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Pioneer PD-9010X 1985年 定価149,800円


パイオニアのPD-9010Xは1985年5月に発売されたCDプレーヤーです。パイオニアは1982年に他のメーカーと歩調を合わせてCDプレーヤーの1号機「P-D1」を発売しますが、その後はレーザーディスクとのコンパチ機の開発に力を注ぎ、ようやく1985年からCDプレーヤーのラインアップを充実させます。そのフラグシップモデルとなったのが、このPD-9010Xです。

ライバル機はSONY CDP-553ESD、YAMAHA CD-2000TEAC ZD-5000KENWOOD DP-2000、ONKYO Integra C-700など。
1985年の15〜16万円クラスのCDプレーヤーの比較

PD-9010Xの内容はオーソドックスなものです。2倍オーバーサンプリングのデジタルフィルターと16bitのD/Aコンバータを搭載。オーディオ回路にはオーディオ用電解コンデンサや黄銅キャップカーボン抵抗、銅製のバスバーなどキチンとしたパーツが投入されています。

搭載されたDACはSONY製の積分DAC「CX20152」です。ところがそのSONYのCDP-553ESDでは、CX20152(前モデルのCDP-502ES/CDP-552ESDに搭載)をやめて、バーブラウンのPCM-53Pを採用しています。当時のCDプレーヤーは性能の向上が著しく、変換精度の悪い積分DACは、すでに時代遅れになりつつありました。

電源部にはデジタル/オーディオ独立のトランスを搭載し、デジタル部からのノイズがオーディオ回路に干渉するのを防いでいます。

ピックアップは追従性の良い3ビームタイプで、ディスクスタビライザーによってディスクの振動を抑え、安定した信号の読み取りを実現しています。
メカはフローティングされているものの、このクラスとしては強度的には不十分です。シャーシーにいたっては防振対策がほとんど無いなど、シャーシとメカは他のメーカーよりも1歩も2歩も遅れていました。

つまりパイオニアは他社と同様に1982年に1号機を発売したものの、CDプレーヤーに力を入れてなかった分、他社との技術の差がかなり開いてしまった訳で、他社に追いつくのは1987年のPD-3000まで待たなくてはなりません。



(音質について)

音質はウォームトーンで積分DAC特有の少し「まったり」とした音です。レンジは狭く刺激的な部分などは無いので、良く言えば「アナログライク」。この味が好きがどうかでこのプレーヤーの価値が決まると思います。
パイオニアの特徴である少し明るめのサウンドですが、落ち着きはあります。ただ今ふうに透明感や解像度、ワイドレンジに重きを置くと、いろいろと厳しいところが出てきます。

音の良し悪しで言ったら当時の最新DACを搭載し、シャーシーの防振対策もキッチリされたYAMAHA CD-2000には全くかないませんし、同じ積分DACのKENWOOD DP-2000にもかないません。
また下のクラスのYAMAHA CD-1000SONY CDP-303ESにも負ける部分があります。さらに、レベルが高かった1988年の59,800円クラスのCDプレーヤーが、相手となるとほとんど勝ち目はありません。

「15〜16万円クラス」とか「フラグシップ」という言葉だけで入手すると、プラシーボが良い方に働けば満足できるかもしれませが、反対にガッカリさせられる場合も出てくると思います。
それを理解したうえで1980年代の積分DACやパイオニア・サウンドの「香り」を聴くのも、楽しみ方のひとつです。



(フロントパネル)
下級機のPD-7010と共通の薄型で精悍なデザインで、両側のサイドウッドが高級感を感じさせます。この頃はサイドウッドというと上級機の証のようなものでした。

薄型デザインですが、プレイ、ストップ、ポーズ、スキップ、サーチといった、よく使うボタンはとても大きいので使い勝手は良いです。ただPD-7010には10キーが付いていますが、何故かPD-9010Xにはありません。


動画の音はビデオカメラの内蔵マイクで録音しているため、音質は良くありません。


(内部について)
サイドウッドが付いているものの1985年の各社の15〜16万円クラスでは、重量は最も軽く6.6kg(実測重量は6.5kg)しかありません。内部はそこそこ詰まっており、サイドウッド(1個 365g X2)と電源トランスが2個あることを考えると、いかにシャーシーが軽量で貧弱であるかがわかります。

シャーシは薄い鋼板製で底板は2重ではありませんが、プレスによるパターンで強度を上げています。天板も1枚板のコの字型の鋼板で、防振材はほとんど付いてないため、叩くと良く鳴ります。サイドパネルのみサイドウッドが付くので2重となります。
インシュレーターは小型(直径45mm)の樹脂製でアルミの化粧リングが付いています。

