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S.M.S.L. SA-36A


SA-36Aは、中国のS.M.S.L.社(Shenzhen ShuangMuSanLin Electronics Co., Ltd)のデジタルアンプです。
S.M.S.L.社はデジタルアンプやUSB-DACなどを生産しているメーカーで、他にはホームオーディオやカーオーディオなども手掛けています。

S.M.S.L.は2009年にTripath(トライパス)社の、デジタルアンプIC「TA2020-20」を搭載した「SA-36」を発売。これを改良したのがSA-36Aで、2010年ごろに発売されました。

SA-36Aは価格が安いにも関わらず、オーディオの世界で言うところ「物量モデル」です。このクラスのデジタルアンプとしては、しっかりとしたキャビネットに、音質重視の回路、そして高音質のパーツを採用していたことから、音が良いということで人気モデルとなりました。


デジタルアンプICの「TA2020-20」も、音が良いということで定評があり、多くのメーカーのデジタルアンプに搭載されていました。
ただ実際問題としてデジタルアンプは、プリ部やローパスフィルター、そして電源部の出来によって音は大きく変わるため、TA2020-20の良さを活かしきれていないアンプも多くありました。


ところが2007年にトライパス社が倒産してしまいます。TA2020-20のはアメリカ以外に韓国や中国で行われており、トライパスの倒産の後も韓国では生産が続けられました。

それでも供給が足りないということで、各メーカーはリユース品(中古品)のTA2020-20をかき集めて、新品のアンプに搭載するという事を行いました。(私の所有するSA-36Aは基板やパーツの状況から、2013年生産だと思われますが、リユース品のTA2020-20を使用しています。)

その後、韓国での生産も中止され、各メーカーは別のデジタルアンプICを使用した後継モデルを発売することになります。


TA2020-20はトライパス社独自の、DPP(DIGITAL POWER PROCESSING)技術を使用しており、AB級アンプのオーディオ特性とD級アンプの電力効率を持っています。

DPPはデジタルアンプICでよく使われている、三角波によるPWM(Pulse Width Modulation)方式の弱点である、相互変調歪などの各種の歪やノイズを抑えるための技術です。→US特許5777512

データシートを見ると内部のブロック図にオペアンプが見えるので、三角波を使用していると誤解されがちですが、実際には変換精度の高いΔΣ変調を使用しており、それに加えてノイズシェイピング回路に、アンチエイリアシング(折り返し雑音)フィルタと、連続時間フィードバック回路を組み合わせて、ノイズ対策を行っています。普通のデジタルアンプICよりも、ずっと高度な音質対策がされた回路です。


SA-36Aはカップリングコンデンサに、EPCOSやEVOX製を使用。TDK製のインダクター、ALPS製のボリュームを使用するなど、高音質のパーツを採用しています。※生産ロットによって、使用パーツのメーカーは違いがあります。

出力は20W+20W(4Ω)で、小型スピーカーをドライブさせるには十分です。
電源は9V〜14V センタープラス。



(音質について)
SA-36Aは「やらかい音」のデジタルアンプです。変に背伸びをしていないナチュラルな音で、長い時間聴いていても聴き疲れしません。

さすがに値段が安いので、キチンとメンテされた1980年代のアンプとくらべると、レンジや馬力など見劣りする部分はいろいろとあります。

しかし、下手なミニコンポや安いAVアンプ。ノーメンテで中にホコリが積もっているような高級アンプには、勝ってしまうことも十分にあると思います。そのくらいコスパが高いアンプです。



(フロントパネルとリアパネル)
フロントパネルは6mm厚のアルミ材を使用しています。電源ボタンとボリュームのツマミがあるだけで、スイッチを入れるボリュームの周りが青く光るという、中華アンプのお決まりのデザインです。カラーはシルバー、ゴールド、ブラックの3種類です。

リアパネルのRCA端子は金メッキ。スピーカー端子は安物です。スピーカーケーブルを通す穴が小さいので、細いケーブルしか使えません。また端子の間隔が狭いので取り付け作業がやりにくいです。実質的にはバナナプラグ専用と考えたほうがよいと思います。

