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Topping D30

2016年 オープン価格





Topping D30は、2016年8月に発売されたハイレゾ対応のUSB-DACです。

ヘッドホンアンプのA30やデジタルアンプのVX3と、組み合わせて使うために同一のデザインが採用されています。ヘッドホンアンプ機能がなくなりましたが、いちおうD3の後継モデルとなります。

オープン価格ですが、実売価格は12,000円~15,000円ぐらい。

メーカーのToppingは日本では、デジタルアンプのTP10やTP20シリーズのヒットにより有名です。現在はデスクトップサイズの小型デジタルアンプや、USB DACを主力商品としています。



Topping D30は24bit/192kHzのPCMと、DSD128(DSD 5.6MHz)に対応しています。

DACはCirrus Logic(シーラスロジック)の24bit/216kHz 「CS4398」を搭載しています。2003年に登場したDACで、当時はその音から美音系と呼ばれていました。

古いDACなので現在から見るとスペックは見劣りしますが、同じシーラスロジックのCS43198など32bit/384kHzのDACを差し置いて、いまだに多くの製品に搭載されているDACです。


USBインターフェイスにはコントローラ機能を持つXMOS XS1。S / PDIFインターフェイスはシーラスロジックのCS8416を採用しています。

その他のパーツとしては、KOA製の抵抗。WIMAやEPCOS製のフィルムコンデンサ。オペアンプはTI製のOPA2134が使われています。

Bluetoothは搭載されていないので、有線による接続しかできません。


入力端子はUSB入力がPCMが最大24bit/192kHzまで。DSDネイティブとDoP(DSD over PCM)はDSD64~DSD128(5.6MHz)に対応。

S/PDIFは光と同軸端子があり、最大24bit/192kHzのPCMに対応しています。

出力端子はRCA端子だけです。

ボディはアルミシェルのヘアライン仕上げです。


付属品は15VのACアダプタとUSBケーブル (A to Bタイプ)です。初期のロットにはドライバーが入ったUSBメモリが同梱されていましたが、現在は入っていません。
RCA ケーブルも同梱されていないので、別途用意する必要があります。



2021年にToppingから D30PROが発売されました。回路は全くの新設計で、DACは32ビットのCS43198を4基搭載したフルバランス回路でXLR出力が可能です。

ハイレゾはPCM384kHz、DSD256まで対応しています。

設計は最近のToppingで多い手抜きパターンで、小型のスイッチング電源モジュール(スマホの充電器と同様の物)を内蔵しているので、ACアダプタは不要です。

ただし電源モジュールは安物です。音質に不満があっても内蔵なので、ACアダプタのように交換はできません。電源回路もD30のような独立電源ではなく、ICや回路ごとに減圧して供給しているだけのようです。

コンデンサや抵抗などのパーツも音質の良い物は使われていないようです。

実売価格は40,000円ぐらいなので、D30の名前が付いていますが、D50SとD70Sの中間のグレードとなります。(TOPPINGのサイトでもそういう扱いです)
※最近のTOPPINGは型番の付け方が変です。

そのためD30の実際の後継モデルはE30ということになります。




(Windows用ドライバー)
ドライバーは下記のようにゴタゴタしていましたが、現在はWindows10に標準でドライバーが用意されており、パソコンにUSBケーブルをつなぐだけで使用できます。またハイレゾ用のドライバーはWASAPI用ドライバーが用意されており、インイトールしなくても使用できます。


D30の初期の生産ロットにはドライバーが入ったUSBメモリが入っていましたが、これが読めないトラブルが続発。

Toppingのサイトからもドライバーをダウンロードできたのですが、何故か途中で削除されました。XMOSのサイトに行ってダウンロードをせざるを得ませんでした。



(外部電源とACアダプタ)
外部電源は15V/1Aです。付属のACアダプタは安物で音が悪いので、できれば交換したほうが良いです。


付属品



(音質について)
音は柔らかめです。DACの後ろの回路であまり音のチューニングをしていないようで、シーラスロジックらしい音が良く出ています。

高音は良く伸びますが、低音は締まっていますが量感はそれほどありません。細かい部分の再現は良好です。

現在のDACのレベルから言うとレンジが広いとか、解像度が高いなどとは言えませんし、ハイスピードサウンドでもありません。

そのかわり長時間聴いていても聴き疲れすることはありませんし、いろいろなジャンルの音楽に対応することができる音です。

また、いろいろなアンプやスピーカーとの相性も良いです。ウチのスピーカーで相性が悪いのは、ONKYO D-112ELTDぐらい。

ジャンルはオールラウンド。ロック、JPOP、アニソンはもちろん、ジャズやクラシックにも対応できます。






(内部について)
現在のToppingやS.M.S.Lの製品は、コストをかけない手抜き設計になっていますが、D30の頃はまだ良心的で、基本に忠実な回路設計や高音質のパーツが使われています。


