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ONKYO・オンキヨー D-112ELTD 

   2007年 58,000円



ONKYO D-112E LTDは2007年9月1日に発売された小型スピーカーです。

ONKYOのCD/FMチューナーアンプ「CR-D1」のリミテッドモデル、「CR-D1LTD」と組み合わせるスピーカーとして発表されましたが、単品のスピーカーとしても発売されました。


D-112シリーズは2006年4月に発売されたD-112Eが初代で、D-112E LTDはこのD-112E(42,000円)のリミテッドエディションモデルとして発売されました。価格は58,000円ですので16,000円も高くなっています。

D-112Eとの違いは「AERO ACOUSTIC DRIVE」と呼ばれるバスレフダクトを大型化しているのと、フロントバッフルと側板は厚みを増やしています。そのため重量は4.1kg→5.0kgと0.9kgほど増えています。

またスピーカーユニットでは振動板を支えるダンパーを改良して、新しい形状にすることで、柔軟性を高めて微小信号への応答性を向上しています。

再生周波数帯域は50〜100kHzで、ハイレゾ商品となっている現行モデルのD-112EXTよりも広いです。D-112E LTDの発売時は、ハイレゾの認定制度がなかったので、認定製品ではありませんが、ハイレゾの基準をクリアしています。



D-112EとD-112E LTDが登場した時は、ONKYOのスピーカーは人気があり、このクラスのスタンダードと呼べる商品でした。その後、2008年9月に後継機のD-112EX、2009年6月にD-112EX LTDが発売されました。

しかし、2011年発売されたDALI ZENSOR1が大ヒット。このクラスのスタンダードとなります。

ONKYOも2012年9月に新しいウーファーを搭載した改良型のD-112EXTを、最初からリミテッド仕様にして発売しますが、この頃ZENSOR1は日本で一番売れるスピーカーとなっており、人気ではまったく太刀打ちできませんでした。

その後、ONKYOは経営不振のために、新しいスピーカーの開発を減らしたため、D-112シリーズの新モデルは作られおらず、D-112EXTが現行モデルです。


(D-112シリーズの年表)
価格 重量 容積
2006年4月 D-112E 42,000円
(2台)
4.1kg 4.2L
2007年9月 D-112E
LTD
58,000円
(2台)
5.0kg 4.5L
2008年9月 D-112EX 46,000円
(2台)
4.2kg 4.2L
2009年6月 D-112EX
LTD
64,000円
(2台)
5.0kg 4.5L
2012年9月 D-112EXT 46,000円
(2台)
4.8kg 5.1L


D-112E LTDのウーファーは「A-OMFモノコック」振動板です。
この頃はB&Wのスピーカーのヒットを受けて、各社ともにケブラー(アラミド繊維)製の織布によるウーファーの搭載を進めていました。

ONKYOは振動板の素材にPEN繊維の織布を採用。これにアラミド繊維、帆布を加えた3層になった振動版を開発しました。

ウーファーは独特のお椀のような形状をしており、センターキャップまで一体成型されています。
これにより音質の悪化につながる分割振動を低減しています。



トゥイーターはリング型(メーカーによってはリング・ラジエーターと呼んでいます)を搭載しています。リング型トゥイーターは1970年代に開発されていますが、当時は搭載したスピーカーの数は多くないようです。

近年ではソナス・ファベールが有名で、TAOCもFC3100(2008年)やFC4500(2010年)に搭載しています。高級機での採用が多いですが、上記の2社ともにScan-Speak(スキャンスピーク)製です。
他にはクリプトン KX1、KX1.5。パイオニアが「carrozzeria」ブランドで採用しています。またVifaやPARC Audioなどから単体のユニットが発売されています。

ONKYOのリング型トゥイーターは独自に開発したものです。リング型トゥイーターは、中空のドーナッツを輪切りにしたような形になっており、外端と内端の中間点をボイスコイルで駆動するバランスドライブ構造にして、分割振動を抑制しています。


