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Breeze Audio TPA3116






Breeze Audioのデジタルアンプ「TPA3116 ミニアンプ」です。

名前の通りTI製の「TPA3116」を搭載したデジタルアンプで、「waves TPA3116」や「Nobsound TPA3116」「Douk Audio TPA3116」「GAOHOU TPA3116」と、ブランド名が違うだけで同じ商品です。

どうやらメーカーは中国の「Shenzheng Cavins Technology」という会社で、「Nobsound」と「Douk Audio」という2つのブランドをやっているようです。

ただこのメーカー、ネットの情報では真空管を外しても、音が出る真空管アンプを作っていたり、ホームページに会社の住所が書いていないなど、ちょっと怪しげなメーカーでもあります。


TPA3116 ミニアンプの価格は、amazonで6,000円(電源アダプタ付)。アダプタ無しだと4,000円ぐらい。

デジタルアンプICはTI製の「TPA3116D2」です。2012年に登場したICで、フィードバックパワーステージアーキテクチャを搭載し、EMI対策としてAM干渉回避機能を備え、過電圧・低電圧・過熱・DC検出などの自己保護回路を内蔵しいます。
電力効率は90%で出力は50Wx2(4Ω)。

このICの特徴はまず電圧が4.5V~26Vと広いこと。そしてフィルターレスで使用できることです。つまりオーディオ専用ではなく、汎用タイプのデジタルアンプICです。

メーカーのプレスリリースでもサウンドバー、カーオーディオ、ポータブルのオーディオ・ドック、液晶テレビ向けと書かれています。

TIの出荷価格は1.2ドル(1000個)ですから、大量に注文するメーカーであれば、日本円で100円ぐらいになるんじゃないかと思います。どちらにしても安いデジタルアンプICです。


TPA3116D2のS/N比は102dBですが、高調波歪率は0.1%とかなり悪いです。データシートの特性グラフを見ても、10kHzから典型的なハイ落ちなるなど、この手のデジタルアンプに使われるICとしては性能が悪いです。


音質を全く考慮しなければフィルターレスで使用できますが、PCオーディオ用のアンプとしてはそうはいかないということで、ローパスフィルター(LCフィルター)を装備しています。

その他のパーツは、ドイツのWIMA製フィルムコンデンサ「MKP10」やサンヨー製の電解コンデンサを10個使ったコンデンサアレイ、インダクタはトロイダルコイルを使用しています。

電源はDC12V~24V センタープラス。



(音質について)
聴いてすぐわかるのはレンジが狭いこと。高音・低音は出ないですし、ダイナミックレンジも悪いです。音が潰れてしまって聴こえない楽器もけっこうあります。エージングが終わってもノイジーで全く音が出ないです。

といってもデジタルアンプICの「TPA3116」の音が悪い訳ではなく、これを搭載したFX-AUDIO- FX-502Jでは素晴らしい音を出してくれます。単にBreeze Audioの回路の出来が悪いだけです。

FX-AUDIOのFX202A/FX-36A PRO(3,750円)と比べても、2ランクぐらい下の音です。
Breeze Audio TPA3116のほうが、価格が少し高いのですが、音が平面的で解像度が悪くノイジーで、音質としてはまったく歯が立たない状態。その程度の音のデジタルアンプです。

小型デジアンは何台も持っていますが、音もコスパも悪く久々のハズレでした。



(フロントパネルとリアパネル)
ボディサイズは幅90mm×高さ35mm×奥行108mmで、S.M.S.L SA-36A PROや、 FX-AUDIOのFX202A/FX-36A PROよりも、ひと回り小さいです。

フロントパネルは6mm厚のアルミ材を使用しています。電源ボタンとボリュームのツマミがあるだけで、中華デジアンによくあるボリュームの周りが青く光るというのはありません。

ケースを含めてガンメタのヘアライン仕上げになっており、見た目には安っぽさはありません。

リアパネルのRCA端子は金メッキ。スピーカー端子は安物です。スピーカーケーブルを通す穴が小さいので、細いケーブルしか使えません。また端子の間隔が狭いので取り付け作業がやりにくいです。実質的にはバナナプラグ専用と考えたほうがよいと思います。

DCインはDC12V~24Vでセンタープラスです。

フロントパネル リアパネル

ケースの底部


(内部について)
内部の見どころはスバリ言って、電解コンデンサ10個を使ったコンデンサアレイでしょう。

私も買う前はこれに期待していたのですが、音質にはまんまと裏切られました。逆にこれが無かったら、もっと音が悪かったのだろうと思います。

コンデンサアレイを除いた回路はシンプルで、それほどお金のかかったパーツもなさそうです。

デジタルアンプICはTI製の「TPA3116D2」で、高調波歪率は0.1%。S/N比は102dBというスペック。大出力時に発熱で動作が不安定になるのを防ぐために、ヒートシンクが取り付けられています。

フィルターレスで使用できるICですが、トロイダルコイルを使ったローパスフィルターを使用しています。


カップリングコンデンサはWIMA製「MKP10」。コンデンサアレイはサンヨー製の低ESRコンデンサ「WG」などが使われています。


コンデンサアレイやバルクコンデンサ、WIMA製のカップリングコンデンサなど、一見するとキチンとした回路設計がされているように見えますが、ノイジーな音からすると、それらがちゃんと機能していないとも考えられます。

回路を観察すると、ちゃんとやらなくてはいけないところが、出来ていないという部分もあります。

日本でも有名なS.M.S.L.社製のデジタルアンプでも、回路設計のまずさから、音質の低下やホワイトノイズが発生しているものもあります。

このアンプも「見よう見まね」で、コンデンサアレイを設置したものの、根本的な回路の低インピーダンス化やノイズの低減、デジタルアンプICへの電源の安定化などの、理解が欠けていたのかもしれません。


※最新版のTPA3116 ミニアンプでは、コンデンサアレイはそのままに、TPA3116D2を2基搭載して、出力が100Wx100Wにパワーアップしています。

プリ部はオペアンプ「NE5532」を使用するなど回路を一新。電源部もプリ部とデジタルアンプICまわりに電解コンデンサを増設するなど、内容は大幅に変更されています。

基板

TI TPA3116D2 ローパスフィルター

WIMA製
フィルムコンデンサ
SANYO製の電解コンデンサ
WG 35V470μF X10


Breeze Audio TPA3116のスペック

最大出力 50W+50W(4Ω)
周波数特性 20Hz~50kHz(-3db)
ダイナミックレンジ
S/N比
スピーカー
インピーダンス
4Ω~16Ω
電源(ACアダプタ) DC12V~24V センタープラス
サイズ 幅90mm×高さ35mm×奥行108mm
重量





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