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Wharfedale・ワーフェデール Diamond5

    1993年 66,000円



Wharfedale(ワーフェデール) は、セレッションやタンノイと並ぶイギリスの老舗スピーカーメーカーです。かっては多くの新技術を開発し、「エアデール」や「DENTON」などの名機を生み出したことでも有名です。→ワーフェデールの歴史・発売リスト


初代の「Diamond」は1981年に誕生(Wharfedaleの資料には1981年と、1982年の両方が記載されています)。

ハイエンドモデル「TSR102」の技術を取り入れて設計され、本棚に入るぐらいのサイズ(W186 X H246 XD212)の2ウェイスピーカーで、リアバスレフのエンクロージャーに、19mmのプラスチック・トゥイーターと11cmのM.F.H.P.(メタル充填ホモポリマー)ウーファーを備えていました。

初代のDiamondはヒット商品となりますが、1年もたたない内に改良型のDiamond 2が投入されました。

1987年のDiamond 3には、LMPトゥイーターが搭載されるとともに、Diamond SuperやDiamond Ritz、アンプを搭載してアクティブスピーカー化した、Diamond Active Plusなどの派生モデルも作られました。

1991年のDiamond 4では、樹脂製バッフルやアルミ・トゥイーターの採用など、設計が大きく変更されました。このころ日本でも小型スピーカーブームが訪れ、Diamond 4とDiamond 5が輸入されますが、ほとんど話題になることはありませんでした。

1998年のDiamond 7から、ブックシェルフの「7.1」「7.2」、トールボーイの「7.3」というように、現在と同じモデル体系となります。

2001年のDiamond 8ではケブラーコーンを搭載。マルチチャンネルシステムやホームシアターが構築できるように、センタースピーカーやサブウーファーが追加されて、ラインアップが拡充されます。

2002年にはDiamond 8.2をベースに創業70周年記念モデルを発売。2007年にはDiamond 9.1をベースにした、創業75年記念モデルの「Diamond Anniversary」が、2000セット限定で発売されました。

2009年発売のDiamond 10.1はイギリスのWHATS HI FI誌で、「PRODUCT OF THE YEAR」を獲得するなど、評価が高く大ヒット商品となります。
2012年の年末には、第11世代として「Diamond 100」シリーズを発表。ただ日本ではDiamond 10シリーズの販売が継続されました。
2014年には「Diamond 200」シリーズが発売。日本では2015年から一部のモデルが発売されました。

最新モデルは2017年5月に、ミュンヘンのショウで発表された「Diamond 11」シリーズで、キャビネットはDiamond 10.1のような湾曲した形状に戻されています。売れ筋となる11.1の価格は270ポンドです。
今までは動きの遅かった日本の代理店のロッキーインターナショナルも、今回は気合が入っているようで、9月29日から販売を開始しました。


Diamondシリーズの年表
1981年 Diamond
(初代)
未輸入 イギリス製
1982年 Diamond 2 未輸入 イギリス製
1987年 Diamond 3 未輸入 イギリス製
1991年 Diamond 4 33,000円(1台) イギリス製
1993年 Diamond 5 66,000円(2台) イギリス製
1996年 Diamond 6 未輸入 イギリス製
1998年 Diamond 7 未輸入
2001年 Diamond 8 未輸入 中国製
2004年 Diamond 9 9.1 57,600円(2台) 中国製
2009年 Diamond 10 10.1 48,000円(2台) 中国製
2012年 Diamond 100 未輸入
121 £230(2台)
中国製
2014年 Diamond 200 210 39,000円(2台) 中国製
2017年 Diamond 11 11.1 64,000円(2台)
※Diamond 9は国内で一部モデルが販売されましたが、並行輸入だったようです。




(Diamond 5について)
Diamond 5は1993年に発売された2ウェイ・スピーカーです。 日本での発売は3月なので、イギリスとあまりタイムラグを置かずに発売されたようです。イギリスでの価格は不明ですが、アメリカではペアで190ドル(1993年のドル/円レートは117円)で、販売されていました。

ライバル機はヨーロッパ勢ではCelestion 3Mk2、ロジャース Studio3、モニターオーディオ Monitor 1、JAMO 307、スペンドール LS3/5A、国内勢ではONKYO D-102A、DENON SC-E232など。

※モニターオーディオ Monitor 1は、ネットでは1998年発売とか2001年発売などと、書かれているサイトもありますが、日本で発売されたのは1993年12月で、ロングセラーとなったスピーカーです。


Diamond 5のトゥイーターはアルミニウムのドーム型で、Diamond 4の19mmから25mmへと大型化されました。12cmのコーンウーファーは、ポリプロピレンにミネラル(鉱物)を混合した素材です。

これは1980年代から使われいた「M.F.H.P.」の発展型で、ワーフェデールのスピーカーのみならず、日本のDENONにもユニットごと供給され、SC-E232(1992年・60,000円)とSC-E535(1992年・90,000円)に搭載されました。これらは当時のDiamondシリーズのユニットとは違い、キャンセルマグネットを取り付けた日本向けの仕様となっていたようです。

キャビネット(エンクロージャー)はMDF製です。ただし木材チップの密度は高くなく、現在の基準でいうとパーチクルボードです。
サイズはDiamond 4より幅と高さを小さくし、奥行きを増やしています。リアバスレフ方式を採用しています。
仕上げはブラック(Black gloss wood grain veneer)のみ。

