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ONKYO・オンキヨー D-102AX 

    1997年 48,000円



ONKYO D-102AXは1997年9月に発売された小型スピーカーです。同社のミニコンポ「INTEC 205」シリーズ用のスピーカーですが、単品コンポとしても発売されました。

D-102シリーズは1994年に発売されたD-102Aが初代で、上級機にはD-502A、D-202Aがありました。

兄貴分のD-202シリーズがD-202Aの後、D-202A LTD→D-202AII→D-202AII LTD→D-202AXと進化したのに対し、D-102シリーズはD-102Aの次ぎに、タテ・ヨコのサイズを小さくさせたD-102A compactを発売し、メインのシリーズとは切り離して独自に進化させます。そのため同じ型番に、事実上は2つのシリーズが同居することになりました。

(標準系)
D-102A→D-102AX→D-102AX LTD→D-102EX→D-102EXG→D-102TX

(コンパクト系)
D-102A compact→D-102ACM→D-102CX→D-102FX

(D-102シリーズの年表)
価格 サイズ 重量 容積
1994年2月 D-102A 20,000円
(1台)
W184 H298
D237
5.2kg 7.5L
1996年 D-102A
compact
36,000円
(2台)
W166 H259
D272
5.3kg 6.8L
1997年3月 D-102ACM 38,000円
(2台)
W166 H259
D272
5.3kg 6.8L
1997年9月 D-102AX 48,000円
(2台)
W172 H295
D276
4.9kg 9.3L
1998年5月 D-102AX
LTD
56,000円
(2台)
W172 H295
D288
5.0kg 9.3L
1998年6月 D-102CX 27,000円
(2台)
W160 H259
D274
4.2kg 7.5L
1999年9月 D-102EX 51,000円
(2台)
W180 H305
D270
5.1kg 10.0L
2000年3月 D-102EXG 64,000円
(2台)
W180 H305
D320
5.6kg 11.6L
2001年6月 D-102TX 58,000円
(2台)
W180 H305
D272
5.0kg 10.0L
2004年10月 D-102FX 29,400円
(2台)
W167 H281
D244
3.9kg 7.9L



D-102AXはD-102Aから3年ぶりとなる「標準型」の後継機です。バッフル板を変更したため、見た目はD-102A compactやD-102ACMのデザインを踏襲したものとなっています。

ウーファーはD-102Aと同じバイオ・クロスコーンですが、口径は12cm→13cmへと拡大されました。トゥイーターは改良型の2.5cmソフトドーム・トゥイーターを搭載しています。
ユニットのレイアウトは、トゥイーターとバスレフポートの位置を、左右のスピーカーで変えた、音像定位のよい左右対称型としています。

キャビネットは高級感のあるリアルウッドの突き板仕上げ。D-102Aと比べて高さはほとんど変わりませんが、横幅は1.2cm狭くなっています。そのかわり奥行きを約4cm伸ばしているため、容積は増えています。

しかし容積(体積)が増えているにも関わらず、重量は4.9kgと0.3kg軽くなりました。D-102AXよりも小型のD-102ACM(5.3kg)よりもさらに軽いです。これはキャビネットの板厚が薄くなったことを意味しており、強度が低下した可能性があります。確かにキャビネットを指で叩くとコンコンと良く鳴ります。

実際に計ってみると、フロントバッフルの厚みは26mm、リアバッフルは16mmです。それに対して天板、底板、側板の厚みは9mmしかありません。9mmということは、TEAC S-300よりも薄いのです。
ヨーロッパのスピーカーのように、「箱鳴り」と呼ばれるキャビネットの振動を利用した設計ではありませんし、また出てくる音も、そういう音ではありません。

使われているユニットはマレーシア製ですが、スピーカーの製造は日本で行われています。



(音質について)
音はハイスピードでメリハリのある元気なサウンド。高音はそこそこ出ますが、キャラクタがあり細部の表現力は物足りません。

低音はあまり出ません。他のスピーカーと比べてもTechnics SB-M20Wharfedale Diamond 5よりも弱く、サイズが2まわりくらい小さいTEAC S-300より少し良いくらい。

