TOP > 使っているオーディオ > Pioneer XL-1550


Pioneer XL-1550 

         1976年 定価59,800円


Pioneer XL-1550は1976年に発売された、クォーツPLLダイレクトドライブのレコードプレーヤーです。
Pioneerはレコードプレーヤーの型番に「PL」を使用していましたが、クォーツD.D.プレーヤーには、「XL」の名前を使い始めます。これはクォーツの英語名のひとつ「X'tal」(クリスタル)に由来したものかもしれません。しかしクォーツが一般化すると、また元の「PL」にと戻されました。


1970年に世界初のダイレクトドライブを搭載したTechnics SP-10が発売※されると、ベルトドライブのレコードプレーヤーは、ダイレクトドライブにとって代わられていきます。
その後ダイレクトドライブはビギナーモデルにも搭載されますが、各メーカーは上級機になるほどワウフラッターが低いというラインアップだったため、ユーザーの間には「ワウフラッターが低い」=「音が良い」という認識が広まっていきます。

1975年、TechnicsはSP-10mkII(150,000円)に、クォーツフェイズロックトコントロール(クォーツPLL)を搭載して、ワウ・フラッター 0.025%(W.R.M.S)を実現します。またYAMAHAも中級機のYP-D71(59,000円)にクォーツPLLを搭載しました。

XL-1550の発売はその翌年。クォーツPLLを搭載し、ワウ・フラッターもSP-10mkIIやYP-D71と同じ0.025%でした。ワウ・フラッターだけを見ると、各社の高級機を上回っており、それでいて価格が59,800円と安かったことから話題になりました。


当時はクォーツというと、オーディオではあまり使われておらず、腕時計のほうが有名でした。ちょうどクォーツ腕時計が普及していった頃で、従来のオートマチック(ゼンマイ式)に比べて、時差が少なく正確というイメージでした。
普及といっても、まだクォーツ腕時計の値段は高く、安い物でも3万円ぐらいでしたので、それと比較してもXL-1550の「安さ」は際立っていたかもしれません。

クォーツ腕時計はこの後すぐに、CASIOがデジタル時計で低価格攻勢に出て、一気に値段が下がります。レコードプレーヤーも、ちょうどオーディオブームが到来したことで競争が激化。クォーツ搭載モデルが一気に増えていきます。


XL-1550はハイトルクのブラシレスDCサーボホールモーターを搭載し、慣性質量340kg・cm2のアルミダイキャスト製りターンテーブルを駆動しています。ターンテーブルシートはブチルゴム製です。

トーンアームはスタティックバランスS字型のパイプアームです。垂直と水平回転部に高精度のアンギュラコンタクト・ベアリングを採用しており、アームの実効質量の軽減とともに、トレースの感度を高めています。また高さの調整機構があり上下5mmの調整ができます。

キャビネットはパーチクルボード製。標準装備のカートリッジはPC-330 MARKUです。


※SP-10の発売年について1969年と書いてあるサイトもありますが、Technics自身が作った資料に1970年6月と書かれています。



(ターンテーブル)
ターンテーブルはアルミダイキャスト製です。直径は32.4cmとサイズは少し大きめ。慣性質量は340kg/cm2です。

モーターはブラシレスDCサーボ・ホールモーターです。起動トルクは1kgf・cm(0.098N・m)で、ターンテーブルを2/3回転以内で定速回転にできます。

ストロボはAC電源の周波数を利用したものではなく、クォーツの発振周波数(3MHz帯)を分周したもので点灯しています。
33 1/3回転と45回転の切り替えも分周比を変えることで点灯しており、電力会社の周波数に影響されることもないため、従来は4本必要だったターンテーブルの縞目が、1本だけになっています。

ターンテーブルシートは当時、評判が良かったブチルゴムシートです。一般的なターンテーブルシートに比べると、ゴミが付きやすく白っぽくなったりしますが、摩擦力が強いのが特徴でレコード盤をキッチリとホールドします。
また多くのターンテーブルシートが、溝を付けた加工がされていたのに対し、Pioneerのブチルゴムシートは、接地面積を少しでも増やすために平面となっています。

ターンテーブル ブラシレスDCサーボ・ホールモーター

ストロボランプ ストロボランプ

回転数切り替え・スピード調整ツマミ EPアダプター


(トーンアーム)
トーンアームはスタティックバランス型のS字パイプアームで、垂直・水平回転部に高精度のアンギュラコンタクトベアリングを採用し、実効質量の軽減を図ることで、摩擦を少なくし高い感度を得ています。