フロントバッフルの厚さは20mmで、これに樹脂製のパネルを組み合わせた2重構造となっています。バッフルの樹脂製パネルは、音質にマイナスのイメージですが、防振材を貼り付けてみると音が「デッド」になるので、これはこれで計算して使っているようです。
オプションとして、専用スピーカースタンド RS22(32,000円)が発売されていました。



(音質について)
音は中音域がメインで高音はちょっと独特の音色。低音は意外と出ますが締まりはルーズ。定位は良くて同軸のTEAC S-300を上回るくらい。音場はナチュラルで広すぎることも、狭すぎることもありません。
ジャンルとしては一番良いのがボーカル。ロックやジャズもいけますが、解像度が少し悪いので、クラシックのオーケストラでは混濁感が出てしまいます。

ただ、このブリティッシュ・サウンドを聴くためには、セッティングが大変です。
箱鳴り設計のためエンクロージャーはかなり振動します。音圧は86dBのはずですが聴感上はもっと低いので、アンプのボリュームを上げてやる必要があります。そうなるとますます箱が振動するという悪循環。

デスクトップ、棚の上、タンスの上などいろいろと試しましたが、本来の音を出すにはスピーカースタンドが一番です。そして背面は50cmぐらい空ける必要があります。リスニングポジションもニアフィールドより、1.5mぐらい離れたほうが良いです。

デスクトップや棚の上で使用する場合は、アンプやCDプレーヤーがそばにあると、まともに振動の影響を受けて、これらの音質も悪くなるので対策が必要。またどこで使うにしろインシュレーターやスパイクは必須です。

※日本の場合は小型スピーカー=狭い部屋でも使えるという発想になりがちですが、海外製の小型スピーカーには、セッティングにある程度のスペースが必要なものがあります。
Celestion3MkU(W185×H310×D215)の推奨値は、床からの高さが24インチ(約61cm)、左右のスペースも24インチ(約61cm)離すように推奨されています。B&WのDM601 S3はスピーカー間は150cm以上、後方と左右は50cm以上のスペースが推奨されています。

欧米のメーカーは小型スピーカーの開発の際に、日本のような狭い部屋を考慮していないことも多いので、国産の大きなスピーカーより広いセッティングのスペースが必要な物もあります。また小型スピーカーといっても、セッティングにシビアな物もあり、単にブランド信仰でスピーカーを買ってしまうと痛い目にあうこともあります。



(2.5cmアルミドーム・トゥイーター)

トゥイーターの前にはガードのような物があります。前モデルのDiamond 4には、このような物は取り付けられていません。

通常、トゥイーターの前に取り付けられるパーツとしては、軸上特性や指向特性、周波数特性を改善するための、イコライザー(Equalizer)やデフレクター(Deflector)があります。ただDiamond 5の物は振動版を覆う面積がかなり大きいです。

イコライザーであれば、中央の円形部分とその外側のリング状の部分を使い音波を反射させて、トゥイーターユニットの外側のコーン状の窪みに当てることで、環状イコライザーを形成しているということにもなります。

もしかすると、1990年代には子供がイタズラでアルミツィーターを押して、潰れてしまうという「事故」が頻発していたので、それを防ぐガードを兼ねているのかもしれません。


このトゥイーターは新開発のユニットで、ダンパーと冷却には「magnetic fluid」(磁性流体)を使用した、いわゆる磁性流体スピーカーです。型番は「0314」。

※SONYが磁性流体スピーカーを、さも新しい技術のように宣伝していましたが、1980年ごろに発売された「ONKYO MONITOR 100」にも、使われている昔からある技術です。
古いスピーカーで、トゥイーターから液体が漏れたような跡があるのは、シールが破損して磁性流体が流れ出た可能性もあります。



(12cmコーン・ウーファー)

カタログ上は12cmとなっていますが、正確には4.5インチ(11.4cm)。でも見た目にはもっと小さく見えます。
多層巻きのボイスコイルを採用した新開発のユニットです。コーンの素材はミネラル(鉱物)混合のポリプロピレンで、当時のワーフェデールのウーファーユニットのメイン素材のひとつです。センターキャップとエッジはゴム製です。
ユニットの型番は「1205A」。



バスレフポート

ダクトは樹脂製で口径は31mm、長さは65mmと短めです。

スピーカー端子

バナナプラグ対応です。

(キャビネット)
キャビネットはフロントバッフルがMDFと、樹脂製パネルによる2重構造。その他はパーチクルボードとなっています。

厚さはフロントバッフルが20mm、リヤバッフルの厚さは13mm。天板・底板・側板は15mmです。

フロントバッフルに同じように樹脂製パネルを使っているCelestion3は、バッフルの補強やユニットのフレームの共振を抑えるという役割を持っていますが、Diamond 5のものは中空構造で、あまり強度もありません。

たぶんデザイン性や、ラウンドバッフルにして音波の回折を抑えるための使用だと思います。


内部の吸音材は化学繊維の綿で、ウーファーの後ろ部分だけに入っています。



同じ1993年に発売されたイギリスのスピーカー
Diamond 5(左)とCelestion 7Mk2(右)


Wharfedale diamond5のスペック

トゥイーター 2.5cm ハードドーム
ウーファー 12cm コーン
出力音圧レベル 86dB
周波数帯域 47Hz〜25kHz
クロスオーバー周波数 3.7kHz
最大許容入力 100W
インピーダンス
サイズ 幅178×高さ265×奥行205mm
重量 3.5kg




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