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VICTOR TD-V66 |
1985年 定価69,800円 |
Victor TD-V66は1985年9月に発売された3ヘッド・3モーターのカセットデッキです。ステレオサウンドのベストバイ。KD-V6(1983年)のマイナーチェンジですが、1970年代からの型番だった「KD」をやめて「TD」に変更となりました。 ライバル機はKENWOOD KX-880G、Nakamichi BX-125、TEAC V-750、YAMAHA K-550など。 TD-V66はフロントパネルや内部の回路などはKD-V6とほとんど同じですが、メカは新設計のものが投入されました。これは「698」の価格帯でダイレクトドライブの走行系を搭載して、ベストセラーとなっていたKENWOOD KX-880SR・SRⅡへの対抗が目的だったのかもしれません。 メカは3モーターで、キャプスタン用が電子制御DCモーター。リール用とメカニズム用がDCモーターです。フライホイールは慣性質量が倍となり、テープの走行を安定させています。キャプスタンシャフトとピンチローラーも部品精度を向上させ、リールにはスラビライザーウェイトを取り付けて、微振動を押さえています。 この結果、ワウフラッターはKD-V6ではEIAJ 0.10%、WRMS 0.05%だったものが、TD-V66ではEIAJ 0.08%、WRMS 0.038%と向上しています。 ヘッドは録音がSA(センアロイ)、再生がメタパーム、消去が2ギャップフェライトの3ヘッドで、ソリッド・キャスティング・ハウジングで防振マウントされています。 録音系や再生系、ヘッドホンアンプはDCアンプで、音質の劣化を防ぐためにカップリングコンデンサーを減らしています。電源部は電流の安定度を高めるために、アース電位が常にゼロとなるトラッキング電源を搭載。定電圧回路はシャント・レギュレーターにより出力インピーダンスを従来の約1/100に下げています。基板や内部配線には伝送効率の高いOFC(無酸素銅)を使用しています。 オートテープセレクト機能を搭載しており、ノイズリダクションシステムはドルビーB/Cです。 機能はSTOP・PLAYの2メモリー、インデックススキャン、ミュージックスキャン、オートRECミュート、タイマースタンバイ機構などがあります。 もう30年も前のモデルのため、アジマスの調整が必要になるかと思いますが、問題は調整用ネジが特殊な形状だということ。ドライバーは細い先割れのタイプが必要です。いろいろと探したのですが見つかりませんでした。そこでメカを外してラジオペンチでネジを回し、取り付けて再生。その繰り返しで何とか調整しました。 |
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(フロントパネル) | |||||||||
フロントパネルのデザインは前モデルのKD-V6を踏襲。ビクターらしい左側にピークメーターや録音ボリューム、右側にメカと操作ボタンを配置したデザインです。 カウンターはストップウォッチ機能を持つ4ケタの電子カウンター。レベルメーターはピークホールドの付いた2色FLピークメーターの他に、0db以上の値は赤い数字で表示されます。ディスプレィの下にはノイズリダクションの切替スイッチやMPXフィルターやメモリボタンなど。 録音レベルの調節はスライドボリューム。実は内部には左右独立したボリュームがあるのですが、ツマミはひとつで左右のチャンネルを別々に調整することはできません。その代わりに入力信号のバランスボリュームが付いています。 使いやすさを考んがえてのことだと思いますが、回路的には音質の悪化要因のボリュームが1つ増えています。 カセットホルダーの内部にはテープの進行方向と録音状態を表すインジケーターがあります。 外部出力は可変でヘッドフォンと兼用です。出力端子はヘッドフォン端子とリモートコントロール端子があります。 |
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(シャーシと内部について) | |||||||||
キャビネットはフロント、リア、サイドパネルによるフレーム構造に、天板と底板を取り付けるとしっかりするというもので、シャーシーというよりもモノコックに近い感じです。ただし4.8kgという重量からもわかるとおり、強度・剛性ともに十分ではありません。天板・底板・リアパネルは薄い鋼板なので指で叩くとよく鳴ります。プラ脚(ゴム脚)付き。 内部は左側にメイン基板があり録音、再生、システムコントロール、電源回路があります。中央部の右よりにメカ、一番右側には電源トランスがあります。 |
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(ヘッド・メカ) | |||||||||
