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DAC-SQ5Jはノースフラットジャパン(NFJ)が、FX-AUDIOブランドから、2017年10月30日に発売したハイレゾ対応のUSB-DACです。 対応しているのはPCMがUSB入力で24bit/96kHzまで、光と同軸端子は最大24bit/192kHzまでのハイレゾに対応しています。DSDの再生は出来ません。 新しいDACは32bit/768kHzのPCMと、DSD512(DSD 22.4MHz)に対応していますが、かんじんのハイレゾ配信の新譜が少なくなっており、一部のクラシックやジャズを除くと、PCM 24bit/96kHzがメインという状態です。 DAC-SQ5Jの特徴はバーブラウン PCM1794Aの搭載と、デスクトップのUSB-DACとしては、強力な電源回路を持っていることです。 DACはTI製のバーブラウン 24bitのPCM1794Aです。以前よりも価格は安くなりましたが、7.5ドルと日本のオーディオメーカーがよく使う、32bitのPCM1795の3ドルの2倍以上もします。 「アドバンスド・カレントセグメン方式」というD/A変換方式を採用しており、8倍オーバーサンプリングの、デジタルフィルターも内蔵しています。出力は電流出力です。スペックも優秀でダイナミックレンジが132dB、歪み率0.0004%となっています。 DACの後ろのオーディオ回路では、I/V変換にオペアンプ「LME49720NA」。差動合成/ローパスフィルターにオペアンプ「OPA2604」が使われています。 このオペアンプはソケット仕様なので、好みに応じてオペアンプを交換可能です。 電源回路はDAC、DACやその後ろのオーディオ回路とともに、音質の良し悪しに直結する重要な回路です。 DAC-SQ5Jのようなデスクトップサイズの小型DACでは、ACアダプタやUSBバスパワーの電源を回路ごとに減圧して供給しています。 この方式はコストが安い代わりに、他の回路で電圧の変動やドロップが発生すると、DACやオーディオ回路も、その影響を受けて音質が悪化してしまいます。 DAC-SQ5Jでは独立電源回路を採用し、DACなどインターフェイスICは、ICごとにレギュレーターを独立させて相互の干渉を低減しています。 オーディオ回路はDC-DCコンバータを使用して正負電源を作り、音質に影響するカップリングコンデンサを不要としています。 また、このクラスとしては容量が大きい、電源デカップリングコンデンサ(バイパスコンデンサ)を搭載しています。 これにより、外部電源からの高周波ノイズの低減するとともに、平滑コンデンサとして働くことでリップルを抑え、内部回路で電圧の変動が発生した場合でも、安定した電源を供給します。 USBのレシーバーはVIA製 VT1728Aを使用。S/PDIFは旭化成 AK4113です。クロック発振器はNFJオリジナルの12.288 MHzの物が搭載されています。 入力端子はUSB TypeB(1.1/2.0)、S/PDIFの光端子(TOS-LINK)とコアキシャル同軸端子の3系統。出力端子はRCA端子で固定出力となっています。 電源はUSBバスパワーは使用不可で、外部電源での動作となるため、別途ACアダプタが必要です。 DC 12V/500mA以上が推奨で、DCジャックは外径5.5mm×内径2.1mm(センタープラス仕様)となります。 操作は電源ボタンを長押しすると電源のON/OFF。電源が入ってから短く押すとUSB/同軸/光の入力切替ができます。 ディスプレィはEL液晶ですがサイズが小さく、表示される文字も小さいです。表示されるのはサンプリング周波数と入力端子名だけです。 |
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(USBのドライバーについて) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
メーカー側から対応OSの説明はありませんが、Windows 10で問題なく動作します。 ドライバの名前はSPDIFインターフェイス「FXAudio DACSQ5J」と表示されますが、USBドライバとして使用できます。 |
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(音質について) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
音は少し硬めですがレンジは広く情報量もに多いです。 解像度も高く、細かい音もキチンと再生します。音場は広く、奥行もキチンとでます。 デスクトップ型のUSB-DACでは、苦手な音のキレや艶などもあり、低音の不足感もないです。 TOPPINGの同じ1万円クラスのDAC、D30やE30と比べると全くレベルが違う音。ある意味、別次元の音です。 簡単にいうとデスクトップオーディオの音ではなく、ピュアオーディオの中級機のレベル。CDプレーヤーでいうと、国産の10万円クラス、コスパの悪い海外勢でいうと20~30万円クラスのSACDプレーヤーと勝負ができます。 人によってはPCM1795搭載のDCD-1650REよりも「音が良い」という人がいても不思議はありません。 欠点としては曲によって高音が、やや出過ぎるところがあり、少しキャラクタもあるので、スピーカーとの相性が出るかもしれません。 こういう欠点は中級機やハイエンドでもある話ですし、スピーカーなどのセッティングによって解消できる場合もあります。 音楽のジャンルはクラシック、ジャズ、フュージョン、ロックと再生OK。打ち込み系が多いアニソンは少し苦手。 ピュアオーディオ用のアンプと組み合わせても、まったく問題ないですが、小型のデジタルアンプ FX-AUDIO- FX-502JやS.M.S.L SA-36APROと組み合わせても良い音が出ます。 これらのデジタルアンプは、ピュアオーディオ用のアンプに比べて、レンジの狭さ、音の濃密、低音不足などの問題があるが、DAC-SQ5Jによって、まるでアンプもグレードアップしたような感じの音になります。 |
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(内部について) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
