|
||
TOP > 使っているオーディオ > CDプレーヤー > DP-1100 |
TRIO/KENWOOD DP-1100 |
1983年 定価149,800円 |
TRIO(KENWOOD)のDP-1100は、1983年11月に発売されたTRIOにとって2号機となるCDプレーヤーです。当初発売されたのが写真のシルバーモデルで、ブラックモデルは1ヶ月後に発売となったようです。 TRIOの1号機L-03DPは「KENWOOD」ブランドで発売され、DP-1100の後に発売されたDP-1100ⅡやDP-900、DP-700もまた「KENWOOD」で発売されたため、結局TRIOブランドで発売されたCDプレーヤーは、この「DP-1100」だけとなります。 DP-1100のライバル機はSONY CDP-501ES(168,000円)、Technics SL-P8(150,000円)、DENON DCD-1800(DENONの自社開発1号機・159,000円)、SANSUI PCV-1000(SANSUIの自社開発1号機・158,000円)など。 TRIOのCDプレーヤー1号機 L-03DPは、Aurex(東芝)との共同開発機でした。といってもメインの開発は東芝側で行われており、中味もXR-Z90とほとんど同じでした。 このDP-1100は事実上、自社開発の1号機となります。まだ東芝との協力関係は続いており、メカなどは同時期に発売されたAurexの2号機XR-Z70と同じものを使用しています。また半導体などの東芝製パーツもたくさん使われています。 DP-1100はL-03DPが垂直ローディング・垂直ドライブだったのに対し、一般的な水平ローディング・水平ドライブのメカを採用しています。ピックアップは、高精度レンズや応答特性の優れた2次元アクチュエーターを持つ、1ビームの東芝製「OPH-32」を搭載しています。 D/Aコンバータは16bitの積分型を採用しています。D/A変換の精度を保つために、専用の定電流回路を開発し、安定した電流を供給しています。また電源回路はデジタルとアナログ部を独立電源として、オーディオ回路へのデジタル部からの干渉を防いでいます。 サーボ回路は「オプティマム・サーボコントロール」です。この名前はKENWOODのサーボ回路の名称として、代々受け継がれて行きます。 回路はディスクのキズやホコリを自動的に検知して、サーボ量をコントロールするというもので、検知(エラー検出)の方法は基本的にはL-03DPと同じですが、回路設計は大幅な見直しが行われ、コンパクトでかつ精度や信頼性の高い回路となっています。 プログラムや再生の機能では、曲の頭出しが瞬時にできる多機能DPSS(ダイレクト・プログラム・サーチ・システム)や、16曲までのプログラムメモリーを搭載しています。 DP-1100の価値は、もはや絶対数が少ない「TRIO」ブランドのCDプレーヤーだということです。 1号機であるL-03DPの稼働機(音がでるもの)は、かなり少なくなっており、このDP-1100も1年遅れの製品ですから、同じような状況だと思います。持っている方は大切にしてあげてください。 ※KENWOODはDP-1100の後も、東芝に対してAurex XR-V52(1985年)などを、OEM供給するなど協力関係を続けていたようです。 (音質について) 積分DACならではの暖色系の音を聴かせてくれます。レンジや音場は狭いですがボーカルなどの定位は良いです。 15万円という価格は付いていますが、まだ2号機ですので音としては発展途上の段階。解像度や透明感など、いろいろと求めるのは無理です。 それでもDP-2000やDP-1000(1985年)と同じ傾向の音で、KENWOODのサウンドが出来上がっていたことが解ります。 |
|||||||||||||||
(フロントパネル) | |||||||||||||||
フロントパネルのデザインは、以後のKENWOODのCDプレーヤーのデザインの母体となるもので、1996年のDP-1100D/990Dまで踏襲されていきます。カラーはシルバー以外にブラックもありました。 ディスプレイは数字を表示するFL管が細いので、少し離れると見にくいです。 |
|||||||||||||||
|
|||||||||||||||
動画の音はビデオカメラの内蔵マイクで録音しているため、音質は良くありません。 | |||||||||||||||
(シャーシと内部について) | |||||||||||||||
