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SHM-CD・HQCD・Blu-specCDの音質について

「SHM-CD」や「HQCD」「Blu-specCD」は普通のCDプレーヤーでも再生できる、「高音質」のCDということで注目を集めています。基本的にはどのCDもピットの形成や反射膜の改良、透明度の高い素材などにより、CDのピットからの信号の読み取り精度を高め、エラーを少なくしています。このエラーが少なくなるとノイズの発生を少なくなり、結果として高音質となるというものです。同じような考え方のもと1990年代にもAPO(アポ)、ARTON(アートン)、ZEONEX(ゼオネックス)といった透明度の高い素材を使用したCDが発売されていました。

2012年現在、「SHM-CD」「HQCD」の通常版はほとんどリリースが無くなり、「SHM-SACD」や「Blu-specCD」も発売されるタイトルがだいぶ減ってきました。
これでおしまいと思っていたらSMEが「Blu-spec CD2」を開発。2012年12月から発売するそうです。従来のBlu-specと変わったのは、原盤の制作工程で原盤材料や記録層を変更し、よりマスターテープの原音に近い音で再生することができるようになったそうです。


読み取りエラーと音質との関係

CDプレーヤーではいろいろなことが原因(※1)で、CDの信号の読み取りエラーが発生します。プレーヤーはエラーがあると、サーボ回路が働き補正をかけて信号を正しく読みとるようにします。そこで信号を読み取れなかった場合でも、誤り訂正機能が働くので、エラーがよっぽどひどくない限り、音がとぎれることはありません。このため読み取りエラーが起きていても、気が付かないことがほとんどです。

問題は補正をかける時に、ピックアップのアクチュエータやトラッキング用のモーターなどが急激な動作を行い、過大な電流が流れることです。この電流の乱れがノイズ成分(ジッターノイズ ※2)となります。このノイズ成分はいろいろな経路で、アナログ・オーディオ回路に入り込み、音質の悪化をもたらします。

このノイズの問題はCDプレーヤーが誕生して以来の課題で、D/Aコンバータやフィルターなどの性能向上とともに、高音質化へのポイントとなってきました。
メーカー側でもピックアップやサーボ回路の改良(※3)はもちろん、エラーの元となる振動を減少させる対策(高強度のシャーシ、マウント、インシュレーター、フローテイングなど)や、ノイズをアナログ回路に入れない対策(独立電源、光伝送、K2インターフェイスなど)が行ってきました。と同時に機種によって装備する対策(パーツ・回路・機能など)を変えて、上級機・中級機・初級機などの種類を作り出し、価格の棲み分けを行ってきました。

そのため、「SHM-CD」「HQCD」「Blu-specCD」を使用した場合、CDプレーヤー側の対策が行われている機種ほど「読み取りエラー」の問題が少ないため、音質改善の効果は少なくなりますし、対策が行われていない機種ほど音質が向上するといえます。ただし、3万円台のプレーヤーでこのデイスクを使ったからといって5・6万円台のプレーヤーの音になる訳ではありません。

またCD自体の音源の問題もあります。レコード会社は「高音質」とうたっていますが、あくまでも同じアルバムで通常版のCDと比べた場合の話です。1950〜60年代に録音されたものが、2000年代の録音より高音質になるという訳ではありません。また、古いアナログ音源の場合、元のマスターの状態が悪く、期待したほど高音質に感じられないケースもあります。


※1 CD信号の読み取りエラーを起こす原因には以下のようなものがあります。

1.CDのディスク自体の原因
  (1)ディスクの汚れ・キズ
  (2)ディスクのソリ・偏芯・面ぶれ(見た目ではわからない場合が多い)
  (3)反射膜の劣化

2.CDプレーヤー側の原因
  (1)ピックアップレンズの汚れ
  (2)長時間使用などによるピックアップのレーザーパワーの低下
  (3)ピックアップやサーボ能力の低さ(初期のCDプレーヤー)
  (4)サーボ制御のズレ
  (5)CDをホールドするクランパーやチャッキングの精度
  (6)外部からの振動
  (7)内部からの振動(トランスやモーター)

(1)ピックアップレンズの汚れで、微細なホコリやタバコのヤニはCD型のクリーナーでは取れません。タバコはオーディオにとっても「百害あって一利なし」です。
(4)サーボ制御のズレは、ひどくなると音とびやCDが読めなくなったりします。新旧のプレーヤー、デジタルサーボに関係なく起きる問題です。
(5)はクランパーやチャッキングの精度が低いと、CDが回転する時に上下や横方向へのブレが大きくなります。最近のプレーヤーのほうが工作精度が向上して問題がないかのように思えますが、実はコストダウンにより昔より安いパーツを使っているものも多く、国内生産の多かった90年代始めまでのプレーヤーの方が良かったりします。ちなみに90年代以降、CDプレーヤーは一部の高級機・中級機を除き、海外生産がほとんどです。
(6)の外部からの振動については、メーカー側でも1984、5年ごろから力をいれはじめ、80年代後期は高度な振動対策が取り入れられました。ところが90年代後半になると高精度のデジタルサーボの普及や、オーディオ不況のせいで10万円以下のプレーヤーでは十分な振動対策がとられなくなります。
(7)昔は低振動のBSLモーターなどが使用されていましたが、最近ではコストダウンのあおりで、スピンドルモーターなどに振動の大きい安物のモーターを使用している例も見受けられます。

