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DIATONE DS-500

    1988年 98,000円(2本)

DIATONEのDS-500は、1988年3月に発売された「ヒストリーシリーズ」の小型2ウェイ・スピーカースピーカーです。ヒストリーシリーズは「トラッド&ベーシック」をテーマに開発されたもので、ライフスタイルとのコーディネーションを重視しながら、一時的な流行に左右されずに長い間、使い続けられる高音質のスピーカーを目指していました。

1980年代の後半、「598」「498」クラスの大型ブックシェルフ・スピーカーが物量戦争となり、雑誌では評論家たちが「ハイC/P」という言葉を乱発する中、各メーカーは90年代の小型スピーカーブームを予見したかのように、それまでになかったハイクオリティな小型スピーカーを発売します。

「598戦争」の仕掛け人であるONKYOは、リバプールシリーズのD-200、D-500を発売。YAMAHAはNS-1classicsとNS-05、ViCTORはSX-311やSX-500、少し遅れてSONYはSS-A5の小型版SS-A3などを発売しました。
DS-500の発売時の価格は98,000円。1989年4月には、消費税の導入にあわせて92,000円に改訂されましたが、それでも国産の16〜18cmクラスの小型2WAYとしては、NS-1classicsとともに異例の高額スピーカーでした。

※1980年代のスピーカーは大きくて重たい物が好まれた時代です。そのため、スピーカーの大型、中型、小型の概念も現在とはまるで違います。

初級用の廉価モデルでも、20〜25cmクラスのウーファーを搭載するのが普通で、小型スピーカーというと20Ccm以下のものを呼んでいました。
売れ筋の「598」クラスのスピーカーとなると、30cmクラスのウーファーを搭載しているため、キャビネットのサイズは幅・奥行き共に35〜40cm。重量も1本25〜30kgもありました。
この「598」クラスでも、メーカーのラインアップとしては中型スピーカーで、上級機には38cmクラスのウーファーを搭載した大型フロアスピーカーがありました。



1980年代のスピーカーは、ともかく新素材の採用が盛んでした。各メーカーが素材に求める要件は、軽量で高い剛性を持ち、非弾性が高く、かつ適度な内部損失がある素材というのものです。
このDS-500に採用された液晶ポリマー(LCP・・・Liquid Crystal Polymer)も、高速の射出成型をすることにより、その要求に答える優れた性能を持っていました。

スピーカーの高域用の振動板は分割振動が起きやすく、これを防ぐ方法のひとつとして、振動板の剛性を高める必要があります。また信号の変換効率や応答特性を改善するためには、軽量な素材が必要でした。
いっぽう中・低域用のスピーカーは、再生帯域と分割振動の帯域が近いため、内部損失が大きいと共振のピークを抑えることができ、フラットな特性を確保できます。

このような条件から、高域用と中・低域用の振動板に同じ素材を使うのは難しく、高域用の振動板にはアルミニウムやチタンなどが、中・低域用にはパルブやポリオレフィンなどの素材がよく使われていました。


射出成型された液晶ポリマーは、アルミニウムと同じ非弾性率を持ち、なおかつ内部損失はアルミニウムやチタン、パルブ、ポリオレフィンよりも高いというスピーカーには理想的な素材です。
DS-500ではこの液晶ポリマーの特性を活かし、トゥイーターとウーファーの両方に使用することで、高音〜低音まで音質と音速が均一という画期的なスピーカーとしました。
ダイアトーンはこれに「等音速2ウェイ」というキャッチコピーを付けましたが、液晶ポリマーの応答速度(振動板自体の音速)が、非常に早いことも掛けているのかもしれません。

エンクロージャー(キャビネット)は、密閉型で見るからに頑丈。手で持つとズッシリとした重み(1本10kg)を感じます。
フロントバッフルは、各ユニットのフレーム幅を小さくして不要輻射を抑え、バッフル面にはボルトがありません。スプルース材のランバーコアを使用して、上下・左右をラウンドさせて音の回折による不要輻射を抑えています。サイドとリアの厚みは18mm。仕上げはニューポートオーク。別売の専用スタンドはDK-500で、価格は30,000円(2本1組)。


※液晶ポリマー振動板は、2009年に三菱電機でカーオーディオ用のスピーカー振動板として試作されており、現在のカーオーディオ用のダイアトーンスピーカーで、使われているNCV(ナノ・カーボナイズド・ハイベロシティ)振動板の元となったようです。NCV振動板のコンセプトや特性は、DS-500の振動板と全く同じであり、製法や製品の色合いなども近いものです。そういう意味ではDS-500の技術が20年たって、現在に蘇ったといえるかもしれません。



