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DENON DA-300USB

2014年 57,500円



DENON DA-300USBは、2014年2月21日に発売されたハイレゾ対応のヘッドホンアンプ付USB-DACです。

ハイレゾはDSDの2.8/5.6MHzと、24bit/192kHzまでのPCMに対応しています。ASIOドライバによるネイティブ再生と、DoP(DSD Audio over PCM Frames)に対応しており、パソコンからUSB接続でDSD信号の転送が可能になっています。


DA-300USBのD/Aコンバータは、TI製の192kHz/32bit・DAC「バーブラウン PCM1795」を搭載しています。

PCM1795は2009年に発表されたDACで、16bit、24bit、32bitのPCMデータとDSDデータに対応しています。

このDACは「Advanced Current Segment方式」(最近はAdvanced Segment方式と呼ばれています)というD/A変換方式を搭載している電流出力のDACで、音の良いDACとして、多くのピュアオーディオ用の機器でも使われています。

評判が良いため、パーツショップによっては、1個2000円以上のボッタクリ価格で販売しているところもありますが、メーカーからの出荷価格は2.9~3.4ドル(1000個時)程度です。


デジタルフィルターはPCM1795にも搭載されていますが、 DENONは従来から、「Advanced AL32 Processing」(通称 Alphaプロセッサ)内にある適応型デジタルフィルターを使用しており、このDA-300USBもそれを使用しています。

DACから後ろのオーディオ回路は、SACDプレーヤーのDCD-1650SEやDCD-1500SEと、ほぼ同じレベルの回路で、このクラスのUSB-DACとしては、充実した内容です。


PCMは独自の波形再現技術「Advanced AL32 Processing」により、16bitの信号も32bitにアップコンバートされてD/A変換されます。DSDは「AL32」をパスして、そのままD/A変換しています。

信号処理やDACに使われるクロックは、44.1kHzと48kHzの2系統の発振器を搭載しており、音源のサンプリング周波数に合わせて切り替えています。

USB-DACの音質悪化の原因のひとつに、USBケーブルを伝わって、パソコンからノイズが入り込むケースがあります。これを遮断するためにデジタル・アイソレーターを装備しています。



(ヘッドホンアンプについて)
ヘッドホンアンプは電圧増幅段にハイスピード、ローノイズのオペアンプを使用。出力バッファー段はディスクリート回路になっています。

こう書くと6万円近いDACですし、ヘッドホンアンプは良い物が積んでいるだろうと思いますが、実はエントリークラスのCDプレーヤーの回路と同じレベルです。簡単に言うと、かなりショボいです。

宣伝文句では「出力インピーダンスは32Ωで、幅広いヘッドホンに対応できます。」となっていますが、インピーダンスが固定ではヘッドホンとの相性は、かなり出ると思います。
DA-300USBに使う人は少ないかもしれませんが、16Ωが多いイヤホンは全滅に近いと思います。試しにイヤホンで聴いてみましたが、スマホより音が悪いくらいです。


よくオーデイオを少しかじった人が、ヘッドホンのインピーダンスは「ロー出し、ハイ受けが基本」とか言いますが、ヘッドホンもイヤホンも、スピーカーと同じで、周波数によってインピーダンスが変動するので、そんなに簡単ではありません。カタログに書いてあるスペックは代表的な数値です。

ですからインピーダンスが32Ωのヘッドアンプに、32Ωのヘッドホンを繋ぐのは、ベターであっても、ベストにならない可能性があります。


ちなみにピュアオーディオ用のアンプでは、スピーカーのインピーダンスの変化は、音質への影響が大きいために、1970年代からそれに対応する回路が内蔵されています。

さらに言うと「ロー出し、ハイ受け」は、もともとヘッドホンの話ではなく、オーディオ機器の間のバランス伝送での話です。


※よっぽど評判が悪かったのか、後継機のDA-310USBでは、ヘッドホンアンプが一新されて、インピーダンスも8 ~ 600 Ωの対応となりました。



(入出力端子・設置・付属品)
入力端子はUSB(Type B)が1系統。デジタル入力端子は光が2系統、同軸が1系統です。
出力端子はヘッドホン端子はステレオ標準ジャック。ライン出力はRCA端子です。


設置は縦置き、横置きともに可能で、設置方向に合わせて自動で表示の向きが変わる有機ELディスプレイを装備しています。

付属品はACアダプター、音声ケーブル、縦置き用スタンド、横置き用フット。



(USBのドライバについて)
対応OSは Windows Vista, Windows7、Windows8ですが、Windows10でも問題なく動作します。MacOSはOS X 10.6.4以降に対応しています。

2018年8月に正式にWindows10用のドライバがリリースされました。 USBドライバはDENONのサイトからダウンロードが可能です。

製品を探すから「DA-300USB」を選択。ドライバの他に取扱説明書(PDF)もダウンロードできます。



(ACアダプタについて)
DA-300USBの電源部は、ピュアオーディオ用のCDプレーヤーやUSB-DACよりも貧弱ですが、デスクトップサイズのDACの中では、内部の電源回路を強化しており、TOPPINGやS.M.S.L.の高価格DACよりも強力な電源回路になっています。

ACアダプタは15V・1AでDA-300USBの能力からすると貧弱です。
交換する場合は市販の15Vのアダプタは種類が少なく、付属のACアダプタと同じで小型の物が多いのが実情です。

ただ、幸いなことに中古のアダプタには、ノートパソコン用の15V・3~4Aのアダプタがけっこうあるので、これを利用するのもひとつの手だと思います。これらは容量も高く、回路もキチンとしているので、音質の向上につながる場合も多いです。