ネットワークはS.G.L.(Steady Ground Level)型1点集中回路で、クロスオーバー周波数は2.5kHzです。


キャビネットはサイドがリアルウッド突き板仕上げ。天板は7コートのピアノ塗装仕上げ、バッフルがマットブラック仕上げになっています。

キャビネットからバスレフダクト部分を分離して、独立構造とした「アドバンスド AERO ACOUSTIC DRIVE」を採用しています。

サイズが小さいのに板厚を大きくしたので、キャビネットの容量は4.5Lしかありません。前シリーズのD-102TX(2001年)の容量は10Lですので半分以下です。

これでは低音が出ないのも当たり前かもしれません。メーカーも当然わかっていたようで、D-112EXTでは奥行を拡大して容量を増やしています。


技術資料を読むとリング型トゥイーターも、A-OMFモノコックのウーファーも、かなり研究して完成させたことがわかります。

それに対してキャビネットは、上級機のD-302Eをを真似た外観ですが、内部を見ると設計が雑な感じがします。

少ない容量の他にも、本体側のポートの大きさ、アドバンスド AERO ACOUSTIC DRIVEの取り付け方法、本体の振動によるポート内での共鳴、吸音材の材質や取り付け方など。いろいろと問題があるように思えます。


スピーカーの軸上周波性特性や指向性などの測定は、1970年代には行われており、それにキャビネットの振動回析などを加えて、コンピューターによる設計もスタートしています。
そういう中で出来たのが「良い音を測定する機械は無い」という言葉でした。結局、最後は人間の耳という意味です。


D-112Eも設計にあたっていろいろな測定はしたのだと思います。でも全てが理論や理屈、数式どおりにいけば、スピーカーに巨額の開発費をかけていた1980年代、遅くとも1990年代には完璧に近いスピーカーが完成していたと思います。

趣味的に見ると、そう簡単にいかないところが、オーディオの面白さでもあるのです。



スピーカーのインピーダンスは4Ωと低めです。これはD-112E LTDと組み合わせるアンプ CD-D1/CR-D1LTDに、搭載されたデジタルアンプ「VLデジタル」の効率が悪く、出力が4Ωでも40W+40Wしか出なかったせいかもしれません。ちなみにD-112EXTからインピーダンスは6Ωに変更になりました。


使われているユニットは中国製で、スピーカー本体の製造も中国で行われています。



(ホームシアターで使用について)
D-112E LTDのインピーダンスは4Ωです。ホームシアターで使用する場合は、YAMAHAのように4Ωのスピーカーを推奨しないメーカーもあるので、注意が必要です。

よくネットではAVアンプの出力やインピーダンスと、接続するスピーカーのインピーダンスで計算して、大丈夫と言う人がいますが、インピーダンスは再生周波数によって変動するので、計算式だけでは答えが出ません。

実際には4Ωのスピーカーを接続すると、そのチャンネルのアンプは抵抗が少ないので、多くの電流が流れます。別の言い方をすると負荷がかかりやすくなります。

アクション映画や戦争映画、ディザスタームービー(パニック映画)には、爆発シーンなど必ず大音響になるシーンがあります。
この時にはアンプに大きな電流が流れますが、大きくなりすぎると部品が壊れるため、AVアンプの保護回路が働きスイッチが切れることがあります。

現在のAVアンプはチャンネル数が多くなり、カタログ上の合計出力は大きくなっています。しかしキャビネットの内部に空きが無いため、ピュアオーディオ用のアンプよりも、容量が小さいトランスや平滑コンデンサを搭載しているのが現実で、電源回路はあまり余裕がありません。これも4Ωのスピーカーを推奨しない原因かもしれません。




(セッティングについて)
D-112E LTDは織布系のウーファーのため、左右に音が拡散されます。そのため左右のスピーカーの間隔が狭いと、音の干渉が発生して音質が悪くなります。また壁が近すぎても音が反射して音質が悪化します。

理想的な設置方法は、左右のスピーカーは最低1mぐらい開けて、間には何も置かない。壁からは60cmぐらい離す、スピーカー台を使用する。

という感じですが、このスピーカーの音質が良いポジションは、ウーファーが耳の高さに来る位置なので、そうするためには市販のスピーカー台では、高さが全く足りません。

またフロントバスレフにも関わらず、後ろに回り込む音(回析)が大きいので、後ろの壁からは少し距離を取りたいです。


でも実際には棚の上やテレビ台、机の上に置けるスピーカーとして、D-112E LTDのを選んだ人も多いと思います。


左右のスピーカーの間にアンプやDAC、CDプレーヤーを置く場合は、これらの機器のフロントパネルよりも前にスピーカーを置いて、左右に広がった音が機器で反射しないようにすることが重要です。スピーカーを7〜8cm前に出すだけでも違います。

