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SONY TA-F333ESL

    1990年 定価85,000円



SONYのTA-F333ESLは、1990年11月に発売されたプリメインアンプです。TA-F333ESXから始まるシリーズの5代目となります。

ライバル機はSANSUI AU-α607DR、marantz PM-88SE、ONKYO Integra A-917、ALPINE/LUXMAN LV-104u、DENON PMA-890D、Technics SU-V900、など。
1990年の8〜9万円クラスアンプの比較



TA-F333ESLはデザインが大きく変更されましたが、内部では出力段にパワーMOS FETを採用したのが特徴です。

MOS-FETは熱的安定度が高く、大電流でも高速スイッチング動作が可能という特徴があり、オーディオ用の出力素子としては理想的な特性を持っています。

TA-F333ESLに採用されたMOS-FETは、いわゆる「新型MOS」で、旧型のMOS-FETに比べて出力が高くなり、音質もバイポーラトランジスタに近くなった物です。


シャーシには、アコースティカリーチューンドGシャーシ(Acoustically Tuned Gibraltar Chassis)を採用しています。

Gシャーシの素材は大理石と同じ組成をした炭酸カルシウムに、不飽和ポリエステルに加えて、グラスファイバーで強化したものです。

Gシャーシは音質に影響を与える振動に強く、内部損失が大きいことに加えて、非磁性・非金属であるため電磁歪や、うず電流の発生がないなどのメリットを持っていました。


アンプの音質を左右する重要なセクションである電源部は、大型電源トランスと電圧増幅、出力段に大容量のコンデンサを使用したS.T.D.(Spontaneous Twin Drive)方式とし、安定した動作を実現しています。

パワーアンプの出力段には、ローインピーダンスのスピーカーのドライブや、スイッチング歪やクロスオーバー歪を低減する「スーパーレガートリニア」を採用しています。

フォノ・イコライザー回路には、高域応答特性に優れたローノイズHi-gmFETを採用しています。



(音質について)
発売当時はMOS-FETの音と騒がれたましたが、DENONなどMOS-FET搭載機も多い現在では、気になるようなことはないと思います。

いわゆる少し硬めのSONYサウンドですが、TA-F333ESXよりも音がリファインされ、個性的な部分が少なくなった分、バランスのとれた、まとまった音になっていると思います。

レンジも十分にあり、細かい部分の再現もキチンとこなします。意外と他のメーカーのオーディオ機器との相性が良く、実用性は高いと思います。


20年以上も前のアンプですので、使用にあたっては内部のクリーニングなど、メンテナンスは必須です。

(フロントパネル)
1990年代になったことで、SUNSUI、ONKYOのライバル機と同様にデザインは大きく変更されました。

リモコン対応ということもあり、ボリュームとインプットセレクタ以外は、シーリングパネルの中に収納された為、スッキリとしたデザインになりました。

このデザインはTA-F333ESA、TA-F333ESJと継承されますが、リモコンですべての操作が出来ないため、使い勝手が良いという訳ではなく、TA-FA5ESではシーリングパネルが廃止されています。

サイドウッドは標準装備。カラーはブラックのみです。





(シャーシと内部について)
基本的なシャーシの構造は、TA-F333ESXから変わっていません。

底部のGシャーシをベースに、天板・サイド・リアには厚めの鋼板を使用しています。Gシャーシには格子状のリブをつけて剛性をアップさせるとともに、リブの厚みや間隔をランダム化することで、共振対策を行っています。

Gシャーシの上部となるサイドとフロント、リアパネルはフレーム構造をとして、強度の向上と振動対策を行っています。またサイドウッドも側板の補強と内部損失により振動を吸収する役目を持っています。

この振動をうまくコントロールしないと基板が発信し、ノイズによって音質が低下します。


内部は一見詰まっているように見えますが、コンデンサの振動を抑えるプレートを外してみると。「スカスカ」なのがよくわかります。スペース的には電源部が半分以上を占めています。

レイアウトは左側に電源トランスとドライバー段用のコンデンサ。中央部は大きなコンデンサが出力段用。ヒートシンクの右側の基板は2階建てで、上段にフォノイコライザー基板。下段が初段・ドライバー段の基板になっています。