(音質について)
DA-300USBの音は少し硬めでレンジが広く解像度があり、奥行などの音場も問題ないです。高音は出ますが低音は少し不足気味です。

小型のUSB-DACでは苦手な部類の、音のキレや艶なども出ます。また演奏時の細かい表現力などもDA-300USBではちゃんと出てきます。

DA-300USBの回路は完全にピュアオーディオ用なので、小型のUSB-DACとそのくらいの差が出ても当然なのですが、やはり音は「格の違い」を実感します。

同じDENONのCDプレーヤー DCD-1500SEと比べると、DACはDA-300USBが上で、オーディオ回路はほぼ同じレベルという状況ですが、実際の音となると同じか負けてしまうくらい。これは電源がACアダプタのためだからと思います。

音楽のジャンルはクラシック・ジャズ・ロック・JPOP・アニソンとオールラウンドに使えますし、いろいろなアンプ(小型デジタルアンプを含む)やスピーカーとの相性も良いので、使いやすいUSB-DACです。



ヘッドホンの音は悪いです。USB-DACの音とは全くの別物です。音は「ドンシャリ」で細かい音は潰れています。音色が少なくレンジも狭く定位も悪いです。

USB-DACが頑張っても、ヘッドホンアンプは上記のとおり、「おまけ」のようなアンプが付いているだけなので、レベルとして1万円以下のヘッドホンアンプの音と思ったほうが良いです。またヘッドホンとの相性も出ます。

ヘッドホンをメインで聴く場合は他の機種を探したほうが良いと思います。



DA-300USBも中古価格が下がってきているので、PCオーディオのUSB-DACに使おうと思う人も多いかもしれません。

確かに発売から年数がたったので、新しいDACから見るとDSDの5.6MHz、PCMは24bit/192kHzまで、というスペックは見劣りがしますが、十分すぎるくらい現役として使えます。

ハイレゾ配信は一般の人からは「オワコン」とも呼ばれ、アニメ以外の新譜の発売は大幅に減っています。
また新譜のほとんどは24bit/96kHzで、DSDの5.6MHzやPCMの24bit/192kHzの配信は、3年前と比べると激減しており、この先が心配なくらいです。

また、小型のUSB-DACではTOPPINGやS.M.S.L.が人気ですが、新しい機種はESSやAKMの高性能DACを搭載しているものの、内部の回路やパーツは以前よりも手を抜いています。
例えばDA-300USBの中古価格と同じぐらいの値段のTOPPING E30は、DACにAK4493EQを搭載しているものの、音質はDA-300USBの相手にならず、2~3ランクは劣る感じです。


PCオーディオで使う時に注意したいのは、高音質な故に逆に音源の「アラ」がハッキリと聴こえてしまうことです。

例えばアニメなどの打ち込み曲では「コンプレッサ/リミッタ」が多用されますし、「リバーブ」や「コーラス」などのエフェクトも良く使われます。
これらは、音に厚みや迫力を与えるために欠かせないものですが、逆に音の解像度や透明感は落ちてしまいます。

1~2万円クラスのUSB-DACでは、あまり気になりませんが、DA-300USBは高解像度のため、エフェクトの掛り具合がハッキリとわかります。
逆に言うと解像度や透明感の悪いパートも、ハッキリとわかり、ある意味「音の悪さ」がハッキリと出てくる場合もあります。








(内部のパーツについて)
内部にはあるICはDACがTI製のバーブラウン PCM1795。Advanced AL32 Processingとデジタルフィルターは、ALTERA製のFPGA「Cyclone IV 4CE15F17C6N」。

入力切替などを行うARM製のプロセッサ、データのデコード処理用のTI製の「TMS320」。デジタルインターフェイスは、TI製の「PCM9211」が使われています。


(Alphaプロセッサについて)
Advanced AL32 Processing(通称アルファ・プロセッサ)は、波形再現技術と呼ばれる回路です。

波形再現技術は音源が20bit以上にも関わらず、CDや音楽配信などでデータ容量の問題で解像度を落とされた信号を、元の波形を推定して再現をする技術のことです。「AL32」では元が16bit信号であっても、データ補間を行い32bitにアップコンバートを行っています。

以前は「CD製作時に切り捨てられたデータを再現」というような説明がされていましたが、ユーザー側が勝手に「だからCDは音が悪い」とか、Alphaプロセッサは20kHzの周波数を再現するとか解釈してしまったため(実際はいずれもケースbyケースで異なります)、現在はメーカー側も「滑らかな波形を再現する」と言い方を変えています。



(デジタル・アイソレーター)
USB-DACではパソコンから発生する強力なノイズが、音質の大きな問題となりますが、DA-300USBにはUSBケーブルを通じて入ってくる、PCノイズを分離して遮断する「デジタル・アイソレーター」が搭載されています。

デジタル・アイソレーターはDCD-SX1などのSACDプレーヤーにも搭載されていますが、場所はUSBインターフェイスの後ろになっています。

DA-300USBでは、AlphaプロセッサとDACの間に搭載されており、Alphaプロセッサ(FPGA)で発生するノイズも、いっしょに遮断しています。(オーディオ的にはDA-300USBの使い方が正解です)

またパソコンから空中に放出されるノイズも音質に影響を与えますが、これをブロックするためにケース内部には鋼板が貼られています。



リアパネル


縦置き用スタンド 入力インジケーター




DENON DA-300USBのスペック

入力データ DSD
2.8224/5.6448MHz

PCM
32/44.1/48/64/88.2/96/176.4/192kHz
周波数特性 DSD:2Hz~50kHz(-3dB)
PCM:2Hz~20kHz(±0.5dB)
全高調波歪率 0.0018%(1kHz)
ダイナミックレンジ 105dB
S/N比 112dB
電源 ACアダプタ付属。DC 15V・1A
サイズ 幅170×高さ57×奥行182mm
重量 1.5kg





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