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DENON DCD−1600 |
1987年 定価79,800円 |
DENONのDCD-1600は1987年5月に発売されたCDプレイヤーで、DCD-1500の後継機となります。海外ではDCD-1500MkUとして販売され、シルバーモデルもありました。 1987年はまさにCDプレーヤーの黄金期で、各メーカーがフルナインラップで製品を投入していました。中でも力が入っていたのが89,800円のクラス。KENWOODのDP-1100SG、SONY CDP-337ESD、テクニクスSL-P990、ヤマハCDX-1000などの強力なCDプレーヤーがひしめいていました。 DENONは前年にDCD-1700(定価11万円・1987年も継続販売)を投入、他社の「898」のラインに対抗したのが、「798」のDCD-1600です。価格は1万円ほど安いものの、内容・音質ともに他社の「898」に勝るとも劣らないプレーヤーでした。 →1987年の898クラスのCDプレーヤーの比較 1987年にはDACのハイビット競争がスタートしていましたが、DCD-1600のDACはまだ16bit。そのかわり、DENON独自のスーパーリニア・コンバーターを搭載していました。これは「変換誤差補正回路」と呼ばれるもので、D/A変換時に抵抗値の誤差からが生じるゼロクロス歪みを、検出して補正することで歪みを排除するというものです。 DACはバーブラウンのPCM-56Pを左右独立で使用。デジタルフィルターは4倍オーバーサンプリングとなっています。 エンファシスCDに対応するとともに、エンファシス切替回路に光アイソレータ(光伝送)を使用し、デジタル回路からのオーディオ回路へのノイズを防いでいます。 強度の高いシャーシやBMC製のメカベースなど振動対策にも手抜きは無く、リニアトラッキングによる高速アクセス、多彩なプログラム再生などの機能を備えていました。 DCD-1600は5月に発売された訳ですが、SONYやYAMAHA、テクニクスなどライバルメーカーはボーナスシーズン前の秋が発売時期にあたっていました。 DENONの開発陣も他社の「898」モデルが、かなりの物量を投入してくることを予想してDCD-1600を開発しており、その結果、重量は上級機のDCD-1700を上回り内容的にもほとんど同じと言ってもよいぐらいのモデルに仕上がっています。 |
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(音質について) | ||||||||||||||||||||||||
音を同期の「898」プレーヤーと比べると、高音はヤマハCDX-1000に負け、低音はテクニクスのSL-P990に負けてしまいますが、サウンドの厚みや立体感などはDCD-1600のほうが優れています。 また表現力もなかなか良く、全体としても良くまとめられており、ロック、ジャズ、クラッシックとオールラウンドに使えると思います。 |
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(フロントパネル) | ||||||||||||||||||||||||
デザインは弟分のDCD-1400と同じです。 ディスプレィの横にある、ダイレクト選局用の10キーは0〜9までしかありませんが、ジャズやクラシックを聴く分にはそれほど不便を感じないと思います。 PLAYやSTOPなどの操作ボタンは一番右に、まとめられており使いやすいです。 プログラム演奏関連のボタンは、ディスプレィの下に配置されています。 |
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動画の音はビデオカメラの内蔵マイクで録音しているため、音質は良くありません。 | ||||||||||||||||||||||||
(シャーシと内部について) | ||||||||||||||||||||||||
キャビネットは薄型ですが重量は10kg近くあるので、手に持つとズシリとくる重さを感じます。 上級機のDCD-1700よりも、ボディサイズは小さいにもかかわらず、重量はDCD-1600の方が重い(DCD-1700 8.8kg DCD-1600 9.2kg)ことからもわかるとおり、防振性能はDCD-1600の方が上です。 シャーシ全体の強度は十分で、底板はバイブレスプレートと厚さ1.6mmの鋼板を2重にしたものを使用しており、全部で3重構造となっています。天板には大きな制振材が貼り付けられています。 インシュレーターは焼結合金製です。 内部はと左側にメカと電源トランス。右側のメイン基板は手前側がサーボ、信号処理、システムコントロールなどのデジタル回路。奥の左側が電源回路、右側がオーディオ回路です。 |
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(電源回路) | ||||||||||||||||||||||||
電源トランスは少し大きめのものが1個。電源回路はメカ、デジタル回路、ディスプレィ、オーディオ回路にそれぞれ電源を供給する独立4電源方式となっています。 電解コンデンサは、日本ケミコンのAWD(オーディオグレード)の50V・3300μF X2本や、SMC(標準品)などを使用。電源ケーブルは直付けで細いです。 |