音の良いUSB-DACは、DAC本体の音が良いだけではダメで、DACの後ろローパスフィルターや差動合成などの回路の音質や能力も重要になります。

また、これらの回路に安定した電源を供給しないと音質の悪化を招くため、電源回路も重要です。

USBやS/PDIFインターフェイスがあるデジタル回路では、ノイズがかなり発生します。このノイズは電源を伝わってDACやその後ろの回路に流れてしまうので、ノイズ対策を行うことも重要です。

DACのCS4398は電圧出力の差動出力なので、後ろにはTI製のオペアンプ「OPA2134」による差動合成回路、CR型のローパスフィルター、オムロン製のリレーによるミューティング回路があります。


デジタル回路ではUSBのインターフェイスはXMOS XS1。S/PDIFのインターフェイスは、シーラスロジックのデジタル・オーディオ・レシーバ「CS8416」。

スイッチの制御には、STマイクロの STM8S 8ビットマイクロコントローラが使われています。


電源回路はLM317、LM337や1117Cなどのレギュレータが6個使って独立電源になっています。デジタルとオーディオの給電回路を分けて、ノイズの干渉を防ぐだけでなく、電源の安定化もはかられています。

電解コンデンサは黒色が台湾のCAPXON製の「KF」。オーディオ回路のゴールドのコンデンサは、ニチコンのオーディオ用標準グレード「FW」。

リレーはオムロン製です。



(DAC CS4398について)
シーラスロジック CS4398は、24ビット/192kHz マルチビット・デルタシグマ型のD/Aコンバータです。

音楽信号(PCM)は高速・低速のロールオフ・デジタル補間フィルタ(デジタルフィルター)を経て、マルチビット・デルタシグマモジュレータで処理されます。

その後にマルチエレメント・スイッチド・コンデンサ(スイッチドキャパシタ)と、ローパス・フィルタを通ってアナログ出力されます。
アナログ出力は電圧出力で差動構成となっています。


DSDはダイレクトに処理する方法と、途中でDirect Stream DigitalR(DSD)プロセッサを通る方法の2つから選択ができます。

DSDプロセッサには、スピーカーのトゥィーターの破損防止用に50kHzのフィルターと、PCMとDSDの出力レベルと合わせるための調整機能があります。

その他に内部にはデジタル・デエンファシス、ボリューム・コントロール、ATAPIチャネル・ミキシングなどの機能があります。

スペックはダイナミック・レンジが120dB。THD+Nが -107dB。



(XMOS XS1について)
USBコントローラはXMOS XS1です。XS1は内部に強力なマルチコアのマイクロコントローラを搭載しているので、インターフェイスではなく「コントローラ」と呼ばれます。
コアプロセッサは32ビット・6コアで処理速度は500MIPS。USBオーディオクラス2をサポートしています。

XS1はメーカー側でプログラミングすることで、USBインターフェイスだけではなく、いろいろな家電品や自動車、産業用機器、ロボットなどに、組み込みんで活用が出来る製品として開発されています。




DAC Cirrus Logic
CS4398
オーディオ回路

デジタル回路 USBコントローラ
XMOS XS1

S/PDIFインターフェイス
Cirrus Logic CS8416
マイクロコントローラ
STマイクロ STM8S

3端子レギュレータ
LM317、LM337
基板の裏側


Topping D30のスペック

入力データ
(USB)
(PCM)
16bit~24bit
44.1kHz~192kHz

(DSDネイティブ)
DSD64・DSD128

(DoP)
DSD64・DSD128
入力データ
(光・同軸)
(PCM)
16bit~24bit
32kHz~192kHz
周波数特性 10Hz~20kHz
S/N比 121dB(1kHz)
高調波歪率 0.0006%(1kHz)
ダイナミックレンジ 115.7dB
クロストーク -125dB
電源端子 DC15V/1A センタープラス
サイズ 幅122×高さ38×奥行177mm
重量 427g





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