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ADCのVLMシリーズは有名なXLMと、QLMシリーズの間に位置するミディアムクラスのカートリッジです。VLMⅢ(VLM Mk3)は1977年の発売。Mk2の改良型で新型のカンチレバーやスタイラスガードを採用しています。輸入元はビーエスアールジャパン。 ただ、当時この価格帯は人気モデルが揃っていたので、あまり目立たたない存在だったと思います。 国産勢のライバル機はaudio-technica AT-15E、Technics 205C-Ⅱ、グレース F-8E・F-9E。それに4コイル12ポールのDENON DL-109D、MCカートリッジのENTRE EC-10。海外勢ではSHARE M95ED、STANTON 680EEなど。 VLMとは(Very Low Mas)の略で、初代モデルは1971年に発売されました。ちなみにXLMは(Xtra Low Mas)の略、ZLMは(Zero Low Mas)の略、QLMは(Quality Low Mas)の略となります。 発電方式はIM型(インデュースドマグネット・・・磁気誘導型)ですが、これは他社のMI型(ムービングアイアン型)と名前が違うだけで構造は同じです。このため体系的にはMI型のひとつのバリエーションとして扱われることもあります。 MI型は磁路がシールドされている、IM型はシールドされていないという話もありますが、さだかではありません。 IM型を開発したのは、ピーター・プリチャードで1960年にADC(Audio Dynamics Corporation)を創業しています。プリチャードは元はGEのエンジニアで、バリレラ(バリアブル・リラクタンス)型のカートリッジで、有名なVR-1000シリーズの開発に携わっており特許も取得しています。 その後、有名なADC-1(MM型)を開発する訳ですが、当時のアメリカではSHURE M3Dの成功を受け、カートリッジメーカーはMM型の開発に乗り出していました。ちなみにこの時期に誕生したEmpire 108(MM型)の、開発にもプリチャードは手を貸していたようです。 アメリカでのMM型の特許を持っていたのはSHUREで、当然ながら特許料を払ってMM型を生産するか、製品の販売をやめるかを各社に迫ったはずです。そこでADCをはじめライバルメーカーはMI型の生産に舵を切ったのだと思います。 MI型はモノラルカートリッジの時代からピッカリングが、バランスド・アーマチュア型として手掛けており、GEのバリレラ型もMI型に含めることができます。 いわば各社ともに手慣れた技術で、ピッカリングも構造に関する特許を持っているなど、特許の問題もMM型ほどうるさくなかったのかもしれません。 ADCは1963年に最初のIM型カートリッジ「Point 4」を発売。その後、次々にIM型の新製品を発売していきました。1974年にADCはBSR社に売却され、プリチャードは1975年に新たにSonus社を設立して、カートリッジの開発・販売を続けました。 IM型(MI型)のメリットはカンチレバーにマグネットが無いため、振動系の質量を軽くできることです。またトラッキング・アングルをRIAA指定の15度にすることも容易でした。その後15度という数値自体がそれほど有効ではないことがわかり、1970年代には指定が15~25度に変更されています。 ADCのIM型はローマスそして軽針圧が特徴でしたが、VLMは中級機ということで、使われるアームのトレース能力を考え、針圧は0.75~1.5gとなっています。 純正の交換針はRSV(11,000円)。 |
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ADC VLM/Ⅲの仕様
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