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(デジタル回路 サーボ・信号処理回路) | ||||||||||||||||||||||||
サーボ回路や信号処理回路で使われているのは、SONY製のチップです。 サーボ制御用は「CXA1082A」やRFアンプの「CXA1081」。信号処理用回路には「CXD1125」やSRAMの日立製「HM6116FP-4」です。DENONはこの後も、1990年代にかけてSONYのサーボ回路や、信号処理用のICを使っていきます。 サーボ回路の調整ボリュームはトラッキンク・ゲイン(TRK GAIN)、フォーカス・ゲイン(FCS GAIN)、トラッキング・オフセット(TRK OFFSET)、フォーカス・オフセット(FCS OFFSET)、スライド・オフセット(SLIDE OFFSET)の5つ。 |
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(オーディオ回路) | ||||||||||||||||||||||||
D/Aコンバータは、バーブラウンの「PCM56P」のJランクを左右独立で使用。S.L.C(スーパー・リニア・コンバーター)と組み合わせた「ダブルS.L.C」としています。このPCM56Pはグリッチ歪みを抑えたDACで、音の良さから国内外の多くのメーカーで採用されました。 S.L.C.はDENON独自の回路で、当時のマルチビットDACで問題となっていた、ゼロクロス歪を排除するというものです。 歪の原因となるDACの僅かな変換誤差を、変換誤差検出訂正回路によって検出。それを元にした補正用信号を、アナログ信号に加えてゼロクロス歪を排除しています。 デジタルフィルターは4倍オーバーサンプリングのNPC製の「SM5807BP」を使用。デジタルフィルターとDACは16bit駆動ですが、YAMAHA CDX-1000やTechnics SL-P990など、18bitDACのプレーヤーと遜色ない音を聞かせてくれます。 DACの後ろの回路は、4倍オーバーサンプリングのデジタルフィルターとPCM56Pのおかげで、DCD-1500に比べると、ローパスフィルターが低次で済むなど、回路がシンプルかつ高音質になっています。 またLC-OFCコイルや、銅ポリプロピレンコンデンサなどの、高品位パーツも使用されています。 |
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(ピックアップ・ドライブメカ) | ||||||||||||||||||||||||
ピックアップ・ドライブメカはベース・メカ・トレイのどれをとっても、見るからに頑丈そうです。 メカベースにはグラスファイバーにセラミックを配合したBMC(エンジニアリング高分子材)を使用し、高い剛性と内部損失で振動を押さえ込んでいます。 さらにピックアップやスピンドルモーターなどの心臓部は、低反発ゴムとスプリングでフローティングし、外部の振動を吸収しています。 ピックアップは定評のあるSONY製の「KSS-151A」を採用。ピックアップのスライド機構はリニアモーターのため、アクセスは高速です。 (メカのメンテナンス・修理) トレイの開閉とチャッキングアームを上下させる機構は連動しており、使われているゴムベルトは2本です。 表側にあるゴムベルトは、プーリーがフロントバネルに半分くらい隠れていますが、トレイをオープンすれば交換は可能です。裏側のベルトはトレイをメカから外して、メカをシャーシから外さないと交換できません。 |
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(出力端子・リモコン) | ||||||||||||||||||||||||
リアパネルの出力端子はアナログが固定と可変の2系統。 デジタルは同軸の1系統となっており、フロントパネルにデジタル出力のON/OFFスイッチがあります。 専用リモコンの型番は「RC-202」。 |
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「CDシングルアダプタ B」 | ||||||||||||||||||||||||
1988年2月から8cmのシングルCDが発売されることとなり、1987年秋ごろから発売されるプレーヤーにはCDシングル対応のトレイが装備され始めました。 問題はそれ以前に発売された機種で、各社ともにトレイに装着して使用するアダプタを発売しました。同じメーカーでも機種によってトレイのCDを載せる部分の形状が違うため、何種類もアダプタを用意したメーカーもありました。 DENONの「CDシングルアダプタB」はDCD-1000、DCD-1100、DCD-1300、DCD-1500、DCD-1600、DCD-1700、DCD-3300、コロムビア GP-K1000に対応しています。 |
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周波数特性 | 2Hz〜20kHz |
高調波歪率 | 0.003% |
ダイナミックレンジ | 96dB |
S/N比 | 103dB |
チャンネル セパレーション |
100dB |
消費電力 | 16W |
サイズ | 幅434×高さ107×奥行324mm |
重量 | 9.2kg |
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