DCインは12V〜15Vでセンタープラスです。

フロントパネル リアパネル


(ケースについて)
ケース本体はTOPPING TP21よりも、ひと回り小さいです。アルミ製で2分割のBOX構造。基板はスライドさせて差し込み、フロントとリアパネルを使って固定する方式です。

ケースは強度の向上と振動防止のために天板と底板にリブが入っています。底面には小さなゴム足が付いています。

使われているネジは、トルクス(ヘックスローブ)で、専用のドライバーが必要となります。サイズはT10。


ケース本体 ケースの底部


(SA-36Aの内部について)
回路は初期〜生産末期のモデルまで大きな変更はなく、末期にローパスフィルターが少し改良を受けているぐらいです。

ただデジタルIC以外のパーツは調達の問題なのか、生産ロットによってコロコロ変わっています。

ウチにあるのは末期ロットに近い2013年製ですが、カップリングにPHILIPS製のフィルムコンデンサ、電解コンデンサはルビコン製の「LZH」などが使われています。


(Tripath A2020-020について)
デジタルアンプICはTripath(トライパス)製の「TA2020-020」です。

TA2020-020はDVDプレーヤーやミニコンポ、テレビ、パソコンにも使用されたデジタルアンプICで、いわば汎用品ともいえます。
しかし音が良いことからSA-36Aのような小型デジタルアンプをはじめ、ピュアオーディオ用のアンプにも搭載されました。

その特徴はTriPath社独自のDPP(DIGITAL POWER PROCESSING)技術によって、AB級アンプのオーディオ特性とD級アンプの電力効率を持っています。TriPathではClass-D(D級アンプ)と区別するために「Class-T」と呼んでいます。

定格出力はチャネルあたり20W・4Ω(最大出力は25W)と、現在の水準からいうと、決してパワーは高くありません。
ダイナミックレンジは 99dB。高調波歪率は0.03%(10W・4Ω)、S/N比は99dB。電源効率は12W・8Ωで88%となっています。

TA2020-020には過電流や過温度保護回路が内蔵されており、ターンオン&ターンオフポップ抑制回路が搭載されています。


普通のデジタルアンプICはアナログ信号と、三角波をコンパレータ(比較器)に入れて、PWM(Pulse Width Modulation・パルス幅変調)を行って、MOS-FETなどを使ったスイッチング回路で増幅します。

Tripath社のホワイトペーパーによると、TA2020-020のDPP技術では、PWMを使用せずにClass-AとClass-ABの利点を組み合わせた、アナログ的なアプローチを行っていると書いてあります。


内部には適応信号処理プロセッサ、デジタル変換、ミュート制御、過負荷・障害検出、予測処理、認定ロジックなどの回路があり、それにスイッチング回路による増幅部が搭載されています。

入力信号を変調する際には、三角波によるPWMではなく、ΔΣ変調を使用。適応型と予測型の独自のアルゴリズムを使用しています。これにより周波数が変化する、複雑なデジタル波形を作り出しています。

さらに出力トランジスタを、従来のデジタルアンプICよりも3倍ぐらい高速動作させて、音質を向上させているそうです。

またフィードバック回路も他のデジタルアンプICよりも高度で、アンチエイリアシング(折り返し雑音)フィルタや、連続時間フィードバック回路を備え、高周波歪と低周波歪の低減を行っています。

これらの技術の組み合わせにより、PWMを使用したデジタルアンプICの弱点ともいえるグランドバウンス、デッドタイム歪み、発振器からの残留エネルギー、そして放射ノイズを抑えています。


基板

Tripath TA2020-020 ローパスフィルター

PHILIPS製
フィルムコンデンサ
ルビコン製の電解コンデンサ
ZLH 16V1500μF X4

HUI KE製のリレー ボリューム


S.M.S.L. SA-36Aのスペック

最大出力 20W+20W(4Ω)
ダイナミックレンジ 103dB
S/N比 98dB
スピーカー
インピーダンス
4Ω〜8Ω
電源(ACアダプタ) 9V〜14V センタープラス
サイズ 幅92mm×高さ43mm×奥行150mm
重量 399g











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