※2 オーデイオではジッターと呼ばれるものがいくつかあります。

(1)CDのディスクのピットのエッジの不確定さを表わします。ピットエッジがハッキリしないとフォーカスエラーの原因となります。
(2)CDの読みとりエラーでサーボ制御が働き、ピックアップやスピンドルモーターが駆動して、電圧変動が起き発生するノイズ。
(3)PLLやDACなどに使われるマスタークロックの「ゆらぎ」のことです。クロックの精度が悪いと同期のズレ(時間軸のズレ)が発生し、音質も悪くなります。
最近はジッターというとこれを指す場合が多いですが、1bitDACが導入された1988年ごろから注目され、SONYの「ダイレクトデジタルシンク」などの回路やマスタークロックの高精度化などの対策がとられています。

※3 メーカーによるCDプレーヤーのサーボ回路の改良は、実は2000年代に入っても続けられ、たくさんの特許が出されています。1980年代からカタログでは「正確なトレース」などと言い続けていますが、特許情報を見るといろいろな問題があり、ノイズや音質対策の「キモ」となっていることが感じられます。


SHM-CD(Super High Material CD)

ユニバーサルとビクターが開発した技術で、液晶パネルに使用されるポリカーボネートを基盤材料に使用し、透明性を高めて光りの複屈折を少なくしています。さらに高精度の金型によりピットの形成の精度も向上していおり、2つをあわせてピットの読み取り精度を向上させています。2007年11月から発売。

xrcd SHM-CDエディション

高音質なマスタリング技術の「xrcd」と製造技術の「SHM-CD」を組み合わせたものです。

SACD SHM仕様

2010年6月から発売されたもので、SACDのさらなる高音質化を目指して、SACDのみのシングルレイヤーとし、透明度の高いポリカーボネートを採用したSHM仕様となっています。その他にレーベル面はSONYが開発した「音匠」仕様となっています。

音匠」はもともとは高音質のDVD-R用に開発された技術です。反射膜はすべてのレーザー光を反射できる訳では無く、レーザーの赤色では数パーセントが透化してレーベル面に当たります。そうするとレーベル面でもさらに反射が起こり、反射光がピックアップに戻ったり、レーベルと反対側のポリカーボネート面で、さらに反射や拡散が繰り返されたりします。この反射膜を透化したレーザの赤色を、補色である緑色のレーベルコートで吸収しようといういうのが「音匠」の特徴のひとつです。
ただピックアップは当初から、このことは折り込み済で、不要な反射光でエラーが起きないような仕組みになっています。
ちなみに同様の技術には三菱化学メディアの「GREEN TUNE」があります。
発売当初、素晴らしい高音質と雑誌で評価されたSACD・SHM仕様でしたが、ユーザーからは音質がそれほど良くないという声があがり始めます。上の写真にあるスティリーダンの「彩(エイジャ)」もライナノーツでは、日本にあるマスターを使用と自画自賛していましたが、マスターの状態はけっして良い物では無く、特にシングルカット曲の「ペグ」「ディーコンブルース」は、かなりマスターを使い回したようで、もうヨレヨレという感じの音です。
その後、ユニバーサルミュージックも2010年秋ごろより、マスターの状態が悪いものはマスターを差し替えるためにSACDの発売を延期したり、場合によっては発売を中止するようになりました。


HQCD(High Quality CD)

メモリーテックが開発した技術で、液晶パネルに使用されるポリカーボネートを基盤材料に使用して透明性を高めるとともに、反射膜に特殊合金を使用してピットの読み取り精度を向上させています。2008年9月から発売。


Blu-specCD

SME(ソニー・ミュージック・エンタテインメント)が開発したもので、ブルーレィディスクで開発された製造技術や素材を利用しているのが特徴です。
金型(スタンパ)を作るカッティングの際に、「ブルーレーザーダイオード(BLD)」を使用し、極微細な加工を実現しています。
基盤材料もブルーレィディスク用の高分子ポリカーボネートを使用し、スタンパに刻まれたピットを正確に形成しています。これらによりピットの読み取り精度を向上させています。2008年12月から発売。








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