シャーシは強度を高めるためのビーム(はり)構造を採用しています。またオーディオ回路とデジタル回路を分けるシールド板なども装着されています。こういったシャーシの構造は、1980年代の終わりまで引き継がれていきます。 内部は左側がメカと電源トランス。右側の基板は2階建てで、1階に信号処理の回路とオーディオ用電源。2階にはサーボ回路とデジタル用の電源。一番奥のタテにマウントされているのががオーディオ回路となっています。 設計自体はどちらかというと音質よりも、低コスト化や信頼性に重きを置いています。水平メカによって読み取りの精度が向上、安定化させている一方で、L-03DPに比べると電源回路が貧弱になっています。 それでも、ライバルとなるDENON DCD-1800やONKYO DX-30よりも、かなり洗練された設計であり、当時のKENWOODの技術力の高さがわかります。 |
|||||||||||||||
(電源回路) | |||||||||||||||
電源回路はデジタルとアナログ部を独立電源とし、オーディオ回路へデジタル部からの干渉を防いでいます。 DP-1100は積分型DACを搭載しているため、DACまわりの電源が、D/A変換の精度を保つためのポイントとなります。そこでDAC専用の定電流回路を開発し、安定した電流を供給しています。 現在では必需品である、家庭用電源からのノイズを減衰するノイズフィルターも、すでに装備しています。 |
|||||||||||||||
|
|||||||||||||||
(デジタル回路 サーボ・信号処理・システムコントロール) | |||||||||||||||
サーボ回路と信号処理回路は、大幅な見直しが行われてL-03DPに比べると大幅にスッキッリしました。 サーボの制御回路に使われているチップは、東芝製のセミカスタムIC「TC15G008」です。これにロジックを組み込みサーボをコントロールしているようです。この頃はまだサーボ制御の専用チップがほとんど無く、各社ともにマイコンやカスタムICなどを使ってサーボ制御を行っていました。 信号処理回路は東芝製のマイクロ・コントローラなど、5つのICで復調や誤り訂正などを行っています。 |
|||||||||||||||
|
|||||||||||||||
(DAC・オーディオ回路) | |||||||||||||||
D/AコンバーターはSONY製の16bit積分型DAC「CX20017」です。DACの後ろには積分回路やスィッチング回路、サンプルホールド回路などがあり、ローパスフィルターはモジュール式です。 コンデンサはELNA製、他に銅スチロールコンデンサーなども使用されています。オペアンプはTI製で「0720P」と「NE5532P」。 |
|||||||||||||||
|
|||||||||||||||
(ピックアップ・ドライブメカ) | |||||||||||||||
ピックアップ・ドライブメカはチャッキングアーム式です。この方式は1980年代によく使われた方式ですが、このメカは最初期ということで、何となく頼りない作りです。 ピックアップは1ビームの東芝製「OPH-32」を搭載しています。レンズには収差の少ない高精度レンズを採用。レーザー光線をディスクのピットに正確に当てるため、サーボの制御信号への応答特性に優れた2次元駆動アクチュエーターも装備しています。 トラッキングエラー検出は4分割ディテクターの時間差検出方式、フォーカスエラー検出は反射型の臨界角検出となっています。 ピックアップのスライド機構はギヤ式です。フロントパネルに対して直角ではなく、斜めに取り付けられています。 まだメカのフローティング機構はありません。俗にいうリジットです。トレイの開閉はギヤのみで行われているので、ゴムベルトはありません。 |
|||||||||||||||
|
|||||||||||||||
(出力端子) | |||||||||||||||
出力端子はアナログ固定が1系統のみです。リモコンはオプションではなく標準装備となっています。 |
|||||||||||||||
|
|||||||||||||||
上:DP-1100(1983年) 下:DP-1000(1985年) |
周波数特性 | 2Hz~20kHz±0.5dB |
高調波歪率 | 0.0015% |
ダイナミックレンジ | 95dB以上 |
S/N比 | 95dB以上 |
チャンネル セバレーション |
|
消費電力 | 23W |
サイズ | 幅440×高さ88×奥行310mm |
重量 | 6.8kg |
TOP |
CDプレーヤー |
アンプ |
スピーカー |
カセットデッキ |
チューナー |
レコードプレーヤー |
PCオーディオ |
ケーブル |
アクセサリー |
歴史・年表 |
いろいろなCD |