録音ヘッドは最大磁束密度の高いSA(センアロイ)、再生ヘッドはメタパーム、消去ヘッドが2ギャップフェライトの3ヘッドで構成となっています。録音・再生ヘッドともに巻線、リードともにOFC線材が使われています。 メタパームはパームという名前からすると、ハードパーマロイだと思います。ハードパーマロイといっても、1970年代の単に耐摩耗性をを向上させたヘッドとは違い、1980年代のヘッドは飽和磁束密度や歪率が改善され、メタルテープにも対応しています。このことから「メタル」と「パーマロイ」をくっつけて、メタパームにしたのかもしれません。 録音と再生ヘッドは「ソリッド・キャスティング・ハウジング」という、ダイカストのパーツにマウントされており、振動を抑えて安定したヘッドタッチを実現しています。アジマスの調整用ネジは特殊な形状のタイプです。 駆動系はダイレクトドライブではないものの、キャプスタン用のモーターを独立。大型で慣性質量が高いフライホイールにより、テープの走行を安定させています。リール用とメカニズム用がDCモーターです。 問題はメカの取付方法で、フロントパネルの後ろにある樹脂部分に、ネジ4個で取り付けられていること。いかにヘッド部分にダイカスト製パーツを使おうが、メカ自体がガッシリと固定されていなければ、しょうがないと思います。 |
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(電源部) | |||||||||
電源トランスはバンドー製で容量は24V・19.6VA。取付方法が変わっていて、フレーム形状のサイドパネルに斜めに取り付けられています。電源トランスはテープの走行に影響を与える振動を発するので、底板よりも剛性の高いサイドパネルに装着したのだと思います。 斜めになっているのは、この頃には「トランスは斜めに設置したほうが音質が良い」という話があり(たぶん振動の伝播方向の問題だったかと思います)、TD-V66以外にもAKAIやSONY、TEAC、TRIOなどのカセットデッキでも行われており、CDプレーヤーではサンスイ CD-α717D ExtraやCD-α717D Extraなどで行われています。 電源回路は1980年代初めのビクターのデッキと比べると簡略化されています。 それでも4系統の独立電源となっており、トラッキング・シャント制御電源といわれる回路になっています。 これは音楽信号によって変動するプラスとマイナス側のアース電位を絶えず比較して、±0の中点を保つという仕組みで、これにシャントレギュレーター制御の回路を組み合わせて、ローインピーダンス化と電源の安定性を向上させています。 電解コンデンサは日本ケミコンTSなどのコンデンサが使われています。電源ケーブルは細い並行コードですが極性表示が付いています。 |
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(システムコントロール回路) | |||||||||
キー操作などを制御するシステムコントロール用の4bitマイコンは、JVCの刻印が入っていますが、サンヨー製「LM6402H」。他に東芝製のロジックIC「TC4069UBP」やNEC製のコンパレータ「μpc339c」などがあります。 |
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(録音回路) | |||||||||
DCアンプ構成でノイズリダクションはドルビーBとCを搭載。ドルビー用のチップは「TEA0652」という型番ですが、サービスマニュアルの型番は「NE652N」です。NE652Nは松下電器やフィリップスなどで生産が行われていました。当時ビクターは松下電器の子会社だったので、松下製かもしれません。 テープのオートセレクタやRECミュート用に、三菱製のトランジスタアレイ「M54580P」が使用されています。 |
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(再生回路) | |||||||||
こちらもDCアンプ構成。再生回路のドルビーICも「TEA0652」が使用されています。
オペアンプはイコライザーや、ヘッドフォン用に三菱「M5518L」が使われています。電解コンデンサは東信工業、その他に積層型フィルムコンデンサなどが使われています。 |
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(入出力端子) | |||||||||
入出力端子はラインイン、ラインアウトが各1系統です。 |
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上:Victor TD-V66(1985年) 下:Victor XL-V501(1986年) |
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(Victorのカセットテープ) | |||||||||
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周波数特性 | 20Hz~21kHz ±3dB(メタルテープ) |
周波数範囲 | 15Hz~23kHz(メタルテープ) |
S/N比 | 58dB(Dolby オフ・メタルテープ) Dolby-Cで10dB、Dolby-Bで5dB改善 |
歪率 | 0.5% |
ワウ・フラッター | 0.025%(WRMS) 0.08%(W.Peak) |
チャンネル セパレーション |
40dB |
消費電力 | 18W |
外形寸法 | 幅435X高さ110×奥行282mm |
重量 | 4.8kg |
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