(エッジの硬化について)
ダイアトーンのスピーカーは布エッジに使用されているダンプ剤が、カチカチに硬化することが知られていますが、このDS-500も例外ではありません。そのためエッジ(サラウンドとも呼ばれます)を軟化させる処置が必要となります。
エッジが硬いままだとダンプが不必要にかかり、液晶ポリマー振動板の高速応答性を活かしきれないことになります。ネットではいろいろな方法が紹介されていますが、ウチではポリメイトをエッジに塗布して軟化させました。

ただここで難しいのが、どこまで柔らかくするかということ。PARCオーディオさんのサイトに詳しく書かれていますが、設計の際にエッジは振動板との相性を考えて入念に素材を選ぶそうで、布エッジは単純に柔らかいだけだと、特性が暴れたり音に癖が出やすいそうです。

またDS-500のエッジは、「布エッジ(コーティング付の布を成型したもの)」の可能性が高く、そうなると「特性、音色ともにバランスの取れた優れたユニット」を目指して、ダンプを調整したエッジになっている訳ですから、硬いからダンプ剤を全部とってしまえというのは、まったくの論外となります。

DS-500の布エッジは、補修用に市販されている布エッジとは違い、厚手の素材を使っており、ロールの成型もしっかりとしているので、ダンプ剤をかなり落としても柔らかくなり過ぎることは無いと思います。ただ物には程度というものがあるのも事実。
ともかく発売時のエッジの硬さは、数値とかそういうものでは残っていないでしょうから、スピーカーの視聴を繰り返しながら、少しずつ柔らかくしていき、自分としてのベストな音から、エッジの柔らかさを見つけることが必要かもしれません。







(音質について)
音は少しおとなしめで上品なサウンドという感じです。解像度があり繊細な表現もキチンとこなせます。高音の色艶も良く、トゥイーターとウーファーに同じ素材を使っていることもあって、高音〜中低音へのつなぎは問題ありません。
弱点は低音が軽いこと。その対策にDS-500をバスレフ化したDS-500N(99,000円・2台)が1992年に発売されています。

ジャンルとしてはジャズやしっとりとしたボーカルには良くあいます。クラシックはどちらかというと室内楽向け。オーケストラは低音が出ないし迫力不足なので向かないソフトもあります。元気の良さとは無縁なのでロックはAORぐらいまで。

セッティングはちょっと気難しいところがあり、ポジションを少し変えただけでも音の艶や音場は、かなり変わります。うまく決まるとハッとするような艶やゾクゾクするような音場が出てきます。もちろんスピーカーケーブルやスピーカースタンドとの相性もあるので、時間をかけてじっくりセッティングしたほうが良いと思います。


2.5cmドームトゥイーター

振動板に液晶ポリマー使用しています。
ユニットは振動板とボイスコイルを一体化したD.U.D.(DIATONE Unified Diaphragm)構造としているため、駆動力を損失無く振動板に伝達可能で、液晶ポリマーの応答特性を犠牲にすることなく、ハイスピードな再生が可能です。
磁気回路は不要振動を抑ええるため、D.M.(ダイレクトマウント)構造となっています。


18cmコーンウーファー

こちらも液晶ポリマーを使用しており、独特な色合いが目を引きます。キャンセリングマグネットを装着した防磁設計となっています。

エッジはクロスエッジですが、中古で入手できるものは、何の処理もされていなければ硬化しているので、これを軟らかくさせる必要があります。


キャビネット

リアバッフルは10本のネジで止められています。

内部の吸音材はニードルフェルトがメイン。底の部分はグラスウールが使われており、ギュウギュウに詰め込みされている訳ではありません。


ネットワーク回路

クロスオーバー周波数は2kHz。コイルにOFCを使用し、ハンダを使わない圧着ワイヤリングになっています。


入力端子

写真のように横からケーブルを差し込むタイプでバナナプラグには非対応。
穴は大きいので使い勝手は悪くありませんが、固くて取り回しの悪いケーブルには、ちょっと苦労します。
入力端子




DIATONE DS-500のスペック

トゥイーター 2.5cm ドーム
ウーファー 18cm コーン
周波数帯域 42Hz〜30kHz
出力音圧レベル 88dB
クロスオーバー周波数 2kHz
インピーダンス
サイズ 幅230×高さ401×奥行242mm
重量 10.0kg













DIATONE・ダイアトーン DS-500 スピーカー