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VICTOR KD-V4 |
1982年 定価56,800円 |
Victor KD-V4は、1982年に発売されたオートリバースのカセットデッキです。海外仕様はKD-V44。 同じ価格帯にはKD-D55(59,800円)が発売されており、ラインアップではシングルウェイはKD-D55、オートリバースはKD-V4という棲み分けになります。 当時のカセットデッキは同じ内容ならば、1年で価格が1万円下がると言われていました。 1981年のオートリバースの安いモデルは、64,800円〜69,800円で、1982年〜1983年にかけて、5万円台のオートリバース機が発売されました。 ライバル機はAKAI CS-F33R、SONY TC-FX500R、Technics RS-8R、TRIO KX-660Rなど。 KD-V4は「Fine Axis Reverse System」という、オートリバースメカニズムを搭載しています。 ヘッドなどは違いますが基本的な構成は、1982年発売のDD-V9(128,000円)と同じです。 回転ヘッド(ロータリーヘッド)を搭載し、A面からB面へのリバースは赤外線センサーによって、磁気テープとリーダーテープの境を感知して反転させることで、クイックリバースを可能にしています。 ロータリーヘッドで問題となる、ヘッドのガタつき対策として、ヘッドマウント・ベースのダイカストは、10ミクロン・オーダーの部品精度になっています。 回転部分のヘッド・ホルダーは、2点保持構造としてスムーズな回転と先端のブレを少なくしています。 また経年変化の少ない特殊フッ素樹脂コーティングを行い、長期間の使用にもガタつかないようにしています。 アジマス調整スクリューの先端にルビーを圧入したジュエル・ロック方式を採用。フォワードとリバース両方向で、独立したアジマスとヘッドの高さ調整が可能です。 ヘッドは録再ヘッドにメタパームヘッド、消去ヘッドには2ギャップフェライトヘッドを搭載しています。 メカはキャプスン、リール、サイレントメカの3モーターです。キャプスタンの駆動は電子制御DCモーターとなっています。 テープセレクタはノーマル、クローム、メタルの3段で、オートセレクタではなく手動設定です。 ノイズリダクションシステムは、ビクター独自の「ANRS」ではなく、Dolby-BとDolby-Cを採用しています。 機能としてはオートレックミュートやミュージックスキャン、留守録用のタイマースタンバイ機構などを装備していますが、プログラム選曲やリピートやメモリープレイが無いなど、同時期のカセットデッキに比べると機能は少ないです。 |
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(音質について) | ||||||||||||||||||
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(フロントパネル) | ||||||||||||||||||
フロントパネルは、KD-D55(1982年4月発売)のデザインを取り入れたものになっています。 パネルのレイアウトは一番左側にイヤホンとマイク端子。電源スイッチ。ピークレベルメーター(LED)、テープセレクタ(ノーマル、クローム、メタルの3段)。 カセットホルダーの下部にはデープの走行方向がわかるインジケーター 、両側にはドルビーのポジションと走行ポジションのインジケーター、回転式のカウンターがあります。 その下にはカセットホルダーのオープンボタン。 右側は再生・録音・早送り・巻き戻しなどの操作ボタンです。 |
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(シャーシと内部について) | ||||||||||||||||||
KD-V4の重量は4.7kgです。1980年発売のDD-5はキチンとしたシャーシを持ち5.9kgありましたが、コストダウンのためにシャーシを簡素化したために1.2kgも軽くなりました。 シャーシは薄い鋼板製で、サイドパネルやリアパネルの端を折り曲げて、フレーム状にして強度を稼いでいます。 内部のレイアウトは右側にメイン基板。基板は手前に録音・再生回路、左奥にドルビー回路、右奥にシステムコントロールと電源回路。 真ん中には3モーターのリバースメカ、右奥には電源トランスがあります。 |
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(電源部) | ||||||||||||||||||
