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TEAC PD-500 |
1984年 定価138,000円 |
TEAC PD-500は1984年に発売されたCDプレーヤーです。 ライバル機はAUREX XR-Z70、Lo-D DAD-600、marantz CD-54、NEC CD-609、Pioneer P-D70、SONY CDP-302ES、Technics SL-P3、Victor SL-V500、YAMAHA CD-2など。 PD-500は記念すべきTEACのCDプレーヤーの1号機です。といってもそれは国内の話で、海外では1983年にDL-700(NEC CD-803のOEM)を販売しています。 当時のTEACには、まだCDプレーヤーの開発能力はなく、YAMAHAが1984年6月に発売したCD-2を、OEMとして生産してもらったのがPD-500です。 中味はCD-2そのもので、フロントパネルだけPD-500用の物を取り付けています。ただCD-2は販売上のライバル機でもあるので、オペアンプなどのパーツを変更することで、「音」を変えているようです。 当時のTEACはテープデッキの専業メーカー、そしてTANNOYの輸入元という感じでしたが、翌1985年にはオリジナルのZD-5000を発売。翌1986年には改良型のZD-6000が高い評価を受けます。 1987年にはESOTERICブランドをスタートさせて、P-1/D-1のセパレートモデルを発売。P-1にはVRDSが搭載されました。またこれによりハイエンド市場への進出にも成功しました。 PD-500はD/Aコンバータに、バーブラウンの16bit DAC「PCM53JP-V」を搭載。デジタルフィルターは2倍オーバーサンプリングを使用しています。 ローパスフィルターは周波数帯域が広いパッシブ型を採用しています。 サーボや信号処理回路には、YAMAHA製の集積化回路(LSI・IC)を使用しており、コンパクトで信頼性の高い回路になっています。 振動対策ではメカ全体を弾性素材によりシャーシーからフローティングし、外部や内部のトランスからの振動を低減しています。シャーシは樹脂と鋼板を組み合わせた複合シャーシとなっています。 機能は12曲ランダムプログラム、全曲・プログラム・A-B間の3モードのリピート機能、インデックスサーチ、3モードサーチ、カセットテープへのダビングに便利なスペースプレイ機能などです。 |
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(音質について) | |||||||||||||||
音はYAMAHAサウンドに似ている部分もありますが、この時期のYAMAHAの特徴である高音は違います。 YAMAHAの音からはピアノなどを、キレイに聴かせようという意図が汲み取れますが、PD-500の音は全体のバランスを取って少し抑えられています。低音は締まりは良いですが量感は不足しています。 レンジや音場は広くはないです。パッシブフィルターなので解像度やキレも、それほど良くないです。 その代わりアナログ的な雰囲気と艶めかしさを感じさせる音です。 |
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(フロントパネル) | |||||||||||||||
ディスプレィが小さくスラントした操作ボタンが目立つ、YAMAHAらしからぬ無骨なデザインです。 ディスプレィは数字が4ケタしか表示できないため、トラックナンバーと再生時間をボタンで切り替えて表示します。リピートプレイなどはインジケーターランプが点灯するだけと必要最小限です。 YAMAHAの初期のCDプレーヤーは表示や操作が独特なため、1980年代のCDプレーヤーを使いなれた人でも、最初は操作に戸惑うかもしれません。 CDを読み込んだ後、ディスプレィに表示されるのは全部の曲数で、その後「1oo」と表示されます。これはトラックナンバーが「1」、インデックスナンバーが「0」ということを意味しています。 CDのTOTAL時間は停止時のみ表示が可能で、再生中は表示できません。 操作ボタンは、STOPボタンがPAUSEボタンと兼用で1回押すとPAUSEとなり、もう1度押すとSTOPとなります。スキップホダンは「+」「-」ボタンとなっています。 |
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(シャーシや内部について) | |||||||||||||||
シャーシは樹脂と鋼板による複合(今ふうに呼べばハイブリッド)シャーシです。 ベースとなるのは樹脂製のシャーシで、メンテナンス用にメカと基板の下は開口部があります。樹脂の部分は強度対策で前後・左右にフレームが入っています。 コの字型の天板、底板ともに1mm厚の鋼板製てす。 CDプレーヤーの普及を促進させるために、低価格が急がれている時代でしたので、樹脂製のシヤーシは確かにコストを安くする目的もあったハズです。でも樹脂は内部損失があり、非磁性体なので磁気歪み対策にも有効というメリツトがありました。 脚はインシュレーターではなく樹脂製の小さな脚です。 内部は左側にメカと電源トランス。メカの下にはサーボ回路の一部があります。右側のメイン基板は手前がデジタル回路。奥の左側が電源回路、右側がオーディオ回路です。 |
