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YAMAHA CDX-930 |
1989年 定価69,800円 |
YAMAHA CDX-930は1989年10月に発売されたCDプレーヤーです。CDX-930とCDX-1030(89,800円)は兄弟機で、シャーシ・メカ・メイン基盤など多くのパーツを共用しています。 YAMAHAは1986年から「ハイビット」をコンセプトにプレーヤーを開発してきましたが、CDX-1030/930ではマルチビットDACをやめて、新たに松下電器とNTTが開発した1bitDAC「MASH」を採用しています。またこれに合わせてフロントパネルのデザインを一新しています。 D/AコンバーターのMASH(multi-stage noise shaping)は、ノイズシェーピング回路でCDの16bit信号をビット圧縮して1bitの信号に置き換え、次にPWM(Pulse Width Modulation・パルス幅変調)回路で波形に対応した幅を持つパルスに置き換えます。これを4つのDACでD/A変換し、ゼロクロス歪や非直線歪がない信号を再現しています。 ピックアップ・ドライブメカは新開発のもので、リニアモーターの採用により高速アクセスを可能としています。またトレイはアルミ押し出し材を使用したもので、制振ゴムマットが取り付けられています。 しかし時代はバブル期であったもののYAMAHAの経営は厳しくなり始めており、CDX-930への「物量」の投入は見送られました。そのため定価69800円とはいえ内容的には59800円の、SONY CDP-X33ESやDENON DCD-1530、Victor XL-Z531より見劣りするものとなってしまいました。 (音質について) YAMAHAのそしプレーヤーとしては低音が良く出ています。ただ高音もいっしよに出そうとしてしまったようで、少しドンシャリ気味なところも。解像度はMASHということで当時のマルチビット機に比べると、そこそこあります。音場は平面的ですが定位は良いです。 |
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(フロントパネル) | ||||||||||||||||||
フロントパネルのデザインは上級機のCDX-1030と共通です。前から見るとインシュレーターが違うだけなので区別は難しいです。 ディスプレィは液晶タイプです。ヘッドフォン用のボリュームは電子ボリュームで可変出力のボリュームと兼用となっています。 |
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(シャーシと内部について) | ||||||||||||||||||
CDX-930とCDX-1030は兄弟機で、CDX-930のシャーシを補強し電源トランス、コードとインシュレーター、スピンドルモーターをグレードアップして、オーディオ回路を変更したものがCDX-1030となります。高調波歪率やS/N比、ダイナミックレンジなどのスペックは両機ともに同じです。 CDX-930のシャーシは天板のみ防振鋼板を使用し防振材が貼られていますが、他は防振対策がされていません。逆に1989年当時、国産機のこのクラスで2重底で無いのは珍しかったと思います。このため重量も5.7kgと「598」クラスよりも軽量です。なお基板部分の下の底板はアクセスパネルとなっています。 インシュレーターは簡易型の「GPレッグ」です。 ピンポイントレッグ(金属製)と、防振レッグ(プラスチック製の通常型で接地面にはコルクが貼られている)の2種類が選択でき、設置環境や音楽ソースによって使い分けることができます。 仕組みは簡単でシャーシには最初から、ピンポイントレッグが取り付けられており、防振レッグを使いたい時には、ピンポイントレッグにはめ込むだけです。 防振レッグからピンポイントレッグに変える時が問題で、内部に固定用のフックがあるのですが、これが引っかかって、なかなか外れなかったりします。 |
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(電源回路) | ||||||||||||||||||
電源回路のトランスはケースに入った小さいものが1つ。デジタルとオーディオなどが別巻線になっています。 電源回路もデジタル回路、オーディオ回路、ディスプレィ照明などに分かれた独立電源です。 電解コンデンサは松下製のオーディオ用で35V・4700μFが2本。ELNA製のオーディオ用16V・6800μFが2本、デジタル回路用に日本ケミコンの黄色のコンデンサ SB 5.5V・47μFが1本。など。 他にルビコンなども使われていますが、基板全体としては「MASH」のバーターでしょうか、松下製のコンデンサがとても多いです。 |
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(サーボ回路・信号処理回路) | ||||||||||||||||||
