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インシュレーターとは機器を振動から守るために使われる防振材のことです。オーディオではアンプ、CDプレーヤー、レコードプレーヤーなどで、外部からの振動を防ぐために使用されています。逆にスピーカーでは、それ自体が振動の発生源であるために、インシュレーターにより振動を抑えて、まわりの物への影響を少なくする道具として使われています。 (スピーカーまわりの振動による音質悪化の原因) スピーカーは振動板を振動させて音をだしますが、その音はキャビネット(エンクロージャー)も振動させます。その振動はスピーカーを置く台(スピーカー、棚、机)や床に伝わり、それを振動させます。振動するということは、それらが振動板となって音を発生させてしまいます。試しにスピーカーを置いている台や棚に耳を近づけてみれば簡単にわかると思います。音量としては微弱ですが、これがスピーカーから出る音と混ざり合って、音を悪くする原因となります。 もうひとつはスピーカーから出た振動が台を揺らすことで、今度は外部振動となってスピーカーを揺らすことです。エネルギーとしては弱いですが、スピーカーが振動するということは、エッジを経由して振動板にも伝わってしまいます。 振動といっても、地震のようにスピーカーの音の周波数から、離れていればよいですが、もともとはスピーカーから出ている音なので、周波数が近いのとタイムラグがあるのが問題です。 そしてスピーカーの振動は台や床を伝わり、アンプやプレーヤーなどの中にある回路を振動させて、発信を引き起こしノイズを発生させてしまいます。これも音質悪化の原因となります。 (振動対策の方法・ スピーカー用のインシュレーターの効果) インシュレーターを使う効果としては、大きく分けると2つで「振動の減衰」と「振動周波数の変更」となります。 1.振動の減衰 インシュレーターに使われる素材の内部損失を利用して、振動を吸収してしまうというものです。効果としてはスピーカーを置いているスピーカー台や棚、机などへ伝わる振動を少なくできることで、振動により出る不要な音も、スピーカーへの戻り振動も減らすことができます。 振動の吸収には軟質ゴムなどの軟らかい素材や、スプリングなどが効果的ですが、ここで気を付けなくてはいけないのは、スピーカー自体の振動も奪ってしまうということです。特に小型スピーカーは、キャビネット自体が振動することを考慮して、良い音になるように設計されているため、この振動を奪い過ぎてしまうと、かえって音が悪くなります。 2.振動周波数の変更 スピーカーと置く台の間に、インシュレーターとして共振周波数(固有振動数)の違う物を置いて、スピーカーから発生した振動の周波数を変更(オーディオ的には変換と言ったほうが良いかもしれません)して、スピーカーを置く台の共振周波数と離して、共振による振動を小さくしたり、影響少なくするというものです。 金属製や木製、セラミック、ガラスなどのインシュレーターがこれにあたります。市販の製品では8割以上がこのタイプではないかと思います。ゴムなどの弾性素材よりも、振動の吸収力はかなり弱いですが、音質的にはそれらを上回るものがたくさんあります。 難しいのはスピーカーからは、高い周波数〜低い周波数まで、いろいろな周波数の振動が出ていることです。そのためインシュレーターの持つ共振周波数によって、効果が出る範囲も変わるため、聴感的には高音が伸びた、低音が締まったなど特定の周波数帯しか、改善されないという場合も出てきます。逆にこれを利用して、スピーカー自体の弱点をカバーして、音質を改善するのにも利用できます。 (インシュレーターの比較と結論) ウチでの順位としてはオヤイデ INS-SU/INS-SP > オーディオテクニカ AT6099 > 袋ナット > 六角ナット > 山本音響キューブベース > オーディオテクニカ AT6089CK > ダイソー衝撃吸収パッド > ダイソー多目的EVAクッションという感じです。 正直に言うと、オヤイデのスパイクやオーディオテクニカ AT6099と、袋ナットや六角ナットの差はそれほど大きくはありませんでした。価格差を考えるともう少し差が付いて欲しかった。何しろ価格が10倍も違うのですから、コストパフォーマンスとして考えると、これらは袋ナットや六角ナットよりもかなり悪いです。 結論としてはスピーカーから出る振動と、スピーカーの台や床との共振周波数(固有振動数)を、インシュレーターを使って、いかに切り離すかが音を良くするポイントになるようです。 そうなると使っているスピーカーや台によっては、市販の高価なインシュレーターよりも、袋ナットや六角ナットのほうが、はるかに良い音となっても不思議はありません。 また聴く音楽のジャンルやソースによって、使われる周波数のレンジに違いがあるので、向き・不向きが出る可能性があります。 ミニコンポやPCオーディオなどで、スピーカーの隣にアンプやUSB-DACを置いている場合は、かえって軟らかい素材のインシュレーターで、スピーカーの振動を吸収してやったほうが、アンプやDACのノイズが減って、音質が良くなるかもしれません。 