プリ部はフロントパネルの後ろの他に、リアの端子の後ろにインプッセレクタの切り替え用モーターとスイッチがあります。


天板 底板
発熱が大きいため、通気用のスリットの面積が広いです。

インシュレーター Gシャーシのリブ



(電源部)
電源トランスは300VAクラス並みの大型サイズ。容量は84V・190VAでシールドケースに入っています。

電源回路は電圧増幅段(A級)と、出力段(B級)の電源に独立した整流回路を設置したS.T.D.(Spontaneous Twin Drive)電源となっています。

平滑用の電解コンデンサはニチコン ネガティブブラックで、A級の電圧増幅用が63V 8200μF X2本と、B級の出力段が63V・18000μF X2本と十分な容量です。

出力段用のコンデンサは「バイブレーション・プルーフプラットホーム」という、コンデンサの振動を抑えるプレートが取り付けられています。

家庭用電源からのノイズを低減するESフィルターを搭載しています。

 
電源トランス 電源部

平滑コンデンサはニチコン製ネガティブブラック
容量は12000μFx2本と4700μFx2本



(パワー部)
出力段はB級動作で、パワーMOS-FETによるパラレル・プッシュプルです。

以前のMOS-FETは出力が弱いのが欠点でしたが、新型のMOS-FETは出力が向上しているため、実効出力はTA-F333ESGとほぼ同じになっています。

使用されているMOS-FETは、東芝製の2SKJ200と2SK1529です。


B級動作ではスイッチング歪やクロスオーバー歪が問題となりますが、これらの歪を広帯域、ダイナミックレンジで減らすS.L.L.(スーパーレガートリニア)回路が搭載されています。

プリドライバー用には東芝製のトランジスタ 2SC3298Aと2SA1306Aが使われています。電解コンデンサは日本ケミコンのオーディオ用コンデンサー「AVF」など。


出力段 ヒートシンク下部の
MOS-FETとトランジスタ

東芝製MOS-FET 2SKJ200 東芝製MOS-FET 2SK1529

初段・ドライバー段 日本ケミコンのオーディオ用
コンデンサ AVF

ドライバー段の
東芝製のトランジスタ
黒いのが2SC3298A、
緑色が2SA1306A。



(プリ部)
トーン回路はCR型です。C(コンデンサ)とR(抵抗)を組み合わせた回路で、ボリュームの位置によって効果量が変化せず、低インピーダンスでの駆動ができるメリットがあります。


CDが全盛の時代のため、フォノイコライザー回路は、おまけのような回路のアンプも多かったのですが、TA-F333ESLの回路はTA-F333ESXとほぼ同等なもので、入力段にFETを使用したハイゲイン・イコライザーです。

使われているトランジスタは、NEC製の「A985」と「C2275」。電解コンデンサは日本ケミコンの、オーディオ用コンデンサ「AVF」などが使われています。


リモコン用のマイコン基板では、三菱製のマイコン「M50253P」や、東芝製のマルチバイブレータ「74HC123AP」が使われています。

ボリューム 上がリモコン用のマイコン基板。下がトーン回路の基板。

フォノイコライザー基板 パワートランジスタ
NEC A985



(入出力端子)
リアパネルの入出力端子で金メッキになっているのは、PHONOとCDだけです。TAPEは3系統。AUXは1系統。それ以外にダイレクトイン端子があり、インプットセレクターを経由しないで入力ができます。

それ以外にグラフィック・イコライザーやサラウンドプロセッサー用に、ADAPTOR端子あります。

専用のワイヤレスリモコンはRM-J350です。

リアパネル

SONY TA-F333ESLのスペック

定格出力 140W+140W (4Ω)
120W+120W (6Ω)
100W+100W (8Ω)
高調波歪率 0.0015% (8Ω 10W)
混変調ひずみ率 0.004% (8Ω)
周波数特性 2Hz〜200kHz (+0 -3dB)
パワーバンドウィズス 10Hz〜100kHz
S/N比 105dB (CD、TUNER、AUX、TAPE)
87dB (PHONO MM)
68dB (PHONO MC)
ダンピングファクター 100dB(8Ω)
適合スピーカー
インピーダンス
4Ω〜16Ω
消費電力 260W
サイズ 幅470×高さ165×奥行435mm
重量 21.3kg




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