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(電源回路) | |||||||||||||||
電源トランスは29V・16VAの物が1個。デジタルとアナログに分けた独立電源となっています。 電解コンデンサはニチコンのNXD 3300μFなどが使われています。 電源コードはフルカワ製の細い並行コードで極性のラインが入っています。 |
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(デジタル回路 サーボ・信号処理・システムコントロール) | |||||||||||||||
サーボ回路はメイン基板にあるのは制御用のIC(LSI)などで、ドライバーやサーボの調整用ボリュームはメカの下にあります。 サーボ制御とEFM信号やサブコードの復調などの信号処理を行うのはたYAMAHA製の「YM3511F」です。 インターリーブ復調、誤り検出、誤り訂正などの信号処理を行うのは「YM2201F」で、2倍オーバーサンプリングのデジタルフィルターも内蔵されています。 信号処理に使うRAMは東芝製の8bit CMOSスタティックRAM「TMM2115AP」。 システムコントロール用のマイコンは、沖電気製の4bitマイクロコンピューター「M6404A-31」や、サンヨー製の4bitマイクロコンピューター「LM6405A」です。 他にはSANYO製のトランジスタアレイ「LB1274」や、ロームのLEDドライバ「BA618」などがあります。 |
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(サーボ回路の調整について) | |||||||||||||||
TEAC PD-500はアナログサーボなので、サーボの調整用ボリュームがあります。 調整できるのはフォーカス・ゲイン、フィード・オフセット、トラッキング・ゲイン、トラッキング・オフセット、キック・ゲイン、HFゲインです。 1980年代後半のモデルは音質対策もあるのか、調整がシビアですが、この頃のモデルは調整がしやすいです。 わからないのは、キック・ゲインが固定抵抗に代わっていることです。 キック・ゲインの調整はYAMAHAのCDプレーヤー独特なもので、パルス数をオシロスコープで確認しながら調整するため、素人がやるにしても適正な抵抗値はわかりません。そのためメーカーが何らかの理由で交換したのだと思います。 |
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サーボの調整用ボリューム | |||||||||||||||
(DAC・オーディオ回路) | |||||||||||||||
D/Aコンバーターは抵抗ラダー型のバーブラウンの16bitDAC「PCM53JG-V」が1個です。高速でありながら温度変化にも安定性が高く、歪みも少ないDACでした。 スペックは高調波歪率が0.002%、ダイナミックレンジは96dBです。 PCM53JG-VはモノラルDACなので、左右のチャンネルの信号を交互にD/A変換します。その後、信号はNEC製のマルチプレクサ「μPD4053BC」で、左右のチャンネルに分けられます。 ローパスフィルターはパッシブ型のLCフィルターです。 パッシブ型のローパスフィルターのメリットは、周波数帯域が広いことや、大きな電力を扱えたり、電力消費が少ないことです。 バスバー(ブスバー)を設置して、グランドの安定化や基板の低インピーダンス化を図っています。 電解コンデンサはルビコンのブラックゲートなどが使われています。 |
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(ピックアップ・ドライブメカ) | |||||||||||||||
ピックアップ・ドライブメカはチャッキングアーム式です。メカベースは鋼板製のしっかりしたもので、弾性ゴムによってフローティングされ、外部からの振動を吸収しています。 ピックアップは追従性が良い3ビーム方式の三菱製「MLP-1C」です。 スライド機構はギヤ式です。 レーザーの出力ボリュームはピックアップの後ろ側にあります。底板を外さないと調整できません。 トレイの開閉機構もギヤ式で、ゴムベルトを使用していないので少し音がうるさいですが、ゴムベルトの劣化でトレイが開かなくなる心配はありません。 |
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(出力端子) | |||||||||||||||
出力端子はアナログ固定が1系統で、デジタル出力はありません。 |
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リアパネル |
周波数特性 | 3〜20kHz +0.5dB |
高調波歪率 | 0.0015% |
ダイナミックレンジ | 96dB以上 |
S/N比 | 100dB以上 |
チャンネル セパレーション |
95dB以上 |
消費電力 | 12W |
サイズ | 幅435×高さ93×奥行290mm |
重量 | 4.8kg |
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