このサイズのDACとしてはパーツ数が多いです。 回路の配置はフロントパネルのすぐ後ろが電源回路。その後ろの左側がオーディオ回路、右側がデジタル回路になっています。 電源回路はデスクトップサイズではトップレベルで、Topping D90(100,000円)と同等かそれ以上と言えます。スペースの問題で表面実装のパーツが使われていますが、昔のオーディオ風に言うと、このクラスの物量機です。 これにあと、小型のトロイダルトランスと整流回路を付けて、DACと後ろのオーディオ回路をもうひとつ増やして、バランス回路にすれば、高級DACになってしまいます。 DAC PCM1794Aの後ろには、オペアンプは2つありますが、LME49720NAはI/V変換に使用。もうひとつのオペアンプ OPA2604は、差動合成とローパスフィルターに使われています。 それ以外のパーツもキチンとした物が使われており、フィルムコンデンサはEPCOS、ERO、WIMA製を使用。DALE製Milスペック規格の金属皮膜抵抗器も使われています。 |
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(PCM1794Aについて) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
PCM1794Aは音質に定評のあるDACです。24bitDACですがメーカーの中でも、PCM1795などの32bitDACをさしおいて、PCM1792とともに最高音質に位置付けられていました。 PCM1794はマルチビット型DACが持つ「力強さ」や「芯がある音」と、1ビット型DAC(ΔΣ変調)の「繊細さ」を融合するために、「Advanced Current Segment方式」(最近はAdvanced Segment方式と呼ばれています)というD/A変換方式を搭載しています。 内部は1bitDACの「MASH」と同じように、4個のDACがありL+-・R+-の差動出力(電流)をしています。 正確にいうと電流出力するカレントセグメントDAC部分は、60以上のセグメントに分かれているので、4個というのも正解ではないのかもしれません。 内部には8倍オーバーサンプリングの、デジタルフィルターが搭載しています。デジタルフィルターで24bitにアップコンバートした信号を、上位6bitと下位18bitに分割します。 上位6bitはICOBデコーダーで63レベルの信号に変換され、下位18bitのデータが5レベル・3次のΔΣ(デルタシグマ)変調器を通ったデータと合算されます。 これらのデータはアドバンスDWA回路(後ろにあるカレントセグメントの誤差を最適化する回路)を通った後、67個の差動カレントセグメントDACで、D/A変換され電流出力されます。 PCM1794はDSD非対応でハードウェア制御となります。同じシリーズのPCM1792はDSDに対応しており、ソフトウェア制御となります。 |
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(電源回路について) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
デスクトップオーディオのDACとしてはとても強力な電源回路を搭載しています。 製品のサイズや価格的な制約があるにも関わらず、デジタル部分の安定化電源回路の内容、全体の電解コンデンサやレギュレータなどの数などは、Topping D90(90,000円)をも上回っています。 現在のデジタル回路は昔のCDプレーヤーやDACに比べて、大量のノイズが発生するようになっており、音質への影響が高まっています。 ハイレゾ対応のUSB-DACでは、ファイルサイズの大きいPCMやDSDなどのデータを受信するために、USBやS/PDIFのインターフェイスICは高速のスイッチング動作をします。 また同様にデイスプレィなどを制御するマイコンも、高速のスイッチング動作を行います。 これらのICのスイッチング動作によって、スパイク状の電流が流れ、ノイズの発生と電源電圧が変化します。 ここで発生したノイズは、音楽信号といっしょに流れるだけでなく、電源のラインにも伝わります。また電源電圧の変化は回路の動作が不安定になる原因となります。 デスクトップサイズのUSB-DACのほとんどは、ACアダプタや内部電源で整流された電源を、ICごとに減圧して供給するだけです。一応小さなバイパスコンデンサが付いていますが、ノイズや電圧の変化に対して十分なものではありません。 そのため、USBインターフェイスが原因で起きた電圧の変化により、DACに供給する電圧が一時的に降下して、変換精度が悪化して音質低下の原因となります。 また、信号ラインのノイズはデジタルフィルターや、DACの後ろのローパスフィルターでカットできますが、電源ラインに入ったノイズは、DACやオーディオ回路に回って音質の悪化をまねきます。 そこでDAC-SQ5Jのように、各回路に専用の電源を設ける「独立電源」が重要になります。電源を独立化することで、ノイズの回り込みを抑えるとともに電圧の変動も、その回路だけになるため、他の回路への干渉(影響)を抑えることができます。 DAC-SQ5Jでは、デジタルとオーディオという回路別の独立電源ではなく、さらに細かいIC別の独立電源を採用しており、回路の構成としてはピュアオーディオの中級機と同じです。 平滑用の電解コンデンサは16V・2200μFが2本ですが、バルクコンデンサは表面実装型が20本。正負電源用にはELNAのリードタイプが4本。Topping D90のバルクコンデンサは11本ですから2倍以上です。 各ICやオーディオ回路用のレギュレータやトランジスタは7個。オペアンプ用の正負電源などのDC-DCコンバータが5個という構成も、Topping D90を上回っています。 |
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入力データ | (USB) PCM 24bit/96kHz (S/PDIF 光・同軸) PCM 24bit/192kHz |
SN比 | 109dB |
全高調波歪率 | 0.004%以下(20Hz-20kHz) |
ダイナミックレンジ | 110dB |
チャンネル セパレーション |
99dB以上 |
電源 | 外付けACアダプタのみ(別売)で、バスパワー動作不可。 DC 12V/1A以上推奨 DCジャック 外径5.5mm×内径2.1mm (センタープラス仕様) |
サイズ | 幅97×高さ32×奥行147mm |
重量 | 350g |
USB DAC |
デジタルアンプ |
ヘッドホンアンプ |
DAP |
イヤホン |
ヘッドホン |
オーディオケーブル |
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