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TANNOY Mercury M20 1982年 1本49,800円


タンノイのことを日本では、いまだに雑誌が「高級スピーカーメーカー」などと、時代錯誤なことを書いていますが、イギリス本国のサイトを見ればわかるとおり、小型スピーカー、ホームシアター用、プロ用、業務用のスピーカーも生産する「総合スピーカーメーカー」です。

1981年、タンノイはハーマンから、株を買い戻したのを機に「G.R.F.Memory」を発売。その一方でイギリス国内での基盤を固めるために、新しい小型スピーカーの開発にとりかかります。

そして1982年8月にハロゲイトのショーで、「Jupiter J40」「Venus V30」「Mercury M20」と、惑星の名前を付けた小型スピーカー※を発表します。この3つのスピーカーは名前こそ違いますが、同じ形式と構造、ほぼ同じユニットを使用した兄弟モデルで、プラネットシリーズと呼ばれました。

日本ではTEACから同年の10月に、「Venus V30」(69,800円)と「Mercury M20」(49,800円)の2機種が発売されました。当時のTEACは自社のスピーカーは発売しておらず、普及価格の中・小型サイズのスピーカーもタンノイに依存していました。
しかし、日本はスピーカーの大型化、物量化競争の最中にあり、プラネット・シリーズはさほど話題になりませんでした。

本国イギリスではプラネット・シリーズが好評で、1984年に「Saturn S30」と「Titan」を追加、1985年にはMercury M20の上位モデルとして、「M20 GOLD」(イギリスでも日本でも頭にMercuryをつけて呼んだりしています)が投入されます。その後1986年にMercury MK2、1988年にはMercury Sが発売されます。

1997年にはMercury mシリーズを発売。「m1」「m2」がヒット商品となります。2000年にMercury mXシリーズが発売、翌2001年には防磁型のmX-Mが登場します。ただタンノイの業績は悪化し、2002年からデンマークの「TCグループ」の傘下に入ります
2005年にFUSIONシリーズが商標の問題でMercury Fシリーズに改名。2007年にMercury Fカスタムシリーズを発売。2010年に最新のMercury Vシリーズが発売されました。

タンノイやTEACのサイトでは、VシリーズをMercuryの5世代目と書いてありますが、Mercury M20〜Mercury Sまでは、プラネット・シリーズのモデルという位置づけのため、正式にはMercury m以降がMercuryシリーズとなるようです。
タンノイ Mercuryシリーズの年表

※小型スピーカーというと、現在では口径10〜13cmクラスのスピーカーが主流ですが、当時のヨーロッパでは、LS3/5aなどを除くとモデル数は少なく、小型スピーカーというと16〜20cmクラスが主流でした。



(Mercury M20)


Mercury M20は文字どおり現在のMercuryシリーズの元祖。1983年〜85年までイギリスのHiFi choice誌で「ベスト・バイ」に選ばれるなど評価が高く、ヒット商品となったスピーカーです。イギリスでの価格はペアで110ポンドでした。

バスレフ方式のブックシェルフ型の2WAYスピーカーで、ウーファーは20cmのコーン型、トゥイーターには2.5cmのソフトドームを使用しています。

エンクロージャーは形・仕上げともに、いかにもイギリスのスピーカーという雰囲気です。
仕上げはウォールナット。材質はパーチクルボード製で、上下と両サイドの厚さは12mm、フロントとリアバッフルは15mmとなっています。容積は19L。
カタログでは重量が5.5kgとなっていますが、実際にはもう少しあると思います。ただ、このサイズのスピーカーとしては軽いです。

Mercury M20のグレードアップバージョンの「M20 GOLD」は、高域ユニットを改良したモデルで、仕上げはウォールナットとブラックの2種類がありました。日本での価格はペアで49,800円でM20と同じでしたが、イギリスの価格は199ポンドとMercury M20より割高な設定でした。
このM20 GOLDの後継機は、Mercury Sの上位モデルの「M20 GOLD Mk II」で、これも日本で販売されています。


(音質について)
高音は伸びが良く艶やかですが、低音は少しもっさりとした感じ。透明感や解像度は少し甘めです。ジャンルとしてはクラシックやジャズ向け。
セッティングを追い込んでいけば、もう少し音が締まったり、音場も改善するかもしれませんが、そこは箱鳴りするタイプのスピーカー。簡単ではありませんし、根気と時間も必要です。

でもMercury M20は110ポンドという普及価格のスピーカー。当時のイギリスではセッティングなどを考えずに、ポン置きで使われることが多かったかもしれませんし、そういう使い方の音が本来の姿なのかもしれません。


2.5cmソフトドーム・トゥイーター

ポリアミド系の2.5cmソフトドームを使用しています。振動板はアルミダイキャスト製の逆ドーム型で、バッフルを持つシャーシと組み合わされています。ユニットの型番は「0218B」。

20cmコーン・ウーファー

コーンは軽量で剛性が高いという高分子系ポリオレフィン・コポリマーを使用しています。半透明の素材で内部の配線やフレームも見えます。

ウーファーの取付方向(上下)ですが、けっこう適当で内部の黄色の線が上にきているの物もあれば、下の物もあります。ペアによっては上と下のものが組み合わせになっているものもあります。


ウーファーのボイスコイルは、エンクロージャーの共振特性に合わせたトッププレイトを装備しています。

ユニットの型番は「2068G」。後ろのラベルには「18 JUL 1983」と製造日が印字されています。

ネットワーク「1025」

クロスオーバー周波数は3kHz。
ちなみに上位モデルの「Jupiter」と「Venus」は、トゥイーターとウーファーの位相を揃える特許技術「SyncSource」遅延回路を採用しています。

キャビネット

パーチクルボード製で、フロントとリアバッフルは厚さは15mm。天板・底板・側板は12mmです。
内部の吸音材にはスポンジが使われています。

バスレフポート 入力端子


スペック

トゥイーター 2.5cm ソフトドーム
ウーファー 20cm コーン
出力音圧レベル 90dB
周波数帯域 55Hz〜20kHz
クロスオーバー周波数 3kHz
最大許容入力 100W
インピーダンス
容積 19L
サイズ 幅265×高さ480×奥行225mm
重量 5.5kg
※カタログなどでは重量は5.5kgとなっていますが、同じ5.5kgのYAMAHA NS-05と比べるとM-20の方がずっと重いです。














TANNOY・タンノイ Mercury M20 スピーカー