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PICKERING(ピカリング)は、ノーマン・ピカリングによって1945年に創業された、アメリカのカートリッジメーカーです。 ダスタマティック・ブラシが付いたカートリッジで有名で、日本でも多くのモデルが販売されました。輸入元は東志。 ノーマン・ピカリングはとても多才な人で、単なるオーデイオエンジニアではなく、手術器具の特許を持ち、ボーイング707や747など旅客機の設計にも携わりました。その一方でフレンチホルンの腕が認められて交響楽団の団員や音楽教師となり、後には弦楽器の設計も行っています。 ノーマン・ピカリングは1916年生まれで、ニューアーク大学の工学部で電気工学を学び卒業しますが、もともと音楽を勉強したかった彼はジュリアード音楽院に通います。 そんなノーマン・ピカリングの最初のキャリアは、インディアナポリス交響楽団のフレンチホルン奏者でした。 その後、楽器メーカーのCG Connに雇われますが、会社は第二次世界大戦の影響で、スペリージャイロスコープカンパニーの航空機用機器の製造を始めます。このあたりの縁で、後にボーイングの仕事もするのですが、楽器の方でも有名なConn 8Dフレンチホルンの作成に携わっているそうです。 1945年に蓄音機の音に不満を感じ、音質を大幅に改善したピックアップを開発して、そのメーカーとして「Pickering&Company」を設立します。 この会社は、W・O・スタントンによって1950年に買収されますが、2008年までピカリング カートリッジの生産をしていました。 XV-15シリーズはピカリングの主力モデルで、1976年のラインアップは200E、400E、750E、1200Eなどです。625Eはその後に登場したミドルレンジのモデルで、1977年頃の発売です。 XV-15/625は後にDJ用カートリッジとして、再度有名になりますが、発売の時点では純粋なオーディオ用カートリッジです。 XV-15/625Eは信号をそのまま写し取る能力「トレーサビリティ」(Trace ability)を、コンセプトにしたMI型のカートリッジです。 当時はローマス化、軽針圧化などにより、カートリッジにレコードプレーヤーが適合できないケースもありましたが、625Eは多くのレコードプレーヤーで使用できるように設計されています。 カートリッジはフルRFシールド、静電気放電システム、ダイナミックダンピングシステムなどを備えており、ハウジングケースとマウントは金属製になっています。そして着脱式のダスタマティック・ブラシも装備していました。 1979年1月には625Eの派生モデルとして、耐逆回転性などを備えたXV-15/625DJという、DJ専用モデルが発売されます。 当時はまだ「スクラッチ」をやる人は少なく、アメリカでも一般の人にスクラッチが認知されたのは、1983年のハービー・ハンコックのヒット曲「RockIt」によってです。 そういう意味では、ピカリングは先見の明があった訳です。このモデルは後にXV-15が取れて、「625DJ」という名前になり、2008年のピカリングのカートリッジの生産終了まで販売が続けられました。 XV-15/625Eの純正交換針は「D625」で、現在はJICO製が販売されています。 |
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PICKERING XV-15/625Eの仕様
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