初めてインシュレーターを使うのであれば、メーカーのもっともらしい宣伝文句につられて、下手な買い物をするよりも、まずは安価な袋ナットや六角ナットを使ってみて、またそれをいろいろな物と組み合わせて、音の改善をして行くほうが賢い選択かもしれません。 (オーディオ用のインシュレーターの歴史) オーディオ用のインシュレーターは1960年代に、レコープレーヤーの振動・ハウリング対策として使われたのが最初だと思います。レコープレーヤーのカートリッジは、レコードの溝によりカンチレパーを動かして、マグネットやコイルで発電させて音楽信号を取り出します。この動きはまさに振動ともいうぐらいの大きさですので、外部からの振動を受けると音質が大きく変化します。 当時はスピーカーが大きく、オーディオラックも左右のスピーカーの間に、設置するのが普通でしたので、レコードプレーヤーは振動を受けやすい環境にありました。オーディオメーカーもスプリングや空気バネ、弾性素材などを使ったインシュレーターをレコードプレーヤーに装備しましたが、十分でない場合も多く、オーディオアクセサリーとしてインシュレーターが発売されるようになります。 インシュレーターをスピーカーに使うと良いという話が出てきたのは、70年代終わり〜80年代初めだったかと思います。当時もメーカーからスピーカー台が発売されていましたが、あくまでも高さ調整のためのもので、X字型など反射による共振は考慮していたものの、振動の減衰については、あんまり考慮されていませんでした。 当時、オーディオファンの間でよく使われていたのは、塀に使われるコンクリートブロックです。何よりも入手しやすく安かったというのがポイントでした。昔のものはそれほどコンクリートの密度が高くないため、内部損失があり音質的にも良好でした。ちなみに某有名レコーディングスタジオでは、今もスピーカー台として使っているそうです。 1990年代となり小型スピーカーのブームになると、ようやくスピーカー専用のインシュレーターが発売されるようになります。特に90年代の後半から「スパイク」のブームとなり、たくさんの種類が発売されていました。 当時は「スパイクはスピーカーの振動を逃がすが、逆にスピーカー台や床からの振動は受けない・・・メカニックダイオード」という話が広まったため、ともかくスパイクの形状さえしていれば良いということで、粗悪品もたくさんありました。実際にはスピーカーへと戻ってくる振動もありますし、何よりもスパイク受けとの相性(設置の安定性とスパイク受が振動をちゃんと逃がすかどうか)が出るので、キチンとした設計が必要となります。 現在はスピーカーや設置環境により、適切なインシュレーターが違うということが認識され、いろいろな形式や素材のインシュレーターが発売されています。それとともにメーカーも付属品としてスパイクなどを付けるをやめ、付属しているのはトールボーイタイプのスピーカーなどに限られてきました。 (補足) ちなみにオーディオではスピーカーの共振周波数がよく注目されますが、電気回路でも共振周波数が発生します。それを応用してチューナーの同調回路や、CDプレーヤーのローパスフィルターなどの回路に使われています。 |
オヤイデから発売されているステンレス製の小型スパイクです。スパイク側がINS-SU(4個1組2592円)、スパイク受けがINS-SP(4個1組1944円)。 非磁性のSUS303ステンレス材を高精度NC切削したスパイクとスパイク受けです。INS-SPは単体でインシュレーターとしても使用ができます。 以前に高いスパイクを購入して失敗していたので、小さいし値段は安いしと心配していましたが、使って見ると解像度は向上し見通しが良くなりました。 解像度ではAT6099に負けますが、こちらは低音が弱くなることがなく、バランスが良いです。 INS-SPだけで使ってみましたが、組み合わせて使うのよりも、レンジが狭く低音のしまりが悪くなりました。 スパイクのINS-SUは基部は面積が広いので、スピーカー本体に固定しなくても使用できます。スパイク受けのINS-SPとの相性が良いので、2つを重ねてその上にスピーカーを載せるだけで大丈夫です。 (INS-US) サイズ 直径20mm X高さ9.9mm 価格 2592円(4個1組) (INS-SP) サイズ 直径20mm X高さ6mm 耐加重 1個あたり200kg 価格 1944円(4個1組) |
ハネナイトとソルボセインという2つの振動吸収力の高い素材を、4層(ハネナイト/真鍮/ハネナイト/ソルボセイン)にしたインシュレーターです。 下側の接地面は振動を拡散させるディンプル構造になっています。 今時のインシュレーターとしては珍しい「振動吸収」に力を入れたタイプです。 ホームセンターで売られている防振ゴムを、インシュレーターとして使うと、かえって音がぼやけるなど、振動吸収系の素材は意外と難しいのですが、これはちゃんと設計されています。 スピーカーの音量を大きくしてスピーカー台を触ると、スパイクや木製インシュレーターよりも振動が少なく、吸収していることが良くわかります。 ただそれは音が良いかとは別での話。中高域の解像度はアップ。低音はスピーカーによって出たり細くなったりしました。解像度には振動吸収力が効いて、低音のほうはスピーカー自体の固有振動数が変わってしまったのかもしれません。(スピーカーによって相性が出るということ) 6個入りでスピーカーでは、3点支持で使用することが推奨されています。 サイズ 直径30mm X高さ17mm 耐加重 1個あたり5kg 価格 4000円(6個1組) |