アームベースは6tのアルミパネルを使用しており、キャビネットの内側には厚さ6mm、重量700gの鋼板で補強しています。
アームの実行長は221mmでオーバーハングは15.5mm。適用カートリッジ重量は4〜14.5gです。

その他にアームの高さ調整機構(±5mm)、ラテラルバランサーやバネ式のアンチスケーティング機構も備えています。

スタティックバランスS字アーム アームの基部

アームの取り付け部(内側)


(キャビネット)
キャビネットの材質はパーチクルボードで、厚さは天板が13mm、フロントが8mm。サイドが12mmです。各面には木製の補強材が取り付けられています。底板は樹脂製です。

インシュレーターは、特殊ゴムとダイキャストソリッドを組合わせたものです。ダイキャストソリッドというと、何かの金属という感じですが樹脂に勝手に付けた名前です。キャビネットとの接合部と、接地面にゴムが使われています。

プレーヤーの水平をとるために、高さの調節機能があり、インシュレーターを1回転回すと0.5mmの調整ができます。

内部 底板

インシュレーター


(電源回路)
電源トランスはリーケージフラックス(磁束漏れ)対策のために、金属ケースに入っています。
取り付け方法は吊り下げ式ですが、あへてネジで固定せずにキャビネットとの間に隙間を開けて、振動が伝わらないようにしています。

保護回路のヒューズは30mmで500mA、300mA、100mAが各1本ずつです。

電源トランス 電源回路


(サーボ回路・駆動回路)
XL-1550のサーボ回路はクォーツPLL(Phase Locked Loop・位相同期)回路で、他からの干渉を防ぐためにシールドカバーが取り付けられています。

カタログでは「モーターの回転軸に取付けたジェネレベーター(発電機)」となっていますが、XL-1550はホールモーターを使用しているので、これは宣伝担当者が間違った解釈で書いたものかもしれません。

ホールモーターの場合は、モーターに速度検出用のマグネットが装着されており、この磁気をホール素子(ホール効果を利用した磁気センサー)で検知し、それをパルスとして出力します。

このパルスをクォーツ(水晶振動子)発振器を使って、生成したパルス(基準信号)と位相を比較して、速度の誤差を検出しています。誤差があった場合はモーターへの電圧の変更してスピードを調整します。XL-1550のサーボは正・逆両方向に作動が可能で、素早い応答性を持っていました。

PLLはループ回路のため、モーターが回転している間は、ずっと制御回路が速度を監視してズレがあれば自動的に補正を行います。

この回路さえあれば、回転数のズレやムラはほとんどゼロになるように思えますが、そう簡単ではありません。
回転数のズレを起こす原因にはモーター自身の回転ムラ、ターンテーブルの精密度や慣性モーメント、レコード盤の重さ、レコード盤とカートリッジ針との摩擦係数。モーターの駆動回路や、サーボ回路に使われるパーツの温度による値の変化(温度ドリフト)と多岐にわたります。

そのため当時は、クォーツPLLのダイレクトドライブでも、ワウフラッターは0.02%〜0.025%で限界といわれており、各メーカーは少しでもワウ・フラッターを良く見せるために、FG直読法などは独自の測定法を使うようになります。

XL-1550で面白いのはクォーツ発振器以外にも、CR発振器を内蔵しており、クォーツをOFFにしてCR発振器を使ってPLLサーボ回路を動作できます。

使用されているICはPioneerのロゴが入った 「PD-1001A」です。当時クォーツの技術は時計業界のほうが進んでおり、セイコーはそれを使って、1975年にオーディオ業界向けに、レコードプレーヤー用クオーツロックLSIの開発を行っています。


ジールドカバー サーボ回路

クォーツ(水晶振動子)


(フォノケーブル)
フォノケーブルはいわゆる直付けタイプで、ケーブルが交換できる仕様にはなっていません。

フォノケーブル


Pioneer XL-1550のスペック

ターンテーブル 直径32.4cm
起動トルク 1kg・cm(kgf・cm)
ワウ・フラッター 0.025%(W.R.M.S)
回転数偏差 0.003%以下
S/N比 62dB(JIS)
70dB(DIN-B)
消費電力 5W
サイズ 幅490×高さ185×奥行390mm
重量 12kg
















Pioneer・パイオニア XL-1550 B級オーディオ・ファン