スピーカーを設置する際は、取扱説明書にも書いてあるとおり、直置きではちゃんとした音は出ません。コルクスペーサーが付属していますが、10円玉をスピーカーの下に置いたほうが音は良くなります。

オススメはホームセンターなどで販売されている「袋ナット」。丸い方を上にして、その上にスピーカーを載せるだけで音質が向上します。市販のインシュレーターと聴き比べもしましたが、2000〜3000円のインシュレーターよりも音が良いです。
価格は1個30円ぐらいなので、8個で240円です。



(音質について)
音は硬めで高音が特徴的です。高音はエネルギー(音圧)が高く、しかもキャラクターもあります。ヨーロッパ製のスピーカーを使っていた人は、少しうるさく感じるかもしれません。

音が良いか・悪いかといったら、6万のスピーカーとしては「良くない」です。
ダイナミック大賞のKENWOOD LS-SG7(1999年・ペアで21,000円)と聴き比べても、高音・低音・全体のバランスなど、D-112ELTDが勝る部分はありません。

よく新しい製品だから、技術が進歩して音が良くなるに決まっているという人がいますが、オーディオ製品は当てはまりません。特にスピーカーはその傾向が強いです。


D-112ELTDは高音が出るので、一聴すると解像度が高いようにも聴こえますが、けっこう音の輪郭はルーズです。また細かい音は潰れたりしています。

織布系のウーファーを搭載しているので、音の瞬発力はどうしても出にくくなります。そこで現代的なハイスピード感を出させるために、高音を持ち上げたのかもしれません。


それに対して低音は出ません。そのため高音と低音のバランスが悪いです。

低音は曲によって「あるところからスパッと切れている」という感じで、音の量感も不足しています。
また、強い高音によってマスキングされている部分もあります。

バスレフポートの天井部分はウーファーのすぐ近くにあるため、ウーファーの振動がそのまま伝わって振動しています。

このためポートの内部ではヘルムホルツ共鳴ではなく、ウーファーの振動による共鳴が発生しています。この辺りも低音が弱かったり、締まりが無い原因かもしれません。

それでも曲によって、この共鳴と共振周波数が一致する物があるようで、その時は目が覚めるような低音が出ます。

また、D-112LTDは後ろ側にかなりの音が回析します(スピーカーの後ろで聴こえる音が大きい)。もしかするとサイドパネルの前後を絞って、ラウンドキャビネットにしたのは、このせいかもしれません。
逆にそれだけ前方に届く音のエネルギーロスが、大きいということになります。


リングトゥイーターには、ワイドレンジという特徴がありますが、D-112ELTDのレンジは狭く聴こえます。いちおう高音は伸びているので、やはり低音の弱さが足を引っ張っている感じがします。

音場は散乱系ですが奥行はあまり出ません。定位は問題ないです。

レンジが狭い、音の量感が無い、奥行が無いということで、どうしても音は平面的になってしまいます。


一番の問題は、CDプレーヤーやUSB-DAC、アンプとの相性が、かなり出る事です。さらに音楽の曲によっても、「ハマる曲」と「全く合わない曲」が出るので、そういう意味では使いづらいスピーカーです。
原因は上でも書いた音のバランスの悪さです。



(USB-DACを使った音質の比較)

FX-AUDIO- DAC-SQ5J
音質には定評のあるDACですが、高音がシャリシャリした音になります。打ち込みを使った一部のアニソンなどでは、サ行が耳に刺さる感じになります。
逆に低音は高音のマスキング効果が強くなり、さらに出なくなる感じです。


FX-AUDIO-のDAC-X4J
DAC-SQ5Jと比べると、高音は落ち着いて聴きやすくなりますが、レンジが狭くなり窮屈な感じの音になります。低音は相変わらず出ません。解像度も悪くなります。


Topping D30
DAC-X4Jと同じシーラスロジックのDACなので、音の傾向は似ています。ただ音のバランスはDAC-X4Jよりも悪いです。平面的な音です。


Topping E30
DACがAKM AK4493EQと良いのですが、中の回路にお金がかかっていないので音が悪いです(E30側の問題)。D-112ELTで聴くと高音は出過ぎで、解像度の悪さや平面的な音などは、そのままです。


DENON DA-300USB
DA-300USBの持ち味である音のキレや艶といったものが出てきません。高音は落ち着いてはいますが、それでも曲によって、サ行が刺さるものがあります。低音は出ません。他のDACと同じように、解像度の悪く平面的な音です。


