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KENWOOD DP-7040 |
1991年 定価53,800円 |
KENWOODのDP-7040は1991年11月に発売されたCDプレイヤーです。フロントパネルの下部で折り曲げられたデザインは、当時のKENWOODのアンプ・チューナーやカセットデッキなどと共通のものでした。 KENWOODは他社に比べると1bitDACへの切替が遅く、このDP-7040などから搭載が始まります。採用されたのはSONYのESシリーズと同じ1ビット・パルスD/Aコンバーター。 このDACを正確に動作させクロック・ジッターを排除するために、通常の発振回路の10~30倍優れた純度を持つというハイプレシジョン・マスタークロックを装備しています。 ピックアップやサーボ回路では、CDのキズや汚れによるエラーを低減するスーパー・オプティマサーボや、ピックアップの不連続動作を減らし、グランド電位を安定させるAB-CLASSピックアップ・アクチュエーター駆動回路を搭載。 またRF信号を忠実に伝送するためにRF位相等価補償回路も搭載していしました。これらによりサーボ系から発生するデジタル・ノイズを抑制し音質劣化を防いでいます。 シャーシはフロントパネルに3mm厚のアルミ材を使用し音圧対策を行うとともに、内部にボックスを設置し剛性を高めたツインビーム構造となっています。 CD信号の読み取りから信号伝送の見直し、D/A変換のマスタークロック強化と、パイオニアの「Zコンセプト」とよく似た考え方です。もちろん、ケンウッドの方がだいぶ早いのですが。 前モデルのDP-7020の時は、DP-8020(80,000円)という上級モデルがありましたが、バブルの崩壊により、KENWOODはCDプレーヤーのラインアップを整理し、80シリーズは廃止となります。 その結果、1991年のラインアップでは、このDP-7040が最上位モデルでした。1992年にはL-D1(280,000円)も発売しますが、以後フルサイズコンポの量販モデルでは、70シリーズが主力となります。 後継機はDP-7050(1993年)で、DACはフィリップス製の「DAC7」を搭載。これに伴いオーディオ回路も変更しています。またブロック・コンデンサーを大型し、電源の強化なども行われています。 |
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(音質について) | |||||||||||||||
1990年代に入り、各社の5~6万円クラスのCDプレーヤーも、メリハリを抑えて少しフラット傾向の音造りになる中で、DP-7040の音質はというと少し派手めな方向のサウンドです。 低音が少し強めに出ていますが、全体としてはうまくまとめられており、長く聞いていても疲れるようなこともありません。また解像度もしっかりしています。 いろいろなジャンルの音楽に使える「明るいキャラ」のオールラウンダーという感じです。 |
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(フロントパネル) | |||||||||||||||
フロントパネルには3mm厚のアルミ材を使用し、スピーカーの音圧による影響を抑えています。 ディスプレィはトラックナンバーと時間だけのシンプルな表示ですが、マイコンノイズ対策のディスプレィのON/OFFスイッチもついています。ディスプレィに表示される情報はトラックNoや時間などシンプル。操作ボタンも必要最小限なのでリモコンが無いと不便です。 操作ボタンもシンプルで必要最小限なものだけ。ところがこれが当時のユーザーには不評で後継機のDP-7050では「10キー」ボタンを復活させています。 |
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(シャーシと内部について) | |||||||||||||||
シャーシは1.6mm厚の鋼板によるボックスを、左右に配置して剛性を高めたツインビーム構造です。このおかげで5万円台前半の価格にも関わらず、7.0kgもの重量があります。 左側のボックスの上にはシステムコントロールとサーボ系回路、右側のボックスの上は主にオーディオ回路というレイアウトで、ピックアップ・ドライブメカとトランスは中央の谷間に収まっています。 |
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(電源回路) | |||||||||||||||
電源回路のトランスはケース入りで少なくとも2系統の別巻線となっているようです。 左側の基板にはデジタル用の電源回路、右側の基板にはオーディオ用の電源回路があり独立電源回路となっています。コンデンサは日本ケミコンのSME(標準品)などを使用しています。 |
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(デジタル回路 サーボ・信号処理・システムコントロール) | |||||||||||||||