低音の良く出るフロアスピーカーや20cmクラスと比べると、俗に言う「あるところからスパッと切れている」というふうに感じてしまいます。
全体的な音も低音が出ないために音の量感が不足しており、軽いと感じることも。また元気な高音はソースによって、うるさく聞こえることもあります。

良い点は能率が良いことで、夜に小さな音量で音楽を楽しみたい時にも向いています。

ジャンルはロックやJPOP向き。クラシックやジャズを聴くには元気やメリハリがあり過ぎます。ただしロックでも低音を求める人には向きません。


壁面の近くに置いても問題ないように、フロントバスレフにしたのでしょうが、これがあまり効いていません。D-102AXのキャビネットは、いわばD-102A compactやD-102ACMの拡大版ですが、実はこの2つのスピーカーにはフロント以外に、リアにもバスレフポートがあります。それに対してD-102AXはフロントのみ。この辺りが低音についてはアダになっているのかもしれません。

後継機のD-102EXは、見た目はD-102AXとほとんど変わりがありませんが、ユニットを上級機のD-202シリーズと同じ「シルクOMF」へと変更。キャビネットはサイズをまた拡大して、内部の構造も変更するなど大幅な改良が行われています。


(メンテナンスについて)
1990年代のONKYOのスピーカーは、 ゴム製のエッジを使用しており、経年変化により硬化して割れるという現象が起きています。

D-102AXのエッジは、中古ショップやオークションを見る限り、先代のD-102Aに比べると割れている物が少ないので、改良されているのかもしれません。

ただエッジに使われているゴムは紙のように薄いもので、硬化するとパリパリになって割れてしまいます。そのため、長く使いたい場合は保護材によるメンテナンスか、エッジの張り替えが必要です。






2.5cmソフトドーム・トゥイーター

トゥイーターは
ポリエステル繊維をベースに、特殊コーティングを施した振動板です。従来のユニットよりも太い繊維を使用して、キメ細かさとエネルギー感を両立を狙ったというもの。ユニットは「TW3158A」でマレーシア製。

ポリエステル繊維のドームトゥイーターはコストが安いようで、他社を含めてもこれを使っているのは、安価なモデルだけです。アルミトゥイーターと比べると楽器の音色がうまく出なかったり、細部の音がつぶれてしまうなど、再現力は良くありません。



13cmバイオクロスコーン・ウーファー

振動板は木材パルプに、ホヤのセルロースを混抄して、強度と気密性を高めたというバイオクロスコーン。ユニットは「W1331B」で、キャンセルマグネットを備えた防磁設計となっています。マレーシア製。



フロント・バスレフポート

ポートの口径は41mm、ダクト長は130mm。出口部分は樹脂製ですが、ダクトの本体部分は紙製です。

スピーカー端子

大型の端子で、太いケーブルも接続できるように穴も大きいので、使いづらくはありません。
何故かバナナプラグには対応していません。先に発売されたD-102A compactやD-102ACMでも、バナナプラグ対応の端子を装備していたのに不思議です。

ネットワーク

手前の青いコンデンサは東信工業製の15μF・50V。奥のコンデンサはニチコンのBP-Pで5μF・50Vです。

先代のD-102Aでは、ドイツのレーダーシュタイン社製コンデンサを使用していましたが、AXではコストダウン。

キャビネット

キャビネットはMDF製。フロントとリヤバッフルは厚みがありますが、その他は厚さが9mmしかないので、よく振動します。
中央に見える角材も補強というより、突っ張り棒として、側板の振動を抑える役目をしているのかもしれません。
吸音材(スポンジ)はウーファーの後ろだけに入っています。



ONKYO D-102AXのスペック

トゥイーター 2.5cm ソフトドーム
ウーファー 13cm コーン
出力音圧レベル 89dB
周波数帯域 45Hz〜35kHz
クロスオーバー
周波数
1.7kHz
最大許容入力 80W
インピーダンス
容積 9.3L
サイズ 幅172×高さ295×奥行276mm
重量 4.9kg




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