けられているコンデンサは、台湾のCapXon製です。

その他に使われているのはST製の電圧レギュレータ「LD1117DT33TR」、モトローラ製のオペアンプ「MC34083」、ATMELのシリアルEEPROM「AT24C04」、12MHzの水晶発振器などです。


入力端子はUSB-Bタイプ。出力は前側にヘッドホン(ステレオミニ)。後部にRCAの出力端子があります。

回路の配置は左から電源部、DAC・インターフェイス、アンプ部。

ボリュームとヘッドホン端子 RCA出力とUSB入力端子

オペアンプ CapXon製の電解コンデンサ


(DACについて)
LXU-OT2で使われているDACは、TI社製のバーブラウン・16bitDAC「PCM2704」です。

サンプリング周波数は32/44.1/48kHzに対応しており、USB用のインターフェース(コントローラ)が内蔵されており、電圧レギュレータも内蔵しているので、電源はUSBのバスパワーから供給で稼働できます。
その他にもPLL回路やS/PDIFのエンコーダーを搭載しており、DACというよりも多機能チップになっています。

音質よりも機能を統合することで、コストダウンを図った安価なチップで、「機能」から見ればコスパは高いですが、「音質」から見るとコスパは良くありません。


音が悪い原因はやっぱりDACにあり、そのひとつはデジタルフィルターです。

現在のピュアオーディオ用のDACには、8倍オーバーサンプリングのデジタルフィルタが内蔵されていますが、PCM2704のデジタルフィルタは2倍しかありません。ちなみにCDプレーヤーのデジタルフィルターで、2倍というのは今から30年以上前のレベルです。

USB-DACの場合、どうしてもパソコンからUSBケーブルを通って、デジタルノイズが入ってくるので、きちんとしたデジタルフィルターは必須です。2倍のデジタルフィルターでは役不足というか、無いよりはマシという感じです。


またPCM2704はデルタシグマ型のDACで、アナログ・ローパスフィルターも内蔵しています。ただ、これはノイズ除去のためのフィルターというより、D/A変換の機能がメインとなります。

高周波ノイズの対策としては、DACの後ろに性能の良いローパスフィルターが必要となりますが、LXU-OT2はコストの問題でしょうか、コンデンサ1個と抵抗1個を使った簡易なもので、これではノイズの除去には限界があります。


またノイズの発生源となるUSBインターフェイスと、DACが同じチップ内に同居していますが、これではDACがインターフェイスから発生するノイズを拾ってしまうため、やはり音が劣化してしまいます。ピュアオーディオ用のDACでは、このような構造は採用しません。

結果として、DACの性能を表すS/N比とダイナミックレンジは98dBと、これまた30年前のDAC並みの数値しか出ません。現在のDACのレベルから見るとかなり見劣りする数値です。


「PCM2704」はピュアオーディオ用のDACではなく、ゼネラルオーディオやAV機器など一般向けの商品に開発されたDACです。4万円クラスのエントリーモデルのCDデッキでも、ちゃんとピュアオーディオ用のDACを搭載しているので、音が悪いと感じるのも当然の話ともいえます。


バーブラウン 「PCM2704」 水晶発振器


(電源回路について)
もはやUSB-DACは外部電源を使ったほうが、音が良いというのは常識ですが、残念ながらLXU-OT2はUSBバスパワーのみで外部電源は使えません。

パソコンとUSBケーブルを接続すると、ケーブルの中のデータの線とバスパワーの線を通って、パソコンから強力なデジタルノイズが伝わってきます。
PCオーディオの記事では、スポンサーという「大人の事情」の問題で、この話はほとんど無視することになっているようですが、AMラジオを530KHzにしてUSBケーブルに近づければ簡単にわかります。


CDプレーヤーの音の悪い理由として、サーボ回路や回転系からノイズが発生しているからと書いているアホな評論家やライターがいますが、音質に影響する大きなノイズが発生するのはキズがあったりする場合で、よっぽど傷だらけのCDや偏心のひどいディスクでもない限り、曲の最初から終わりまで音が悪いということはありません。

ましてやCDプレーヤーのサーボ回路は30年にも渡って改良が続けられており、ピックアップ自体にノイズを抑える回路が取り付けられたり、信号回路や電源回路にノイズを抑える工夫(独立トランス、別巻線、独立電源、ノイズフィルタ、別アース、アイソレーションなど)を行い、D/A変換後のアナログ回路やクロックなどにノイズが入るのを防ぐ技術が確立されています。

ところがUSB-DACの場合、こういったノイズ対策の回路や仕組みを入れたくとも、小さなボディに入れるのは無理があるため、ノイズ対策の回路をきちんと装備しているのはフォステックスHP-A7など一部の製品に限られています。

ノイズ対策で簡単に出来てコストのかからない方法は、フェライト製のノイズフィルターをUSBケーブルに装着する方法です。ノイズフィルターは、サイズの小さな物なら100円ぐらいで購入できますし、着脱式なので取り外しも簡単です。

電圧レギュレータ「LD1117DT33TR」 フィルターを取り付けたUSBケーブル


LUXMAN LXU-OT2のスペック


入力信号 16bit
32kHz, 44.1kHz, 48kHz
ヘッドホン出力 62.5mW+62.5mW(16Ω)
サイズ 幅94×高さ30.3×奥行90.7mm
重量 44g













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