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LXA-OT1は、音楽之友社のオーディオ雑誌「stereo 2012年1月号」(2011年12月発売)の、付録として制作されたデジタルアンプです。価格は雑誌本体込みで2,800円。 LXA-OT1は「Stereo」誌とLUXMAN(ラックスマン)との共同企画によるデジタルアンプで、付録ということで低価格にも関わらず音が良いと評判となり、売り切れる書店が続出。オークションでは定価の2倍以上でも売れてしまうなど話題になったデジタルアンプです。 当時は中華デジアンのToppingやS.M.S.Lなどの名前を知っていても、実際に音を聞いたことが無いという人も多くいました。 特にオーディオファンは、デジタルアンプというと、10年ほど前に発売された、SHARP SM-SX100(価格は100万円)の印象が残っている人もおり、数千円の中華デジアンが、まともな音が出る訳が無いと批判的な人もいました。 ※中味を見る限りはToppingやS.M.S.Lが適正な価格で、SM-SX100はかなりのボッタクリ価格だと思います。 どちらにしても高級ブランドのLUXMANの名前の効果は絶大で、結果として多くの人がデジタルアンプの初体験をすることになりました。 LXA-OT1の本体にはケースは付いておらず、基板がムキ出しですがホコリよけに透明カバーが付いています。その他には4本の脚と12VのACアダプタが付いています。基板とACアダプタには何とLUXMANのロゴ付きです。 アンプの心臓部となるデジタルアンプICは、STマイクロの「TDA7491HV」を搭載。TDA7491HVはデュアルBTL接続のDクラスアンプで、最大出力は20W+20Wの出力(4Ω)のパワーがあります。ただしLXA-OT1ではACアダプタの電圧などの問題もあり出力は5W+5W(8Ω)となっています。 またプリ部のオペアンプはソケットで取り付けられているため、ユーザー側で交換が可能となっています。オリジナルではJRC 4558Dが取り付けられています。 (音質について) 特徴は「腰の低さと安定感のある音」。小型デジタルアンプは電源部の弱さなどの影響で、低音や中音の厚みがない物が多いです。 LXA-OT1はそういう弱点を理解した上で、LUXMAN(ラックスマン)がキチンとチューニングしたという感じです。 高音もキチンと伸びており、繊細な表現も出来て、さらにツヤもあります。レンジや音場はそれほど広くはないですが、3,000円以下のアンプですから、しょうがありません。 安いデジタルアンプは音が硬い物が多いですが、LXA-OT1は柔らかさがちゃんと出ています。 出力は市販の中国製デジタルアンプが、20W+20Wぐらいなのに対し、LXA-OT1は5W+5Wとスペックはだいぶ低いですが、実際に聴くとパワーにまったく過不足はありません。20cmウーファー搭載の「Celestion 7MkⅡ」はもちろん、フロアスピーカーの「TANNOY EYRIS 3」もキチンと鳴らしています。 使われているデジタルアンプICの「TDA7491HV」は、液晶テレビなどにも使われる汎用的なチップですが、有名な「TA2020-020」を搭載したデジタルアンプよりも、LXA-OT1の方が音が良いです。 同様に「TDA7498E」を搭載し、音が良いと評判のFX-AUDIO- FX1002Jよりも優れている部分が多いです。 また5~6万円クラスの、下手な初級クラスのAVアンプよりも音は全然上かもしれません。 ダテに「ラックスマン」の名前を出している訳ではありませんでした。 |
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(基板・入出力端子について) | ||||||
コストの問題からか小さい基板にはパーツがびっしりと取り付けられています。雑誌には回路図が付いていおり、それだけを見るときれいな配線に見えますが、実際には入出力端子の配置の問題もあり、オーディオ的な引き回しはけっして良好とは言えません。 パーツは表面実装タイプのものが多いですが、音質への影響が大きいオペアンプはソケット式で交換が可能。また電解コンデンサもチップ形ではなくリード形を使用するなど、交換ができるようになっています。使われているコンデンサは台湾の「CAPXON」製。台湾の他のメーカーや中国本土のメーカーのコンデンサに比べると安定性や耐久性などの品質が良いです。 後部の入出力端子はAC(センターIN)、ライン入力(RCA)、スピーカー出力です。スピーカー端子はワンタッチ式のため、太いスピーカーケーブルは入りません。 |
