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24k・ゴールドCD




ゴールドCDは日本のウルテックが開発したもので、レーザーを反射する蒸着膜にアルミニウムではなく、24Kの金を使用したCDです。もともとはCD−ROMにデータを永久保存するために開発した金蒸着の技術です。

1982年にCDが誕生した時に、半永久的に使えるという人もいれば、アルミニウムの蒸着膜が腐食し、20〜30年が限界という人もいました。
ゴールドCDに使われる24Kの金は腐食に強いため長寿命が期待でき、またアルミニウムよりも反射率が高いことから、CDプレーヤーの読みとりが安定し、サーボ回路でのデジタルノイズの発生を低減し、音質の向上につながるというものでした。(SHM-CDなどと同じ効果)

ゴールドCDで有名なのはMFSL(Mobile Fidelity Sound Lab)とDCC(DCC Compact Classics・現Audio Fidelity)です。
MFSLはウルテックが金蒸着の技術を開発する際に、音楽のマスターテープを借りたことがゴールドCDの発売のきっかけとなりました。「Ultradisc」というブランド名でアメリカで1987年に発売。このディスクは当初は日本で製造されたものでした。
DCCは1989年にゴールドCDのサンプラー(GZS-Pro1 プロモーション用?)を製作、1990年代になってから次々とゴールドCDを発売していきます。またチェスキーやシェフィールド・ラボなどといった高音質CDを製作していたレーベルもゴールドCDを発売しました。

日本では1987年に日本コロンビアが「ピュアゴールド・コレクション」と名付けて3000枚限定のシリーズを発売。それに続けとばかりにワーナーパイオニア、キャニオン、東芝EMI、ポリドール、キングなど各社がゴールドCDのシリーズを発売します。ソニーミュージックは「SBM」と組み合わせたゴールドCDを、1990年代の前半に数多く発売しました。その後、銀蒸着のHQDも発売しています。

現在では、24bitマスタリングやSHM-CDなどの高音質化技術が一般化し、ゴールドCDは限定盤や記念盤などのプレミアム仕様・コレクターアイテムとして使われることが多くなっています。

※ウチには1982〜83年にかけて日本や西ドイツでプレスされたCDが何枚かありますが、30年近くたっても腐食しているものはありません。ただネットを見ると3年で腐食したといっている人もいるようです。保存環境などによっては大きな差もでるのかもしれません。


アメリカ
MFSL(Mobile Fidelity Sound Lab)

Ultradisc・UltradiscU


MFSLは大手のレコード会社からマスターテープを借りてきて、それに独自のマスタリングを施し、高音質のレコードを制作(ライセンス生産)して再発売するというレコード会社でした。

この時に大手のレコード会社から与えられた、ライセンス生産の期間は数年と短かかったために、ほとんどの物は、限定版という形で発売することになったようです。

CDは1985年から発売を開始し、1987年に世界に先がけてゴールドCD(Ultradisc)を発売します。

「Ultradisc」は日本で製造され、その後、製造はアメリカに移り名称は「UltradiscU」となります。

しかしMFSLは1999年11月に倒産。結局、ゴールドCDは未発売ものもを含めて、266タイトルが制作されたと言われています。

2001年にMFSLはMusic Directに買収され、再スタートします。2003年からはUltradiscUの新タイトルの発売も再開されました。

現在、MFSLはSACDのリリースに力を入れるいっぽう、アメリカではレコードブームということで「Ultra Analog 180g LP」の販売も行われ、UltradiscUのラインアップは縮小されつつあります。→公式サイト


MFSLのCDをオークションで探す

DCC Compact Classics
(現 Audio Fidelity)


DCCはオードレコードの社長だったMarshall Blomsteinによって、1986年に設立されたレーベルで、元は「Dunhill Compact Classics」という社名でした。

「ダンヒル」の名前は1960〜70年代にグラスルーツなどが所属し、「ダンヒルサウンド」と呼ばれて一世を風靡したダンヒルレコードに由来しています。
ダンヒルレコードは1967年にabcレコードに買収され、この時に元社員たちが新たに立ち上げたのが「オードレコード」です。
※ヒット曲を連発しダンヒルレコードが有名になるのは、abcレコードに買収された後となります。

ところが「ダンヒル」という名前の使用に、タバコ会社の「ダンヒル」がクレームをつけ、「DCC Compact Classics」に社名を変更します。
この「Compact Classics」とは、古い作品をCD(コンパクトディスク)で再発しようという意味で名付けられています。

ゴールドCDは1989年に初めて制作。本腰を入れてリリースを始めたのは1992年からで、2000年までに116タイトルをリリースしたと言われています。
また社名がAudio Fidelityとなってから、制作が再開され50以上のタイトルがリリースされています。

MFSLと同じく大手レーベルからマスターテープを借りてきて、DCC独自のマスタリング(主にスティーブ・ホフマンとケビン・グレイが担当)を行って発売しました。
初期のものはMFSLと同じく日本でディスクを製造しています。

DCC時代の物は人気が高く、コレクターに収集されて、中古ショップやオークションに出る数もどんどん減ってきています。

Chesky Records

24K Gold Series


チェスキーレコードはMFSLと同様に高音質のCDで有名なレーベルです。いくつものオーディオチェックCDを製作するなど、オーディオファンにも有名。
数多くのCDをリリースしていますが、ゴールドCDのタイトルは多くないようです。