基板は2分割で手前がサーボや信号処理、システム・コントロールなどのデジタル回路。奥が電源とオーディオの回路となっています。
底板 インシュレーター


(電源回路)
電源トランスは小型の物ですが、デジタルとオーディオと独立しています。電源回路はオペアンプを使ったアクテイブ電源で、銅製のバスバーも装備されています。整流用のダイオードには発光ダイオードが使用されています。

電解コンデンサはELNA製のFOR AUDIO 25V・3300μFが2本や、ニチコン製のMUSEなどが使われています。
電源ケーブルはOFCで幅10mmの平型キャブタイヤコードです。
電源トランス 電源回路

電源回路 ELNA FOR AUDIO 25V・3300μF


(デジタル回路 サーボ・信号処理)
サーボ回路は「リニアサーボシステム」と名付けられていますが、SONY製のサーボコントロール用チップ「CX20108」が使われており、つまりSONYの「Sサーボ」の名前を変えただけということになります。
信号処理用のチップもSONY製の「CX23035」が使われています。
デジタル回路 SONY CX23035


(オーディオ回路)
オーディオ回路は銅メッキされた鋼板のシールドで囲われており、デジタル回路からの干渉を低減しています。

D/AコンバーターはSONY製の16bit積分DAC「CX20152」で、銅板が貼り付けてノイズ対策が施されています。デジタルフィルターもSONY製のCX23024(2倍オーバーサンプリング)で、こちらにも銅板が貼り付けられています。

積分DACはゼロクロス歪などが発生せず、ノイズにも強いなどのメリットがありましたが、変換精度に難がありラダー型のDACなどにとって変わられていきます。ちなみにライバル機であるSONY CDP-553ESDとYAMAHA CD-2000などはバーブラウンのラダー型DACを使用しています。
ローパスフィルターはモジュール化されたもので、金属製のケースに収められています。

オペアンプはサンプルホールド回路にはナショナルセミコンダクター製のLF353。ラインアンプにはJRC 5534DD。
コンデンサはニチコンのMUSEや、日本ケミコンのAWDといったオーディオ用電解コンデンサに、積分とサンプルホールド回路には、樹脂製のモールドケースに入ったスチロールコンデンサも使われています。
オーディオ回路 銅板が貼られたデジタルフィルター

銅板が貼られたDAC CX20152 積分回路とサンプルホールド回路

ローパスフィルターとラインアンプ


(ピックアップ・ドライブメカ)
ピックアップ・ドライブメカは下級機のPD-7010やPD-5010と同じもので、フラグシップ機としては貧弱です。
チャッキングアーム方式のメカで、ベース部分は鋼板製でシャーシとの接合部でフローティングされています。クランパーの部分はディスクの振動を押さえるため大きなディスク・スタビライザーとなっています。

ピックアップは3ビームのPioneer「PWY-004」で、収差の優れた非球面レンズやフォーカスパラドライブ機構、クロスパラレルサスペンションなどを装備しています。

スライド機構はワームギヤを使用し高速アクセスが可能です。このワームギヤ方式は現在のCDプレーヤーでも良く使われている方式ですが、モーターでタイレクトに駆動するものがほとんど。
PD-9010Xではモーターとワームギヤの間にゴムベルトを挟むことによって、モーターの振動がギヤを介してピックアップに伝わらないようになっています。


(メカのメンテナンス・修理)
トレイ開閉用のゴムベルトの交換は、シャーシとプーリーとの隙間が狭く作業がしにくいですが、メカをバラして交換するとなると、ちょっと時間がかかります。

ピックアップ・ドライブメカ ピックアップ・ドライブメカ

ピックアップ PWY-004 メカの裏側

トレイ開閉用のプーリー クランパー(ディスク・スタビライザー)


(出力端子)
出力端子はアナログの固定出力が1系統のみです。他にはサブコード端子と電源コンセントがあります。専用リモコンは「CU-9010X」。
出力端子 リモコン CU-9010X


スペック

周波数特性 2Hz〜20kHz ±0.3dB
全高調波歪率 0.001%以下
ダイナミックレンジ 96dB
S/N比 98dB
チャンネルセパレーション 95dB
消費電力 15W
サイズ 幅457×高さ95×奥行310mm
重量 6.6kg














Pioneer・パイオニア PD-9010X B級オーディオ・ファン