JVC HA-FXT200LTDのレビュー

JVC HA-FXT200LTDは名前の通り、HA-FXT200のリミテッドバージョンで、2014年11月発売。 発売時の価格はeイヤホンで、HA-FXT200が14,900円、HA-FXT200LTDが17,060円でした。 低域用と高域用の2つのドライバーを持つ、JVC独自の「ツインシステム」を進化させた「Hi-SPEEDツインシステムユニット」を搭載しています。 ツインシステムはオーディオ用のスピーカーと同じように、ダイナミック型の中低音用と高音用のドライバーを搭載したものです。 バランスド・アーマチュアのイヤホンでは、ユニットが小さいために、低域用と高域用の２つのユニットを、ハウジングに収めるのが可能ですが、ダイナミック型ではJVCの「ツインシステム」など、少数の製品しかありません。

HA-FXT200LTDの特徴について

ドライバーユニットは口径5.8mmで、中高域用にはチタンコーティングの振動板、中低域用にカーボン素材の振動板が使われています。 マグネットを振動板の前後に配置することで、応答性を向上させています。（いわゆるハイスピード） またドライバーユニットを真鍮製のベースユニットに固定することで、音を濁らせる不要な振動を抑えています。 ハウジングはグラスファイバーを配合して強度を高めたもので、これにより不要な鳴きわ抑えています。また低音を引き出すために、ツインバスポートを備えています。 さらに空気室容積の最適化を図るために、金属製の細い中空パイプ「アコースティックチューブチャンバー」を採用しています。 イヤーピースは、 スパイラルドットイヤーピースです。これは内部にディンプル加工を施したもので、B&Wの高級スピーカーに採用されたものと同じで、ドライバーの振動版の振動により、発生する空気の流れをコントロールしてノイズを減らす役割をします。 イヤーピースのサイズは3サイズ（S、M、L）。 HA-FXT200LTDでは、これにゴールドカラーのオーナメントと銀コートOFC線の編組コードを採用しています。

HA-FXT200LTDの音質について

音はドンシャリではなく、カマボコとフラットの中間という感じです。 レンジは狭く、高音も伸びが弱く低音はあまり出ません。それほど解像度が良い訳ではありません。また「Hi-SPEED」でもありません。 ドンシャリが好きな人には、けっして良い音には聞こえないと思います。単純に「良い音」といことで比較をすると、バランスド・アーマチュアの1万円以下のモデルにも、負けてしまいます。 低音が出ない原因はドライバーです。低音を出すには口径の大きなドライバーを搭載するのが普通ですが、HA-FXT200/200LTDは5.8mmと普通のイヤホンの半分ぐらいしかありません。 またハウジングの空気室を大きくすることで、低音を強化できますが、「ツインシステム」はドライバーを並列にしているため、サイズが大きくなり、空気室の容量が小さくなってしまいます。 高音を出すにはドライバーの口径が小さい方が有利です。しかし低音が出ないドライバーに、高音が出るドライバーを組み合わせると、中低音がマスキングされて、余計に低音が聴こえなくなってしまうため、中低音とのバランスを取るために、高音を押さえているのだと思います。 またHA-FXT200LTDに使われている銀コート線は、音が柔らかい方向になるので、向かない曲も出てくると思います。 ジャンルとしては、ロックやジャズ向け、アニソンなどの打ち込みが多い曲には向きません。クラシックは聴けないことはありませんが、細部の音は潰れてしまいます。 17,000円ぐらいの価格になると、まずネットでは「音が悪い」と書く人はいません。でも実際は音の悪いイヤホンもたくさんあります。 「イヤホンは値段が高くても、音が良いとは限らない。」ということの見本のような商品です。 結局、ネットでの評判とは反対に、売れなかったようで、これ以降「ツインシステム」搭載のイヤホンは作られていません。 2014年発売にも関わらず、HA-FXT200、HA-FXT200LTDともに、2020年になっても売れ残った在庫品の販売が行われています。

HA-FXT200LTDのフィット感について

フィット感は良好です。

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