サーボ回路はCDX-1030と同じでアナログサーボです。メインのチップはYAMAHA製の「YM7402」で、1チップに信号処理用の回路とサーボ回路、それに必要なRAMやPLLなどが入っています。 その他にはピックアップのアクチュエーターの制御を行うSANYO製の「LA9200N」があります。 サーポ調整用のボリュームは「フォーカス・ゲイン」「フォーカス・オフセット」「FEバランス」「トラッキング・ゲイン」「トラッキング・オフセット1」「トラッキング・オフセット2」の他に2つあります。 CDX-1050(2号機)のバリバリ元気なピックアップを使ってテストしましたが、サーボ用チップ「YM7402」の搭載機(CDX-1050、CDX-1030、CDX-930など)の、サーボ調整はかなりシビアで難しいです。しかもトラッキング・オフセットの調整が2つあるのもやっかいです。 CDを再生出来ない機体でピックアップレンズのクリーニングで治る「軽傷」なら良いですが、サーボ調整が必要な「重症」ものは覚悟していたほうが良いかもしれません。 |
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(DAC・オーディオ回路) | ||||||||||||||||||
D/Aコンバーターは1bitDACのMASH「MN6741」で、MASHとしては第2世代にあたります。 Technics SL-P777やSANSUI CD-α717 EXTRAなどにも搭載されていますが、Technicsのものは無印であるのに対し、YAMAHAやSANSUIに供給されたものは「MN6741M」という型番になっています。 このDACは18bit・4倍オーバーサンプリングのデジタルフィルターを内蔵しており、ノイズシェーピングは3次768倍となっています。 DACの後ろにはI/V変換、差動合成とローパスフィルターなどの回路があります。 ローパスフィルターは、海外仕様のCDX-930ではオペアンプを使用したアクティブフィルターを採用していますが、国内用モデルはパッシブフィルターを搭載しています。 このローパスフィルターは、インダクタとコンデンサによるLCフィルターで、シールドケースに収められており、ケースの上には防振材が貼られています。 I/V変換、差動合成、ラインアンプ用のオペアンプは、JRC 5532が使われています。 電解コンデンサは松下製のオーディオ用「Pureism」。他に銅箔スチロールコンデンサなども使われています。 左右のチャンネルの間には銅製のバスバー(ブスバー)があり、グランドの安定化や基板の低インピーダンス化を図っています。 |
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(ピックアップ・ドライブメカ) | ||||||||||||||||||
ピックアップ・ドライブメカの目玉はアルミ押し出し材を使用したトレイで、制振とディスクの保護を兼ねたゴム製のディスクマットが取り付けられています。 ピックアップは3ビームのオリンパス製「TAOHS-KP2」で、スライドにはリニアモーターを使用されておりアクセスは高速です。スピンドルモーターはCDX-1030には制振ブラシレスモーターが使われていますが、CDX-930は普通のDCモーターです。 トレイの横には再生中にトレイの振動を抑える銅メッキがされたトレイホルダーがあります。 (メカのメンテナンス・修理) トレイ開閉用のゴムベルトはメカの裏側にあります。 まずメカと基板を結ぶ配線を取り外します。次にトレイの前面カバーを外し、シャーシのメカを固定している3ヶ所のネジを外せば、メカを取り出せます。ゴムベルトのサイズは約4cm。 ピックアップのTAOHS-KP2はCDX-1030やCDX-1050と共通です。レーザー出力のボリュームは裏側にあります。 |
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(出力端子・リモコン) | ||||||||||||||||||
出力端子はアナログが可変の1系統でヘッドホンボリュームと連動しています。デジタルは同軸と光の2系統でデジタル出力のON/OFFスイッチもあります。 |
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上がCDX-930、下がCDX-1030。カタログや取扱説明書では横幅と奥行は同じですが、高さはCDX-1030が111.5mm、CDX-930が111mmとなっていました。ところが実際にはCDX-930のほうがインシュレーターが大きいため少し高いです。 |
周波数特性 | 2Hz~20kHz ±0.5dB |
ディエンファシス 偏差 |
±0.5dB |
高調波歪率 | 0.003%以下 |
ダイナミック レンジ |
98dB |
S/N比 | 110dB |
チャンネル セパレーション |
96dB |
サイズ | 幅435×高さ111×奥行342mm |
消費電力 | 14W |
重量 | 5.7kg |
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