コルクと真鍮による2層・ハイブリッド構造のインシュレーター。外側はニッケルメッキ仕上げとなっています。 ホームページでは「明るい音色とはっきりした音像」となっていますが、これはAT6089FTと比べての話。 実際にはコルクの振動の減衰力はそれほど高くないですし、真鍮による振動周波数の変換もあまり効いてないようです。スピーカーの実際の音を出すには力不足という感じです。 単独で使用するより、他のインシュレーターと組み合わせり、100円ショップで売られている、コルクやフェルトなどと組み合わせたほうが効果がでます。 サイズ 直径18mm X高さ11.5mm 耐加重 1個あたり5kg 価格 オープン(8個1組) |
山本音響工芸のキューブベースは、木製インシュレーターです。スプルース、アサダ桜、アフリカ産の黒檀と3種類の材質があり、材質により音も変わります。 メーカーのサイトでは、アフリカ産の黒檀はスピーカーやアンプなどの音を、引き締めるような場合に効果的となっています。 締まりというポイントでは、オーディオテクニカの「AT6099」やオヤイデの「INS-US/INS-SP」のほうが上。 しかし、これらよりも中音域の張り出しは強くなったので、やはりスピーカーやスピーカー台との相性(固有振動数)で、音はいろいろと変わりそうです。 サイズ 34mmX34mmX34mm 耐加重 1個あたり50kg 価格 2,000円(4個1組) |
「安い」「簡単」「音が良い」と3拍子そろった、B級オーディオでは「リファレンス」的なインシュレーターです。 袋ナットのサイズでも音は変わります。ウチではM8とM10を試しましたが、小さいM8のほうが音は良いです。 スパイクの理屈から言うと、球面のほうを台と接するようにしないと、効果がでない(メカニックダイオード)ことになりますが、そんなことはありません。袋ナットをそのまま台の上に置いて、球面の上にスピーカーを載せてやるだけでも十分に効果があります。 また点接触に近いにも関わらず、スピーカーの底面が傷つかないという利点もあります。 どのくらい良いかというと、オーディオテクニカの「 AT6089CK」よりはずっと良いです。「AT6099」やオヤイデの「INS-US/INS-SP」の組み合わせにはかないません。 六角ナットと比べると、エネルギー感は減退しますが、音は少し緻密になりバランスも良いです。 また袋ナットは「システム」的な発展性を秘めています。例えば中のネジ穴部分に詰め物をしてやったり、100円ショップで売られているMDF材やフェルト、コルクなどと組み合わて使うなど、いろいろなパターンが考えられると思います。 価格はホームセンターでM8 10個入りが300円ぐらいです。 |
六角ナットの上にビー玉を置くというのも、安価なインシュレーターとして、よく使われるものです。カッコよく言えばガラスと鉄による「ハイブリッド・インシュレーター」です。 結論から言うと、六角ナットだけのほうが音が良かったです。 「六角ナット+ビー玉」は、「六角ナットだけ」よりも、レンジが狭くなり、音が濁った感じでクリアでなくなってしまいます。 どうやらビー玉の固有振動が、うちのスピーカーやスピーカー台に合っていなかったために、スピーカーからの振動周波数を、うまくそらすことができなかったようです。 六角ナットだけの場合は、解像度が向上し、エネルギー感も改善されます。ビー玉以外の素材と組み合わせることによって、さらになる音質の向上があるかもしれません。 価格は六角ナットがホームセンターでM8 10個入りが300円ぐらい。ビー玉はダイソーで100円です。 |
100円ショップのダイソーで、販売されている防振グッズのひとつです。 材質はEVA(エチレン酢酸ビニル樹脂)で、サイズは直径3cmX厚さ1cmのものが8個入っています。 スピーカー台をさわると、EVAが確実に振動を吸収していることがわかります。 ところが音はというと、袋ナットと比べて明らかにレンジが狭く、解像度やキレも悪いです。また低音の締まりも悪く「ブーミー」な感じになります。 スピーカーとの接触部分が直径3cmとはいえ、4ヶ所もあると、スピーカーのキャビネットの振動を抑えたり、吸収してしまい、それが原因で音質が悪化したようです。 価格は8個1組で100円。 |
100円ショップのダイソーで、販売されている防振グッズです。直径は3cmで厚さは5mm。 ゲル状(スチレン系エラストマー素材を使っているようです)なので、触るとプニュプニュで、ちょっと頼りない感じもしますが、耐加重は25kgもあります。振動を吸収し、粘着力で地震の際の転倒や、落下を防げるというグッズです。 音は高域は解像度が向上しますが、中音のエネルギーはやや後退。低音はこもるような感じになってしまいました。 価格は4個1組で100円なので、スピーカーペアで200円。 |
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