Sheffield Lab

ダイレクト・カッティングのレコードやCDで有名なシェフィールドラボもゴールドCDを発売しています。
「The Audiofhile Reference Sires」という名前でクラシックやジャズなどのアルバムを発売していました。またCDをアナログ録音の雰囲気に近づける「20+→16ウルトラ・マトリクス・プロセッシング」も施されています。

Clarity Recordings

クラリティレコードはアメリカのレコード会社で、やはり音質にこだわったCDを製作したレーベルです。
いかんせん小さな会社だったため、20タイトルほどしか発売していないようですが、そのうち最後のタイトルを除く19タイトルはゴールドCDも発売しています。
ゴールドCDのうちいくつかはZEONEXを使用した「GOLD ZEONEX CD」が製作されています。このZEONEX盤だけは日本製で、それ以外はカナダでプレスされたようです。

ヨーロッパ
SUPRAPHON

「スプラフォン」はチェコの老舗レーベルで、チェコフィルやアンチェル、ノイマンなどチェコ人指揮者による演奏の膨大なカタログで有名です。

「KAREL ANCERL GOLD EDITION」は、2002年からリリースが始まったゴールドCDによるシリーズで、2008年のVol.43まで発売されています。
日本にも輸入されており入手はしやすいです。

AUDIOPHILE CLASSICS

オランダのオーディオファイル・レーベルも名前の通り、オーディオファン向けに音質にこだわったCDを製作しています。現在はコンセルトヘボウ・シリーズでも有名。
SONYが開発したSBMでマスタリングを行ったゴールドCDをたくさん製作しています。

ADDA

フランスのレーベル。後にMusidiscに吸収されてしまいました。クラシックやジャズのゴールドCDを発売。

日本
日本コロムビア・DENON

ピュアゴールドサンプラー

日本コロムビアが1987年11月に製作したピュアゴールド・コレクションのサンプラー(非売品)です。
収録曲はジャズ、クラシック、歌謡曲、ニューミュージックなどいろいろなジャンルのものが入っています。

ちなみにジャケットのネコのイラストは同じ年のCDプレーヤーのカタログに使われたのと同じものです。

キングレコード

ゴールドCD・2500

キングレコードがパシフィック・ミュージックの「GOLD FIDELITYシリーズ」を輸入し、帯と日本語の解説書をつけて販売したものです。価格は2500円。
ところが、このGOLD FIDELITYシリーズは日本コロムビアが生産し輸出しており、裏ジャケットにもCD本体にもクレジットされています。
1980年代は海外のCD工場が少なかったため、日本で海外盤をプレスして輸出が行われていました。それが輸入盤として入ってくることもよくありましたが、このシリーズはライバルのレコード会社が販売するという珍しいパターンでした。

ポリドール

LONDON PURE GOLD CD
1988年

ロンドン・レーベルの名曲をセレクトしたゴールドCDのシリーズ。価格は4500円。

ポリドール

カラヤンゴールド

1993年〜96年

グラモフォンの1980年代のカラヤンのデジタル録音からセレクトしたシリーズでOIBPによるマスタリングがされています。
日本盤のみがゴールドCDとなっていました。価格は2800〜5600円。

ワーナーパイオニア

ワーナーパイオニアも積極的にゴールドCDを発売したレコード会社です。MFSLを意識したのかロックのゴールドCDを数多く発売しました。他にジャズではジョン・コルトレーン、歌謡曲では中森明菜などが発売されていました。
価格は3600〜4500円。

MCAビクター

1991年にアメリカのMCAレコードを松下電器産業(パナソニック)が買収し、グループ会社のビクターと合弁会社としてスタートさせたのがMCAビクターです。
発足した最初の年からGRPなどのレーベルのゴールドCDを製作しました。

SONYミュージック

THE COLLECTORS ITEM SERIES
1994年

SONYミュージックが発売したゴールドCDで、ロックの名盤を中心にしたシリーズとなっていました。
ピクチャーレーベルでマスタリングは「SBM」が使われています。価格は3200円(税込)。

東京交響楽団

ベートーヴェン第九サントリーホールライブ
1987年

東京交響楽団が創立40周年の記念事業として製作したCDで、現在でもよく製作される記念もののゴールドCDの第1号といってもよいかもしれません。

当時の雑誌によると団員が実際に通常のCD(アルミ)とゴールドCDを比較試聴して、ゴールドCDにすることが決まったそうです。価格は3800円。

オーディオ・メーカー
TEAC

VRDS CDドライブ メカニズム
デモンストレーション


TEACが企画しポリグラムが製作したVRDSのデモ用のゴールドCD(非売品)です。
収録曲はグラモフォンの4Dレコーディングされたクラシックの中から選曲されています。

BOSE

The Song Is Ended
Gene Harris

2000年

2000年1月に他界したジーン・ハリスを偲び、BOSEが製作した追悼盤。24K・ゴールドCD。

銀蒸着ディスク
HQD(High Quality Disc

アイ・シング・ザ・ボディ・エレクトリック
Weather Report


銀蒸着のHQD(High Quality Disc)仕様のCD。マスタリングはDSD。2007年発売で価格は1890円(税込)。

銀はアルミニウムや金よりも光の反射率が高く、CDの反射材としては理想的です。しかし腐食の問題がありCDにはほとんど使われてきませんでした。この欠点を保護層の強化などにより改善し、高音質のCDとして発売されました。




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