サーボ回路は1990年代に入りデジタル・サーボの搭載機が増えていましたが、DP-7040はアナログ・サーボです。 その代わりスーパーオプティマサーボや、AB-CLASS ピックアップア・クチュエーター駆動回路など、熟成された回路技術を搭載しています。 といってもKENWOODは代々SONY製のサーボ制御チップを搭載しており、実際にはSONY製のサーボ回路といっても過言ではありません。DP-7040で使われているのは「CXA13725Q」で、サーボ調整用のボリュームはトラッキング・ゲインやフォーカス・ゲインなど4つ。 復調やエラー訂正などの信号処理を行うシグナルプロセッサーは、右側(オーディオ側)の基板の裏にありSONY製の「CXD2500」が使われています。 その他にSONY製のC-MOS I/o Port Expander「CXD1095Q」や、システムコントロール用のNEC製マイコン「μPD75216ACW C65」、サンヨー製のC-MOS スタティックRAM「LC3518BSL-15」などがあります。 |
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(DAC・オーディオ回路) | |||||||||||||||
オーディオ回路の中央には、大きなバスバー(ブスバー)が配置されて、グランドの安定化や基板の低インピーダンス化を図っています。 DACはSONY製の1bit・パルスD/Aコンバーター「CXD2552」を搭載しています。このDACはSONY CDP-X77ESやCDP-X55ES、CDP-X555ESなどにも使われています。 CXD2552は、PLM(パルス長変調・Pulse Length Modulate)方式の1ビットDACで、チップには4つのDACが搭載されていますが、DP-7040では2つずつを差動合成して、デュアルコンバーターとして使っています。 松下電器とNTTが開発した1ビットDAC「MASH」の、PWM(パルス幅変調)方式が、パルス幅がマスタークロック2個ずつしか増えないのに対し、PLMではマスタークロック1個ごとに、パルス幅が増えるため、理論的にはPWMの2倍の分解能があると言われていました。 このDACは、64倍オーバーサンプリング・3次の「Sony Extended Noise Shaping」という、多段ノイズシェイピングを搭載しています。 DAC内ではCDの16ビットの信号を、再量子化という方法で1ビットへと減らして行きます。この際に発生するのが「量子化ノイズ」で、そのまま放置すると音質悪化の原因となります。 ノイズシェイピングの回路では、ビット数を減らした際に、再量子化誤差を入力側にフィードバックして、可聴帯域内の量子化ノイズを低減する仕組みを持っています。 また1bitDACは、クロックジッターの影響を受けやすいため、DP-7040では普通のクロックの10~30倍という、純度を持つハイプレシジョン・マスタークロックを採用し、DACの隣に配置しています。 デジタルフィルターは、8倍オーバーサンプリングのNPCの「SM5840CP」です。 電解コンデンサはELNAのオーディオ用(安い方)ですが、キチンとした音を出してくれます。 |
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(ピックアップ・ドライブメカ) | |||||||||||||||
ピックアップ・ドライブメカの上はアルミパネル(トップカバー)でシールドされており、その上を左右の基板をつなぐフラットケーブルがまたいでいます。 このトップカバー方式は、今では多くのプレーヤーに装備されていますが、この当時はクランパーが付いたブリッジ方式が主流で、トップカバー方式のプレーヤーはわずかでした。 トップカバーのメリットは、メカブロックの強度が向上し振動対策に有効なことと、ピックアップやギヤにホコリがつきにくくなることです。 トップカバーをはずすと4点支持でフローティングされたピックアップ・ユニットが現れます。 使われているピックアップはSONY製のKSS-210A。スライド機構はギヤ式です。これらのユニットはフローティングされています。メカベースは樹脂製です。 |
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(出力端子・リモコン) | |||||||||||||||
リアパネルのアナログ出力はFIXED(固定)、VARIABLE(可変)の2系統。デジタル出力端子は光学式が1系統です。 他にケンウッドのシンクロ接続端子(XS)があります。 専用リモコンの型番は「RC-P7040」。 |
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周波数特性 | 4Hz~20kHz |
高調波歪率 | 0.001%以下 |
ダイナミックレンジ | 100dB以上 |
S/N比 | 105dB以上 |
チャンネル セパレーション |
103dB以上 |
消費電力 | 15W |
サイズ | 幅440×高さ128×奥行314mm |
重量 | 7.0kg (実測7.0kg) |
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