USB-DACの結果が良くなかったので、同じONKYOのCDプレーヤー、C-777(2005年発売)を使って音をチェックしました。

やはり相性は良くありません。高音には強いキャラクター(味付け・クセ)が出ます。中低音は締まっていますが、やはり低音は出ません。レンジは狭く平面的な音なのも変わりません。

ただ、上記のUSB-DACやMarantz SA8400、DENON DCD-1650REに比べれば、解像度があります。


C-777でのチェックで気が付いたのは、単品コンポではありますが、CR-D1LTDに合わせたチューニングをしているのではないかということです。

LTDモデルといっても、元はCD/FMチューナーアンプ「CR-D1」(50,000円)です。

機能を単品として捉えるとアンプ、CDプレーヤー、FMチューナーに、それぞれ掛けられるコストは1万5000円もありません。
価格からいっても、サイズからいっても音質的には相当無理があります。

CR-D1LTDに搭載されている「VLデジタル」はデジタルアンプとしては、珍しく低音が出ます。
またスピーカーは高音を強めにしておいたほうが、解像度が高かったり、キレがあるように聴こえますし、ハイスピードのようにも聴こえます。

これは「音が良い」と錯覚させるテクニックで、昔から安いミニコンポなどでよく行われているチューニングに近いです。
※この手法が通用するのは、せいぜいオーディオ初級者までです。


仕上げも良いし見た目は高そうに見えますが、音は6万円のスピーカーではなく、D-112Eと同じ・つまり4万円かそれ以下のクラスと思ったほうが良いです。



(お手軽チューニング)
高音を少し落としたい。全体のバランスを改善したいという場合は、本来ならばネットワークを改造するのがセオリーとなります。

今回行ったのは、お手軽チューニングで、トゥイーターの後ろに吸音材を詰める方法です。

ウーファーを取り外して(100円ショップで売っている六角レンチセットで外せます)、トゥイターの後ろ側に吸音材として綿製の布(家にある古いタオルや下着でOK)を詰めてやると、高音が吸収されてバランスが改善され、低音も少しふっくらとしてきます。


吸音材には様々な素材がありますが、綿は布の厚さや量を増やすと高音が弱くなるので、高音を大幅に弱くしたい場合は、厚手のタオルを隙間なく詰める。少し削りたい場合は下着など薄めの布を、ふんわりと詰めるなど、直感的な作業ができます。


本来は試聴を繰り返しながら、自分の音の好みに合わせて、布の量を増やしたり、減らしたりするのが望ましいやり方です。

それでは面倒くさいという場合は、トゥイーターの後ろは少し軽めに布を詰めておいて、スピーカーを元に戻します。
その後の音の調整作業は、バスレフポートに布を詰めて行います。これだと試聴をしながら、簡単に布の量を調整できるのでお手軽です。







3cmリング型・トゥイーター
トゥイーターはリング型です。リング型というとハード(金属製)トゥイーターと思ってしまう人もいるかもしれませんが、素材は平織布がベースで、熱可塑性樹脂をコーティングしています。これを熱プレス成形して一体化させた振動板となります。つまりソフト・トゥイーターです。

振動板は外径30mm、内径18mmで、外端と内端の中間点をボイスコイルで駆動するバランスドライブ構造にしています。リング型では内周部が固定されるため、分割振動を抑制することができ、スムーズな駆動を実現しています。

リング型トゥイーターの弱点は、ドーム型に比べて振動板の面積が少ないので、効率が悪いと言われていました。でも最近ではそれも改善したようで、高インピーダンスのユニットが増えており、D-112E LTDのユニットもアグレッシブ?な高音が出しています。


トゥイーターの前には、指向性や周波数特性の乱れを改善するイコライザー(JBLではデフレクターと呼んでいます)が取り付けられています。

イコライザーはABS樹脂製で中央部に砲弾状のイコライザーがあり、これとトゥイーターユニットの外周にあるホーン部分(ウェーブガイド)と、連結アーム部を含めて環状イコライザーを形成しています。


ONKYOのリング型トゥイーターは、特許公報の中で「音響特性の改善と、組立の容易化や工数の削減を、両立させることができる」と書かれています。





10cm A-OMFモノコック・ウーファー
10cmユニットですがエッジ込みのサイズで、振動板自体のサイズは8cmです。

OMFは(ONKYO Micro Fiber)の略で、この振動板は綾織りしたPEN繊維(ポリエチレンナフタレート)に、アラミド繊維、帆布の3層になっており、それを一体成型したものです。

