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KENWOOD KP−1100 |
1985年 定価99,800円 |
ケンウッドのKP-1100は1985年11月に発売されたダイレクトドライブ方式のレコードプレーヤーです。 この年からスタートしたFM fanのダイナミック大賞の部門賞※1やベストバイなどに選ばれています。 1970年代の後半ともなるとダイレクトドライブやクォーツロックなどにより、プレーヤーの性能は大幅に向上し、メーカー間の競争が激しくなります。1979年にはTechnics SL-10が大ヒット。ジャケットサイズ・プレーヤーがブームになります。またアームの不要振動を検出し、キャンセルする電子制御アームを搭載したプレーヤーなども登場します。 いっぽうTRIO(KENWOOD)は、重量級のキャビネットや重量級ターンテーブルを回す「慣性ロック」などを売り物に、オーソドックスなプレーヤーの開発を続けていました。 1982年にはCDプレーヤーが発売されますが、豊富なソフト資産が残るレコードプレーヤーの駆け込み需要を狙ったのか、各社はCDプレーヤーの新製品を投入しつつ、従来より価格を抑えた高性能なレコードプレーヤー(※2)を発売していきます。そんな中、発売されたのがKP-1100と弟分のKP-990(1996年発売・69,800円)です。 KP-1100の特徴は内部に「X字型」の高い剛性を持つダイキャスト製のフレーム(ユニファイド・アルミダイキャストフレーム)を装備していることです。このフレームをプレーヤーの骨格として、モーターとアームを取付けた「高剛性メカニカル・ショート・サーキット」を形成して、再生系(トーンアーム・カートリッジ)への振動を低減させています。また、トランスやキャビネットとダストカバーはフレームからフローティングし、同じく再生系への影響を抑えています。 ターンテーブルを回転させるモーターは、スピンドルに特殊なオイルスリットを持ち、流体の圧力を利用してスピンドルを中心点に保持し、優れたワウフラッターを得るとともに長期間の耐久力を持っています。高い剛性を持つJ字トーンアームも優秀で、独自のナイフエッジにより支点をガッチリ固定しレコードの音溝を正確にトレースできます。 KENWOODのKP-1100とKP-990(フレームやモーターなど多くのパーツを共用)は、キャビネットなどの振動対策、回転精度の高いモーター、優秀なトーンアームなど、余分な物が付いていないかわりに基本性能がとても優れており、かつハイC/Pだったため、CDプレーヤーが爆発的な普及期に入っていたにも関わらずヒット商品となりました。 その後1987年には国内メーカーのレコードプレーヤーの新商品が発売されないという状態となりますが、このプレーヤーの人気は衰えず、1988年にはキャビネットの塗装を変えてKP-9010(旧 KP-1100)、KP-7010(旧 KP-990)として再発売されました。 高性能で音の良いプレーヤーですが、マニアックな部分はないので、とても使い勝手の良いプレーヤーです。 ※1 ダイナミック大賞の部門賞は1985年にKP-1100が受賞。1986年にはKP-990が選ばれ、1988年には再度、優秀推薦機としてKP-9010が選ばれています。 ※2 DENON DP-59M/59L(1984年)、PIONEER PL-5L/7L(1984年)、Technics SL-M2/M3 (1985年)、VICTOR QL-Y44F/66F(1984年)、YAMAHA GT-750(1984年)、GT-1000(1983年)など。 |
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(ターンテーブル) | |||||||||||||||
ターンテーブルはアルミ合金ダイキャスト製で直径は33cm、重さは1.9kgで慣性質量は450kg/cm2となります。 モーターにはDL(ダイナミック・センターロック)モーターを採用しています。 このモーターはクォーツPLLで制御された、コアレス&スロットレスモーターで、スピンドルの外径面にきった特殊なオイルスリットにより、流体の圧力を利用してスピンドルを回転絶対中心点に保持しています。 また磨耗部分が無いため、長期間の使用でも性能が劣化しないというメリットがあります。 |
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(トーンアーム) | |||||||||||||||
