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Pioneer PD−T01

     1993年 定価35,000円



パイオニアのPD-T01は1993年9月に発売されたCDプレーヤーです。

パイオニア独自のCDターンテーブル方式を採用したプレーヤーで、このPD-T01をベースにPD-UK3(39,000円)や、多くの海外専用モデルが作られました。

CDターンテーブル方式はレコードプレーヤーと同じように、ターンテーブルの上にディスクを置くものです。これによってディスクの振動や面ブレなどを防ぎ、安定した回転によって読みとり精度が向上し、音質に悪影響を与える電圧の変動やノイズ、ジッターを低減させるというものでした。

ただこのメカは従来のCDプレーヤーよりも構造が複雑なため、コストがかかるというのが難点です。それを35,000円のエントリーモデルに搭載したということで、当時は話題となりました。

D/Aコンバーターはゼロクロス歪やグリッチノイズが無い自社開発の1bitハイスピード・パルスフローDACを搭載しています。シャーシはパイオニア独自のハニカムシャーシとなっています。

プログラム機能は多彩でコンピュプログラムエディットやオートプログラムエディット、リピート、ピークサーチ、ハイライトスキャンなどを装備しています。

CDターンテーブル方式を採用したPD-Tシリーズは、1990年のPD-T07、PD-T05発売以来、ニューモデルを次々に投入し、PD-T01の発売によって高級機(PD-T09 360,000円)〜エントリーモデルまでのラインアップが完成します。

このパイオニアの攻勢に対しSONYは光学系固定メカを開発し、1994年にCDP-XA5ES、CDP-XA7ESに搭載して発売。1996年にはエントリーモデルのCDP-XE700(35,000円)にも光学系固定メカを搭載し、パイオニアに対抗していきます。



(音質について)
音が軽くレンジや音場が狭く平面的な感じで、典型的なエントリーモデルの音です。CDターンテーブル方式搭載といっても、このシャーシと回路ではそのメリットはほとんど発揮できていないようです。

PD-T04のUK仕様であるPD-UK5と聴き比べても、音質はかなり差があります。今からCDターンテーブル方式の音を聴きたいのなら、やはりPD-T04やPD-UK5以上のモデルじゃないと実感できないかもしれません。



(フロントパネル)
デザインは中央の大きなトレイが印象的なPD-Tシリーズ共通のデザイン。一番安価なモデルですが、ブラックに金文字や金のラインと高級感を意識した感じです。エントリーモデルということで、上級機とは違って10キーやヘッドフォン端子が装備されています。

スキップとサーチボタンは兼用で1回押しでスキップ、長押しでサーチとなります。ディスプレィのON/OFFスイッチなどもあります。



動画の音はビデオカメラの内蔵マイクで録音しているため、音質は良くありません。



(シャーシと内部について)
重量はカタログでは3.8kgですが実測は3.5kg。手で持つとウソみたいに軽いです。天板、サイド、リアともに薄い鋼板(0.8mm)で、天板は強度が無いので指で押すと簡単にヘコミます。

底板は厚さが同じでも少し強度の有る鋼板が使われており、プレスによりハニカム構造となっています。この底板部分はPD-T04とサイズやハニカムなどのパターンが、同じなので共用だと思います。インシュレーターは樹脂製。

内部は左側に電源トランス電源回路。中央にCDターンテーブル方式のメカ。右側がメイン基板でサーボ、信号処理、システムコントロール回路、オーディオ回路などがあります。


ハニカムシャーシ インシュレーター



(電源回路)
電源回路は簡素です。小さな電源トランス1個にレキュレーターが1個、後は整流用のコンデンサなどがあるだけです。

電解コンデンサは松下製のAU 16V・3300μFや2200μFなど。電源コードは細い並行コードです。

電源回路 電源トランス


(デジタル回路 サーボ・信号処理・システムコントロール)
PD-T01に搭載されたているのはアナログサーボで、内容的には上級機のPD-T04とほぼ同じです。

サーボコントロール用のチップはSONY製の「CXA1372Q」で、フォーカス、トラッキング、スレッドサーボをコントロールしています。
調整用のボリュームは基板にトラフィックゲインとフォーカスゲイン。ピックアップの上の基板にトラッキングバランスとフォーカスオフセットがあります。

信号処理用のチップはSONY製の「CXD2500BQ」で、スピンドル用のサーボ回路(これだけがデジタルサーボ)も内蔵されています。]システムコントロール用のマイコン自社製の「PD4457A」です。

デジタル回路 SONY CXD2500BQ
SONY CXA1372Q Pioneer PD4457A



(DAC・オーディオ回路)
D/Aコンバーターは自社開発のハイスピード・パルスフロー1bitDAC「PD2028B」を搭載しています。

1bitDACはマルチビットDACで問題となっていたゼロクロス歪やグリッチノイズが無いという特徴がありましたが、反対に高次のノイズシェイピングによりS/N比やダイナミックレンジが悪化するという問題もありました。
パイオニアはこれを解決するために、ノイズシェイパーの次数を2次と低く抑えながら、オーバーサンプリングを384倍と高くするという方法で解決しています。

また1bitDACはマスタークロックに依存するためジッターが問題となりますが、16.93MHzという低いマスタークロックを使うことにより、ジッターの影響も減らしています。

オーディオ回路で使われている電解コンデンサはルビコンやELNA、日本ケミコンなど。オペアンプはJRC 4558DXとXRA15218です。

オーディオ回路 パルスフロー1bitDAC「PD2028B」
オーディオ回路



(ピックアップ・ドライブメカ)
メカはPD-T03(1992年・53,000円)のものを改良したもので、PD-T01以外にもPD-T04、PD-UK5や多くの海外専用モデルに搭載されたものです。

CDターンテーブル方式で特徴的なのはピックアップとスピンドル・モーターがトレイの上側にあること。このためディスクは逆さまにセットしなければなりません。
トレイが締まるとピックアップとスピンドル・モーターが下がり、ディスクを押さえつけてターンテーブルを回転させるという仕組みになっています。

ピックアップは自社製の「PEA1179」を搭載。スライド機構はギヤ式です。


(メカのメンテナンス・修理)
トレイ開閉用のベルトはメカの一番下にあります。基板とメカを結ぶケーブルを外し、トレイ用のカバーを外してメカを固定しているビスを外せば、メカを取り出せます。
ゴムベルトは1本で、これでメカの上下とトレイ開閉を行っています。普通のCDプレーヤーより、かなり直径の大きなベルトが使われているので、交換の際には注意が必要です。

ピックアップ・ドライブメカ ピックアップとスピンドル

ピックアップとスピンドル メカベース

メカのの裏側にあるメカの上下とトレイ開閉用の機構。



(出力端子とリモコン)
出力端子はアナログ固定の1系統だけで、デジタル出力はありません。他にDATやカセットデッキとのシンクロ端子があります。

出力端子

上:PD-T01(1993年) 下:PD-UK5(1994年)


Pionner PD-T01のスペック

周波数特性 2Hz〜20kHz
高調波歪率 0.0017%以下
ダイナミックレンジ 98dB以上
S/N比 115dB以上
チャンネル
セパレーション
103dB以上
消費電力 10W
サイズ 幅420×高さ110×奥行286mm
重量 3.8kg(実測3.5kg)




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