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回路の配置は右から電源部、プリ部、パワー部という配置 | ||||||
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(プリ部) | ||||||
プリ部の特徴はソケットによりオペアンプが交換できること。オリジナルで取付られているオペアンプはJRC 4558Dです。 この「4558」は、1971年にレイセオン社が開発したオペアンプ「RC4558」を、新日本無線が国産化したもので、1970年代~現在にいたるまで、多くのオーディオ機器に搭載されてきたオペアンプです。 古い物は「艶あり」と呼ばれて、そのウォームトーンはいまだに信奉者がいるなど、オペアンプの名器とも呼べる存在です。 最終的にはコストとの兼ね合いもあって、4558Dになったのだと思いますが、新しいオペアンプを使って解像度優先に走るのではなく、音の柔らかさにこだわったことこそ、LUXMANのこだわりがあったのかもしれません。 また音質向上には電源の安定が不可欠ですが、電解コンデンサを多数投入しているところも、中国製のデジタルアンプとは大きく違うところ。このあたりもオーディオメーカーならではノウハウです。 |
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(パワー部・電源部) | ||||||
使われているデジタルアンプICはSTマイクロ製の「TDA7491HV」で、オーディオ用という訳ではなく、テレビの音声出力などにも使われる汎用的なチップです。 TDA7491HVは汎用ということで電源の電圧はDC5~18Vと広く、最大出力は20W+20W(8Ω)、スタンバイやミュート機能、短絡防止や過熱保護回路、ポップ防止回路などが搭載されています。 内部にはアナログ信号をデジタル信号に変換する回路、PWM(Pulse Width Modulation・パルス幅変調)回路、レベルシフト回路、ドライバー段などがあります。 A/D変換はデルタシグマ変調で積分器と量子化器を使用して、アナログ信号を1bit信号(パルス)に変換。この時に量子化ノイズが発生するので、他のデジタルアンプ同様にノイズシェイパーを使って量子化ノイズを高域に移動さているかと思います。 増幅した信号には高周波のノイズも含まれているため、ローパスフィルターを通してノイズ成分をカットしてスピーカーに出力します。 ローパスフィルターはインダクタとコンデンサによるLC形のパッシブフィルターで、「TDA7491HV」のデータシートの推奨回路とほとんど同じ。 違いはインダクタの容量(22uH)とコンデンサ1本の容量のみです。 電源部のデカップリングコンデンサ(平滑コンデンサ)は、25V・1000uFが2本。中国製のデジタルアンプでも、これよりも大きなコンデンサを搭載しているものもありますが、LXA-OT1はこの部分だけではなく、ACアダプタから入ってきた電源の安定化をキチンとやっています。 デジタルアンプICはスペック的にはDC5~18VのACアダプタに対応しているため、多少の電圧変動は大丈夫かと思ってしまいますが、それは単に耐圧だけの問題で、実際には小さな電圧変動によりA/D変換の精度やPWM変調時に影響が出ます。そのためLXA-OT1のような電源の安定化は特に音質の向上に効いてきます。 |
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定格出力 | 5W+5W(8Ω) |
周波数特性 | 10Hz~40kHz(+0,-3dB) |
高調波歪率 | 0.5%(1KHz) |
S/N比 | 90dB |
スピーカー インピーダンス |
4Ω~8Ω |
電源(ACアダプタ) | DC12V 1A センタープラス |
サイズ | 幅94×高さ40×奥行52mm |
重量 | 74g |
デジタルアンプ |
USB DAC |
ヘッドホンアンプ |
DAP |
イヤホン |
ヘッドホン |
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