電源トランスは11.5V・14.5VAです。Victorは数年前まで、このクラスでもケース付きの大容量トランスを採用していましたが、ここでもコストダウンの影響が見られます。 電源トランスは、いちおう別巻き線ですが系統は少ないです。振動対策として、シャーシの一番丈夫な角の部分に取り付けられています。 斜めに取り付けられているのは、メカや基板が取り付けられている底板に対して、振動の伝達方向をズラして、影響を少なくするためです。 回路自体はモーター、レベルメーター、オーディ回路などに分けた独立電源となっており、録音・再生回路に他回路からのノイズなどが干渉しないようにしています。 使われている電解コンデンサは東信製です。電源コードは細い並行コードです。 |
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(ヘッド・メカ) | ||||||||||||||||||
録再ヘッドはメタパームヘッド、消去ヘッドは2ギャップフェライトヘッドです。 メタパームヘッドは、たぶんハードパーマロイ系のヘッドだと思います。 Victorは1978年に、センダストを使用したSA(センアロイ)ヘッドで、メタルテープ時代の幕を開けた訳ですが、この頃になるとライバルメーカーと同様に、センダストヘッドをやめ始め、上級機の一部を除いてメタパームヘッドに転換しています。 センダストをやめたのは、ハードパーマロイの性能が向上したのが第1の理由ですが、センダストは加工が難しく、ラミネートコアを作るにはコストが高いという問題がありました。(結局、センダストをラミネート化したのはパイオニアだけ) オートリバースのテープ反転は、センサーがカセットテープに赤外線を当てて、磁気テープとリーダーテープの間にあるスプライシング・テープを検知します。 スプライシング・テープは光の透過が高いため、受光素子でこの光の変化を検知。それをマイコンがテープエンドと判断して、リバース動作を瞬時に行います。 モーターはキャプスタン用には電子制御DCモーターを使用。後部にある穴の中にスピード調整用の可変抵抗が内蔵されています。リール用はDCモーターです。 |
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(システムコントロール回路) | ||||||||||||||||||
録音、再生、リバースなどのシステムコントロールを行うマイコンは、NECの4bitマイコン「μPD553 281」です。 モータードライバーは「BA6208A」、テープエンドの検出回路には三菱製のオペアンプ「M5218L」が使われています。 |
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(録音・再生回路) | ||||||||||||||||||
録音・再生回路はDD-5などよりもパーツが減っています。オートリバースを搭載したということで、ここにもコストダウンの影響見られます。 ノイズリダクションシステムは、1981年のKD-D55では、Victorオリジナルの「ANRS」と Dolby-Cの組み合わせでしたが、KD-V4ではDolby-BとDolby-Cを搭載しています。 ANRSはDolby-Bと互換性がありますが、Super ANRSはDolby-Cと互換性がないため再生できません。 Dolby用のICはフィリップス「NE651N」と「NE654N」です。ドルビー回路の本体は「NE651N」で「NE654N」(プリアンプと電子スイッチを内蔵)と組み合わせて使われます。 オペアンプは、ミュージックセンサー用が「BA335」、ヘッドホン用が三菱「M5218L」、ヘッドアンプとマイク用がNEC「μPC1228H」。 電解コンデンサは東信製です。 |
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(入出力端子) | ||||||||||||||||||
入出力端子はラインイン、ラインアウトが各1系統です。 |
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リアパネル |
形式 | 2ヘッド・3モーター |
テープ走行 | オートリバース |
駆動方式 | |
キャプスタンモーター | 電子制御DCモーター |
ヘッド | 録音再生:メタパームヘッド 消去:2ギャップフェライト |
ノイズリダクション | Dolby-B、Dolby-C |
周波数特性 | 30Hz〜16kHz(±3dB)メタルテープ |
S/N比 | 54dB(Dolbyオフ・メタルテープ) Dolby-Cで20dB改善 |
歪率 | 0.5%(1kHz)メタルテープ |
チャンネル セパレーション |
40dB |
クロストーク | 55dB |
ワウ・フラッター | 0.05%(WRMS) ±0.10%(Wpeak、EIAJ) |
消費電力 | 15W |
外形寸法 | 幅435X高さ108×奥行278mm |
重量 | 4.7kg |
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