トーンアームは高い剛性と感度を持つスタティックバランス型のJ字アームで、DS(ダイナミック・スタビリティ)トーンアームと名付けられています。 支点をガッチリ固定する独自のナイフエッジを装備しており、針先が大信号溝をトレースしても、トーンアームの支点が回転方向に引張られずに音溝を正確にトレースできるようになっています。その他にはインサイドフォース・キャンセラーや、高さ調整機構(7mm)も備えています。 アームの実行長は245mmでオーバーハングは15mm。適用カートリッジ重量は2〜12gですが、当時のFM fanの記事ではシェル込みで24gまで、長岡鉄男のテストではギリギリ26gまで使えたそうです。 針圧範囲は0〜3g。トラッキングエラーは+1.8〜-1度です。 |
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(キャビネット・アルミダイキャストフレーム) | |||||||||||||||
キャビネットはブラックの鏡面仕上げで高級感があります。材質はパーチクルボードで、厚さは天板・サイドともに15mm。ところどころに補強材が追加されています。底板もパーチクルボードです。 従来のレコードプレーヤーでは外部からの振動をインシュレーターで吸収し、内部のモーターの振動は積層合板やBMCなど内部損失がある素材でキャビネットを作り、それで吸収と抑制するというものでした。 KP-1100ではユニファイド・アルミダイキャストフレームという「X字型」のフレームを使用して、振動対策を行っています。 ユニファイド・アルミダイキャストフレームには、モーターとアーム、回路基板が取付けられており、フレームの先端にはインシュレーターが取り付けられるようになっています。 モーター自体は強靱な重量級フレームによって振動を抑えられるとともに、フレームの先にインシュレーターがあることで、インシュレーターに適度な加重と重心がかかるため、四つ足での踏ん張り効果によっても振動が抑えられます。 また振動の発生源となるトランスや、振動を受けやすいキャビネットやダストカバーは、弾性素材によりフレームからフローティングして、再生系(トーンアーム・ピックアップ)へ振動が伝わらないようになっています。 |
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(駆動回路・サーボ回路) | |||||||||||||||
駆動回路は振動が少なくトルクムラも少ない2相正弦波方式で、3つの閉ループを持つツインカレント・スクエアサーボ回路により、電流実効値を制御して超低域のワウフラッターも減少させています。 正弦波駆動はローターの位置検出し、その回転角度に応じて正弦波電圧を入れて、ローターを回転させる方法です。モーターの回転効率を上げるとともに、振動や騒音を低くできます。 回路はPWM制御のインバータ回路が必要となるため、KP-1100の駆動回路もインバータを搭載していると思います。 モーターのサーボ制御は「ツインカレント・スクエアサーボ」という、カッコよい名前が付いていますが、実際はよくあるクォーツPLLのFGサーボ回路です。3つの閉ループということで、3個のPLL回路を持っているようです。 ワウ・フラッターはFG直読法で0.005%です。ワウ・フラッターはJIS(日本工業規格)で決められていましたが、1970年代後半になると、この数値の良し悪しがレコードプレーヤーの選択枝の要素として、大きな意味を持つようになり、少しでもワウ・フラッターを良く見せるために、各メーカーは独自の測定法を使うようになります。FG直読法もそのひとつです。 |
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(フォノケーブル) | |||||||||||||||
フォノケーブルはいわゆる直付けタイプです。 トーンアームのケーブルは、端子板でフォノケーブルとハンダ付けされており、ケーブルが交換できる仕様にはなっていません。 |
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形式 | セミオートプレーヤー |
トーンアーム | ユニバーサルJ字形トーンアーム スタティックバランス型 ナイフエッジ |
駆動方式 | クォーツPLLダイレクトドライブ |
モーター | ダイナミック・センターロックモーター (コアレス&スロットレスモーター) |
起動トルク | 2.0kg |
ターンテーブル | 直径33cm アルミ合金ダイキャスト製 重量1.9kg |
慣性モーメント | 450kg/cm2 |
ワウ・フラッター | 0.005%(FG直読法) |
回転数偏差 | 0.003% |
S/N比 | 90dB(DIN-B) |
消費電力 | 15W |
サイズ | 幅490×高さ182×奥行410mm |
重量 | 14.5kg |
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