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1985年のCDプレーヤー 15〜16万円クラスの比較




1984年秋の世界初のポータブルCDプレーヤーSONY D-50(49,800円)と1985年2月に発売されたマランツの戦略モデル CD-34(59,800円)の大ヒットにより、オーディオメーカー各社はCDの普及期に突入したと判断し、44,800円のエントリーモデルから15万円を超えるフラグシップまで、CDプレーヤーのラインナップの拡充します。

当時の15〜16万円クラスは高級機(ハイエンドクラス)という位置づけで、各社のフラグシップに当たります。ところがマランツのCD-34はミニコンポサイズながら左右独立DACに、ダイキャスト製のシャーシやメカを搭載し、この15〜16万円クラスを超える内容を持っていました。

競争原理から言えばCD-34の後に出てくる各社のフラグシップは、これを超えるものと期待されましたが、実態はかなり違いました。音質的にはCD-34を上回るものもありましたが、価格差が10万円もあるので、それは当然のこと。でもコストパフォーマンスでは大きな差がありました。

SONYのCDP-553ESDは前年のCDP-552ESDのマイナーチェンジで、左右独立DACとなったものの、他はサーボ回路、インシュレーターなどの改良を行っただけです。YAMAHA CD-2000とKENWOOD DP-2000も基本的には従来からあるモデルの進化型で、DACは1個しか搭載していませんでした。
TEAC ZD-5000だけは意欲的な新型機で左右独立DACと、TEACオリジナルの「ZDサーキット」を搭載していました。

こうした背景には各社ともにCD-34は戦略機であることは解っていましたし、当時は物流費用が高かったため、ベルギー製のCD-34は日本に運ぶだけでもコストがかかるという計算があったと思います。そのためCD-34は売れば売るほど赤字になるので、そろそろ終売になるハズだなどと考えていたのかもしれません。
またCD-34はどうせ14bitだからと見下していたのかもしれません。しかしその後もCD-34は売れ続けていきます。

翌1986年、ようやく各社はCD-34を凌駕する15〜16万円クラスの新型機を開発します。いわゆる「物量モデル」の誕生です。この中からはSONY CDP-555ESD、Technics SL-P1200、TEAC ZD-6000など、いまでも名機と呼ばれるモデルが登場することになります。

上:YAMAHA CD-2000 下:Pioneer PD-9010X


SONY
CDP-553ESD
YAMAHA
CD-2000
KENWOOD
DP-2000
TEAC
ZD-5000
発売 1985年11月 1985年11月 1985年11月 1985年11月
価格 160,000円 150,000円 149,800円 159,800円
D/Aコンバータ 16bit
バーブラウン
PCM53JP X2
16bit
バーブラウン
PCM54HP X1
16bit
SONY
CX20152 X1
16bit
バーブラウン
PCM53JP X2
デジタルフィルター 16bit・2倍
オーバ−サンプリング
16bit・2倍
オーバ−サンプリング
左右独立
16bit・2倍
オーバ−サンプリング
16bit・2倍
オーバ−サンプリング
高音質化回路 ユニリニア・コンバーターシステム ユニリニア・コンバーターシステム ZDサーキット
シャーシ 銅メッキ アルミトップ
2重底
CD-2000Wはサイドウッド付
アルミトップ
底板は3mmの鋼板
インシュレーター 銅と特殊ゴム 鉄製 ゴム+アルミ 合金
メカベース ブラック・セラデッド・ベース 鋼板 鋼板 鋼板
ピックアップ BU-1C TAOHS-DG1 MLP-3C MLP-3C
スライド機構 リニアモーター ギヤ ギヤ リニアモーター
電源トランス EIトランス X1 EIトランス X1 EIトランス X1 EIトランス X1
出力端子 アナログ固定・可変
デジタル同軸
アナログ固定・可変 アナログ固定 アナログ固定・可変
周波数特性 2Hz〜20kHz 2Hz〜20kHz 2Hz〜20kHz 5Hz〜20kHz
高調波歪率 0.0025%以下 0.0025% 0.001% 0.0025%
S/N比 102dB 97dB 96dB以上
ダイナミックレンジ 96dB以上 97dB 96dB 96dB以上
チャンネル
セパレーション
95dB以上 95dB以上 96dB 95dB以上
消費電力 15W 17W 20W 20W
サイズ W430×H85×
D365mm
W435×H100×
D290mm
W440×H95×
D313mm
W445×H98×
D342mm
重量 9.3kg 8.0kg 9.1kg 9.2kg


Pioneer
PD-9010X
marantz
CD-84
marantz
CD-34
発売 1985年5月 1984年2月 1985年2月
価格 149,800円 159,800円 59,800円
DAC 16bit
SONY
CX20152
14bit
フィリップス
TDA1540 X2
14bit
フィリップス
TDA1540 X2
デジタルフィルター 16bit・2倍
オーバ−サンプリング
14bit・4倍
オーバ−サンプリング
14bit・4倍
オーバ−サンプリング
高音質化回路
シャーシ サイドウッド アルミダイキャスト
インシュレーター 樹脂
メカベース 鋼板 アルミダイキャスト アルミダイキャスト
ピックアップ PWY-004 CDM-1(メカ) CDM-1(メカ)
スライド機構 ギヤ スィングアーム スィングアーム
電源トランス EIトランス X2 EIトランス X2 EIトランス X1
出力端子 アナログ固定・可変 アナログ固定・可変 アナログ固定
周波数特性 2Hz〜20kHz 4Hz〜20kHz 2Hz〜20kHz
高調波歪率 0.001% 0.003%以下 0.003%以下
S/N比 98dB 96dB以上 96dB以上
ダイナミックレンジ 96dB 92dB以上 96dB以上
チャンネル
セパレーション
95dB 94dB以上 90dB
消費電力 15W 28W 30W
サイズ W457×H95×
D310mm
W416×H90×
D300mm
W320×H90×
D300mm
重量 6.6kg 8kg 7kg




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