PEN繊維はテイジンが開発した高性能繊維で高強力、高モジュラス、寸法安定性などに優れています。(モジュラス・・・引っ張りや圧縮など力が加わった時に、元の形状に戻ろうとする力のこと)

これにより従来の振動版よりも強度が40%向上し、振動板全体で30%の軽量化をしているそうです。

またセンターキャップがない独特の椀形の形状により、変曲点を無くして音の濁りの原因となる分割振動の低減と、振動板面積の拡大をはかっています。


椀形は「画期的な形状」と宣伝文句はカッコ良かったのですが、D-112ELTに搭載された新型のA-OMF振動板では、椀形をやめて元のコーン形に戻し、センターキャップ(イコライザー付き)を復活させており、この形状は悪く言えば失敗だったのかもしれません。

2005年にはB&WやQUADなどの織布系のコーンユニットで、すでに砲弾型のイコライザーの効果が実証されていました。

ONKYOはそれと被らないように、お椀型にすることで独自性を求めたのかもしれません。でも結局はコーン型とイコライザーの組み合わせが良いということに、なったのだと思います。


ONKYOのPEN繊維振動板の特許


エッジはゴムエッジですが、ヨーロッパのスピーカーと比べると硬めのゴムが使われています。
D-102シリーズのように、年数が経つと割れたりすることはないと思いますが、ゴムの硬化により音が変わってくることがあるかもしれません。




(キャビネット)
キャビネットはMDF製。サイズは小さいですが肉厚です。

フロントバッフルはの厚さは27mm。側板は厚いところで18mmでリアルウッド突き板仕上げ。前後の部分にカーブを付けることで、音の指向性や広がり、ユニット間の波面のコントロールを行う「ラウンドキャビネット」になっています。

天板の厚さは11mmで、7コートのピアノブラック仕上げになっています。ただし見た目は7コートも塗っているようには見えません。

底板の厚さは13mmで、その下に本体とは別キヤビネットのバスレフポート「アドバンスド AERO ACOUSTIC DRIVE」が取り付けられています。

キャビネットの肉厚はありますが、そのせいで本体部分の容量が4Lぐらいしかありません。

これが低音不足の一因だと思います。上級機のD-302EやD-212EXでは、奥行を伸ばして、容積を確保していましたが、棚やテレビ台、机に置くことを考えると、D-112E LTDはこのサイズが限界だったのかもしれません。

吸音材として使われているのは、梱包などに使われる緩衝材(スポンジ)の薄いシートで、吸音効果は高くないと思います。




(アドバンスド AERO ACOUSTIC DRIVE)
バスレフダクトにあたる「アドバンスド AERO ACOUSTIC DRIVE」もMDF製です。

メーカーはこの部分を自画自賛していましたが、実際に見ると「ちゃんと設計したのかよ」と思うぐらいショボイです。

しかも一番振動が集中する部分なのに、木ネジ4本で止めてあるだけです。ちなみにこのネジは年数が経つと緩んでくるので、締め直したほうが良いです。

アドバンスド AERO ACOUSTIC DRIVEの高さは40mm。ダクトのサイズは横が約100mm。タテが21mm。奥行は200mm。

細長い矩形断面の採用により、不要な雑音成分を減衰や空気抵抗に有利なため、低域の量感とスピード感を改善と説明していますが、これは完全な宣伝文句です。

実際にはバスレフダクトからは、高音成分もかなり漏れてきており、肝心の低音はルーズで量感も少ないです。



本体側のポート アドバンスド
AERO ACOUSTIC DRIVE



ネットワーク

ネットワークのクロスオーバー周波数は2.5kHz。

S.G.L.(Steady Ground Level)型1点集中回路を採用し、音声信号の基準となるグランドの変動を防いでいます。

パーツにはドイツWIMA製のフィルムコンデンサーが使用されています。

スピーカー端子

普通のバナナプラグ対応の端子です。


ONKYO D-112E LTDのスペック

トゥイーター 3cm リング型
ウーファー 10cm
A-OMFモノコックコーン
出力音圧レベル 82dB
周波数帯域 50〜100kHz
クロスオーバー
周波数
2.5kHz
最大許容入力 120W
インピーダンス
容積 4.5L
サイズ 幅162×高さ263×奥行243mm
重量 5.0kg




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